八話『何も起こらないのが普通(三)』
@クゥ視点@
「萩異のクラスメート?」
現在は、一月の中盤でまだ特星の寒さが厳しい季節。相変わらずな人生相談所の中で萩異からクラスメートについて聞いていた。
「そうそう!まだ部活に入ってないからチャンスだよ♪」
萩異のクラスメートに転校生が来たらしく、混合部に入ってもらおうと考えてるらしい。いまのところ中学生は、萩異しかいないし問題ないと思うけどな。
萩異の話では、アニメとかによく居るような男口調の女の子らしく、強くなれる部活なら何処でも良いらしい。そしてツッコミにキレが有り、相手をぶっ飛ばしながらツッコミタイプに分類されるんだって。分かりやすいような分かりにくいような…
「名前は、不死鳥 神異と言って神異の親は、特星政策に関わる人物らしいよー。」
「苗字と名前がピッタリだな。特星政策に関わるって事は、俺の親の知り合いかもな。」
「可能性は、無い事も無いよね♪」
非常に認めたくは無いが俺の親は、特星政策の関係者だ。特星政策に関する人はかなり少なく特星に数十人しか居ないらしい。
「明日にでも誘ってみよっと♪」
「おー、頑張れ頑張れ。じゃ、そろそろ帰るぞ。」
「分かったよー。そういえば涼気さんは何処だろうね?家を開けっ放しにするなんて無用心極まりないね♪」
「涼気さんの事だから何処かの店で熱くなってるんだろ。」
もしそうなら大丈夫か、食品売り場?
「ただいまー♪」
「ただいま。あれ、校長は?」
「確か何処かに行ってるわよ。」
冷波が答えてくれる。何処かにって何処だ?校長室か?
「あー、遅れてスミマセンね。」
凄くナイスタイミングで登場。狙って登場ですか?
「今日は、新しい部活のメンバーを呼びに行ってたので遅れました。」
周りがおおぉおぉ!と盛り上がるが俺は、誰が来るかもう分かった。
それにしても都合の良い時に連れて来るとは、流石は校長だ。
「どーも。私は、中学一年の不死鳥 神異だ!よろしく頼むぜ!」
うわっ、本当に男口調だなぁ。
「うおぉぉっ!カッコいい名前じゃないか!仲良くやろうぜ!」
佐和が真っ先に自己紹介をする。それに続いて俺を含む他の全員も自己紹介をする。
ちなみに女子と聞いて佐和は、非常に驚いてたな。驚いてすぐに女子と握手できたと喜んでたが。
「どうしてこの部に入る気になったんだ?正直、部活らしい活動は、月に数回くらいだぞ。」
「私は、元々強くなれる場所を探してたんだ。だからモンスター討伐部に入ろうとしてたんだけど、校長にこの星で一番強い奴が居るって言われて此処にしたんだ。」
「確かに居るけど魅異を目標にするのは、絶対に無謀だぞ?」
「失礼だね〜。私は、人だよ〜。」
中身はどうだか。
「中身も人だって〜。裂いて見てみる〜?」
「血以外の物も見れそうだから止めとく。ってかお前を裂ける物なんて有るのか?」
「私の硬度を低めれば有るよ〜。」
「萩異…私は、この二人の話についていけない。」
神異…俺は魅異の話についてった覚えは、全然無いんだが。
「魅異ちゃんと普通に話を出来るとは…流石はクゥ君だねー♪」
そんなに凄い事か?ってか普通に話しできてるか?
「流石は、って!萩異まさかお前…」
「うん!私とクゥ君は婚約者だよ♪」
いつ俺とお前が結婚した?将来的にもそれは無い。
「もうそんな関係の相手まで見つけたのか!?やる事早いな!」
「待て神異。萩異の言ってる事は大嘘だ。」
「えっ、そうなのか!?」
「ゴメンゴメン。でも将来的には、そうなる予定だよ♪」
「じゃあ断言してやろう、予定のままで終わると。」
断言してやった。ってか絶対に予定で終わらせないと、俺の人生に関わる事になるな。
「それにしても本当に男っぽいな!俺が間違えたんだからよっぽどだぜ!」
それは、自分が見分けが得意だと言いたいのか佐和?
「私自身は気にしてないんだけどなー。生活する時に問題があるから大変なんだ。」
「神異は、銭湯に行った時に女湯に入って捕まりかけたんだよ♪」
「あの時は、知り合いが何とかしてくれたけど流石に焦ったなぁ!」
通報者が問題だろそれ。ちゃんと確認してから…って、する余裕も無いか。
「あっ、その現場なら俺も見たぜ!」
その問題発言に全員が唖然とする。
何でお前が現場を見れたんだ佐和…堂々と女湯を覗いてたのか?本来捕まるべきなのは、佐和なんじゃないか?
「確か俺が通報してテレビ取材者のフリをして、堂々と中を撮影したんだぜ!」
「バカかぁぁあああっ!!」
おぉっ、神異のナイスなツッコミで佐和がぶっ飛ぶ。部室の壁と高校を貫通してキラーンってなったな。
「佐和は、噂の女湯に突っ込んだみたいだね〜。」
「どんだけ視力が良いんだお前?」
視力の事を聞いてみるが、さぁね〜?という風に言うだけで答えを言う気はないみたいだ。
俺の予想では、目を塞いでも全ての事が分かると思う。
って、それって視力は、関係無いじゃないか。
「さてクゥ君、今日もお出かけしよう♪今日は、寄って欲しい所が有るけど良い?」
正直、嫌だけど断っても無理だよな。
「別に良いが遠くは、勘弁してくれ。」
「やったぁ♪」
普通に喜んでるように見えるが、涎が滝のように出てるから何か企んでるな。あぁー、床がもう水溜りみたいになってる。
護身用に何か持っていけるかな?
「クゥ君ってどんな武器が得意なの?」
「え、何でだ?」
「いまから行く場所は、入場許可を貰うのが面倒だから♪」
だから…で止めるな。強行突破でもするのか?
「俺の得意武器ねぇ…一般的な道具位しか使えないな。後は、薬品や機械とかを少し扱えるぞ。それとオリジナルグッズも使えるな。」
「沢山使えるね。流石クゥ君!」
でもオリジナルグッズは、葉鳥翼君の一号と二号しか作った事がないんだよなぁー。
「って、何を持ってるんだお前は…」
「正義のロケットランチャーだよ♪これなら戦車が来ても安心!」
とても心強いが…何キロ有るんだそれ?人間が持てる重量なのか?
それ以前に戦車を相手にするのか…不安が出てきた。
「俺って普通の高校生だぞ?生きて帰れるのか?」
「大丈夫!魅異ちゃんほど強くないから!」
それって特星中の全生物じゃないか?
という訳で、オリジナルグッズを作りながら何処かへ向かってます。それにしても人が少ないな。
「特星の副都市の異名を持つのに人が少ないな。」
「この症状は、此処だけじゃないんだよ。特星中の殆どの人が瞑宰京に移り住んでるらしいからねぇ。一日二人の割合らしいよ。」
流石は特星本部の有る町だな。
よし、オリジナルグッズの完成。その名も傘盾君一号という名前で、開いた状態の傘を特星のある金属で固めた物だ。
軽くて丈夫で錆びないのが特徴で雨の日にも使えたり、水に浮きやすく持ち運びに非常に便利である。しかし傘のように閉じれないのが欠点。加工は、萩異の必殺技でやってもらった。
「それにしても何で金属の塊を持ってたんだ?」
「クゥ君が使えそうな物は、全て持ってきてあげたんだよ♪」
この様子だと他にも何か持ってそうだな。
「さ〜て、疲れたしそこの喫茶店で奢ってあげよう♪」
「よし、早速行こう。」
奢ってくれるって言ってるし、せっかくなので寄っていく事にする。
「なんだこの暑さ?暖房が効きすぎだろ。」
「確かにこの暑さは、かなり異常だね。」
「おっ、お前らも来たのか!」
俺達に声をかけたのは涼気さんだった。この暑さの原因は、恐らく…ってか絶対この人だ。店の人が気絶してるぞ。
「一体何してるの?」
「外が暑いからアイスでも食べようと来たんだ!でも頼んだアイスが食べてる途中で全部溶けたんだぞ!」
恐らく暑いのは、この人の周りだけだ。そしてアイスが溶けた原因は、この人が店内に居たからだ。
「これじゃあ注文出来ないな。」
「というか、私達もかなり危ないね。それじゃあ店を出ようか♪」
「よし!俺は買い物に行く事にする!」
おそらく店内の冷凍品が解凍状態になって、刺身や肉が全部腐るな。
「それで此処って何処かな?」
「オイオイ迷ったのかよ。」
「迷ったんじゃなくて、場所が分からないだけだから安心して♪」
「出来るか。ってか、それって迷ったのと同じだし。」
此処は、迷ったら出られないと噂の無人ビルだらけの道じゃないか?
「此処は、噂のビル迷路だな。」
「えぇ!迷った犬の死体があるって噂の!?」
「そんな訳あるか。特星で餓死なんて事が有る訳ないだろ。」
モンスターは、消滅するけどな。
「じゃあ、鳥が迷って一週間…」
「鳥は、飛んで出れるぞ。」
「私が迷って…」
「今だろ。」
あー、歩いても同じような道ばかりだな。
「あっ、クゥ君!迷路の攻略法が分かったよ!」
「何だ?」
「ビルを吹き飛ばせば良いんだよ♪」
「そうか、ナイスアイディアだ。吹き飛ばして良いぞ。」
「やったー♪」
そういってロケットランチャー数発でビルを吹き飛ばす萩異。これだけ有るんだから十個や二十個くらいは、壊しても問題なしだ。
というか正直な話、有るだけ無駄だし吹き飛んでも良いだろ。ほぼ全部が魅異の会社のビルだろうし。
「いやぁ、サッパリしたねぇ♪」
それに訴えられたら萩異が捕まるからな。そしたら安心して学校生活が送れる。
「ふぅ〜、やっと到着♪」
「此処って…魅異の会社じゃないか。」
勇者社という会社で特星で一番大きい会社のはずだ。
「こんにちはー♪」
おぉ、暖房が効いてて温かいな。
「お客様、入場の手続きを…」
「しないよ♪」
係員らしき男性が来たが、いきなり萩異がロケットランチャーを発射する。
「やっぱりか!全員で捕らえろ!」
でも相手は、予想済みらしくロケット弾を回避して叫ぶ。と同時に周りから大量の会社員が出てきた。
「今回は、仲間を連れてるみたいだから注意しろ!」
仲間って俺か?
『うぉぉおおおっ!!』
「一体何なんだ?」
「私が毎回、不法侵入するから仲間の準備をしてたみたいだね♪ちなみに私は、この会社のブラックリストに乗ってて百万セルの賞金首なんだよ♪」
「なら何で入ってきた途端に捕まえなかったんだ?」
「この会社のルールは、どんな人であっても攻撃してくるまでは、捕まえたら駄目なんだって。」
ちなみに戦いながら話してるぞ。俺も傘盾君一号で相手を倒している。
でも相手は、特殊能力を使うが見方に当たったりとかの自滅が多い。
『十人連携奥義・滅光波!』
連携奥義を俺に放つが傘盾君一号に当たり跳ね返って自滅…アホだな。
「全員倒せたね♪」
「ほとんど自滅だったけどな。ところで何処まで行くんだ?」
「几骨さんに用が有るんだよ。あと几骨さんなら今日だけ攻撃対象にならないように全員に言ってくれるよ♪」
今日だけかよ。
「やっと2階か。」
「エレベーターが止められてるのは予想外だったね。」
萩異の話によればエレベーターの電源は、地下と五階で管理しているらしい。五階にもある理由は、地下に行けなくなった時の為らしい。
「此処が次の階への階段だよ♪…あれ?」
「扉が閉まってるな。しかも自動ドアっぽい。」
どうでも良いが、何で階段の場所がダンジョンみたいに階ごとにバラバラなんだ?普通は、一箇所にあるものだろ。
「えっと、『此処を通りたければ、此処を右と左に行った部屋にあるスイッチをオフにし続けろ。』だって。面白いね♪」
「面白いか?あと、明らかに罠だろ。」
「罠に気付かずに飛び込むのがセオリーだって♪どっちが良いの?」
「じゃあ…右で。」
どっちも悪い予感がするから適当だ。
「じゃあまた会おうね♪」
俺って敵を倒せるか?一応平和主義者なんだけど。
「何て長い通路だ。でも以外に罠とかが無いな。」
だが油断は、禁物なんだよなぁ。
「あっ、この部屋か。」
警戒しつつ中に入る。不意打ちとかされたら大変だからな。
「誰か居ますかー?」
「居るわよ、私みたいな侵入者がね。」
「本当に誰か居たな。」
「聞かれたから答えたまでよ。貴方って会社員?それとも不法侵入者?」
「後者の巻き添えだな。」
「そう。此処では、不法侵入した途端にブラックリストに載るから注意した方が良いわ。」
「なるほど。」
「そして…不法侵入者は、他の不法侵入者を捕まえたら賞金が貰える事にもね!」
「それってお互い様だぞ。」
ってか賞金貰えるなんて初めて知ったな。
「喰らえ!奥義・水圧球!」
子供一人分くらいの大きさのゆっくりした速度の水の球を、全体に放つ相手。奥義の割には弱そうだな。
[グシャ!グシャ!]
「って、周りの壁が水に吸い込まれた?」
「違うわ、水の水圧に潰されたのよ。貴方も触れるとグシャってなるわよ?」
「勘弁してくれ…」
傘盾君一号でも防げないだろうな。遠距離攻撃が出来れば良いんだが。
「しょうがない、ちょっと待ってろ。」
「待つわけ無いわ。何故なら私は、短期だから!」
「自分で言うな。」
とりあえず攻撃を避けつつある物を作る。
「いい加減に諦めて私の持ち金になりなさい。」
「よし完成。その名も熱蒸気君一号だ。」
この武器は、汗が出るくらいの熱さの水蒸気を相手にかけることが出来る武器だ。皿の汚れとかも綺麗に取れるぞ。しかも携帯電話と同じくらいの大きさだ。
「こっちも反撃だ。」
「何?そんな攻撃が通じると思ってるの?」
あまり効いていない様子。まぁ、だんだん効いてくるさ。
「クッ、しつこい!奥義・天地の水の恵み!」
やっと技を変えてきたか。次は俺の周辺を囲むように水の球が飛んできた。
「っと危ないな。」
何とか回避。速さ重視技らしいが球の数はさっきより少ないな。
相手は、冬なのに汗だらけである。
「もう…意識が…」
あっ、気絶した。恐らく脱水症状だろう。
でも此処は、特星だしこの人は、水を操れるっぽいから放っておいて大丈夫だろ。
「それよりスイッチ…あ、これか?」
見事に水圧で潰れてるな。一応押せてるみたいだし良いか。
〜クゥが戦っていた頃、左の部屋では〜
@萩異視点@
「いやぁ、此処までトラップが多いと大変だねぇ♪」
正直な話、結構楽しいけどね♪
そういえばクゥ君が居ないから、いろいろ現実的な話ができるね。
「やっぱりこの小説では、ヒロインに特別な何かって必要かな?」
ツッコミ生活をしてる主人公の片方のヒロインは、元勇者の職業だったよね。やっぱり特別な何かがないと面白くないよねー。
「でも魅異ちゃんは、小説の都合上の問題で主人公と結ばれる事は、絶対に無いから大丈夫か♪」
でも強すぎるのは、凄く羨ましいなぁ。あの能力を無駄な使い方をしても、悪用しない魅異ちゃんも十分に凄いよね♪私ならフル利用するのに。
「あと、アニメとかでは、第二部になっても主人公が変わらないときがあるから、ツッコミ生活も第二部が出て同じ主人公がでるかな?その時は、この小説が番外編みたいな扱いになっちゃうね♪」
そういえばこの小説で変わった喋り方や偏った喋り方が多いのは、誰が何を喋ったとかいうのを書くのが大変だからなんだって♪
「あっ扉だ♪」
トラップが無いかを確かめないとね。
「到着♪」
「よくアタイのトラップ地獄を抜けてこれたね!」
「あれ…気のせいか♪」
[グチャッ!]
「げふぅ!コラー!アタイを踏んで無視するなー!!」
「あっ、ゴメンね。小さくて気付かなかった♪」
「アタイは、小さくなーい!アタイの存在は、この星より大きいの!」
何か変な子に絡まれたなぁ。まぁ面白いから良いや♪
「アタイは、世界の人気者ロミャ!ロリコン的なせーちょーきの派遣社員だよ!」
「あっ、思い出した!クリスマスの時の雨双ちゃんのプレゼントの写真に乗ってたよ♪」
「雨双は、前に有った事があるよ!でもアタイの完璧さには、全然敵わなかったみたいだけどね!」
って事は、この子かなりの実力者!?
「とりあえずそこの部屋のスイッチを押させて♪」
「アタイの名を賭けてそうはいかない!」
「『アタイの名にかけて』だよ♪名前を賭けたら駄目だって。」
「ムカー!アタイを侮辱する気!?」
「侮辱じゃなくて間違いの訂正だよ♪」
「アンタなんかアタイがぶっ潰してやるー!」
[グチャッ]
「スイッチ何処かなー?あっ、有った♪」
「ぶっ…ぶっちゅぶしゃれた…」
[カチャッ…カチャッ]
あれ?手を離したらまたオンになっちゃった。押しっぱなしじゃないと駄目なのに。
「ちょっと服借りるね。」
「ふぇ?って何する変態ー!」
あっ、中に何も着てないんだ…でもクゥ君が待たせるわけにはいかない!
ロミャちゃんから借りた服を、スイッチのオフの部分に押し付けテープでくっ付ける。
「これで良し!」
「アタイは、全然よくなぁーい!」
確かにこのままってのも問題だよね。何とかしてあげないと。
「って放せー!アタイをこのまま仲間の変態に売る気か!それともこのまま怪しい場所に連れて…」
「流石にそんな事は、私はやらないよ♪服の変わりにこのテープを体に巻くだけだよ。」
赤いテープだから服に見えない事もないよね。
「また新しいのを買うか作ってあげるから♪」
「本当!?約束だからね!…ところでアンタ名前は?」
「私は、紅虹 萩異だよ♪」
「なら萩異!約束を破ったらアタイが許さないからね!」
よし巻き終わり。それじゃあクゥ君の場所に向かおう♪
…でもよく考えたらテープで直接スイッチに貼れば良かったかも。それに結構強力なテープだけどロミャちゃんの体に巻きつけて大丈夫かな?
@クゥ視点@
「それにしても遅いな。」
でも扉は、開いたから先に行って大丈夫か。
「あっ、おーい、クゥ君ー!」
戻ってきたか。
「やけに遅かったが敵に苦戦したのか?」
「戦闘は、一撃だったけど通路にトラップが多くて苦戦しちゃった♪」
戦闘で一撃だったのか…怖ーっ。
「とりあえず扉は、開いたから先に進むぞ。」
「はいはーい♪」
まだ三階か。…凄く疲れてきた。
「恐らく五階までの全部の階に、ボス的な相手が居るんだろうね♪」
「まだ居るのかよ…強敵じゃ有りませんように。」
「私が強敵かどうかは、貴方達の強さによって決まるのよ!これは、バトル界の鉄則!」
「俺達が強ければ相手は、弱く思えるからだな。」
「それなら相手は、大した事ないね♪」
「油断すると予想外の事が起こるわ!これは、ダンジョン内の鉄則!」
「そうか。なら早く次の階に行かないとな。」
「そして敵に会ったら勝負する!これは…」
「セオリー界の鉄則だね♪」
そういって攻撃を開始する萩異。右手から紅色、左手から虹色の丸い球を撃つ萩異。どういう仕組みで出てるんだ?
「この攻撃は、ダメージを蓄積する通常攻撃なんだよ♪」
「なら俺も。」
俺も熱蒸気君一号で攻撃する。
「私の能力は、刃を操る能力!刃技・鋼刃の閃き!」
相手の周りから大きな刃が沢山出てきて、全て一直線にこっちに向かってくる。
俺は、傘盾君一号で防ぎ萩異は、全て避けつつ攻撃を続けている。
「まだまだ諦めない!刃技・制裁の死角刃!」
見えにくい刃を辺りに大量に飛ばす技のようだな。
「ふふ〜ん、まだまだ甘いよ♪紅虹・レッドレインボー!」
紅めの強大な虹をカッターのように放つ技か。
レッドレインボーは、相手の透明な刃をかき消して相手に直撃した。
「じゃ、次に進もうか♪」
「あぁ。」
「ついに4階か。」
「五階の電源を入れれば後は、一気に社長室だよ♪」
でも普通に考えてここにもボス的な奴が居るんだろうな。
「それにしても面倒なビルだな。他の侵入者まで敵だし。」
「大抵は、技を二、三回使って終わるけどね♪」
「でも今度は、貴方達が終わる番よ!」
「私は、目的地につくまで終わる気なしだよ♪」
「俺も侵入したからには、捕まるわけにはいかないな。」
「同じ侵入者でも上には、上が居るわ。」
「アンタとは、限らないだろ?」
「特星でなら魅異ちゃんが頂点だね♪」
「確かに。」
「じゃあこの中で貴方達二人と、私一人のどっちが上か比べましょう!」
四階だし結構な強さだろうし、俺もサポートを頑張らないとな。
「その前に貴方達の名前は?私は、セーナ!称号は、『取り扱い危険人物』よ。でも安全だから安心してね。」
「俺は、クゥ。称号は、『クゥールのクゥ』らしい。」
「私の名前は、萩異。最近の称号は、『悟ンジャーレインボー』だよ♪」
とりあえずお互いに自己紹介をする。セーナって聞いた事あるような気がするな。
「先制攻撃だよ♪ひっさぁーつ・めらめらふれーむ!」
セーナに向かって炎を放つ萩異。俺も熱蒸気君一号で攻撃する。
「甘いわね。安技・安全な導き!」
相手を中心に光の壁のようなものが辺りに放たれる…だが当たっても平気だぞ?
「この技は、危険な技を掻き消す効果があるの。ちなみに私の特殊能力は、安全と危険を操る事が出来るのよ!」
「クゥ君、こういう能力を使う人ってかなり強いよ。」
「そうか?俺は、三階の奴の方が特殊能力的には上だと思うが。」
「此処だけの話だけど特殊能力では、氷や光や時間や磁力や雷よりも有利不利や安全危険とか変わった事に関係する能力の方が強いらしいよ♪」
有利不利って記紀弥さんの特殊能力だっけ。確かにあの幽霊達の中で一番偉いしなぁ。
「そこぉ!バトル中にのんびり話しなんてしない!危技・破滅への決まり!」
[ズドガガガガガガガァーンッ!!!]
「いてて…破壊力が強烈だな…」
「ひゅえー…」
萩異も見事に気絶してるな。ひゅえーって言ってるぞ。
「実力の差が分かったでしょ?さぁ、これでとどめよ。この後は、貴方の言ってた魅異とか言う子も倒してあげるわ!」
「無理ですよ。」
階段の方から誰かがそう言う。誰だ?
「貴方は、何者?この子達の仲間?」
「僕は、神離 羽双と言います。ちなみにその人達とは、初対面ですけど。」
神離?魅異と同じ苗字だな。でも特星には、何故か結構多い苗字なんだよな。
急に現れたこの男は、何故か和服を着ている。
「で、私が魅異とか言う子を倒すのが無理と言いたいの?」
「えぇ。」
「それは、私の実力を知らないからそんな事を言えるのよ!私の実力が有ればその程度…」
「貴方程度の実力で勝てるわけ無いでしょう。頭は、大丈夫ですか?」
挑発なのか本当に心配してるのか微妙だな…
「なら貴方を倒して実力を見せてあげるわ!」
「魅異さんは、僕より強いですけどね。」
「問答無用よ!危技・破滅への導…」
「時止。」
…あれ、相手の動きが固まったぞ?
「大丈夫ですか?」
「えっ、あぁ…はい。」
とりあえず大丈夫だが全身が筋肉痛のように痛い。
「どうも、ありがとうございました。」
「別に敬語じゃなくて良いですよ。年齢は、同じですから。」
同じ?…この人って高二なのか?
「俺は、高二ですよ?」
「僕もですけど何か?」
…本当に高二なのか。見かけから声まで、二十を超えてる大人だと思ったけどな。
「そっちの人は、良いんですか?」
「あぁー、忘れてた。起きろ萩異。」
正直、起きなくても良いけど一応起きるように言う。
「ぅうーん…クゥく〜ん♪…」
完全に寝ぼけてやがる。ってか夢の中でも俺を巻き込んでるのかコイツは…夢の中の俺も苦労してるだろうから早く萩異を起こして助けないと。
「オイ、いい加減にさっさと起きろ。」
「クゥくぅ〜ん…えへへぇ♪…」
涎が口から出てきた…まぁ、会社内だし良いか。ってか早く起きんか。
「萩異、さっさと起き…」
「キスだけじゃ駄目だよクゥ君ー♪胸、見た…」
[ドスゥッ!]
「ほぐおぅっ!…あれ、クゥ君?」
「あっ、起きたか萩異。」
熱蒸気君一号の角で腹の辺りを思いっきり叩いたら起きた。言っとくが攻撃じゃないぞ。
「何だ夢だったんだ…でもいつか実現させるよ♪」
絶対に実現させるものか。
「ところで敵は?」
「あぁ、敵ならこの人が倒してくれたぞ。名前は確か…」
「羽双です。」
「そうそう、羽双だ。」
同じ高二らしいのでさん付けは、やめておく。
「羽双って…もしかして魅異ちゃんの一番弟子の!?」
「一応、そうです。」
「一番弟子…あっ、前にテレビで見たことが有るぞ。確か魅異と同等の強さを持ってるとか何とか。」
「それは、テレビ局が勝手に作ったデマです。…魅異さんが本気を出したら僕でも敵いませんよ。手加減していても最終形態まで追い込めませんし。」
「「最終形態?」」
「…魅異さんは、ゲームのように第何形態とかいうのがあるんです。姿は、変化有りませんが形態によって強さが凄く違います。」
「それって人間失格じゃないか?」
「私も魅異ちゃんみたいに強くなりたいな♪」
無理だし…強すぎる奴が増えるのは、止めて欲しいな。
「…話は、この位にして次の階に行きますよ。」
「あの敵は、どうするんだ?」
「放っておきましょう。」
「じゃあ顔にラクガキでもしておくね♪」
途中で羽双に自己紹介をしながら五階に到着。
今頃だが全ての階が同じような感じだな。
「時止。」
って、なんだ?いきなりこの階がボロボロになったぞ。
「後は、エレベーターで行きましょう。」
「でもエレベーターは、止められてるよ♪」
「その敵なら倒しましたし電源も入れましたよ。」
…そんなバカな。だって急にこの階がボロボロになった以外の変化が無いぞ。
「クゥ君は、知らないと思うけど羽双君は、時間を操れるんだよ♪」
「なら急に此処がボロボロになったのは、俺達の時間を止めてる間に戦ったのか。」
「えぇ、一撃でしたけどね。」
一撃で大地震の後みたいな状況になるか普通?
で、エレベーターに乗って社長室前までやっと来れた。あとエレベーター内でいろいろな話を聞いた。
まず羽双は、前に雑魚ベーさんやアミュリーと一緒に居た雨双の兄らしい。
それに魅異ほど強くなくても特星を消し飛ばすくらいならできるらしい。ちなみに魅異は、宇宙を完全消滅させる、新しい星を作る、何にでも変身できるなど、神様も驚きの実力が有るらしい。羽双が魅異の強さには、限界が無いからだと言ってた。
俺の結論は、この二人を誰かが監視した方が良いと思う。絶対に気付かれるけどな。
とりあえずエレベーターの話は、此処までだ。
「お邪魔するよー♪」
「邪魔になるようでしたらお帰り下さい。」
中に居たのは、社長秘書の几骨さん。堂々と社長席に座ってるけどな。
「で、何か用ですか?」
「「注文の物を下さい。」」
萩異と羽双が同時に言う。最初で最後の光景じゃないのか?
「ちゃんと用意してありますよ。これが貴方のです。」
「どうも。」
几骨さんが羽双さんに渡したのは、和食の弁当らしき物で豪華な入れ物に入っている。
「そしてこれは、注文の品ですので代金を払ってください。」
「はい三万セル♪」
萩異が几骨さんから受け取った物は、大きめの人形。
なんとなーく、見たことがあるような顔の人形だな。
「萩異、それってなんだ?」
「フッフッフ〜ン、これこそが注文して二ヵ月も作るのにかかったクゥ君人形だよ♪」
「見れば分かる。そんな物の為に此処に敵を相手して来たのか?」
「その通りだよ!」
威張って言える事じゃない。第一、相手の人形を作ってもらうなんて普通じゃないだろ。アニメかマンガか小説くらいでしか有り得ない。
「小説ですけどね。」
「えっ、几骨さん、何か言いましたか?」
「別に何も言ってませんよ。」
まぁ良いか。人形の為に俺まで苦労したのは、納得できないが。
「クゥ君人形は、今日からさっそく抱き枕として使おう♪」
「やめい。」
〜何処かのスーパーにて〜
「ハッハッハッハ!様々なものが半額セールで得だ!努力して遠くまで来て正解だな!」
「お客さぁーん!刺身などが腐るし他のお客さんに迷惑なので帰ってください!」
@佐和視点@
「さぁ、此処で緊急ニュースの時間だぜ!現在、涼気さんが特星中の様々なスーパーに出没!肉類や魚類などが腐る状況が発生しているらしい!」
「場所によっては、熱さゆえに肉や魚が焼ける場所まで出ています!」
「だから特星中のスーパーは、十分に注意して販売する事をオススメするぜ!」
「ちなみに被害件数は、今のところは十数件ですが被害は、更に拡大すると予測されます!」
「これは、一種の人災だな。」
「あぁ。…ってか最近、後書きが涼気さんの事ばかりになってきた。」
「作者が言ったら終わりだろ。まぁ、ネタにしやすいからな!」
「乗っ取られないように注意が要るな。それでは皆さん次回もお楽しみに!」