〇話『始まりはのんびりでしょう』
@クゥ視点@
「クゥちゃん!朝だよ!」
「ん…あと十秒…」
「おっきろぉー!」
[ドンッ!]
「げほぉっ!」
背中の一点に急な痛み!これは片足に全体重をかけたキックだろう。
「おはよークゥちゃん!」
「あぁ…おはよ。」
この上に乗ってる奴は俺の妹で兄の俺を何故かクゥちゃんと呼んでくる奴だ。
「あれ?目覚めが悪そうだね。大丈夫?」
お前が原因だっ。
「まずは降りてくれないか?そしてクゥちゃんは止めてくれ。」
「はい降りたよ。あとお姉ちゃんがご飯できたって。」
呼び方については完全スルーですかい。
「そうか。じゃあ着替えたら行くから先に食べててくれ。」
「分かった!」
俺はこの家で一人の姉とあと一人の妹と住んでいる。ちなみに俺はクゥと呼ばれてるが本名は生まれたときから使われて居ないらしく不明だ。だからテストとかもクゥで良い事になっている。
この星は特星と言ってこの星の中にいる間は不老不死になるらしい。他にも怪我をする事がなくなるという。他にも此処にいる人は別の国の人とも自分の国の言葉で会話する事が出来る。理由は授業で習った気がするが覚えてないな。
ちなみにこの星に住む人は特殊能力という普通じゃない能力を一人一つだけもっている。しかし稀に例外もあり、数種類の特殊能力が使える人もいる。主に神様の職業の人や多重人格の人は二つや三つ使える。
あとこの国のお金の単位はセルで一セルは一円である。しかし特星自体は円は使えないらしい。
あと地域とかだが本部のある瞑宰京が大都市(それでも草原や森はあるが)だとしたら此処は普通の都市レベルだ。
他に、特星には現代エリアと特星エリアがある。現代エリアは俺達の住んでいる場所だ。特星エリアは自然的な場所でモンスターが出るファンタジックなところである。
「さて、遅れると何か言われるから急ぐか。」
「「いっただっきま〜す!」」
「いただきます。」
姉も妹も基本は元気だ。逆に俺はその元気の巻き添えで疲れる事が多い。損な役割だし深刻な問題だ。
「どうどう!?今日の朝ご飯も美味しいでしょ!」
「普通程度に美味いな。」
「クゥちゃんは今日も元気ないね。」
「そういえばそうだけどクゥっていつもこんな感じでしょ。できれば私の元気を分けてあげたいねぇ!」
「姉さんの元気は俺の体と化学反応を起こすから逆効果だ。」
「じゃあ私の元気をクゥちゃんに…」
「お前の元気も逆効果だ。」
何故妹は俺の事をクゥちゃんと呼んで姉さんの事は普通にお姉ちゃんって呼んでるんだ?我が家の七不思議の一つである。
「あっ、そうそう!私は今日も遅れるからご飯は自分で作ってね!」
「最近毎日じゃないか?」
「あっ、私の心配してくれてるの!?」
「姉さんが他の皆の授業を妨害しないか非常に心配だ。」
「あちゃー、そういう意味だったか。こりゃお姉さん一本取られたなぁ!」
姉さんは成績優秀なのは良いが性格がなぁ…
ちなみに俺は高二で姉さんは大学一年で妹は小学五年だ。
「よし!私を悲しませた償いとして自販機で一番高いジュースを買って来い!もちろんクゥの小遣いでね♪」
「私も一番高いのー!」
「何で俺が!?その位自分で…」
「買って来い。」
「…ハイ。」
何で俺が自腹で姉さんと妹のジュースを買う事になってるんだ?世の中とは理不尽である。
「しかも一番高いのを頼むとはケチな。」
ゲッ、千セルしかない…どうせお釣りは奪われるだろうし自分の分も…
「一番高いの五百セルじゃないか!」
チキショー、全ては姉さんの計算のうちか!我が姉ながらなかなかの戦略だ。
恐らく姉さんの事だ、俺だけジュースがないから見せびらかしながら飲むはず。
とは言っても買っていかないともっと大変な事になるから諦めるしかないな。
「ただいまー。」
「おっ、やっと帰ってきたね!あまりに遅いから心配したよ!」
「ジュースの?」
「当っ…もちろんクゥが事故にあってないかと心配で心配で…うぅ。」
ワザとらしい。非常にワザとらしい。そして実に気分が優れないのは何故?
「クゥちゃん!お姉ちゃんにさっき電話があったんだよ!」
「電話?」
「あっ、そうそう。実は部活動のチーム全員で本部ある大陸に行く事になったから。」
「普段遅い帰りが更に長引くって事か?」
「そうっ!あの有名な槍魔術を使えるって子のところに行くの!」
「確か、磐捌 隠納って人だろ。テレビとかでたまに見るぞ。」
テレビでは高等槍部のリーダーとか言ってたな。
「数々の有名なエリートがかつて集まった高校で待ち合わせなのよ!もう最高!」
はしゃぎ過ぎだ姉さん。確かに数々の大会を優勝した雷之悟や初代勇者のウィルなど有名人は多いが。
「じゃあ私はもう行くから!」
そういって超ダッシュで家を飛び出す姉。事故に遭わないように気をつけろ。
「さて、厄病神の姉さんも行ったし俺達も行くか。」
「うんっ!」
うん、元気な返事は良い事だ。まぁ俺が言っても説得力なんかぜーんぜん無いけどな。
俺の通う高校は中学校と小学校とグラウンドを共同で使ってる学校だ。だから交流が非常に深く全員が仲良く学校生活を送っている。しかも問題児と認定される生徒は入学させていないため、困る人などはいないという訳だ。
地球では義務教育で小学生や中学生は必ず学校に入らないといけないが特星では小学生になったら冒険をしても良い事になってる。
うちの妹も冒険をしたいと言ってるが俺は断じて認めない。小学生で二年だぞ?旅をするには早すぎる。
「じゃあまた後でねー!」
「あぁ。」
妹と別れる。一応グラウンドは共通だが校舎は流石に別だ。
「元気な妹さんだね〜。」
「あぁ。…って魅異か。」
こいつは神離魅異。少し前に本部のある瞑宰京から引っ越してきたクラスメートだ。テストの点が非常に悪い奴で常に〇点を取っている。
だが能力自体は、異常なほど高い奴で出来ない事はないと言われてるほどだ。
ちなみに特星で現在一番大きいと言われている会社の勇者社の社長でもあり勇者という名の職業もやっている。
まぁそんなのは正直関係ないから別にどーでも良いが問題は…
「主人公になってからどう〜?」
「いつも通りだ。第一、主人公なんて存在しないだろ。」
と、まぁ…見ての通り俺が主人公だと言ってるがそんなの俺の知ったこっちゃーない。
「俺は普通に生活してのんびりしていたいんだ。主人公の役は姉さんか妹に頼んでくれ。あの二人なら喜んで協力してくれるぞ。」
「いやぁ〜、それだと問題がねぇ〜。」
「問題?」
「変態性がなくなるからだよ〜。」
それは遠回りに俺に変態性があるって意味か?まぁ、どう思うかは個人の自由だから別に構わないが…変な噂を流すのだけは勘弁願いたい。
教室に着いたがまだ半分くらいの生徒しか居なかった。
「そういえば部活とか入るのか?」
「そうだね〜…此処の校長も正安校長がやってるんだっけ〜?」
「あぁ。特星のほとんどの学校の校長をしてるらしいからな。」
全校分の給料をもらってるのにバイトしてるとか新聞に出てたな。
「新しい部活を作ろうかな〜。例えば混合部とかさ〜。」
「混合?何をするかは知らんがこの高校に空き室とかは無いぞ。普通の部活の部室でさえ中学校とか小学校から借りてるのに。」
「部室くらいは作れば良いよ〜。」
「作るにしても土地代とか材料とか資金とか人材とかどうするんだ?」
「何とかするよ〜。」
あっ、こいつは社長だったから何とかなるか。
「じゃあまずは部員集めだね〜。まずは部長から探そうか〜。」
「部長ならお前がやれば良いだろ。」
「クゥは分かってないね〜。一番上からのスタートなんか面白くないでしょ〜。それに部長は三年にやってもらいたいからね〜。」
ほぅ、なかなか本気のようだ。
「じゃあ俺は影から応援してやるから適当に頑張れよ。」
「そうはいかないよ〜!」
「のわぁっ!」
[ザァッバアアァァァァン!]
「ブハァッ!」
クッ、いきなりプールに投げ込むとは…というか、いつのまに教室にプールが?
それに誰もこの事をスルーしている。関わらない方が無難だと思ったのだろう。
「溺死させる気か!」
「フッフッフ〜、確かクゥは部活には入ってなかったよね〜?」
「ま、まさか…ちょっと待て、俺の場合は姉と妹がいるから参加は無理なんだ。」
「大丈夫だよ〜。妹さんには入部届けを書いてもらったからね〜。」
い、いつの間に…こうなったらしょうがないか?
「分かった分かった、俺の降参だ。そのかわり…」
「危険な事とかはしないから大丈夫だよ〜。」
「そうか。」
この様子じゃ、言いたい事はお見通しだったみたいだな。
「だがどうする?今の部員は俺と妹とお前の三人だぞ?」
「人数が多すぎても(作者が)困るし今はこれで良いよ〜。仮部長はクゥがやってね〜。」
「あぁ。…ところで混合部って何をやるんだ?」
いろんな物を混ぜて何かを作るとかじゃないよな?
「混合部ってのは年齢は関係なく皆で何かを適当にやる部活だよ〜。年齢が混合なだけ〜。」
適当だなオイ。校長から本当に許可はもらえるのかー?
「許可はもう取ってあるよ〜。」
妹の入部届けもそうだがいつの間に…
「あとこの小・中・高校は今日から授業は昼までになったから〜。」
「えっ?」
マジなのか冗談なのか分からないが、少なくとも俺に冗談には聞こえなかった。
「では今日の授業は此処までにします。」
マジか…驚きだ。
「本当だったでしょ〜。それじゃあ部室に案内するね〜。」
そういって窓から回転しながら飛び降りる魅異。今は慣れてるが始めてこれをされた時は非常に驚いたものだ。
まぁ、前回みたいに無事着地するだろ。
[ザァッバアアァァァァン!]
………着水したな。しかもプールに。
何で窓の真下にプールが?ってかいつの間に出来た?
とりあえず向かってみるか。
「おーい、大丈夫かー?」
「遅いよ〜。部室はこっちだよ〜。」
外?小学校か中学校にあるのか?
「此処だよ〜。」
「何でよりによって此処なんだ。」
魅異についていった結果、到着したのは運動場の中心。
この馬鹿は小・中・高校の全員が利用する運動場の中心に部室を立てようというのだ。
全校からクレームの嵐が起きそうだ。
「クゥちゃーん!魅異姉ちゃーん!」
でた、元気の塊二号とも言える我が妹だ。
ちなみに一号が姉さんで三号は魅異だ。
「クゥちゃんは止してくれ。いやマジで。」
「何で?」
「いや、ちゃん付けは男としてどうかなー…と。」
「じゃあクゥちゃんもお姉ちゃんになれば良いんだ!」
「無理です。ってかなれてもお断りだ。」
良い事がなさそうだしな。少なくとも悪い事は増えるだろうし。
「それも面白そうだね〜。今度やってみようかな〜。」
「今やってー!」
「クゥに了解を取ってきたら良いよ〜。」
何か嫌ぁ〜な相談が聞こえるんだが。
「そ、それより部室はいつ建てるんだ?」
「それ〜っ。」
魅異がそういって手を上げるとボンッという効果音と共に建物が出た。
俺は驚いたが妹は拍手をしていた。
ちょっとした自慢だがうちの妹はちょっとした事では驚かない。この前に遊園地のお化け屋敷に行ったのだが俺のほうがビビって妹に先頭を歩いてもらった事がある。この性格は姉さん譲りなのであろう。
魅異が出した部室は教室サイズの家であった。二階建てで一階はカウンターがあって奥が部屋のようになっている。部屋は畳で肘掛け椅子学校の机というなんとも不釣合いな組み合わせの三点セットである。しかもパソコン付。
二階は実験室のようなものがある。詳細は不明。
あと地下が倉庫になっているが教室の半分くらいの大きさだ。
「カウンターは何の為にあるんだ?」
「何かレアな物を仕入れたら売るためだよ〜。まぁ閉まってる時の方が多いけどね〜。」
ちなみにパソコンや机は部屋の端のほうに三台並べて置かれている。
妹は畳で寝転んでいる。広さは中々だが物が少ないから狭いことは無い。
「さて〜、じゃあ一回目の部活を始めようか〜。」
魅異と俺と妹が円を描くように座る。だが三人だから三角形にも見えるな。
「まずは一人一つのスローガンを五秒で作る事〜。」
短いぞコラ。
「まずは私からね〜。私のスローガンは常にやる気と本気を出さない事だよ〜。」
いきなり悪いスローガンを出しやがった。
「次は私が言うっ!」
次は妹の番か。ってか俺も考えないと。
「私はクゥちゃんに必ずちゃんをつけるようにするー!」
何か嫌がらせに思えてきた。
「次はクゥの番だよ〜。」
「クゥちゃん頑張れ!」
「俺は…悪い事に巻き込まれないように過ごす事だ!」
「それってスローガンじゃないよね〜。」
細かい事は気にするな。
「それでこの部活は何をやるかだけど〜。」
そういえば詳しい事は聞いていないな。
「いろんな年齢の部員が適当にいろんな事をする部活だよ〜。」
「詳細に分からねぇー。しかも一回聞いたし。」
「楽しそうだね!」
そう思うのはお前と魅異だけだ。
「じゃあ今回は此処で解散ね〜。今日中にエアコンを取り付けるから〜。」
「最初からエアコン付きの家を出せよ。」
「そこはノリだよノリ〜。」
まぁ別にどうでもいいけどさ。
「よし、今日は帰るぞ。」
「うん!」
明日からは変な部活を開始するんだろうなぁ。
「ところでお姉ちゃんがいないけどご飯とかはどうするの?」
「あっ…」
結局その日は俺の自払いで出前を取った。明日から料理の勉強をしないと生活費が…