十一話『特星の法律が変わったようです』
@クゥ視点@
今日の天気は、雨。特星にも梅雨の季節がやってきたな。
最近気付いたんだが、特星の季節は、日本と同じ気がする。
まぁ、どうでも良いんだけどな。
「クゥちゃん、早く行こうよー。」
妹は、傘も無いのに部活に行こうと言う。
「ちゃんと傘を持ってけ。それにしても、梅雨は困るよ。」
「えっ、それなら雲を無くせば良いんだよ。」
「無理に決まってるだろ。」
「んー、ちょっと待ってて!」
妹が置くから何かを持ってくる。あっ、俺の音向君一号じゃないか。
音向君一号は、音を一つの方向に飛ばせるんだ。ちなみにテープレコーダーを内蔵している。しかも録音や防水機能付きだ。
妹は、音向君一号を空に向ける。
「まさか音で雲を消すきか?」
「そうだよ。少し前にある場所で録音した音があるからね!」
そんな音をよく録音できたな。
妹は、音向君一号のスイッチを入れる。ちなみに音は、上に向かってるので聞こえない。
…………おぉ、雲が消えていったぞ。
「一体何の音を入れたんだ?」
「涼気さんのメッセージだよ!」
納得だ。あの人のメッセージで雲が蒸発したんだな。
「これで部活にいけるね。」
「あぁ。…暑過ぎる気がするけどな。」
異常な暑さの中、脱水症状になりつつ何とか部室に到着。
「やっと到着。」
「暑かったねー。」
って中には、誰も居ないんだけど。
「おや、雨の日に部活に来るとは、関心ですね。」
「あっ、校長。」
「わー、どうなってるの!?」
妹の疑問は、分からなくもない。校長は、天井にくっついてました。
「私にかかればこの位は、朝飯前ですよ。…という事で、何か食べ物を与えてください。腐っていても良いので。」
「朝飯食べてないのか。」
「でも何も持ってないよ。ね、クゥちゃん。」
「あぁ。」
それを聞いて校長は、天井で落ち込む。どういう原理でくっついてるんだろうか?
「うぅ…最近ロクに何も食べてないんです。給料も減給の繰り返しで、逆に取られますし。」
「世界中でもこんな校長は、滅多に居ないだろうな。」
「世にも珍しい校長だね。」
というか、よく校長になれたなぁ。
「あ、ちなみに他の人は、雨が降ってるので遅れるらしいですよ!」
「今は、止んでるけどね。」
「逆に熱くて来れないだろ。」
「そうだね。」
「えっ、外が暑いんですか?」
「暑いじゃなくて熱いだけどね。火傷しそうだったから。」
「海が涸れる勢いだったしな。」
天気予報もビックリの快晴だ。実際は、梅雨で雨の予定だからな。
「それじゃあ私は、外を見て回ってくるね。」
「社長の勇者や回る変態や熱苦しい男に注意しろよー。」
誰も居なかったからか妹は、外に遊びに行った。…校長が居るけど天井だしな。ってかいつまで天井に居るつもりだ。
「…さて、俺も行くか。」
「ちょっと待って下さいクゥ君。私を置いてくんですか!?」
「当然。」
「校長は、寂しいとハゲになる可能性があるんですが!」
それはそれで面白い気が…ってかそれは無い。
「部室に誰も居ないから退屈だし…」
「SCゲージが居ますよ。」
【ニャァ〜!】
「前より黒くなってないか?」
「えぇ、火の中で修行してましたから!」
【ニャ!】
何の修行をしたんだ?というか、よく毛が燃えなかったな。
「ちなみにSCゲージも特殊能力が使えます!」
「何で猫が?」
「ある薬の実験台にしたら成功しましてね。」
例の特殊能力の元か何かだな。
「不味かったらしく、数時間引っ掻かれましたけどね。そして丸一日正座させられました。」
【ニャー。】
「それでどんな特殊能力なんだ?」
「人の言葉が分かる能力…でしたよね?」
【ニャ。】
確かにSCゲージが頷いたな。
「後は、光を操る能力と、空間を操る能力も使えますよ!」
「助質系と質系と非質系が使えるのか。」
「おや、勉強してますね。まさしくその通り!」
【ニャ、ニャニャー。】
「クゥ君、SCゲージが貴方と遊びたいそうですよ。」
「へ?」
【ニャー。】
「しかも遠距離勝負がやりたいんですって。」
「別に良いぞ。」
「まぁ、この大陸では、遠距離戦闘が基本ですからね。」
〜そして外〜
「さて、それじゃあ覚悟。」
俺は、熱蒸気君二号を両手に持つ。一号との違いは、威力の上昇と、飛距離の上昇と、片方で一回、熱蒸気を爆発させる必殺技が使える事だ。
【ニャー!】
SCゲージは、大玉くらいの光の球を大量に飛ばしてくる。
「おっと。」
危ないので後ろに下がろうとするが下がれない。恐らく空間も操ってるな。
しょうがないので隙間を見つけて避けていく。勿論、熱蒸気君で攻撃しながらだ。
【ニャ・ニャー!】
恐らく何かの技を使ったな。光の球がSCゲージを中心に渦を巻く様な形で飛んでくる。
「ならば俺も、熱蒸・爆熱水蒸気。」
[バゴオオオオオオオォッ!]
爆発した水蒸気が光の球を掻き消し、SCゲージにダメージを与える。爆発だから数秒だけど結構効いたみたいだ。
【ニャ・ニャニャニャ】
次は、大きな光の球が分裂しながら飛んでくる。最初は、家サイズだったのに俺の場所に届く頃には、子供サイズになってる。時々レーザーも混じって飛んでくるし。
「ってか本当に強いな。」
でもこれで手加減してるのだろう。こっちは、全力だが。
【ニャー。】
あっ、攻撃が止まったな。もう終わりか?
【ニャ。】
って消えたし。空間でも操ったのだろう。
〜部室の中〜
「あっ、クゥ君。さっきSCゲージから聞きましたよ。人並みに勝負が出来るんですね!」
「平和主義者だけどな。」
「勝利のお祝いに何か教えてあげましょうか?ゲームから貧乏生活までいろいろ詳しいですよ。」
貧乏生活は、かなり気になるが覚えてどうしろと?
「特星の極秘情報とかは、何か無いか?」
「えぇ、一部しか知らない事なども知ってますよ。」
「どんな事が有る?」
「例えば少し前に特星のルールが変わったんですよ。」
特星のルールが変わった?ってかルール有ったのか。
「まずは、盗みをして良いようになりました。ただし盗まれる側は、盗む人を攻撃して良いです。というか勝負は、常にして良い事になりました。」
「いきなりだが酷いルールだ。ってか知らせるべきだろ。」
「今度に新聞に載せる予定ですよ。」
家の防犯を厳重にしておこう。
「後は、神の職業の定員が五人になりました。だから殆どの人が神の職業を辞めさせられたんですよ。」
「そういえばアミュリーも神の職業だったな。」
「アミュリー君は、辞めてない筈ですよ。実績が良かったからでしょうね。」
意外に実績が良いんだなアミュリー。
「他にはですね…混合部の存在が国に認められましたよ。」
「どういう事だ?」
「大事件などが起こった場合には、事件の解決に参加して良い事になったんです。」
「面倒な仕事が増えただけのような…」
「ちなみに解決参加者は、怪しい人物を見つけたら問答無用で勝負を挑んで良いんです。それが犯人じゃなかったとしてもです!」
「酷い話だ。」
「大事件解決の参加して良い人は、勇者の知り合いか混合部の部員かのどちらかなんです。」
それは、ある意味貴重かもしれないな。
「最近の会議で決まったのは、これだけです。新しい事が分かったら教えますので時々、聞きに来て下さい。ルール以外に聞きたい事は?」
「面白い事とかないか?」
「面白い薬なら最近開発しましたよ。動物を擬人化させることが出来る薬とか。」
「どういう原理だよ。」
「さぁ?」
凄く気になるけど気にしないようにしよう。
「ふぅー、雨かと思ってたのに晴れてるとは…何て天気だ!」
あっ、神異だ。
「おっ、クゥじゃないか。一人なのか?」
「いや、上を見てみろ。」
「上?…って校長!?」
「はい、私です。…ところで食べ物とか持ってますか?」
「私は、何も持ってないぞ。」
「そうですか…」
天井で落ち込むな校長。
「そうそう、萩異が風邪にかかったぞ!」
「そうなのか?馬鹿でも風邪をひくんだな。」
ってか梅雨の季節に風邪にかかるか普通?
「それで私がお見舞いを買わされたんだぞ。しかも五千セル分も!」
「それって仮病の可能性が高いだろ。」
「やっぱり。」
そう思ったのなら五千セルも使うなよ。
「途中で気付いたから、顔面にとび蹴りをしてやったぜ!気絶のフリをしてたからそのまま許したけどな。」
「それは、恐らく本当に気絶したんだと思うが。」
自業自得だがご愁傷様だな萩異。
@佐和視点@
「今日の天気予報をお伝えするぞ!何と急激に気温が上がってるぜ!」
「だから短い間の梅雨になりました。」
「短いのは、梅雨だけじゃないけどな!」
「聞こえない聞こえない。…ともかく!気温が上昇中なので外を出歩かないようにしましょう。それでは皆さん次回もお楽しみに!」