表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/16

第十五話 福地龍

 どこまで続くのかわからない、とてつもなく長い階段を登る。ただひたすらに登る。遥か先を行く兄の背中を追いかけて。


 「待ってよ、お兄ちゃん!」少年が叫ぶ。


 しかしその背中がこちらを振り返ることは決してない。


 わかっている。知っている。


 さらに叫ぶ。


 「お兄ちゃんってばっ!」———




***




 もう何度目になるかわからない、兄の夢を見て福地は目を覚ました。時刻は午前5時23分。まもなく日が昇るだろう。


 上体を起こし、再度目を閉じ、ゆっくりと昨日一日を振り返る。いつものルーティーンだ。


 それにしても昨日は散々な一日だった。神代と協力し、FF団をうまく嵌めたつもりが看破され、挙句の果てには信頼していた校長先生から新たな、思いもよらない事実を突きつけられた。



 

 ……平木美郷。


 これまでひた隠しにされてきた兄の死の理由。


 突然語られた事実に一番動揺していたのは間違いなく僕だろう……。








 だがしかし、依然として僕がすべきことは変わっていない。すべてのイレギュラーを駆逐する。あの優しい兄はもういない。





 ふう……、しかしてせっかく早くに目が覚めたんだ。いつもより少し早めに学校へ行こう。文化祭までは残り二か月しかない。解消すべき不安はまだまだたくさんある。


 夜はまだ明けない。




by石平

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ