十二話『事件的な問題が周りで起こると怖い』
@クゥ視点@
今日は、八月の快晴な日。とてもとても暑い日になる筈なのだが。
「なぜこんなに寒いんだ?」
外は、凄く寒い。快晴なのに凄く寒い。そして遠くの空には、機械の要塞的な何かが浮いている。
「どーいう事だこりゃ?」
「あっ、今日もこの近くを飛んでるんだ!」
後ろにいつの間にか妹が…って待て。
「オイ…あの金属の無駄遣い的な物が、何だか知ってるのか?」
「えっ、誰でも知ってるよ。もしかしてクゥちゃんは、知らないの?」
「全然知らないな。」
見たことも聞いたこともない。
「通称が秘密要塞の兆機城。特星本部の公認した要塞だよ!」
堂々と浮いてる時点で秘密要塞の要素がないだろ。
「それにしても、いつからあんなのが出来たんだ?」
「昔からだよ。それに最近は、よく見かけるよ。」
いやいや、俺は、今日見たのが初めてだ。
「あ、今日が寒いのは、もしかして。」
「兆機城のおかげだよ!でも逆に冬は、毎年暑いよね。」
そんな事がある訳ないし、去年の冬だって寒かったはずだ。
「あー、ちょっと出かけてくる。」
「そう?私は、先に部活に行ってくるね!」
あ、俺も部室に行く的な意味で言ったんだが。
〜部室〜
「おーい、魅異は、居るか?」
「此処に居るよ〜。」
見事に部員が全員揃ってるな。
「どういうことか説明してもらおうか?」
「何が〜?」
「外に浮いてる資源の無駄遣いの塊の事だ。」
「あぁ、兆機城の事だね〜。ちょっと外で話を聞くよ〜。」
という訳で外で話し合いをする事に。
「で、あれは何だ?」
「兆機城だね〜。」
「やっぱりお前の仕業なのか?」
「残念だけどそれは、大ハズレだね〜。」
あれ、違ったか?
「でも私は、兆機城があった状態の事も、なかった状態の事も、両方知ってるけどね〜。」
「分かりにくい言い方をするな。」
「簡単に言うとクゥの記憶は、兆機城がなかった設定の記憶で、皆の記憶は、兆機城があった設定の記憶って事だね〜。私は、両方の記憶を持ってるだけだよ〜。」
って事は、全員が能力か何かで頭がパーなのか。
「って、それなら兆機城を何とかしろよ。」
「嫌だよ〜。私は、あまり大きな事件には、関わらないようにしてるからね〜。もう私は、行くから後は、自分で何とかしてね〜。」
そういっていつ間にか居なくなる魅異。人任せかよ。
「とりあえず俺は、兆機城のことを知らないからな。情報でも集めるか。」
というか、何で俺だけが普通の状態なんだ?もしかしたらテレビ会社のドッキリ企画か?それとも知り合いの嫌がらせか?
まっ、それはそれで面白いけどな。
「なぁなぁ、誰か兆機城が誰の物か知らないか?あと行き方も。」
「行き方なら分かるぜ!」
佐和が自信有り気な返答をする。
「城は、浮いてるんだから空を飛べば良い!」
「どうやって?」
「鳥になれ!」
駄目だコイツ。
「製作者は分からないけど、主に帝国付近を飛んでるそうよ。他の所を飛んでる事も有るけどね。」
「そうなのか。」
良い情報をくれた冷波。佐和は、冷波を見習え。
「そんな事を聞いてどうするの?」
萩異が変な事に気付く。
「普通に攻め込むんだが。」
「クゥ君が?危ないから止めといた方が良いよ。」
あれ…普通に心配してる?いや気のせいか。
「そんなに危険なのか?」
「えぇ、最強の武力と最強の人材が居ますからね。」
校長は、流石に詳しいな。
「どうやったら行けるんだ?」
「今は、町からの食料を補給の為に低空飛行をしてますね。恐らく今から五時間以内なら気球やヘリで行けるでしょう。」
「気球やへりねぇ…あっ、そうだ。」
あそこなら何とかなるだろ。
〜人生相談所〜
「涼気さん居るか?」
「おぉ、クゥじゃないか!遂に萩異に別れられたか!」
「何故そうなる。それ以前に付き合った覚えがない。」
それにしても外は寒いのに此処は、普通の夏みたいだな。…ってか普通の夏より暑い。
「人生相談なら一回、百円だ!!」
「安いが結構だ。実は、頼みがあって来たんだ。」
「おう!他ならぬ常連客の頼みだ!断るわけには、いかないな!」
普段は、客として来てるんじゃあないけどな。
「じゃあ何も言わずに熱気球の動力になってくれ。」
「任せとけ!!」
という訳で完成したのは…熱血熱気球君一号だ。現在飛行中。
これは、普通の熱気球の球皮内に涼気さんを紐でぶら下げたものだ。
「涼気さん、絶対に体温を上げるなよ。」
この人が全力で語り出したら熱気球が確実に燃えるからな。普段くらいなら大丈夫…だと思う。
「どうだ浮いてるか!?」
「あぁ。風向きも兆機城に向かってる。」
「昔から俺は、あの城が気に入らなかったんだ!クゥ、全力でぶち壊して来い!!俺も手伝ってやるからな!!」
涼気さんが手伝ってくれるのは、戦力的にかなり嬉しいな。非質系でも涼気さんを倒すのは、難しいだろうし。
〜兆機城周辺〜
「よしもう少しだ。」
この城ってよく見ると真ん中に塔があって、周りに城の形に機械が置かれてるだけだな。機械のゴミの山にしか見えない。
って兆機城を中心に周りの空中に金属の物が浮いてるぞ。
「これじゃあ近づけないな。」
「クゥ!お前の気合で溶かせ!!」
「無理。」
「人間努力すればその位出来るはずだ!!」
「それは、普通は無理だ。」
気球で突っ込んでも穴が開いて墜落するよなぁ。
「どうしよう!?」
「涼気さんが溶かしに行けば気球が落ちるしな。」
「諦めんなクゥ!」
「なら何か良い方法でも考えるか。」
「そんなのある訳ないだろ!!」
「……………」
「ごめん。」
謝るより方法を考える事を優先して欲しい。
「ところでクゥ、どんどん風か強くなってないか?」
「あぁ、何故だか風が…ってヘリが近くを飛んでるからだな。」
「敵か!?」
「その可能性もあるかも…戦闘ヘリっぽいしな。」
特星製の戦闘機だなあれは。しかも勇者社の印がついてるし。
[ヒュウゥゥゥン!ヒュウゥゥゥン!]
ってミサイルか?
[ズドゴゴオオォォォォォン!!]
「うぉあっ…」
「って揺れるぞおぉぉっ!!」
弱い威力だったが、ヘリがミサイルを撃ったせいで爆風で操縦不能だ。元々、操縦できなかったけどな。
ヘリは、そのまま中に入って行った。浮いてた機械のゴミが無くなったから風に乗って俺達も塔の中に侵入。
「ふへぇ、酷い目にあった!」
「まぁ、ヘリのおかげで進入できたけどな。」
「何だ、貴方達ですか。」
中から出てきたのは、確か勇者社の社長秘書の几骨さんだ。ってか何だって言われた。
「何でアンタがこんな所に居るんだ!?」
「こっちの台詞ですけどね。この兆機城の主の心を読んだら此処は、本当は存在しないという事が分かったんです。だからルールに従って滅ぼしに来ました。」
「「ルール?」」
「数ヶ月前のルール変更で、特星を侵略する事が正式に認められましたから。勿論、それを阻止しても良い事になってますけどね。」
恐らく、特星の偉い人が暇だからこんなルールになったのだろう。
「俺は、夏も冬も暑い方が良いと思ったからだ!」
それはそれで困るけど。
「俺は、此処が存在しない事を覚えてたからです。」
「覚えてた?此処の主は、全員が此処の存在を知ってる設定にしたと考えてましたが。私でも此処の存在を知ってた事になってたんですけどね。」
って事は、俺にはその方法が効かなかったのか。
「犯人の検討は、ついてますけどね。」
「何!会ってもないのにか!?」
「誰ですか、犯人って?」
「貴方の姉さんですよ。」
姉さんが?確かに帝国付近を飛んでたらしいがどうやったんだ?
「クゥの姉と言えば胸が大きい!」
「貴方は、永久冷凍されるべきです。」
「ガギィィーン!…って寒い!!」
確かに面白くともなんともない。ってか几骨さん、言葉で容赦ないなぁ。
「いつも通りですけどね。」
「普段から心を読むのだけは、止めた方が良いですよ。」
「それで話の続きですが、特殊能力からしても確実です。」
「姉さんの能力?…確か設定を操る能力だったと思う。」
ちなみに俺の家の家族は、能力不明の俺を除いて全員が非質系だ。
「まだ能力が未熟ですが、特星の人々が要塞を知ってるという設定にするくらいは、簡単に出来るようです。」
「それって、未熟じゃなければどのくらいなんだ!?」
「そうですね…この要塞が本当に最強の兵器と人材を持ってる状態にする事が出来ますね。」
姉さんなら、もっとやりすぎた設定にすると思うけどな。
「とりあえず先に進みましょう。勿論、貴方達にも協力してもらいますよ。」
「別に良いけど、足手まといになると思う。」
「落ち込むなクゥ!やる気になってれば失敗する事は、少ないから常に何とかなると思え!お前は、やれる男だ!全力で押し通すんだ!!そうすればお前だって姉に勝てるはずだああああああぁっ!!!」
「特殊能力無しで、何故この人は、こんなに熱いんですか?」
「涼気さんだからです。それ以外は、俺に説明できません。」
「人間、努力すれば何でも出来るからだっ!」
この人なら自然発火は、出来るはず。でも自然凍結は、絶対に出来ないだろう。
「とりあえず急ぎますよ。」
いつの間にか几骨さんが隊長っぽくなってるな。
〜兆機城の最上階〜
@隠納視点@
「「乾杯ー!」」
「乾杯…」
って一人、元気のないのがいるなぁ。
「曽瓜どうしたの?作戦成功なのに元気ないぞー!」
「そうそう、もしかして私の能力に心配な点でも有るの?」
「別にないけどさぁ…本当にこんな事して良いのかな?」
あぁ、なるほど。罪悪感を感じてるって訳ね!
「特星で正式に良いって事になったから大丈夫よ!それより今は、此処を壊滅させる奴が来る前に食料を食べきる事を考えるのよ!」
「そうそう、隠納の言うとおり!一部には、気付く奴や聞かない奴が居るかもしれないからね!」
そういえば最近、この二人が私の事を普通に呼んでるなぁ。別に私より二人の方が年上だから構わないけどね!
そういえばさっき、誰かが侵入したようだけどこの塔を上りきるには、まだまだ時間が掛かるから食事を急ぐ必要はないよね。
それに侵入者用エレベーターにもし乗ったら、閉じ込められて出られない仕組みになってるもんねぇ〜♪だから階段で来るしか方法がない!
「おぉー、此処が最上階か。」
「って、もう来たの!?」
@クゥ視点@
って、隠納さんがやけに驚いてるな。残りの二人は、食事中のようだし。
「ちょちょ、ちょっとどうやって此処まで来たの!?」
「俺は、関係者用エレベーターで来たけど。」
「私は、寿司屋用のエレベーターで来ました。」
「俺は、ピザ屋用のエレベーターだ!」
「まさか全員が侵入者用に乗らないなんて…これは、ドッキリ企画?」
何でそういう結論になるんだろう?
「ってか侵入者用って、子供用くらいの大きさのエレベーターの事か?あんなの体が入る訳ないから。」
「作業代が高かったから、あのサイズにしただけなの!とにかく侵入者用エレベータから出直してよ!」
「もう来ちゃったんだから、しょうがないって事で。」
とにかく本題に入るか。
「とりあえず特星の設定を戻してもらうぞ。」
「夏が寒いのは、変らしいからな!」
「断るならば、それなりの覚悟をして下さい。」
いざという時は、勝負をするまでだ。俺は、平和主義者で戦力外だけどな。
「まぁ、結構楽しんだから別に良いけどね。あー、ちょっと戻してあげて。」
「任せなさい!それっ!」
姉さんが手を振りかざす。…変化有ったか?
「えぇ、今までの実際の事も思い出しました。」
「ってか夏が寒いわけないだろ!!」
どうやら元に戻った様子だ。
「ところで兆機城って、本当は、普通に作った塔の設定を変えた要塞じゃなかったっけ?設定を戻したら落ちるよね。」
曽瓜さんが重要な発言をする。あー、今からどうなるのか分かった。
[ゴオオオオオオオオオォッ!]
「やっぱり落ちるのか。」
「これが本当のオチだな!」
「面白くともなんともありませんよ。」
[ッズドゴオオオオオオオオオオォオオオオオオンッ!!!!!]
「じゃ、じゃあ…私達はこれで!」
「放っておいて行くの!?もう嫌、このメンバー…」
「じゃあねクゥ。また会える事を祈ってるわ!」
「もう…帝国に閉じこもっててくれ。」
@佐和視点@
「今日もニュースを伝えるぜ!今日の昼頃に特星の食料庫に兆機城とか言う塔が墜落したらしい!」
「墜落と同時に夏なのに寒かった気温が元に戻った様子です。」
「これからは、こんな事件が起こる可能性が増えますので注意してくれ!」
「それでは皆さん次回もお楽しみに!」