御題「罰ゲーム」「苺大福」「夢の仲」
飲み会において罰ゲームという物は半ば必須といって良いだろう。
特に、大学生の飲み会では。
先輩からの振り、或いは先輩に対する粗相。それに対し一般的なのは酒の一気のみだろう。
しかしながら昨今、「アルハラ」という風潮があり、飲酒を強要することはあまり良くないこととされるようになった。
そこで、ある大学のあるサークルでは、ある罰ゲームが考えられたのである。
ある青年が居た。辛い物が苦手で、甘い物が好き。どこにでも居るような大学生である。
飲み会の中、ある先輩が取り出したのが四つの「苺大福」。見た目はおいしそうであり、それぞれに差は見受けられない。しかし、それが持ち込まれたときに参加者の中に走ったのは緊張感。そう、これは罰ゲーム用の苺大福だったのだ。
先日、サークルは大会に参加していた。個人種目において、その青年は、そのサークルの同期で最下位だったことから、罰ゲームとなったのだ。
サークルの各期の学生の最下位、つまり四人がそれぞれ牽制し合い、どの苺大福(ハズレ入り)を食べるか選ぼうとしている。選ぶ順番は決まっている。年功序列。先輩からである。しかし…
「先輩、それだけいびつですよ」「え、それにしちゃうんですか?」など、後輩達が自分のねらう物以外を掴ませようとしたり、或いは周りのサークルメンバーが煽ったりする。
そうしてついに全員がそれぞれ苺大福を選び終わり、実食へと入った。
ハズレを掴んだのは青年。先輩達がことごとく甘い物を掴んだのだ。後輩で歩かれ二選択の余地はなかった。
その苺大福の中身は、唐辛子でくるまれた辛子、生姜、その他諸々。
それを食べた彼は―――
ふと、目を覚ました。飲み会があったのは一週間も前のことで、ハズレを掴んだのは最年長の先輩である。ハズレを掴んだことは過去にあったけれども、先週は大丈夫だったはずなのだ。
そして今日も一日が始まる。次こそはこのようなスリルを味わわずに済むように、彼は練習に精を出すことに決めたのだった…