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100:久しき再会

 【ヴィクトリアス】の王城では、一人の少女が城内の慌ただしさを体感し不安に胸が押し潰される思いだった。

 どうやら和平会談において、相手側の『魔人族』と決裂したとのこと。

 そしてその際に、国軍の上層部とともに国王で父親であるルドルフが行方不明になったと聞いた。


 彼女は――第一王女のリリスである。

 そんな彼女は今回の会談について詳しくは聞かされていなかった。

 ただ自分が懇意にしている勇者たちも、会談での護衛任務として動くとは聞いていた。だから今彼らはここにはいない。


 会談失敗の報が届き、城へとやって来た貴族の者たちも慌てたように招集をかけて話し合っている。兵士たちの顔も緊張感に包まれ、明らかに焦燥感を顔に浮かべていた。

 そこでこの城の守りを任されていた勇者たちの教育係である国軍第二部隊隊長のウェル・キンブルを視界に捉えたので、すぐさま話しかけるために近づく。


「あ、リリス様!」

「ウェルさん! あの、本当なのですか? その……お父様や他の隊長がたが行方不明というのは……」

「あ、はい……」


 そこでウェルは言っていいものかどうか悩むことがあった。そんなウェルを見て不思議に感じたリリスが首を傾けながら尋ねる。


「な、何か問題でも起こったのですか?」


 国王が行方不明という問題以上の問題などあるのかと思った。


「あ、いえ……その……」


 余程言い難いことなのか顔を渋らせる。


「……教えてください!」


 聞くのは怖いが意を決したかのように声を張る。

 ウェルもまた覚悟を決めたリリスを見て、ゴクリと喉を鳴らし意を決めた。


「……分かりました。実は……」


 ウェルが国外に出ていた兵士たちが、国へと戻って来た際に伝え聞いた話を教えた。

 会談で何が起こったのか、そして【魔国・ハーオス】で何が起こったのか、自分もまた信じられない話らしいがリリスに伝えたのである。


「そ、そんな……嘘……」


 リリスは首を微かに振りながら呟くように言葉を吐いている。


「……お気持ちはお察しします。しかしいまだに国王様や勇者様がたから連絡が無いことを考えると恐らくは……」

「し、信じられません!」

「リリス様……」

「だって! お父様が変貌して兵士さんたちの命を奪ったなんて……それに大志様たちが敵に捕まったなど信じられません!」


 涙を目に浮かべながら必死に否定する。ウェルも悲痛そうな表情を作りながらも、


「……残念ですが……」


 リリスは段々と顔を青ざめていき、そしてそのまま――。


「リリス様っ!?」


 突如意識を失って倒れそうになった彼女をウェルは抱きかかえる。あまりのショックに耐えられなかったのだ。

 それもそのはずだ。

 リリスはこの国の中で一番国王と勇者たちを心配していたのである。

 その彼らが、自分の想像以上の事態に巻き込まれていることに大きな衝撃を受けてしまった。

 ウェルは彼女の気持ちが分かるのか、気を失った彼女の顔を心配そうに見つめる。


「誰かっ! 誰かいないですかっ!」


 そう叫ぶとメイド服を着た女性が二人ほど慌てた様子で駆けてきた。その二人にリリスを部屋へと運ぶように頼む。

 そしてウェルはその足である部屋へと歩みを進めていった。


 ウェルがやって来たのは国王の寝室であった。だがここは国王の寝室であると同時に王妃の寝室でもある。今この部屋のベッドには、リリスと同じように、国王の状況を聞いて倒れた王妃マーリスが寝ていた。


 扉の前にいる侍女に部屋への入室許可を貰ってほしいと頼む。侍女は部屋へと入って行き、しばらくすると扉が開く。

 少しだけなら話せるということで、ウェルはガチガチに緊張しながらも足を踏み入れていった。

 大きな部屋には、その部屋に相応しく装飾された巨大なベッドがある。その上には疲弊を感じさせる表情を浮かべたマーリスが横たわっていた。


「あなたは……勇者の教育係に任命された者ですね?」


 マーリスは目だけを動かして、そのか細い喉を震わせ声を発する。


「はっ! 私は国軍第二部隊隊長のウェル・キンブルと申します。この度はお疲れのところ、私めの訪問をお受け下さり誠に感謝致します」

「……どうされたのです? もう、粗方事情は通じていますが?」


 彼女は力無く息を漏らしながら言う。


「はっ! 実は私の浅慮でリリス様も心痛をめされました」

「……そう……ですか。あの子も聞いたのですか……」

「勝手にお耳に入れてしまい申し訳ありませんでした! この処分はいかようにも……」

「いえ、それでよいのです」

「……?」


 隊長とはいえ、いち兵士が王女が倒れる原因を与えてしまったのだ。何かしらの処分を覚悟していたのに、マーリスが認めたので驚いている。


「あの子は、あの人の娘です。聞く義務があります。結果心を痛めたとしても、それは決してあなたのせいではありません。ですから気にするのはお止めなさい」

「で、ですが……」

「話を聞いてどう受け止め、どう乗り越えるかはあの子次第です。大丈夫です。あの子は私よりも強いです。きっと答えを見つけるでしょう」

「は、はぁ……」

「それよりも大切なのはこれからのことです。今国は不安定になっています。誰かが纏める必要があります。このままではいつ他国から攻め入られるか分かりません」


 それは当然の対処だった。確かに今、この国は大きく揺らいでいる。支柱ともいうべき国王は戻って来ず、国民の希望である勇者も同様だ。それに国軍の隊長格も大勢失ったという。

 今国にいる戦力も著しく少なく、国民にも噂が流れたのか不安がっている。そんな状況が続けば、その隙をついて他国が侵攻してくるかもしれない。


 だからこそ、態勢を整えるためにも誰かが上に立って皆を纏め上げる必要があるのだ。本来なら、王妃であるマーリスや、第一王女であるリリスが纏めるのが当然なのだが、今の現状では期待ができない状態である。

 しかしウェル自身、今の状況を整理するほどの腕は無い。


 悔しいと思うが、ウェルに人を惹きつけるカリスマ性は期待できない。それは本人も自覚している。

 どうすればいいのか悩んでいると、


「あなたにお任せしてもよいのですか? あなたなら兵士たちにも顔が広いはず。私よりも適任だと思うのですが?」


 マーリスがそう聞いてくるが、申し訳ない表情を浮かべてしまう。


「い、いえ……私にはとても……」

「そう……ですか。リリスもそういう方面には私に似て向いてはおりませんし……」


 女王なのにマーリスが自分から矢面に立たない意思を感じて、思わず苦笑してしまう。ここは辛くても国のために立ち上がり纏め上げるのが仮にも王を拝する者の役目だろうとウェルは思ってしまう。

 それにリリスもリリスだ。確かに気持ちは分かるが、どうにも心が打たれ弱過ぎる。こんな状況の中、もう少ししっかりしてほしいと思う。


「ですがやはり、私よりも国を背負って立つ女王様かリリス様の方が、民たちも安心できると思うのですが……」

「……そうなんでしょうね……」


 その時、何かに気づいたようにハッとなったウェルを見たマーリスは、


「どうしたのですか?」

「い、いえ……じ、実はこの状況でも問題無く人々を統率できる人物に心当たりがございます」

「心当たり……ですか?」

「はい」

「……その人物は信頼できる者なのですか?」

「王妃様も御存知の御方です」


 そう言われ、マーリスも感づいたのか目を少し見開く。


「で、ですがあの方もまだ戻って来られてはいないのでは?」

「いえ、あの御方のことです。国の一大事に黙っていらっしゃる方ではありません。私の予感ですが、そろそろ……」


 すると侍女の一人がマーリスに近づき耳打ちをする。そしてクスリと笑みを浮かべると、


「噂をすれば陰ですね」

「ま、まさか王妃様?」

「ええ、あの人が部屋の外に。入室を許可します」


 そう侍女に言うと、侍女は扉へと向かって行く。二人の視線は扉の方に向けられる。

 するとそこから現れた人物に二人の頬が思わず緩む。


「失礼します。ん? 何だ、ウェルもいたのか?」


 そこにいたのはジュドム・ランカースという名の、ギルドマスターだった。




     ※




 【魔国・ハーオス】では、そうそうたる顔ぶれが城門前に集まっていた。


 《魔王直属護衛隊》の《序列一位》アクウィナス、《序列二位》マリオネ、《序列四位》オーノウス、《序列五位》シュブラーズ、国の軍を統括する《魔軍総隊長》ラッシュバル、《魔軍・ハーブリード隊隊長》ハーブリード、《魔軍・イオニス隊隊長》イオニス。


 これだけの面子が一挙に顔を合わせている。周りにいる兵士たちもゴクリと喉を鳴らし、圧巻を感じ緊張に包まれる。

 そしてその中には日色、リリィン、シウバ、シャモエ、ミカヅキ、ニッキも存在もあった。


 本日はいよいよ『獣人族』との直接対決が行われる日である。

 つまり――世界情勢の分岐点。

 もしこの決闘に負けてしまえば、今までのようには暮らせない可能性が高い。《契約の紙》によって、敗北した側の民たちを無闇に命を奪わないと契約はしているが、それでも国は相手の懐に入る以上、これまでと同等の暮らしができるとは誰一人考えていない。


 だからこそ今ここに集まっている兵士や、激励にきている民たちは一様に顔を強張らせているのだ。

 そんな民たちを元気づけるために、城の中から一人遅れて登場した魔王イヴェアムは口を開く。


「皆の者! 安心するがいい! 我々は必ず勝利を得る! この手で平和を掴みとってみせる!」


 そう宣言すると、ちらほらと顔の緊張を和らげる者たちが出てくる。


「それにこの隙に何者かが国を攻めてくることも想定に入れてある! だからここに、我らが最強、アクウィナスを残しておくことにする!」


 その言葉に民たちはそれぞれ戸惑いを表す。

 決して負けることが許されない戦いで、国の最強戦力であるアクウィナスを参加させない意図を把握できていないようだ。


「ざわつくなっ! 彼の代わりには最高の助っ人を頂いている! 皆も知っているだろう! この度、戦争で大活躍をしたヒイロ・オカムラだ!」


 皆の視線が一挙に日色へと向かう。当の本人は腕を組みながら目を閉じて我関せずといった感じである。


「この国が最小限の被害で済んだのは彼の存在あってのものだ! モンスター掃討、《三獣士》クロウチ撃破、【ムーティヒの橋】崩壊、どれも彼が単独で行ってくれたものだ!」


 民たちから「おおぉぉぉぉぉっ!」と歓声が響く。


「信じられぬだろうが、彼はアクウィナスに負けず劣らずの力を備えている! それはアクウィナス本人も認めていることだ! だからこそ、この自分に代わって大役を任せたのだ!」


 またも歓声が空気を震わせる。


「だから信じて待てっ! 次に顔を合わせる時は、この手に勝利の二文字を得た時だっ!」


 凄まじい声と、大地をドシドシと踏む音がこだまする。皆の士気を上げるために鼓舞しているかのようだ。

 あまりの喧しさに日色は顔をしかめているが、イヴェアムは嬉しそうに微笑んでいる。そして彼女はアクウィナスの方に顔を向ける。


「アクウィナス、私が不在の国、任せたぞ」

「問題は無い。さっさと勝って戻ってこい」

「ああ!」


 そしてアクウィナスはいまだ鬱陶しそうに眉をひそめている日色を一瞥した後、オーノウスに近づく。


「姫を……陛下を頼んだぞ」

「命に代えてお守りする」


 互いに強く視線を交わし軽く頷いた。


「ヒイロ、やってくれ」


 イヴェアムに言われ、日色は軽く息を吐くと『転移』の文字を書いた。


「それぞれ繋がるように身体に触れろ」


 日色の言葉を受け、先に挙げた面子からアクウィナスを除いた人物がそれぞれ近くにいる者の身体に触れる。皆が数珠繋ぎになっている光景が生まれる。

 そして最高戦力の面子だけではなく、後ろにいた兵士たちも同じように身体へと触れていく。総勢百人ほどだろうか、日色から電気を流せば皆に行き届くように繋がるだろう。


「行くぞ、魔王」

「ああ! 皆ぁ、我らを信じて待っていてくれっ!」

「おおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」


 日色が文字を発動させると、その場にいた百人ほどの姿が一気に消えた。


「……頼んだぞヒイロ」


 アクウィナスはそう呟き、城へと戻って行った。









 転移してやって来たのは決闘場所である【ヴァラール荒野】だ。

 そして皆の目前には大きな窪みが存在している。

 それはクレーターであり、半径二百メートルくらいあるだろう。この中で決闘を行うのだ。

 クレーターの中央を見ると、もうすでに『獣人族』の軍隊が陣取っていた。


「行くぞ」


 イヴェアムは顔を引き締め先導しながらクレーターを降りていく。


「よくぞ参った『魔人族』諸君!」


 出迎えたのは【獣王国・パシオン】の国王である獣王レオウード・キングである。その傍には【パシオン】の誇る最高戦力が控えている。

 これだけ一挙に各国の重鎮たちが集っているのは壮観だ。

 その中で一際強烈な存在感を放つレオウードが、キョロキョロと目を動かした後、イヴェアムにこう尋ねてくる。


「赤ローブ……ヒイロ・オカムラはどうした?」

「う……それが……」


 イヴェアムは言い辛いような表情を浮かべる。


「挨拶なんて面倒だから、ここで待っていると言ってあそこに……」


 そうして指を差した先には転移してきた場所で佇んでいる日色の姿があった。


「礼儀を弁えず済まない!」


 イヴェアムは一応部下になる日色の振る舞いに謝罪する。

 しかしレオウードは怒るどころか豪快に笑う。


「ガハハハハ! やはり面白い奴だヒイロは! こんな状況でも自分勝手とは! ガハハ!」


 するとその日色に向かって走って行く影が幾つか視認できた。


「まさか奇襲!? 貴様らっ!」


 マリオネが殺気を含んだ視線でレオウードを射ぬくが、止めたのは驚いたことにイヴェアムだった。


「止めろマリオネ」

「で、ですが奴らは奇襲を!」

「いや、アレは奇襲ではない」

「……は?」

「ヒイロには事前にこうなるかもしれないと言われている」

「ど、どういうことですか?」


 マリオネは意味が分からずキョトンとしている。


「大丈夫だ。ヒイロが言うには、あの者たちは……」



     ※



「吹き飛んで弾けろぉぉぉぉぉぉぉっ!」


 日色に突っ込んできた何者かが、走って来た勢いのままに拳を突き出してくる。

 日色はチラッと一瞥して、目を閉じる。

 まるでその拳を受ける覚悟があるように動かない。


 そして―――――――――――――――スカッ!

 

「……はへ?」


 ――ズドドドドドドドドォォォォォッ!


 ターゲットを失い拳は空を切り、突き出した勢いに身体を支えきれず地面に盛大に転がった。

 そしてみっともない格好で地面の上で沈黙している者を見て、


「……死んだか」

「死ぬかぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」


 勢いよくその人物が立ち上がり、ビシッとこちらに向かって指を差してくる。


「ゴォラァッ! このクソヒイロがっ! 避けんなよなまったくっ!」

「悪いな、ホントは一発くらい受けようとは思っていたんだが、顔を見た瞬間避けた方が何かと面白いと思った。許せ」

「許すかボケェッ! つうか久しぶりに会ったってのに相変わらずのゴーイングマイウェイっぷりだなオイ!」

「当然だ。オレはオレだからな」

「ふん、ホントにふてぶてしい野郎だな……ヒイロよぉ」


 その人物はニカッと笑みを浮かべて言うと、日色もまた懐かしげに目を細める。


「そういうアンタも相変わらず暑苦しいな――オッサン」


 日色の目に映っているのは、半年前と同じ暑苦しさを備えたアノールド・オーシャンその人だった。


「あ、あの……」

「ん?」


 背後から声をかけられて日色は振り向く。

 そこには――。


「お、おおおおおおひしゃしぶりでしゅヒイロしゃん!」


 噛み噛みの幼女がいた。


「……しっかり喋れチビ」

「う……あぅ……」


 顔を真っ赤にして、自分の失敗に落ち込むミュア・カストレイアであった。この半年ほどで成長したのか、


「少し背が伸びたか?」

「あ……は、はい」


 気づいてもらったことが嬉しかったのか、嬉しそうに笑みを浮かべている。


「おお~、真っ赤になって恥ずかしがりながら落ち込むミュアも可愛いし、そうやって天使のように微笑む顔もいいなぁ~」


 アノールドの親バカぶりも健在のようである。


「ノフォフォフォフォ! これまたキタァ! キましたぞシンパシーがっ! あれぞ、ロリッ子キャラの王道! さあお嬢様も見習ってデレっぷりを!」

「そのピンク色で塗り固められた脳をいっそぶちまけてしまえぇっ!」


 ――ドゴォォォンッ!


 いつの間にかシウバの背後に陣取ったリリィンにジャーマンスープレックスをくらって脳天を地面に叩きつけられる変態の図が完成した。


「ふぇぇぇぇっ! シウバ様の頭から大量に血がぁぁぁぁっ!」


 シャモエは顔を青ざめながら吃驚している。


「お、おいヒイロ……コイツらは……ひっ!?」


 アノールドがそう言おうとした時、凄みのある視線をリリィンから感じたらしく、


「……こ、この方たちはどういった関係なんだ?」


 丁寧に言い直していた。


「ん? そうだな、信じたくはないが仲間のような何かだ」

「おいヒイロ、冗談はよせ! ワタシは貴様の主だ! それは間違えるな!」

「…………えっと、あちらの方がそう仰ってるんだが?」


 アノールドはまるでララシークに睨まれているかのような寒気に震えながら尋ねる。


「いや、アイツは少し頭が弱くてな。若干の虚言癖と妄想癖がある幼女だ。だから気にするな」

「ほほう、どうやら頭の中をグチャグチャにされたいようだなヒイロ?」

「やれるものならやってみろ」


 平然と言ってのける日色に対し、ピキピキと額に青筋を浮かべるリリィン。


「え、ええと……」


 アノールドはどうしていいか分からず戸惑っていると、突然背後から肩を叩かれる。ハッとなって振り向くと、そこには鼻血を垂らしたシウバがいた。


「あの御二方はいつもあんな感じでございますので、お気になさらないで下さいませ。それよりもあなた様がヒイロ様の仰っていた、初めての旅仲間だったアノールド様ですね? そしてそちらの愛らしい少女がミュア・カストレイア様」


 懐からハンカチを出し、鼻血を拭き取りながらそう言う。


「あ、ああ……」

「よ、よろしくお願いしますぅ!」


 アノールドに続き、ミュアは恐縮したように頭を下げる。


「おお、これはこれはご丁寧に」


 シウバも同様に頭を下げた。







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