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金色の文字使い ~勇者四人に巻き込まれたユニークチート~  作者: 十本スイ
第八章 ヤレアッハの塔編 ~真実への道~

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236/281

236:リリィンVSアルタイル

 一方、リリィンはというと、アルタイルを相手に優位に戦いを進めていた。魔力を体中から迸らせながら、電光石火の動きでアルタイルを殴り、蹴り、着実にダメージを与えている。

 アルタイルの顔面とはいっても、デュークキーパーのようにのっぺらだが、その顔面にヒビが入り出した。


「フン。どうやらスピードはワタシの方が上のようだな」


 明らかに自分の方が速度的に上回っているので、リリィンは不敵に笑みを浮かべている。


「どうやらワタシの魔法に対しては耐性があるようだが、このまま肉弾戦のみで貴様を叩き潰してくれるわ」


 両拳を硬く握りしめて、そのまま床を蹴り出し再び特攻をかけようとした時――バキィィッ!

 アルタイルの顔面が割れて、その中から人の顔が現れる。長い赤紫色の髪。白い肌。切れ長で虚ろな瞳がリリィンを捉えている。


 思わずリリィンは足を止めて、アルタイルの顔をジッと見つめた。


「……女だったのか」


 そう、見た目は女である。それも美女と呼ぶに相応しいほどの面相を持っている。


「……わた……しは……アルタイル……。すべての敵を阻む盾……なり」


 刹那、凄まじい殺気とともにアルタイルがリリィンの懐へと迫ってきた。


「くっ、速い!?」


 今までよりさらに増した速度に少し躊躇するも、リリィンは彼女を視界に収めつつ、その場から移動する。アルタイルも、リリィンの動きに合わせながら追従してきた。


「ちっ、なら今度はもっと濃い悪夢に閉じ込めてやる!」


 リリィンが魔力をアルタイルに向けて放出し、それに触れたアルタイルがそのまま膝を折り床に転倒する。

 ピクリとも動かないアルタイルに、自分の《幻夢魔法》が効いたと判断したリリィン。しかし十秒も経たずに倒れていたアルタイルが静かに立ち上がる。


(コイツ!? 今のは先程と違ってかなり強めに魔法をかけたはずだぞ!)


 それなのに、まるで何事もなかったかのように立ち上がる相手を見て、眉根を寄せるリリィン。


「……我は盾……あらゆるものを弾く者」


 ブツブツと小さい呟きを吐き出すアルタイルに、不可思議さを感じてしまう。整った顔立ちをしている彼女だが、無感情に発せられる言葉だけで、彼女が自分の意志で動いていないことが分かる。


(神王とやらに操られてるってわけか? もしかしたらコイツもまた《塔の命書》で操作されている可能性が高いか……)


 もし『神人族』として、リリィンたちを阻むためにここにいるのであれば、操作などされはしないだろう。彼女がこんなふうな状態になっているのは、神王に刃向っている可能性も十分にある。ならばと、リリィンは思い叫ぶ。


「おい貴様! 今戦っている意志が、自分のものでないというのであれば、さっさと抗ってみせろ!」


 イヴェアムやレオウードが抗えなかった力だ。それは無理な要求だと知りつつも、リリィンは可能性に懸けて声を届けるが、


「…………参る」


 言葉を受け付けず、アルタイルは攻撃意志を感じさせる。彼女が両手を前に出すと、それぞれの手の先に、菱形然とした光の塊が顕現した。

 そしてその二つの塊をリリィン目掛けて投げつけてくる。まるで手裏剣のように回転しながら向かってくるそれを、小さな身体を軽やかに動かして回避していくリリィン。


 そのまま背後にある壁まで飛んでいくのかと思われたが、途中で粒子状に変化して霧散する。確認したリリィンは、不審げに眉をひそめてしまう。


(む? 手元から離れるとその形を維持できないのか?)


 つまり力のコントロールができていないのではと推察する。見た感じ、攻撃力が備わっているような雰囲気はない。ただ何も仕掛けのない攻撃を相手がするわけがないので、必死に躱し続ける。

 次々と光の塊を出現させて投げ続けてくるアルタイルの攻撃の雨に、つい避け切れずに塊に掠ってしまう。


 するとその瞬間、触れた光の塊がバチィンッと弾けて、その弾けた力でリリィンはまるで爆風を受けたかのように吹き飛んでしまった。


「ぐぅっ!?」


 予想もできていなかった威力に歯を食いしばりながらも、壁に激突してしまう。そして追うようにアルタイルの光の塊が飛んでくる。


「がはぁっ!? ぐふぅっ!? っはぁっ!?」


 光の塊が身体に触れる度に、先程と同様の威力を弾き出し、リリィンの身体を物凄い圧力を持って壁に押し込んでいく。

 次第にリリィンの身体は傷つき、口からも鮮血を吐き出してしまう。何度も何度も壁に叩きつけられるような衝撃に、意識が飛びそうになる。


(くっ……っ!?)


 それでもアルタイルの攻撃は止まない。



     ※



 その頃、日色は三つの扉のうちの一つ。真ん中の扉を、ミュア、ミミル、テン、レッカ、ペビンとともに進んでいた。 

 中は真っ直ぐ伸びた道が広がっているだけ。まわりは薄暗く、濃霧に包まれている感じである。


「この先に、ゲームをクリアするための水晶玉があるはずです。それを壊せば、上へと進めることになります。まあ、この扉が正解であれば、ですがね」


 この状況を心底楽しんでいる感じで言うペビン。他の者たちも、ペビンが一応は日色側だということを知っているので、彼に対してあまり敵意を抱いていない。

 だが日色だけは、彼の態度に警戒は怠らないようにしている。いくら契約が成立しているとはいえ、彼は基本的には危険人物なのだ。その腹の中で抱えているものをすべて理解できていない以上は、完全に気を許すことはできない。


 とはいっても、情報を得られるというのはありがたいものであり、


“おい、糸目野郎”

“何です、ヒイロくん?”


 こうやって『念話』の文字で口に出さずともコミュニケーションが取れるのは都合が良い。


“リリィンが相手をしてるアルタイルって奴は、一体どんな奴なんだ?”

“おやおや、やはり気になりますか? まあ、彼女はアダムスの器ですからね”

“そんな呼び方をするな。アイツはアイツだ”


 彼の物言いにムッとしたものを感じる。いくらそれが事実だとしても、彼女はリリィンという個であり、その個を見て接するべきだと日色は考えているのだ。


“これはすみません。そうですねぇ、たとえ転生体でも、ヒイロくんはヒイロくん、リリィンさんはリリィンさん、それが真実ですよね”

“そういうことだ。それで?”

“ああ、アルタイルさんのことですか。そうですね、アルタイルさんは強いですよ。まあ、あくまでも僕が知っているアルタイルさんは、生きていた時のことですけど”


 今のアルタイルは、神王サタンゾアに《再現のクドラ》で再現させられ、この世に顕現した存在なのだ。しかも操作されている。生きているとは言えないかもしれない。


“アルタイルさんは、《拒絶のクドラ》を持つ人なんですよ”

“拒絶?”

“ええ、その名の通り、アルタイルさんが拒絶したいと思ったものすべてを拒絶する《クドラ》です”

“拒絶…………そうか、もしかしてリリィンの幻術が効かなかったのは……!”

“ヒイロくんの考える通りです。まあ、効かないというよりは一度幻術にかかって、すぐに《拒絶のクドラ》でリリィンさんの力を弾いたのです”

“なるほどな。また厄介な力を持ってるな”


 まさにユニーク魔法と同等。ペビンが《クドラ》のことをユニーク魔法と呼んだのも十分に理解できる。


“アルタイルさんは身体能力が高いです。それに《拒絶のクドラ》で作った武器を使わせると、さらに厄介度が高まります。何といっても、触れただけで近づくことを拒絶されてしまい、凄まじい勢いで吹き飛ばされてしまいますからね。こちらが武器を使っても、アルタイルさんの武器が、こちらの武器をものの見事に弾いてしまいますからねぇ”


 確かにそれは厄介さを極めている。つまり《クドラ》を使い始めた彼女に近づくのは至難の業ということだろう。

 リリィンの魔力を弾くこともできるとなると、元々剣などの武器も持っていないリリィンにとってはなかなかに厳しい相手かもしれない。


“不安ですか、彼女が殺されるかもしれないですしね”

“……いや、それはないだろ”

“ほう……。その心は?”

“別に大したものはない。ただアイツは先に行けと言った。自分一人で十分だとな”

“…………”

“アイツは口は悪いし、我が儘だし、見た目幼女だが”

“よ、幼女は関係ないのでは?”


 ペビンの突っ込みには応えずに、日色は念話を続ける。


“それでもアイツの強さは本物だ。勝って必ず追いついてくる”

“…………ずいぶんと信頼されていますね”

“どんな不利な状況でも、アイツなら何とかするだろ。それだけの実力と経験がある”


 何といっても実年齢は、日色と比べようもないほどの高齢なのだから。戦闘経験も豊富な彼女なので、たかが不利という状況で彼女が敗北するなどと日色にはとても思えない。


 

      ※



 破壊された壁からその破片がガラガラッと床に落ちる。その壁の中心にいるリリィンの額からは、真っ赤な血が痛々しく流れ出ていた。

 アルタイルの光の塊による攻撃は鳴りを潜め、静寂が訪れている。アルタイルは、リリィンを仕留めたと判断したのか、ピクリとも動かないリリィンを一瞥すると階段の方へ歩を進める。

 先に行った日色たちを追おうとしているようだ。


「――――どこへ行く?」


 背後から聞こえた声に、アルタイルが咄嗟に振り向く。するとそこには、壁に埋もれていたはずのリリィンの姿が見当たらない。


「……どこ……行った……?」


 虚ろに彩る瞳を動かし、リリィンの所在を探すアルタイル。


「――――ここだ」


 不意に耳に入った声は、アルタイルの頭上。そこには背中から翼を生やしたリリィンが無感情に見下ろしていた。


「……生きて……た」

「少々効いたがな。しかしあの程度でワタシを殺れると思うな」

「……なら……次は……これで」


 ポッ、ポッ、ポッと、次々とアルタイルの周りに小さな光の玉が出現。先程の塊よりかなり小さいが、同じ光を宿している。


「貴様の力は大体把握した。恐らくその力は外からの干渉を弾くような効果を持っているのだろう。いみじくも貴様が言ったことで、力の分析に骨を折らずに済んだ。ワタシの幻術も、その力を使って弾いた……あるいは無効化させたってわけだ。ずいぶんと厄介な魔法を使うじゃないか」


 アルタイルが、自分のことを盾と呼んだ意味がよく分かる。彼女の力は、まさしく盾に相応しいだろう。あの光に触れれば、問答無用に外へと弾かれる。それは人でも物でも、魔法でも……だ。

 これほど防御に特化している魔法を見たのはリリィンも初めてである。


「確かに下手な幻術は貴様なら弾いてしまうだろう。ならば、ワタシの全力を以て、貴様に悪夢を叩きつけてやろう」


 リリィンの身体から、今まで以上とも思われるほどの魔力量が溢れ出す。アルタイルは警戒するように、身体の周りに浮かせている光の玉をさらに増やしていく。


「いくらでもワタシの魔力を弾くがいい。しかし今度の幻術は一味違うぞ? 少しでもこの魔力に触れれば、そこで――――勝負が決する」


 現存する魔力を凝縮させ、濃密な魔力を身体から出す。


(このままではあの能力がある限り、奴には届かない。ならば、こちらも相応の形態に変化させればいいだけだ!)


 初めて試みる魔力の自由意思による形態変化。このまま波のように真っ直ぐ魔力を突きつけても、あの光の玉に阻まれ弾かれて霧散してしまう。ならば、魔力自体をコントロールして確実に相手に届かせられるような形態へと変化させればいい。


 今まではこのような使い方をしてこなかったが、今の自分ならできると判断して試す。

 するとリリィンの魔力がブチブチッと切れ始め、アルタイルが顕現させている玉のように複数の魔力の塊となってリリィンの周囲を覆っていく。


 そしてリリィンが右手を前方へとかざすと、右手から放出した魔力が形態を変化させていく。それはまるで――銃のような形をしていた。

 その銃へと、周囲に浮かんでいる魔力の玉が吸収されていく。リリィンが引き金を引いた瞬間、銃口から凄まじい勢いで魔力の弾が飛び出す。


 しかしアルタイルの光の玉に衝突し、バンッと一気に霧散する。しかしリリィンは慌てない。ニヤリと口角を上げるだけ。

 それまで無機質な表情だったアルタイルの表情が少し緊張を帯びたように引き締まったような気がした。


「さて、最終ラウンドと行こうか、操り人形め」



     ※ 



 一方その頃、リリィンより上階へと向かった日色一行のうち、左の扉へと入ったノアを背に乗せた黒鳥姿のスーは、長い長い真っ直ぐな暗い道を突き進み、前方に光を発見していた。


「――――――――ようやく出口というわけか」


 任務は、この先にあるかもしれない水晶玉を破壊すること。そうすれば、さらなる上階へと進める道が現れるとのこと。

 光の中へ飛び込むと、そこは周囲を鉄で覆われた巨大な箱型の空間が広がっていた。


「――――――――ここは……む?」


 スーは前方に気配を感じて視線を向ける。するとそこには、下で見たようなアルタイルと似たような姿をした者を発見できた。

 スーは警戒を保ちながらゆっくりと声が届く距離まで近づく。


「――――――――お前が我らの相手、ということか」


 奇妙な仮面を被った人型生命体。外見上驚くべきなのは、自身の身体に幾つもの剣らしき物体が刺さっていること。しかしそこからは血は出ていない……が、不気味度でいえばトップクラスに位置するだろう。

 スーは周囲を確認する。


(――――――――どうやら水晶玉はないようだが……)


 もしかしたら阻む敵を倒すと出現するようなパターンなのかもしれない。つまりここで逃げるわけにはいかないということだ。

 その時、相手が右手で左腹部に刺さっている剣をゆっくり抜く。ぬちゃりと嫌な音を立てながら、まるで鞘から抜くような感じで剣を抜き構える。その際に痛みを感じている様子は微塵も感じられない。


「――――――――不気味な奴だ。どうやら剣士のようだが」


 剣士が相手ならノアの方が都合が良いと思うが、彼はいまだにスーの背の上で眠っている。スーは溜め息を吐きながらも、人間型に姿を変えて、ノアを部屋の隅へと移動させ寝かせる。


「――――――――ここは我が相手をしよう。戦闘はあまり得意ではないが、ノアの『精霊』として、無様な姿を見せるわけにはいかないからな」


 相手と対面するスー。

 相手の仮面の奥から呼吸音が聞こえてくる。その呼吸音がピタリと止まったと思ったら、


「……俺……は……、ビッグディッパー……」

「――――――――それがお前の名か。名乗るならこちらも礼儀を尽くさねばな。我はスー。先程も言ったがあそこで寝ているノアと契約した『精霊』だ」

「……精……霊……、俺……倒す」

「――――――――やれるものならやってみるがいい」


 刹那、ビッグディッパーの身体が小刻みにブレた。そのまま残像を残しながらスーへと詰め寄る速度は異常なまでに速い。

 しかしスーが指をパチンと鳴らすと、バチチチと指先から放電現象が起こり、


「――――――――ブレイクボルト」


 放たれた電流がビッグディッパーに襲い掛かる。素早く動くビッグディッパーを見事捉えたかに見えたが、彼は手に持った剣で電流を防御していた。

 だがスーは、


「――――――――その防御方法は悪手だ」


 と、指をさらにパチンと鳴らすと、ガラスでも割ったかのような勢いで、剣が粉々に粉砕した。


「――――――――今度はその身体ごともらうぞ」


 再び指を鳴らし、電流をビッグディッパーへと放出させるスー。たださすがは、番人を任せられるほどの人物。ビッグディッパーはその場からすかさず後方へと逃げて、スーから距離を取る。


「――――――――ふむ。状況判断能力も高いか。なら……」


 今度は両手で指を鳴らす。同時にスーの身体から凄まじい放電が起き、周囲を覆い、まるで雷の繭のような状態を維持する。その繭から、次々と落雷でもするかのような勢いで、雷がビッグディッパーへと迫っていく。

 距離があるので、ビッグディッパーも先程みたいにガードはせずに回避行動を取れている。


「――――――――さらにこれで、終わりだ。――オール・ブレイク」


 激しく両手の指を鳴らすと、繭が一気に弾けて、ビッグディッパーの逃げ場を奪うようにあらゆる方角に分かれた雷が彼へと襲い掛かる。

 ビッグディッパーも避けることができずに、雷をその身に受けてしまう。

 スーがこれで勝負が決したと思った矢先、スーの背後にビッグディッパーが剣を抜いて迫ってきていた。


「何っ!?」


 相手の剣速は苛烈で、ギリギリ上体を反らし直撃は防げたが、額に赤い一文字が走る。表情を強張らせのけ反った勢いそのままに後方へ大きく跳び距離を取る。


「――――――――高速であの雷から抜け出したのか? いや……!」


 驚くのは、先程の攻撃場所を見ると、そこには身体を崩壊させ倒れているビッグディッパーがいること。しかし目の前にもビッグディッパーがいる。


「――――――――どういうことだ……?」


 しかもさらに驚くべき事態が訪れる。目の前にいるビッグディッパーの身体がブレたと思ったら、まるで分身するようにビッグディッパーが二体、三体と増えていく。


 合計――六人。


 驚愕に包まれていると、背後の方から何かが蠢く気配を感じて意識を向ける。


「な、何だと……!?」


 先程まで、確かにスーの魔法の効果で身体全体が崩壊し絶命していたはず。それなのに、身体がひとりでに治癒していき、そして   


「――――――――完全に治っただと……!?」


 これでスーの周囲には、七人のビッグディッパー。


(――――――――この者たち……ただの分身体ではない。どれも同じ存在の密度だと? 全部……本物?)


 スーの額から汗が頬へと流れた。



     ※



 スーがビッグディッパーと対峙していた頃、右側の扉に入ったニッキ、ウィンカァ、ヒメの三人も開けた空間に辿り着いていた。

 ただそこは、ビッグディッパーがいるような鉄に覆われた場所ではなく、ゴツゴツとした岩のような白い壁に覆われた箱型の空間。


「あそこにいるのが敵……かしらね」


 ヒメの視線の先にいる、これまたデュークキーパーのように顔まで仮面で覆い尽くした存在。ただ気になるのはかなりの大きさだということ。

 座禅を組んでいるが、座高だけでもニッキたちの身長を優に越している。


「み、見事な座禅ですな。一片の揺るぎもない、理想的な形ですぞ」


 ゴクリと喉を鳴らすニッキ。ニッキもよく日色に、集中力を高めるために座禅を組まされるが、いつも形がなってないや、集中力が足りないと注意を受ける。

 しかし相手の座禅は、静寂を支配し、隙だらけに見えるが、よく観察すれば一切の隙が見えない。


 ピンと天井から糸で張られたかのように伸ばされている背筋は、美しい座禅の形を見せている。

 ゆっくりと相手に近づく三人。代表してヒメが一歩前に出て、ある程度の距離を開けつつ尋ねる。


「少しいいかしら?」

「…………」

「……ここに水晶玉のようなものがあると聞いたのだけれど?」

「…………」

「どうやら周りにはないようだけれど、もしかしてあなたを倒さなければ出てこないという仕組みではなくて?」


 ヒメの問いに対して、ピクリとも反応しない相手に、ヒメは不愉快気に眉をひそめる。


「ちょっと、聞こえているでしょ? 少しぐらい反応を――」


 その時、相手の身体からニッキたちを威圧するようにオーラが滲み出る。無論ニッキたちは警戒を強めて戦闘態勢に入った。


「……お……おで…………は…………フォーマルハウト……」

「フォ、フォーマルハウト? それがあなたの名前かしら?」


 男性らしい声音をした相手がコクンと首肯する。そしてそのままゆっくりと立ち上がる。


「ほえ~……で、でかいですぞぉ……!」

「ん……大きい」


 ニッキとウィンカァは感動を覚えるようにフォーマルハウトを見上げる。それもそのはず。彼が大きいと予測はついていたが、立ち上がられるとさらにその大きさが増しているように感じる。

 恐らく身長でいえば三メートル以上は確実にあるだろう。手足も不気味なほど長い。


「おで……ここ……守る……使命」

「やはりあなたを倒さなければいけないというわけね。分かったわ。ニッキ、ウイ、戦闘開始よ!」

「はいですぞ!」

「……ん」


 ヒメは人型からヘビに変化して、ニッキの頭にヒョコッと跳び乗り、ウィンカァは手に持った愛槍――《万勝骨姫》をブンブンと振り回しやる気を十分に高めていく。


「目標は大きいわ。恐らく一撃一撃は相当な威力が予想される。だけど動きは私たちの方が速いはず。スピードで翻弄して仕留めるのよ!」


 ヒメの作戦に二人が頷く。スピードには定評がある二人なので、セオリーな作戦と言えるだろう。


「まずは外から相手に攻撃よ。下手に近づかず遠距離を保ちなさい!」


 そう言われたニッキが、まずフォーマルハウトから十メートルほどの距離を取った後、


「《爆拳・弐式》っ!」


 拳型の魔力の塊を放つ。同時に、フォーマルハウトを挟んで反対側に位置したウィンカァも、


「《一ノ段・疾風》っ!」


 槍の斬撃を飛ばした。

 それぞれの攻撃に挟まれたフォーマルハウトだが、驚くことに瞬時にしてその場から前方十メートルほどの場所へと移動した。


「は、速いっ!?」


 ヒメの予測を明らかに上回る速度を見せたことで、攻撃をした二人も目を丸くしている。

 二人が放った攻撃は、互いに衝突して弾けてしまった。爆発音が耳に響き、その音が終わる前に、フォーマルハウトが迅速な動きでもってニッキの背後をつく。


「ニッキ、後ろよ!」

「分かってるですぞ! 《爆拳》っ!」


 振り向きざまに魔力でコーティングした拳を突き出す。しかしニッキの拳は空を切り、目の前にいたはずのターゲットの姿は忽然と消えていた。


「上よ、ニッキ!」

「むむむ!」


 ヒメの言で上を向くニッキ。ただニッキではなく、離れていたウィンカァが彼に向けて《一ノ段・疾風》を放つ。


「空ならば逃げることはできなくてよっ!」


 ウィンカァの攻撃に気づいたヒメがしめたといった表情を浮かべる。しかし驚くことに、ウィンカァの攻撃が当たる瞬間に、フォーマルハウトが空中から移動して攻撃をかわした。

 驚愕に歪むヒメたちの顔。


「い、今のはテン殿と同じ空中移動ですぞ……!」


 ニッキの言う通り、今、フォーマルハウトがした行為は、足元に集束させた魔力を爆発させて、その推進力により空中を移動する技である。

 魔力のコントロールが非常に難しい技術だが、極めれば凄まじい速度で空中を移動できるので使い勝手のいい手法なのだ。


 巨体を地に下ろしたフォーマルハウトが、視界に映るニッキたちに向けて掴んだボールを投げるような仕草をする。距離は大分離れている。何をするつもりなのかニッキたちには想像もつかない。

 一応警戒してニッキとヒメは身構える。


 ふりかぶったフォーマルハウトの右腕が突然伸びてニッキに向かってくる。


「よ、避けなさいっ、ニッキ!」

「は、はいですぞ!」


 咄嗟のことで体勢は崩されたが、後方へ大きく跳ぶことができた。しかしググンッとさらに腕が伸びてくる。


「くっ!?」


 ニッキは避けることができないと悟り、両腕を交差して防御態勢を取る。フォーマルハウトの拳がニッキを捉えた。


「ぬおわぁぁぁっ!?」


 後ろへ跳んだ力と、フォーマルハウトの拳の威力で大きく後方へ吹き飛ばされていくニッキ。殴られたダメージはさほどないが、このままでは後ろの壁に激突して大ダメージを受けてしまう可能性が高い。


「ニッキッ!?」


 吹き飛んでいくニッキに対し、彼女の名を呼ぶことしかできないウィンカァ。そんなウィンカァに対して、ニッキと同じようにフォーマルハウトの拳が襲い掛かる。

 ウィンカァも自分のことに集中することになり、相手の拳を避けていく。まるで鞭のようにしなる彼の腕は不規則に動き紙一重でかわすのがやっとである。


 一方吹き飛ばされているニッキだが、身体を半回転させて、壁を正面に捉える。拳に魔力を集束させ壁と激突する瞬間に拳を突き出した。

 吹き飛んできた威力を、《爆拳》の威力で相殺することにしたのだ。


「にょわぁぁ……危なかったですぞぉ~」

「まったくよ。なにあの腕、伸びるなんて反則ではなくて」

「ヒメ殿もお怪我はないようで安心ですぞ」

「大丈夫よ。早くウイに加勢しに行くわよ」

「おおぉぉっ! 今度はこっちが一撃を与えてやるですぞぉ!」


 ニッキはヒメを再び頭に乗せてフォーマルハウトがいるところへと突っ込んでいった。



     ※



 二つの扉で戦いが勃発していた頃、真ん中の扉を行く日色たちはまだ暗い道を突き進んでいた。


「おい糸目野郎、いつになったら出口に着くんだ? もうずいぶんと歩いてるんだが?」

「ん~そろそろだと思うのですが、何分この扉を構築したのはうちの上司で、僕は関わってないのでハッキリしたことは分からないのですよ。まあ、そのうち着くと思いますよ?」

「だといいがな。ミュア、ミミル、レッカ、お前らも用心して進めよ。ここは敵の懐だ。何があっても不思議じゃない」

「はい、ヒイロさん!」

「ヒイロさまがお傍におられるので安心です」

「オッス! 母上と父上は自分が守るです!」


 三人が三様に返事を出す。


「ふふ、こう見ていると、ヒイロくんは引率の保護者って感じですねぇ」

「何がおかしい?」

「いえいえ、今の会話だけでヒイロくんが三人を大事に想っていることが伝わるなぁっと思いましてね」


 だから何だよと思うが、今度は『念話』の文字効果にて話を進めることにする。


“ところでだ、三つの扉の先にいる番人とやらの詳細を教えろ”

“そういえばまだ教えていませんでしたね。まあ、誰がどの扉の先におられるか分かりませんけど、それでも構いませんか?”

“ああ”

“分かりました。そうですねぇ、恐らくこの三つの扉には、それぞれ三人の守護者が用意されていることでしょう。それも恐らくは神王様の《再現のクドラ》でこの世に生み出された傀儡人形でしょうが”

“やはり『神人族』……お前の元仲間ってとこか?”

“まあ、そうですねぇ。同じ星からやってきた方々ですよ。そして恐らく配置されているのは、ビッグディッパーさん、フォーマルハウトさん、ベガさん……ですかね”

“どんな奴らなんだ?”


 日色は情報収集するために聞く。戦う前に得られるだけの情報を入手した方が良い。そしてその情報を……。


(今、戦っている奴らにも届けてやらなければな)


 何となくだが、ニッキたちの存在を近くに感じる。それは距離があまり離れていないということ。つまりその気になれば『転移』の文字や、『念話』の文字でコンタクトを取れることを示唆している。


(アイツらもまだ戦ってないと思うが、コイツから情報をもらい教えてやる必要があるしな)


 そんな日色の思惑があったが、今、すでにニッキたちは戦っていることを日色は気づかずにいた。

 

“どんな奴ら、そうですねぇ。まずビッグディッパーさんは、かなり厄介な《クドラ》をお持ちですね”

“厄介な《クドラ》?”

“はい。その名も《七生のクドラ》”

“七生? 確か、七回、または何度もこの世に生まれ変わるって意味だったと思うが……”

“よくご存知ですね。確かに意味的にはその通りですが、ビッグディッパーさんの能力は、自身と全く同じ身体を七つに分けることができるのです。それぞれが自由意志を持ち、まったく同じ身体能力も持っています”


 それはかなり反則くさい能力だなと心底思った。もし日色が七人もいれば、多分ではあるが『神人族』もあっという間に処理することができそうな気がする。


“それにまだ特異能力……というか、面倒な力をお持ちなのですよ”

“どんな能力だ?”

“分かれた七人のビッグディッパーさんを倒すには、すべて同時に倒すことが必要になります”

“……どういうことだ? 一体ずつ倒してはダメなのか?”

“はい。一体ずつだと、すぐに復活するのです。たとえ首を刎ね飛ばそうが、心臓を握り潰そうが、身体ごと灰にしようが……です”


 それまた厄介な能力である。というよりほぼほぼ最強の能力に位置すると日色は頬が引き攣る思いだ。


“まあ、その能力のせいか、我々同志の中では一番身体能力は低かったですがね”

“……どの程度なんだ?”

“そうですね……それでも《クルーエル》の方々に匹敵はするはずですよ、多分”

“それで一番身体能力が弱いだと? 一体お前ら『神人族』の身体はどうなっているんだ?”


 ほとほと呆れてしまう。《クルーエル》は『魔人族』が誇る最強部隊なのだ。


“元々我々が住んでいた星というのは、【イデア】より環境が厳しく、強さがなければ即死に見舞われるような場所だったのです。重力だって【イデア】の何倍もありましたしね”

“……まあいい、つまりそいつを倒すには、同時に七体を潰す必要があるということだな。なら次の奴は?”

“ではフォーマルハウトさんですね。彼は一言でいえば…………伸びます”

“……は?”


 いきなり何を言っているのだろうと、疑心の眼でペビンを見つめる。


“伸びるとはどういうことなんだ?”

“その名の通りですよ。彼の身体は生まれつき柔らかいんですよ。骨も内臓も何もかも。しかも手足が驚くほど長いので、その体質と相まって、彼から距離を取ってもすぐにその距離を潰してきます”

“……ゴム人間ってことか?”

“おお、言い得て妙ですね。まさにその通りかもしれません。腕を鞭のようにしならせ威力を高めた攻撃もお手のものですし、単純な物理攻撃も体質のせいでほとんどダメージ皆無ですから”


 まあ、そこのところは大丈夫だろう。むざむざ攻撃を受けるようなニッキたちではないと思うし、物理攻撃が効かないと理解すれば、他の攻撃方法に変更できる知恵だってあるはず。


“しかしそれはあくまでも体質であって、注意すべきなのは彼の《クドラ》です”


 そういえばゴム能力を《クドラ》だとペビンは言っていなかった。


“フォーマルハウトさんは《爆裂のクドラ》。その名の通り、触れたものに爆裂効果を与えることができる能力ですね”

“ニッキの力と似た感じだな”

“ええ、しかし確実に違うことが一つあります”

“ほう”

“フォーマルハウトさんのそれは時限式にも使えるということです”

“そういや、今触れたものに爆裂効果を与えるとか言ってたな。つまりだ、地面に一度触れてしまえば、そこにいつでも任意で爆破させることができるってことか”

“まあ、条件もあるらしいですけど、そこんところは詳しく知りません。ですが時限式に爆裂効果を与えられるのは確かのはずです”


 何とも『神人族』……ペビンの同志は揃いも揃って面倒な力を持っている。誰一人として普通だなと思えるような能力ではない。

 日色が相手をしても下手をすればやられるようなものばかりだ。


“残りのベガさんの情報、聞きますか?”

“そうだな。そいつのことも聞かなきゃな”

“分かりました。ですが、僕もベガさんについては本当に詳しく知らないんです”

“何だと?”

“彼女は……”

“彼女? 女なのか?”

“はい。彼女はあまり戦いを好まない性格で、神王様に殺されることになったのですが、その時もあまり抵抗はしなかったようなのです”

“そうなのか?”


 殺される時ですらも抵抗しないとは驚きだ。どんな者だって、命の危険がある時は必死に抵抗するはずだと日色は思っている。無論ベガには何かしらの事情があったのだろうが。


“彼女の持つ《クドラ》も予測がつきません”

“身体的な能力としてはどうなんだ?”

“そうですねぇ。一度アルタイルさんが戦ったことがあると言っていたのですが、その時にアルタイルさんはこう仰ってました。『奴とは二度と戦いたくない』と”


 それはどういった意味で言ったのだろうか。確かアルタイルとやらは、《拒絶のクドラ》を有し、絶対的な防御力を持っている人物。

 防御に徹すれば、そうそう敗北することもないだろう。まあ、それで勝利を得られるかどうかは別だが。


(そんな防御野郎……いや、アルタイルは女だったか。そんな奴がもう戦いたくないと言うほどの相手……か)


 まさに謎である。強過ぎて話にならないといった感じなのだろうか……?


(考えても仕方がない。今はこの情報をアイツらに伝えなきゃな)


 そう思い、『念話』の文字効果に、『仲間』の文字効果を付加してペビンからニッキたちに効果を及ぼす。


“――――聞こえるか、お前ら”


 その声に一早く答えたのはニッキだった。


“にょわ!? し、師匠ですかな!?”

“これ……ヒイロ?”


 ニッキに継ぎウィンカァも反応を返す。


“――――――――ほう、このようなこともできるとはな”

“いきなり声をかけおって。何の用だ、ヒイロ?”


 スーとリリィンにもしっかりと声が届いているようだ。


“いいから聞け。オレが手にした情報を今から言う”


 そして日色は、ペビンから聞いた話を彼女たちに教える。しかしどうやら自分以外の者たちは、今戦闘中だったらしく、なるべく手短に説明することにした。


“なるほどですぞ! 師匠のお話をフォーマルハウト殿の攻略に活かすですぞ!”

“ん……ありがと、ヒイロ”

“参考にさせてもらうわ。でももっと早く情報を伝えてほしかったのだけれど”


 ニッキ組の者たちが言うと、スーも同じように活用させてもらうといった感じのことを言いコンタクトを切る。どうやらスーの方はゆっくりと会話をしている暇がないほどらしい。相手が七人に分身するビッグディッパーらしいので、それも無理はないだろう。


“フン。そのような情報などなくとも、すぐにコイツを始末して後を追う。貴様も油断せずに進むがいい”


 相変わらず偉そうなリリィンではあるが、全員が無事みたいなので日色も安堵する。

 最後に皆に気を抜くなと言ってからコンタクトを断つ。


“どうやら、皆さんまだご無事のようですねぇ”

“そんなことより、糸目野郎”

“ええ、恐らくこの先にいらっしゃるのは、ベガさん……ですね”


 するとようやく前方に光が見えてきた。あの先にベガという輩がいるらしい。


(確かアルタイルという奴はアクウィナスにも匹敵するほどの実力だって糸目野郎が言ってたな。それは能力的にということらしいが、それでもそんな奴が戦いたくないという奴がこの先にいる)


 日色は歩きながら傍にいるミュアとレッカに視線を移動させる。


(コイツらも強い。特にミュアの力なら相手を戦闘不能にさせることもできるが、相手の能力次第じゃ、この二人には荷が重くなる可能性が高いな。その時は、オレ自身が戦う必要が出てくるか……)


 リリィンの考えは、日色を無傷で神王のいるところまで届けることが目的のようだが、やはりそう簡単にはいかないだろうと日色も思っている。

 まだまだ先は長く、相手の戦力だって生半可ではない。


(ラスボスに辿り着くには、結構な試練があるってことだな)


 辟易する思いを宿しながら、少し足早に前へと進んでいく。光の中に飛び込んでみると、そこは今までとは違った別空間が広がっていた。

 恐らく《ソロモンの古代迷宮》のように異次元空間なのだろう。塔の中だとは思えないほどの果てしない巨大空間だ。


 しかも大小様々な水晶玉が、シャボン玉のように無数に空に浮かんでいる。


「ここは……島?」


 自分たちが立っているのは、小さな島の上。そして周囲には水平線が見える海が広がっている。この島は浮島ということなのだろうか……。いや、よく見れば、海の上には幾つもの小島が点在している。


「どうやら、ここに水晶玉があるのは間違いないらしいですね」

「糸目野郎……」

「しかし、本物の水晶玉はただ一つ。この中から探し出すのは結構骨ですね」


 彼の言う通り、同じような水晶玉の中から本物を見分けることは、今の日色たちの知識では不可能だろう。日色は溜め息を一つしてから指先に魔力を集束させる。


「仕方ない。魔法を――」




 ――――――――ようこそ、お越しくださいました。




 そんな言葉とともに、空から島へとゆっくり降りてくる存在がいた。アルタイルに似た格好をしているが、何を思ったのか頭部に嵌めている仮面を外し素顔を明らかにする。

 美しいと見惚れるほどに流れ出る金髪に、思わずミュアとミミルは息を呑む。どことなく頬を染めている。そう、彼女の髪も美しいのだが、それ以上に整った顔立ちに感動すら覚えているのだろう。


 アダムスも美女だったが、彼女のルックスもまた勝るとも劣らずの美を備えていた。しかも操られているとは思えないほど、キレイな微笑を浮かべながら、ゆっくりと日色たちの方へ近づいてくる。


「……彼女がベガさんですよ」

「……だろうな。雰囲気が只者じゃない」


 ペビンの言葉の説得力は、彼女の佇まいから放たれている。


 目の前に立っている美女――ベガという女性からは、驚くことに敵意といったものがまったく伝わってこない。

 まるで揺れることの無い穏やかな水面を見ているかのように静かな雰囲気である。


「……アンタが、オレらの相手をするってことだな?」


 日色は、ずっと眼を閉じて微笑を浮かべたままのベガに問う。


「悲しいことに、そういうことになりますね。……普通ならですが」


 表情が若干陰りを帯びる。その表情を見て、先に疑問を抱いたのは案内役のペビンの方だった。


「……ベガさん、あなた……もしかして操られていないのですか?」


 それは日色も思ったことだった。あまりにも先に出会ったアルタイルと比べて敵と認識できる要素が少ないので困惑してしまっている。こうして敵対しているはずの日色たちが目の前に現れても、一向に襲い掛かってくる気配がないのだ。


「ペビンさん、ですか……。いいえ、私は確かにサタンゾアの力でこの世に再び生み落とされ、彼の支配を受けていますよ」

「なら何故そのように自分の意見を流暢に話すことができるのですか? 本来ならば神王様の支配力が強くて、感情を表に出すのも難しいはずです」

「そうですね。それは一言でいえば、私の能力によるものです。もしかしたら、私の力で彼の支配から抜け出せるのではと愚考しましたが、結局ここから出ることすら叶わず。できたのは幾分かの感情制御のみ。今も必死に彼の支配から逃れようと足掻いているところなのです」


 とてもそんな風に見えないほどベガは落ち着いているように見える。しかし真実は、今も心の中でサタンゾアの支配力と必死に戦っているということだろうか。

 そうであればまるで白鳥のような人物である。水に浮いている時は凛として大人しく見えるが、水面下では必死に足をばたつかせている白鳥らしい。


「感情制御……ですか。あなたの《クドラ》は一体……?」


 ペビンも神王の力に抗う彼女の力に興味を覚えたみたいだ。だがそんなことより、日色は先に進めるかどうかの方が大事なのだ。


「アンタがココの番人というなら、さっさと本物の水晶玉がある場所を教えてくれないか?」

「それは叶いません」

「む……何故だ? 神王に従うつもりはないんだろ?」

「もちろん。ですが先程も申し上げたように、すべての支配力を超えているわけではありません。それに本物の水晶玉の在り処は私にも伝えられていません」

「……だったらやはり魔法を使って調べないといけないってことか」

「そうですか。あなたが彼を討つため、アダムスさんたちが用意した希望の槍なのですね」


 今だ閉じた眼を日色に向けてくる。そしてゆっくり瞼を上げながら彼女が言う。


「ならば、あなたならこの試練を乗り越えられるでしょう」


 ニコッと親しい友人に対して向けるような笑顔を浮かべるベガ。やはり彼女が敵だとは到底思えない。


「本来ならば、この空間で私と戦いつつ、水晶玉を探して破壊するという方法を取らなければならないのですが、私の心は争いを好みません。ですから、今私にできる限りの力を以て、あなた方の力になれば幸いです」


 刹那、彼女の身体から波紋が広がるようにして、薄い緑色の暖かな空間が広がり始める。


「私は《静寂のクドラ》を持ちます。この部屋の力を静寂へと導きましょう」


 広がる暖かな空間が、世界を覆っていく。すると、海と島だけだった空間が徐々に変化していく。島が次々と日色たちが立つ島へと向かってきて、どんどん合体していく。


「どこが感情制御のみですか。これほどの力を、神王様の支配を受けつつ発現させるとは……。さすがはあの方の……」


 ペビンが小さい声で感心するように呟いている。最後の方は聞き取れなかったが。

 そして一つの大陸のような形になった時、ベガが膝をつく。


「お、おい!」


 咄嗟に彼女の身を案じてしまう日色。


「だ、大丈夫ですか、ベガさん!?」


 ミュアも心配そうに声をかけている。


「はあはあはあ……だ、大丈夫……です。彼の支配力は強力……なので、万全に力を使えない状態で、こうして彼の支配空間を弱めているのですから、少し身体に無理がかかっているだけです」

「と、とてもそれだけには見えないです。顔色が土気色に変わっています」


 ミミルも不安気に彼女に声を飛ばす。

 確かに操られている身でありながら、その支配力に抗い裏切るような力を行使するのは身体に負担がかかるだろう。


「恐らく……水晶玉はここに集まった大地の上にある……と思います」


 日色たちのために力を使ってくれている。やはり彼女は敵ではなかった。



     ※



 その頃、《遠見の鏡》にて、日色たちの様子を監視していたハーブリードは、憤りを表情に表していた。


「ベガめ! サタンゾア様に逆うなどと! 申し訳ございません、サタンゾア様!」


 同じように鏡を見つめていたサタンゾアに跪くハーブリード。


「彼女の力はやはり厄介なもののようです。操作されているにも関わらず、サタンゾア様のお力をあそこまで鎮めることができるとは……。かくなる上は、ペビンに彼女の抹殺を命じて――」

「放っておくがいい」

「し、しかし!」

「これもまた一興。それにこれはゲームだ。奴らが勝つのなら、それはそれで面白いではないか」

「……よろしいのですか? 他の者はともかく、ベガはサタンゾア様を裏切っておるのですよ?」

「ククク、これだけの戦力を同時に再現しているからな。我の力も分散している分、支配力が弱まっていても不思議ではない。なに……この程度のゲームに打ち勝てないようでは、《文字使い》とはいえ、我の前に立つことは叶わぬわ。我は……神なのだぞ?」

「は、はっ! まったくもってその通りでございます!」


 巨大な玉座にふんぞり返るサタンゾア。肘掛けに肘を置き、愉快気に頬を緩めて《遠見の鏡》を凝視する。


「それにしても、侵入者どももなかなかに面白い力を使うな。特にこの赤毛の娘……」

「リリィン・リ・レイシス・レッドローズでございますね? 彼女はあのアダムスの器と呼ばれている者でございます」

「ほう。その割にはアダムスと比べて明らかに劣化しておるな」

「地上ではアダムスの劣化版と呼ばれていたらしいですから」

「ククク、しかし懐かしい……、確かによく似ている。子供の時のアダムスにな」


 興味深そうにリリィンが映っている鏡を見つめているサタンゾアに、ハーブリードが日色たちの情報を彼に教えていく。


「……なら《文字使い》のところにいる獣人の娘が『精霊の母』の転生体というわけか」

「左様でございます」

「ふむ…………。ならば早々に手に入れることも視野に入れねばな」

「ペビンを動かしますか?」

「……いや、うぬが動くがいい、ハーブリード」

「わ、私がですか? ですが今、一番動き易いのはペビンかと」

「我は二度は言わんぞ」

「は、はっ! 畏まりました!」


 深々と下げていた頭をさらに下げるハーブリード。それだけでサタンゾアと彼との間に、歴然とした差を思い知らされる。


「まあ、まだしばらくは余興よ。動くタイミングは我が指定する。うぬは駒。我の思う通りに動けばいい。そうだな?」

「仰る通りにございます」

「うむ。さて、ならばしばらくの間は、楽しむとしようか、このゲームをな」



     ※



 日色からアルタイルの情報を得たリリィンは、彼女との距離を一定に保ちつつ攻撃を繰り出していた。手に持った銃の形に変化させた魔力から、魔力の塊を撃ち出してアルタイルを仕留めようと試みている。


 しかしアルタイルも、《拒絶のクドラ》で生み出した光の塊で防御しつつ、その玉をリリィンへと放射してくる。それに触れれば、先程のように壁まで一瞬で吹き飛ばされてダメージを負ってしまう。


(奴の能力はあらゆるものを拒絶することか……。確かに厄介だが、穴は確実に存在する)


 攻撃を放ち、相手の攻撃を回避しながらジッとアルタイルを観察する。動き、癖、力の流れ、その他、集められる限りのアルタイルに関する情報を脳内で整理していく。

 たとえ操作されているとしても、この動きは生来彼女が備えていたもの。故に動きには癖が必ず存在するし、自身に合った力の流れというのも無意識に行っている。


 それを分析し把握すれば、彼女の攻撃を回避することも、その隙を見出し攻撃を与えることもできる。


(だがああまで、身体の周囲を拒絶の力で覆われていては少々難題だな)


 隙間は確かにある。しかし本当にそれは針の穴に糸を通すような技術を要求されるほど。


(それに少しでも気を抜けば、今度は完全にワタシが死ぬまであの玉をぶつけ続けるだろうな。つまり奴の光には決して触れることはできんというわけか。そのリスクを背負いつつ、奴に攻撃を当てる必要がある。何ともまあ、逃げ出したくなる課題だな)


 しかし彼女を倒すためには、その細い綱渡りを渡らなければならない。

 そんな難題を抱え、リリィンは面倒だと思いつつも、どこかで楽しんでいる自分を発見していた。


 強い相手をどう攻略するか、ミスをしてしまえば自分は破滅。そんなヒリヒリとした緊張感の中で、自分の思い通りに事を成すことの快感を、今までの経験で知っているリリィンは、思わず頬を緩めていた。


(いいだろう。この細い綱渡り、必ず渡ってやろうではないか!)


 決意を新たにした時、アルタイルの周囲に浮かんでいる光の塊がさらに分裂を起こし数を増やしていく。分裂した玉が上空へと上がり、


「…………《拒絶の雨(リぺル・レイン)》……」


 リリィン目掛けて降り注いでくる。


「ちィッ!」


 小さな身体を軽やかに動かしながら、ギリギリの状態で上空からの脅威を回避していくリリィン。しかも地面に当たった瞬間に、小さなクレーターを作り始めるのだから、足場もどんどん悪くなっていく。


 それでも周囲を常に把握して、リリィンは見事に避けながら、次の相手の攻撃を予測するために意識だけはアルタイルへと向けられている。

 するとアルタイルの周囲を覆っている光の塊が、横からリリィンに向かって放たれた。避ける暇を与えないという攻撃。しかしリリィンは避けながら銃を発砲して飛んでくる玉に当てて自分に向かってくるのを防ぐという見事な攻防を見せる。


(くっ! さすがにこれがずっと続くのは勘弁だ!)


 いくら何でも永遠に回避し続ける体力はない。何とかして突破口を見つけなければ、いずれこの光の塊に捉えられてしまう。

 だがふとリリィンは思いついたことがあった。その思いつきに口角が上がる。


(試してみる価値はある! いや、今のワタシならできる!)


 ギュッと銃を握る手に力がこもった。


 リリィンが銃から魔力弾を乱発する。しかしアルタイルには当たることなく、彼女の周囲を覆っている光の塊で防がれる。

 やはり彼女の《拒絶のクドラ》による壁を真正面から突破することは不可能らしい。いくら高密度に圧縮した魔力でも彼女は確実に拒絶してくる。


(そろそろコッチの魔力も底を尽きかけてる。ホントに厄介な相手だ。あの胡散臭い奴がアクウィナスに匹敵すると言ってた意味が理解できる)


 胡散臭い奴とは無論ペビンのことだ。

 ただ彼も一つ間違っていることがある。それはただ単純な力の大きさで見れば、圧倒的にアクウィナスの方が上だろう。身体能力、攻撃能力、判断能力ともにアクウィナスに軍配が上がる。


 しかしアルタイルの《拒絶のクドラ》。この能力があれば、少なくとも引き分けには持ち込める可能性が高い。もしアルタイルが、攻撃する意志を示さず、ただただ防御に徹すれば恐らくその牙城を崩すのは無理。

 どんな攻撃も弾くのであれば、強力なアクウィナスの魔法でも剣でも無意味に等しい。やがて互いに魔力が低下し、引き分けになる。そういった意味での匹敵という意味だ。


 まあ、アクウィナス自身も彼女の能力を知って、何かしら倒す方法を構築するかもしれないが。


(奴を倒すのは、奴に常に優位を取らせ、攻撃意志を示させ続けること。それが唯一の突破口)


 リリィンは相手から放たれる光の塊を避けつつ、避け切れないものには魔力弾で応戦して作戦を立てていく。


(これに気づかれたら、アウトだ。防御態勢に入られてしまう可能性が非常に高い。そうなれば、いくらワタシでも奴の本気の守りを崩すのは無理だろう)


 だからこそ、こうして自分が防御一辺倒になっているということをアルタイルに見せ続ける。彼女が攻撃を止めないように。


(チャンスは一度、奴が勝利を確信した時!)


 リリィンは覚悟を決めて歯を噛み締める。するとリリィンの周囲にも、彼女と同じように魔力の塊が幾つも浮かび始め、それが銃へと吸い込まれていく。


「――――次で終わりにしよう、神王の傀儡よ」

「……終わり……いいだ……ろう」


 アルタイルもまた、光の塊を次々と出現させてリリィンに逃げ場がないように設置していく。


「……敗北を……与えよう……《四方からの拒絶(フル・リペル)》」


 上下左右、アルタイルが浮かべていた光の塊が、リリィンに向かって襲い掛かって来た。


「ワタシには貴様を倒し、ヒイロを追う使命がある! このようなところで負けてなるものかっ!」


 次々と襲い掛かる光の塊から、華麗に身を翻して避けていく。しかしアルタイルは、そんなリリィンに向けて巨大な光の玉を前方に顕現させ真っ直ぐ放出した。


「うおぉぉぉぉぉっ!」


 リリィンもまた、銃に蓄えた魔力を、その巨大な光の塊に向けて放つ。


「……無駄」


 アルタイルの呟き。そして自分の能力の絶対の自信。

 しかし魔力弾は、光の玉に当たる直前に弾けて、散弾銃のように弾が別れて巨大な塊を避けてアルタイルへと向かっていく。

 アルタイルも不意を突かれたようだ。


「ククク、攻撃主導になった貴様は、防御に隙ができる」


 言葉通り、攻撃に転じている時、彼女の周囲に浮かんでいる光の塊の数が減り、彼女へ続く隙間が広くなっている。その間隙を縫い、攻撃を届かせるのがリリィンの作戦。

 しかしリリィンも防御の術を失い、巨大な光の玉に当たってしまい、そのまま壁へと凄まじい勢いで吹き飛ばされてしまう。


「がはぁっ!?」


 意識が一瞬で飛びそうになる。想像以上の圧力が全身を襲う。骨が軋み、肉が裂けるような痛みが走り、呼吸が困難になる。

 それでも意識だけはしっかり保つ。結末を見届けるために――。


「…………勝つ……のは……私だ!」


 初めて声を張るアルタイル。その時の彼女の瞳は、何故か虚ろなままではなく、彼女自身が持つ光を放っているように感じた。

 もしかしたら、内に秘めている彼女の強い意志が、リリィンに勝ちたいという気持ちになって目覚めたのかもしれない。


 そのせいもあってか、魔力弾が当たる直前に、アルタイルの前方に薄い光の膜が構築されて、リリィンの弾を拒絶していく。


「――っ!?」


 その光景を見て、リリィンは驚愕の表情を浮かべる。そして前方からのリリィンの攻撃をすべて弾いたアルタイルは、勝ち誇ったように笑みを浮かべた。


「……私の…………勝ちだ」


 壁に磔になっているリリィンの前方に、数えるのも億劫になるほどの光の塊を集めるアルタイル。すでにリリィンには逃げ場などなかった。

 あとはこの拒絶の力で弄ばれて、いずれ殺されるだけだろう。


「くっ……!」

「……お前は……強い……。だが……勝ったのは……」


 その時、リリィンはニヤリと口角を歪めた。


「そう、ワタシの勝ちだな」


 刹那、アルタイルの背後からどこからともなく向かってきた魔力弾があった。空気を切り裂く音に気づいたのか、アルタイルは咄嗟に振り返るが、彼女の額に被弾した。


「がっ……な……何故……どうや……って……!?」


 次々と光の塊が消えていく。リリィンも痛む身体をゆっくりと動かして、壁から脱出する。そして膝をついているアルタイルを見下ろす体勢を整える。


「はあはあはあ……たった一撃だ」

「……?」

「ワタシがホントに全力を込めた一撃は、今、貴様が受けた弾だ」

「……どういう……こと……?」

「跳弾……って知ってるか?」


 リリィンがアルタイルの巨大な光の玉に向かって魔力弾を放った時。

 あの時、魔力弾は散弾となり、アルタイルに向かっていったが、あれは魔力がスカスカの見かけ倒し。数値にして魔力消費――10も込められていない張りぼてのようなもの。

 しかしあのお蔭で、アルタイルの意識をその散弾に集中させることができた。そしてその隙に本命である、全力を込めた弾を壁に向けて放ったリリィン。


 リリィンはわざとアルタイルの光の玉に当たり壁に吹き飛ばされる。そしてスカスカのリリィンの散弾をかわしたアルタイルが、リリィンに意識を集中させてる。その際、防御手段を一時的に皆無にするだろうと予想した。


 何故なら、もうリリィンには逃げ場などなく、あとはすべての攻撃を当てればいいという状況だったからだ。そんな時に防御に回す力があるなら、攻撃に回して確実にリリィンを殺しにくると、リリィンは考えていた。

 そのためアルタイルには背後の隙ができる。その背後をつき、壁を跳ね続けたリリィンの魔力弾が、彼女の背後から襲いかかったのだ。


 これがリリィンが描いた戦略であった。


「……すべ……ては……この一撃の……ため……?」

「そうだ。骨は折れたがな。わざわざ長期戦にし、貴様の攻撃を避け続けたのは、貴様が浮かせる光の塊の動きを予測する癖を見抜くのと、貴様の体力を奪うためだ。玉の動きを読まなければ、あの状況で跳弾させて貴様に弾を当てる芸当はできないからな」

「……なんという……奴……だ」

「まあ、自分の魔力を跳弾させたのも初めてだが、まあ、ワタシは天才だからな。やってみれば何でもできるのは当然だ」


 無い胸を張り笑みを浮かべるリリィン。


「力を使い過ぎて衰えた貴様では、全力を込めたワタシの幻術を拒絶する力はない。一つだけ言っておくぞ。次に生まれ変わったら、残心には気をつけるんだな」


 勝利を確信した時が一番不安定な場面だということだ。油断一つで、戦況はいくらでもひっくり返る。


「……お前の……名は……?」

「ワタシは、リリィン。リリィン・リ・レイシス・レッドローズ! 《赤バラの魔女》と呼ばれる美少女だ! 覚えておけ! クハハハハハ!」

「…………フッ……覚えて……おこう……来世では……負けん……」


 そのままアルタイルは倒れる。そして目から光を失いピクリとも動かなくなった。


「敵ながらあっぱれだった。ワタシも貴様の名を胸に刻んでおこう」


 アルタイル戦――――リリィンの勝利で幕を閉じた。





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