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MOTIF  作者: 崇宮ナツメ
第1章
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3話 気弱?な太陽神

昼休み――


「慎兄!美愛姉!ご飯食べよ~!」

「ん、佳奈か。じゃあ屋上行くか?」

「おっけー!」

 僕達は昼食をとるために屋上へ向かった。屋上には日の光が降り注ぎ、心地よい風が吹いていた。

「さて、と。慎兄と美愛姉はどうするの?」

「ああ。美愛とも話し合ったんだけど、僕も美愛も手伝うよ」

「うん。ボクも戦争は嫌だし、佳奈ちゃんの頼みだしね!」

「ありがとう、2人とも」

「あ、あの…?」

 僕達が弁当を食べていると、突然後ろから話しかけられた。

「ん?なんだ、透じゃないか。どうした?」

「えっと、自分もみなさんとご飯食べてもいいでしょうか?」

「ああ、もちろん」

「ちょっと待って!」

「どうしたんだよ、佳奈?」

「この人は慎兄の友達?」

「あ、ああ。そうだけど?」

「…そう。死んじゃったらごめんね」

「えっ?それって…?」

 どういう意味だ?と聞く前に美愛は透に向かって手のひらサイズの火球を投げた。

 バシュウウ!

「お、おい!?美愛、そんなことしたら透が…」

「はぁ…慎兄。ダメだったよ。全然効いてないみたい」

「はぁ?」

 佳奈の言葉の意味が分からず、透のほうを見てみると…

「なぁ~んだよ、もうバレてたかぁ…」

 普段と違う様子の透の声。

 (どうなってるんだよ!?)

「なぁ、美愛?…って美愛!?どうしたんだよ!」

「怖いよぉ~、シン~!」

 ダメだ。コイツ、使い物にならない。

「………うん、お前はちょっと離れてたほうがいいな」

 (今はそんなことより…)

「慎くんさぁ、俺に関わろうとしてくるけど、正直もうウンザリなんだよ!」

「透…」

「下がってて、慎兄。コイツは私がやる」

「いや、透は僕が…、殺す!」

「いいねぇ、そういうの。さて、それでは俺っちの能力(モチーフ)を教えてやんよ。俺っちのは《アポロン》。その子と同じで炎を操る力だ。つーわけで俺っち達のリーダーの命令だし、慎くん達邪魔者は消えてもらいま~す!」

「オリンポス十二柱か…。僕達に手を回すの早すぎない?」

「うるさいうるさいうるさい!」

 透は僕に向かって叫びながら火球を放つ。

「熱っ!ったく、落雷!とりあえず透に当たれ!」

「っ!痛いなぁ、もう…。そうだ。こういうのはどうかなぁ!」

 透は離れていた美愛に巨大な火球を投げた。

「美愛ぁぁぁあああ!」

 (ダメだ、間に合わない!)

 そう思った時、美愛の身体が紫色に輝いた。

「消え去れ…」

 美愛がそう言った瞬間、美愛に迫っていた火球は跡形もなく消えた。

「なっ!?何をした!」

 何だ?美愛の様子がおかしい…?

「ボクの邪魔をするなら、透くんでも…許さないよ?」

「お、おい!佳奈!?あれ、どうなってるんだよ!?」

「私に言われても…、でもあれって暴走って言うより、覚醒だよね?」

「さっきの、なんか…言霊みたいだったけど?」

「それがイザナミのモチーフの能力の一つなのかもね」

「下手に手を出したら怒るよな、美愛のヤツ」

「そうだね。応援…不要かもだけどしよっか」

「いけー、美愛ー!」

「がんばれ美愛姉ー!」

 美愛が手を透に向けた。

「止まれ」

 そう言った瞬間、透の動きが止まった。

「ぐっ…!」

 美愛は透の目の前に立つと、透の頭に手をのせた。そして…

「逝っちゃえ、『黄泉送り』」

 美愛がそう言うと、透の身体が力が抜けたように倒れてしまった。

「み、美愛?殺したのか!?」

「え?あぁ、慎。問題ないよ」

「え?」

 すると倒れた透の頭に再び手を当てた。

「お願い、戻ってきて。『黄泉返り』」

「まさか美愛姉、人の生死を操れるの!?」

「う、俺は…?」

「あ、おはよう。透くん」

「美愛さん?どうしてここに?」

 あれ?なんかさっきと透の様子が…

「透くん、操られてたんだよ。気分はどう?」

「大丈夫…」

「うんうん、良かった良かった!」

「あの、透?」

「何ですか?慎くん」

「もう僕達、透の本性知ってるから、素でいいよ」

「……マジ?」

「ああ、僕達と戦ってるときに思いっきり」

 それを聞くと、はぁ…とため息をついた。

「分かったよ、んで?俺っちは何で慎くんと戦ってたんだよ?」

「オリンポス十二柱として戦争を止めようとする僕らを始末するためにオリンポスのリーダーの刺客として僕達と戦いました」

「なぜ説明口調だ。…ったく、操られるなんて不覚だった」

 透は苦い顔で呟いた。

「なあ、透?」

「何さ?」

「僕達の仲間にならないか?」

「は?」

「僕達と一緒にオリンポスの奴らとたたかわないか?」

「…お断りだね。そんなめんどくさいこと、何で俺っちがしなくちゃいけないのさ」

「そうか、ならしょうがないな」

「…ったく、昼休みとっくに終わってるよ」

「うぇ、マジ?」

 急げ!と言って慎兄達が行ってしまったので、サボる覚悟の私、東雲佳奈がナレーションを代わります。あ、中等部は義務教育だろ!とかいうツッコミはいらないよ?さっきは《天照大神(アマテラス)》の能力で透先輩が《アポロン》だって分かったからあわてて突っ込んじゃったけど、私一人で何とかなる相手じゃなかったよ…。ちょっぴり反省。

 さて、作者が授業パートとか書くのがめんどくさいって言ってるから放課後いっちゃうよー!あとは慎兄よろしく!


 放課後――


 放課後、僕と美愛と佳奈、そして透は教室で話していた。

「あのさ、何で俺っちまでここにいるわけ?帰りたいんだけどさぁ…」

「なあ透、もう一度聞くけどお前を操ったヤツの正体は分からないんだな?」

「はあ…。だからさっきから言ってるだろ?俺っちは後ろから殴られて気を失ったって…」

「まあ、そういうことなら仕方ないか…」

 何かつかめると思ったが、そう簡単にはいかないらしい。

「ねえ透くん、もう一度聞くけど私達の仲間にはなってくれないのかな?」

「お断りだといっただろ?俺っちは戦争とかそういうの、めんどくさそうで嫌なんだよ」

「まあ今日は疲れたし帰ろうよ、慎兄、美愛姉、透先輩?」

 僕達は佳奈の言う通り、今日は家に帰ることにした。佳奈は学園の近くのアパートに引っ越したらしい。


 みんなと別れ、家の前まで来ると、僕の家の前に一人の少年が立っていた。

「あの…、僕の家に何か?」

「ん?ああ、君が東雲慎君かな?」

「あ、はい。そうですけど?」

「俺は葦原(あしはら)優。一応、東雲君の先輩なんだけど…、ちょっと時間いいかな?」

「はい、構いませんけど…」

 僕は時間も遅くなかったので話を聞いてみることにした。

「で、話というのは?」

「大したことじゃないんだよ。えーと、四条美愛さん…だっけ?すごいね彼女。《アポロン》をあんなにあっさり倒しちゃうなんてさ…」

 葦原優と名乗った人物は静かに微笑んだ…。


続く

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