表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/21

第1話 神龍人族

前回の続きです。

「アインじゃない...だと...なんだこの赤ん坊は...まさか龍人族(ドラゴニュート)か?」


白髪の男はそういうと悔しそうに顔を顰めて目に涙を溜めていた。


「あうーええあぅ?」(あのーあなたは誰ですか?)


言いたかった言葉がうまく出せなかった。どうやら歯がないようでうまく発音できないようだ。

しかし、ここで気づいた。自分が赤ん坊になっている事実に。


「オギャー!オギャー!」(うわぁぁぁぁ!どうなってるんだ!)


混乱して泣き叫んでしまった。


「ふざけるな!!!」


突然、大声をあげた白髪の男は短剣を腰から引き抜き、僕に向かって振り抜いた。


ドスッ


「...あぅ?」(...え?)


鈍い音がしたと共に背中から何やら硬いものが突き抜けてゆく感触を感じた。

トクットクッと自分の背中からじわっと赤いものが広がってゆくの感じてると、それらは全て腹部の痛みに掻き消された。


「オギャーーー!!!」(ぎゃーーー!!!)


再び、全く別の意味でパニックを起こした。

痛い痛い痛い痛い痛い誰か助けて!!!最早心の中はその言葉で一杯となり、危険信号を送るために必死で叫んだ。


すると周囲にいた白髪の男の仲間と見られる二人が駆け寄ってきた。

一人は背丈が130cmくらいしかない傷だらけの男の子で、もう一人は弓を背負った黒髪の若い女の人のようだった。


「キロ!何してやがる!?」


小さい男の子がそう言い放ち、僕と白髪の男を引き剥がすと、信じられない力で白髪の男を張り手で吹き飛ばした。


ドンッ

「うぐぅ」

「ほんと何やってるのさキロさんさ!」


飛ばされて尻餅をついた白髪の男(キロ)に黒髪の女の人が僕に刺さった短剣を抜きながら続けて言った。


「アインさんが蘇らなかった事は確かに悔しいけどさ...代わりに生まれてきたこの子をいきなり殺す事はないじゃんさ!」


僕は黒髪の女の人の胸に抱きかかえられると腹の刺し傷を触られた。


「ゔぅっ」(いたっ)

「え?」


「どうしたんだニーミ」

「え...とレックスこの子の傷に触って見て?」


黒髪の女の人(ニーミ)が驚いた様子で動かないので小さい男の子(レックス)も僕の背中の傷に触ってきた。


「...まじか」

「なんだどうしたんだ!」


ドンッ

「きゃっちょっとなにすんのさ!」


二人のやり取りに違和感を覚えたキロが強引にニーミから僕を奪い取った。


「...傷が...塞がってやがる」

「ええ...」

「...だな」

「えぅ?」(え?)


キロが僕の腹から血を拭うとそこには塞がりかけている傷があった。

確かに僕は短剣を抜いて貰った時からさっきまでの重くのしかかって来るような痛みを感じなくなっていた。


「まじかよ...こいつはなんなんだ?キロ?」

「確かではないが薄い鱗のようなものが生えているから龍人族(ドラゴニュート)である事には変わらないだろう」

「だけどこの治癒力ってさ...まさかキロこの子さ...超龍人族(ハイドラゴニュート)!?」


「いや見てみろ...こいつがさっきまで血を流していた地面を」


キロが目線で先ほどまで血の水たまりがあった場所を示唆する。

すると、そこにはあるはずの血痕がなく、オレンジ色の炎が燃え上がっていた。


「何さこれ...琥珀色の炎?」

「血が炎に変わりやがった!」


なんだかよくわからないけど助かったのかな?僕はなんだか疲れて眠くなって来ちゃったみたいだ。

キロの腕の中でうとうとし出すと周りの景色がちらっと見えた。

その時、全く気付かなかったがおぞましい景色が僕の目に飛び込んで来た。


「血をさっさと拭え!俺たちも燃やされるぞ!この赤ん坊は神龍人族(ゴッドドラゴニュート)だ!」


そこには幾人もの鎧を着た死体が転がっており、隣には巨大な龍の頭部が横たわっていた。



ニーミは語尾に何かと「〜さ」と入れて喋ります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ