第六話 テレパス
追試は数学準備室で行われた。この教室にはエアコンがない。そこに右渡と二人きり。
想像していただきたい。控えめに言って地獄である。
「今度はちゃんと名前書けよ。俺の能力発動に関係あるんだからな。」
―――は?????こいつは突然何を言って……―――
「落ち着いて聞け。詳しくは明かせないが、俺は政府の人間だ。
で、目的はお前たちと同じ、深見叶の救出だ。」
まったく理解が追い付かない。脳の回路がショートしている。
「先生何を言ってるんですか……?」
「まあとりあえず聞け。ゆっくりとしゃべってやる。これも詳しくは話せないんだが、
俺の能力でクラスの中に“およそ”6人、能力を持つものを見つけた。
まあざっくり言うと、俺はある一定の条件を満たすことで、そいつのことを何でも知ることができちまうんだ。
まず、お前、橋爪、南波の3人。俺の計画を勝手にぐちゃぐちゃにされたくなかったし、
なにより、“深見叶を助けたい”という強い意志が共通していた。だから声をかけた。
で次に、福地と神代。こいつらはロックがかかっていて見えない。」
「ロック?」
「ああ。俺の能力は橋爪に類似しているところがある。あいつは他人の心を読むだろう?
読まれにくくする技術がある。それを我々はロックと呼んでいる。
で最後が深見。あいつは何も見えなかった。ロックがかけられていたわけではない。見えなかった。」
「……最初に能力の発動条件がどうこう言ってたのは何ですか?
テスト用紙に名前を書かせるだけで、その人のことを何でも知れるんですか?」
「言えない、とさっきから言っているだろうが。ちなみに、南波にはまだチン毛が生えてないことや、橋爪の右手の秘密や、お前の……」
「わかりました、わかりました。もういいです。で、つまり協力しろ、ということですか?」
「まあそんなところだ。見返りと言ってはなんだが、ロックの方法をお前たちに教えてやるよ。
もしあいつら、ないしは、あいつらの仲間に橋爪のような能力を使う者がいる場合、
お前らの考えは常にあいつらに筒抜けということになるが、それはつまりお前らを利用することがいつでも可能ということだ。
利用されるされないはお前らの勝手だが、それが俺の不利益になっては困る。
お互いにメリットのある話だろう?このあと集まるそうだな。そこで教える。連れて行け。」
Fuck it !!
執筆担当 石平
執筆者コメント
季節の変わり目 風邪ひかないようにね。
共同執筆者の《双葉 了》の【万引き少女は三度嘘つく】も更新されています。
是非ご一読ください。
https://ncode.syosetu.com/n7051ez/6/
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