最強門番は門を守る!
「勇者よ!魔王に拐われた姫を救ってくれ!」
「無理です!王様!」
「なぜだ!勇者よ!?」
「俺のパーティ全員が門番に教会送りにされたからですよ!!」
「あの門番に何がしたのか?命知らずの奴だな?」
「王様に呼ばれて来たら、あの門番!門に礼をしろってわけ分からない事言ってきたんですよ!無理矢理通ろうとしたら教会送りにされたんですよ!?なんで門番があんな強いんですか!!」
「それは勇者が悪い、ワシも門に二礼二拍手一礼を忘れたら、その日一日、城に入れてもらえなかったからな・・」
「王様なのに!?」
「とにかく!門番が一番強いんですから、門番に行かせればいいじゃないですが!!」
「むりじゃゃゃぁ!!あの門番、ワシに向かって門さえ守れれば王様がどうなろうと知った事かっ!って真顔で言う奴じゃぞ!!」
「雇うなよ!そんな門番!?」
「仕方がないんじゃぁぁ!!門番採用試験の時にあいつは護衛の兵士を全員教会送りにしてワシの胸ぐら掴んで『雇うか死ぬか』って!!!死にたくはなかったんじゃぁぁーっ!!」
「・・なんで、あんな強い男がこんな汚い城の門番になったんだ?」
「汚いって、王を前に言う?まぁ、歴史的な造りの門に味わい深さを感じたらしい」
「味わい深いねぇ、ただの汚い門だけどな?」
「まろやかな舌触りでそれでいて、しつこくない味だったらしい」
「味ってそっちの味!?」
「けど、実際に俺以外の勇者パーティは門番にやられたショックでまだ戦う事が出来ませんよ」
「なら我が国の兵士達もいっしょに連れていって良いから、姫を助けてくれ!!」
「いや、普通の兵士じゃ魔王となんで戦えないでしょう、邪魔になるだけですよ」
「そうか、普通の兵士では役に立たんか・・」
「やれでも荷物運びぐらいしか・・あっ!!」
「魔王様!!勇者が現れました!!」
「くくくっ、勇者よ恐れず姫を救いに来たか!」
「後ろに兵士を連れています!」
「愚かな!人間の兵士など我輩の敵ではないわ!」
「兵士達が門を引いてます!?」
「・・えっ?・・門?どういう事!?」
「その門を門番が追いかけています!!」
「姫を返せ魔王!!」
「門を返せ勇者!!」
「もはや意味が分からんのだか!?」