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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

コレクター少年

作者: 幻中 飽那

飽那です。まだまだ拙い文章かとも思いますが、読んでいただけると幸いです。こういう話が苦手な方もおられると思います。苦手だと思ったら、すぐにお引き返りください。

チョキン、チョキン。

ハサミの切る音が聞こえる。


「まーた集まっちゃった!これでこの子もぼくの物。」


暗い部屋の中で一人の少年が言う。

よく見てみると、部屋も少年も血だらけで、その傍らには、一人分と思われる死体が置いてある。

四肢が切り裂かれ、目も耳もえぐられ切られている。

その一つ一つの部位を、まるで宝物を扱うかのように丁寧に瓶に詰めていく。


「よし、できた!やっぱりいいな~、綺麗で。この子はぼくのお気に入り三位にしてあげようかな。」


そう言いながら、棚へと向かっていく。

その棚には、目、耳、鼻、腕、足、などと書かれている。書いてある部位を、場所を乱暴に開けながら置く。

乱暴に開けてしまったので、入らなくなった分の瓶が落ちる。

それを気にもしていないように、置いた瓶をまた持ち上げる。


「可愛いな、可愛いな。特に髪の毛がいいよね~。こんな色見たことないや。ふふ、大好き──」


そういったとたん、その瓶を落としてしまう。


「──飽きちゃった。なんだかなぁ。まあいいや、次のを見つけよう。」



お昼過ぎ、少年は人が賑わう場所で、壁に寄りかかりながら座っていた。

すると女の人が近づいてくる。


「ねえ、君。どうしてここにいるの?」


高校生くらいの人に声をかけられると、少年は口角を上げる。


「ママとはぐれちゃったの。お姉ちゃん、一緒にいてくれませんか?」


きゅるんっとした感じで首をかしげる。

小学生くらいで顔も整っている、そんな可愛い子にこんなことを言われた女の人は、もうデレデレといったようにその問いに了解する。


「ありがとう!お姉ちゃん。」


「ふふっ。私は羽田侑里(はねだゆり)よろしくね。君は?」


「ぼく?ぼくはね、怖都(こうと)だよ。」


怖都は侑里に聞こえないくらいの声で言う。 


「──こちらこそよろしくね、侑里お姉ちゃん。」



それからしばらく待っても、怖都のお母さんは来ない。


「お母さん、来ないね。どこ行っちゃったのかな。」


「もしかしたら、家に帰ったのかなぁ。ママ、抜けてるとこあるし。ねえ、家までついてきてくれる?」


「うん!いいよ。」


「ねえ、ほんとにこんなとこに家があるの?」


そこは誰も通らないような路地裏だった。


「ほんとほんと。ママ、変な趣味があるんだよ~。」


そう言いながら、路地裏を進む。


「ついたよ、お姉ちゃん。」


「お、大きいね。こんな家、初めて見た。」


その家は、お金持ちが住むような大きな家だった。


「おっきいでしょ?……、開いてないや。ママ、まだ帰ってないみたい。ねえ、一緒に待っててくれる?」


「うん!いいよ。」


さすがに断りそうなことでも、侑里は了解してしまった。

そんなこと、しない方がよかったのに。


それから日が沈んでも、誰も帰ってくる気配はない。


「ねえ、お姉ちゃん。もうママ帰ってこないのかなぁ。」


そう言って、怖都は侑里に抱き着く。

そのとたん、侑里は首に痛みを感じた。


「えっ──。」


そうして、侑里は眠りに落ちていった。

睡眠薬を注射で入れられたのだ。


「あはは!また成功した。やっぱりぼくって天才かも。ちょっと可愛い感じに接したら、みーんなすぐに騙されちゃうんだもん。人間ってバカだよねぇ。」


怖都は台車を持ってきて、侑里を乗せる。

家の鍵を開けて入る。

怖都はいつものように、壁についている手錠と縄に侑里を括り付ける。


それからしばらくすると、侑里が目を覚ました。


「──うっ。」


「あ、お姉ちゃん!起きたの?」


「ひっ。な、なにこれ……。」


大きい太刀を持ってきながら、怖都は答える。


「え~、手錠と縄だよ。見てわからないの?お姉ちゃんてほんとバカだね。よしっ、今回は腕から切ろうかな!あっでも、足もいいかな。どっこにしーようっかな!」


「怖都くん、なんで、こんなこと……。」


「ん~、お姉ちゃんはぼくのお気に入りだから、教えてあげてもいいよ。ぼくはね、ぼくの気に入った人を殺して、保存して、眺めていたい。大体はすーぐ飽きちゃうんだけどねぇ。みーんなみーんなつまんない。」


「お母さん、は……?」


「ママ?ママはね、ぼくのコレクションになったよ。まあ、目くらいしか残ってないんだけどね。」


「どう、して……。」


「どうして?それはね、ママは人間じゃないと思ってたから。」


「人間じゃ、ない?」


「そうそう。ぼくのこと、たっくさんいじめてきたの。そのお姉ちゃんが繋がってる、手錠と縄にぼくを括り付けて。だから、学校?ってとこにも行けなかったし。ぼくはママのお人形さんだったの。そんなときにね、ぼくのこといじめる道具で、間違えて自分のこと殺しちゃったみたい。あはは、バカだよねぇ。それでね、その時の死体を見て思ったの。死んでるのって綺麗だな、って。何も言わない、何も動かない、ほんとのお人形さんになったみたいで。」


「お人形、さん……。」


「ふふっ。でもね、最初は死んだら腐るなんてのも知らなかったから、ほとんど腐っちゃた。だから目くらいしか残ってないんだよ。まあとにかく、そこから気に入った人を保存していこうと思ったの。」


「……。」


「よし、じゃあそろそろお姉ちゃんにもコレクションになってもらおうかなぁ。どこにしよう……。うん!腕からにしよう。」


「や、やめて!わ、私のこと気に入ってるんだよね。じゃ、じゃあ殺さないでよ!まだ生きてたいよ。怖都くんは、まだ楽しいことなんてなかったんでしょ?私が学校とかにも連れてってあげるから──。」


その時、侑里の腕が、体から離れる。

血で二人が真っ赤に染まる。


「うるさいよ、お姉ちゃん。」


「あ、あ、……た、す、け──。」


「あっはははははははははは!そうだよ!その顔がいいんだよ!さいっこう!」


そう言いながら、太刀で足も斬っていく。

ハサミで耳も切っていく。


「さようなら、お姉ちゃん。」


「……。」

 

侑里はもう、何も言わない、何も動かない。

バラバラに引き裂かれている。


「まーた集まっちゃった!これでこの子もぼくの物。」


そしてまた、少年はいつものように──


「ね、侑里お姉ちゃん。」

ここまでお読みいただきありがとうございました。誤字脱字があったら教えていただけると嬉しいです。アドバイスや感想も送って下さったら幸いです。

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