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勇者がいる朝がやって来た!

朝。

新しい朝が来た。

希望の朝だ、と頭の中で誰もが知っているであろうおなじみのフレーズが流れている。

うん、自分でも解ってる。

これは現実逃避だ。


棚の上に置いている時計の針は朝の六時半を指している。

カーテンからは薄らと朝日が差し込み始めている。今日もすっきりした晴れの一日になりそうだ。


春休み最終日。

春休みが終わると、私、小鳥遊雛子(たかなし ひなこ )は大学二年生に無事進級する。

私の実家は曾祖父の代からの洋食屋だ。テレビで見るような洒落たイタリアン等の店のようなものではなく、昔懐かしなナポリタンやオムライスなど、家庭的な料理を出す店である。

小さな店だけど、常連さんや会社員やOL、お腹を空かせた部活帰りの学生などがよく訪れるアットホームな店で、客入りはそこそこだ。

今は祖父と母が切り盛りしていて、私も将来店を継ぐと幼い頃から決めていた。

それ故、高校を出たら調理師の専門学校に行こうと思っていたけれど、母には管理栄養士の資格を取ればいいと勧められて大学を受験。無事合格し、現在に至る。



そう。

私は幼い頃からの夢に向かって日々努力をしているのだ。

目の前の目標に向かってやるべきことはたくさんある。現実から目を背けている暇などないのである。



なのに何故!?

本気で現実逃避したい今の状況が非常に解せない。


「・・・・・ちょっと・・・」


「・・・・・・・・」


「・・・・起きなさい」


「・・・・・・・・」



私は起きたい。

なのに起きられない。

身動きすらできない。

何故か?



目が覚めると、目の前に美形がいて、文字通り固まった。寝ぼけた頭が一気に覚醒する。

しかも私はがっちりと抱きしめられている。

あ、ちなみに当然服は着てます。ここ重要。

寝る前はバリケード(布団丸めて境界線作っただけだけど)があったはずなのに。何があっても超えて来るなと言ったのに!!

というか、男のくせに睫毛が長いな。マスカラで睫毛を長く見せている世の中の女性に羨ましがられるぞ絶対。

手入れする必要が無さそうな眉に、すっとした鼻梁。意外に柔らかな金髪は、眠っているせいで少し寝癖がついている。

肌も綺麗だ。下手したら女の私よりきめ細かいんじゃないか。妬ましい・・・。でも、お手入れの仕方を聞いたらなんだか精神的にも負けた気がするので絶対に聞かないけどね!!


というか、それどころじゃない。

抜け出そうともがけばもがくほど、腕の拘束は強くなる。

ちょっっまじで痛いんですけど!

私は抱き枕じゃないというのに!


「っっレオ!いい加減起きなさい!というか離して!!」


「・・・・・ん・・・」


かろうじて自由になった右手で頬をぎゅうぎゅうと抓り、大きな声で起こすとレオは身じろぎした。漸く起きたようである。

瞼がゆっくりと開き、青い瞳が私を見つめた。表情が綻び、嬉しそうに微笑む。

やめて!そーゆーの心臓に悪い!


「おはよう、ヒナコ」


「おはよう。じゃないでしょう!何のつもりよ!?」


朝から無駄に良い声のバリトンボイスで囁かれ、男のくせに寝起きの色気がやけににじみ出ていて、若干イラッとする。そこらの女子より色気があるってどういうことだ。


「何のってヒナコを抱きしめている」


「状況説明はいい。どうしてこういう状況になってるのかを説明しなさい」


「ヒナコが近くに居たから抱きしめただけだ」


説明になってない!


「はぁ・・・もういい。とりあえず離して。もういい加減起きる時間だから」


言いあっていても埒があかないので、私は諦めてため息をついた。

渋々、といった様子だがレオは漸く私を解放した。


レオを風呂場へと追いやり、私は手早く身支度をする。

昨夜教えたことを覚えていたのか、水音がするのでシャワーを浴びているのだろう。


エプロンを着て朝食の準備をする。

大体前日のうちに下ごしらえをしているのだが、昨夜はそれどころではなかった。

コーヒーメーカをセットする。子鍋に湯を沸かし、タマネギと人参とベーコンで簡単にコンソメスープを作る。溶いた卵とハムを塩コショウで味付けしてフライパンに流し、スクランブルエッグにする。作っておいたポテトサラダの残りを小皿に盛る。水洗いした苺は冷蔵庫に。お小遣いで買ったホームベーカリーで作ったパンは軽く焼く為にトースターへ。

朝食は大事だと小さい頃から言われているので、朝も手抜きはできるだけしない。

が、はっきりいって実は寝不足だ。

欠伸が何度も出て、だめだと頭を振って目を覚まさせる。


そう。

昨夜は色々とありすぎて疲れていた。



一年前、私は異世界召喚というはた迷惑なものに巻き込まれ、元の世界に戻るためにかなり不本意ながらも旅に出た。勇者や魔女、聖女などがいるファンタジーな世界だった。実際は超サバイバルだったけどね!そして、お役御免となった瞬間強制送還。

文句くらい言わせろと言いたかったけれど、それも叶わなかった。

時差ボケと異世界カルチャーショック、恐怖体験と精神的プレッシャーを何とか乗り越えて、一年間の大学生活を無事終えた。

実習や授業など学ぶことは多いが、夢の為なら頑張れる。友人も多くは無いけれどいるし、楽しいキャンパスライフを送っている。

忙しいけれど平穏な充実した平凡な日々。

そんな日がこれからはずっと続いていくと思っていた。


な の に !!


あろうことか、昨日突然一緒に旅をした勇者が私を追ってこちらの世界にやって来たのである。


「ヒナコ」


風呂を出たらしいレオがいつの間にか傍にいた。

非現実な日常になりつつあるこの現状の元凶である。

というか気配消して側に来るのやめてください。

水も滴る良い男・・・というのが現実にいたのにびっくりだ。いや、現実ではないかな?


「ちょっと、頭濡れたままじゃないの」


料理の手を止めて私はスポーツタオルを取ってきて、レオに渡した。ドライヤーをとも思ったが、使い方を教えていないし、髪も長くないのでいいだろう。

四月といえどもまだ寒いので、風邪をひいてしまう。異世界人にこの世界の薬が効くかわからいので、病気になられたら大変だ。

ちなみにレオは今向こうの世界の服を着ている。

いかにも異世界ファンタジー!な服じゃなくて、シャツにズボンという部屋着のような簡素なものである。

必要なものは勇者便利グッズの一つである青い宝石の中に入れてあるらしく、服もその中の一つである。本当に便利なものだ。一家に一つは欲しいかもしれない。


「良い匂いだ」


にこにこと笑いながら、レオは台所を覗く。


「もうすぐできるから、座って待ってて」


素直に頷いて、レオは隣の部屋へと移動した。

つけていたテレビを興味深そうに眺めているようだ。



出来上がったスープをカップに移しながら、私は昨夜のやり取りを思い返していた。



私を迎えに来たという男、レオ・ルーデンス。

異世界から来た彼は、魔族から世界を救った勇者である。

二メートル近い、均整のとれた長身に、物語に出てくる王子のような整った顔立ち。少し垂れた瞳は青く、柔らかそうな金髪。人が良さそうな顔立ちで、どこか大型犬を彷彿させてしまう雰囲気だ。

普段は温厚な好青年風だが、有事の際は豹変したかのように雰囲気ががらりと変わる。

襲いかかってくる者には容赦なく、剣を振るう。

けれど物事を広く深く平等に見ることができ、周りに流されることが無い。

自分の決めたことに関しては、けっして信念を曲げない。また、面倒見も良く、彼の周りには多くの人が自然と集まる。

こんなできた人間がいるものかと思うが、実際いた。びっくりである。

しかも、私が異世界に行った時、レオは年下だった。

私は十八歳。

レオは十七歳。

まだ少年と言える年だった。

ちなみに私は十三、四歳くらいに見えていたらしい。

日本人は童顔に見えるらしいからね。

それにしても十三歳はいきすぎだろうと思ったが、向こうの人に比べて身長も子供みたいに低かったので仕方のないことだろう。だって向こうの人たち、平均身長百七十以上はあった気がする。対して私はかろうじて百五十センチ。…あったはずだ。

実際の年齢を言うと驚愕された。

こちらに戻って一年。

向こうでは三年の月日が流れているらしい。

つまり。

誕生日が過ぎて、私は十九歳になった。

対するレオは二十歳。

向こうに一年間居たといっても、こちらの世界では一日も経っていなかった。それに、向こうにいるとき私は時間が止まっていたかのように外見が変わらず、その一年はノーカウントだ。

それより年齢越された!!

どうりで雰囲気が変わっているはずである。

詐欺だ。

年下が年上になるなんて変な感じだ。

しかも美少年が美青年にクラスチェンジである。




出来上がった朝食をテーブルに並べ、レオの向かいに座る。


「では、頂きます」


「頂きます」


私が手を合わせて言うと、レオもそれに倣う。

向こうで私がしていたことを、レオも同じようにやるようになったらしい。

うむ、良い心がけです。


あちらの世界と食材も味も違うので少々心配だったが、レオは「美味しい」と言って食べている。

嘘がつけるような男ではないので本心だろう。


「ヒナコは料理が上手だな」


「・・・どうも。ガイルさんには負けるけどね」


ガイルというのは異世界で一緒に旅をした人で、レスラーみたいにがっちりした全身筋肉みたいな男性だ。

無口で目つきもむちゃくちゃ悪く、はっきり言って本来は怖すぎてお近づきになりたくないタイプだ。

ちなみに私は彼に片手で猫のように持ち上げられたことがある。魔物が襲ってきたから仕方がなかったとはいえ、そのまま文字通りぶん投げられたのはトラウマの一つである。後から聞いた話によると、大きな熊くらいは片手で余裕らしい。

彼は得体のしれない私を威嚇するかの様子な雰囲気を醸し出しており、始終私はビビっていた。例えて言うならライオンに狙われるハツカネズミのようなものである。

けれど何故か彼は外見からは想像もできないほど料理がめっぽう上手かった。

その不器用そうな(失礼)手と不味い保存食からどうやって作り出されるか謎なくらい味付けは繊細で、旅の道中料理をしていたのは専ら彼だった。

他のメンバーは、勇者はともかく料理をしたことのないような人間ばかりだったので、妙なものを食べさせられずホッとしていた。

一度女性陣が作った料理は目を疑って、思わず二度見してしまうくらい不気味な物だった。あれを料理と言ったら、料理を冒涜している。ある意味才能かもしれないけど。

匂いに敏感な魔物が一晩近寄ってこなかったくらいだ。相当なものである。

私も料理くらいはと思ったけれど、そもそも食材も調味料も違うし、嫌われていた私の作った物は誰も食べないだろうと思って片づけだけを手伝っていただけだ。


「そんなことは無い。ヒナコの料理もおいしい」


「・・・ありがと」


誉められると少々照れてしまう。


「それと、ガイルはあれから結婚して店を持ったんだ」


まじですか。

料理は美味しいのでともかく、あの顔でお客さん入るのか。そして結婚・・・どんな女性か非常に興味が湧く。







食事があらかた終わり、コーヒーを飲んで一息をつく。


さて。どうしたものか。


昨夜、私は目の前の男に選択と言う名の脅迫(としか取れない)を迫られた。


レオと異世界に戻るか、この世界でレオと一緒に生きるか。

私が提案した、レオ一人が元の世界に戻るという選択肢は一蹴された。



どうやらレオは私のことがす、好き・・・らしい。(うわあ・・・思い出すのも恥ずかしい)

生まれてこの方十九年。

異性に告白されたのもこれが初めてで、しかもその相手がそこらじゃお目にかかれないような美形で、さらにいうならこの世界の人間ですらない。

はっきり言おう。

どうしたらいいのか正直分からない、というのが現状である。

向こうの世界ではあらゆる種族の女性にハートマークを向けられていたが、一向に気付いた様子のない男だ。もしや男に興味が・・・と実は密かに思ってしまったが、その様子も無い。

どうやらただ恋愛に関しては鈍感なだけだったようである。

そんなハーレムホイホイ気質な男がなぜ私なんかを?

謎だ。

謎すぎる。

でも、どうしてか聞く勇気は無い。

実は小心者なんです、私。




レオの問いかけに対する私の答え。




「ほ、保留で!!」




一時間抱きしめられ、プレッシャーに晒し続けられ、かろうじて出した答えがこれである。

だって選びようが無いじゃない!


向こうの世界に行くのは断固拒否する。

私の生きるべき世界はここだ。

それに対しての答えならすぐ出る。

けれど、問題は目の前の男のことだ。


どうあっても、レオは私の側にいると決めているらしい。

一度決めたことはめったに覆すことの無い男だ。

ある意味性質が悪い。

一人で戻るくらいなら世界を滅ぼすと言われたら、向こうの世界に愛着の全くない私でもそれ以上何も言えない。

というか勇者がそんなこと言っていいの!?

その極端すぎる発想が怖いんですけど!



たいていの女子は、こんな美形に告白されたら喜ぶだろうが、残念ながら私はその”たいていの女子”に当てはまらない人間である。

むしろ逆に困惑してしまう。





じっと見ていた私を、レオは小首を傾げて見つめ返してきた。


「ね、レオ。これからどうするの?」


「ヒナコと一緒に居る」


「いやそうじゃなくて・・・」


間髪入れずに言われた。

まぁ答えを濁した私も悪かったけどさ・・・。


「それにどうやってここに来たの?聖女様に頼んだの?」


昨夜はそれどころじゃなくて聞けなかったが、良く考えたら異世界を行き来するのは聖女様でないとできないんじゃなかったのか。勇者様大好きな聖女様がこんなことをすることは無い気がする。


「彼女じゃない。まぁ・・・ある人に頼んだ」


ある人ってだれだ。というか異世界に行き来するのってそんな気軽に頼めるものなの!?

それとも聖女様みたいな人が他にもいるのだろうか。

だとしたらいらんことを!!



「ただ、そのために三年も時間がかかってしまったんだ。・・・ごめん、ヒナコにやっと会えて、嬉しくて急ぎすぎた。迷惑だったか?」


申し訳なさそうに言われ、うぐっと良心が痛んだ気がする。

あれ。私何も悪くないはずなのに。

大型犬がションボリして座っている幻覚が見える気がする・・・。


「い、いや・・・まぁ驚きはしたけれど・・・」


迷惑なのかどうなのか、不思議なことに自分ではよくわからない。

なんなんだろう。


「そうか!良かった」


面と向かって嬉しそうに微笑まれると、何も言えなくなる。


「そうだ、ヒナコ。これを」


「?これ・・・」


テーブルの上に置かれたのは、羽のモチーフが彫られている小さな鍵。

今はくすんだ色になっているが、向こうの世界では金色の鍵だった。

魔族と人間の世界を隔てるために作り出した扉の鍵。

役目を果たしたら消えたと思ったのだけど。


「どうしてこんなものを?」


「ヒナコに渡すように言われたから」


「誰から?」


「今は秘密だ」


なんだそれ。

よくわからないが、鍵のデザイン自体は気に入っていた。

妙な現象でも起きやしないかと問うと、「今は何の力も無い」と言われたのでそれを手に取る。

紐でも通したらアンティークっぽいアクセサリーにでもできそうだ。



「で、レオはどうするの?向こうに帰る?」


「帰らない」


私が答えを流したので、とりあえずあちらに帰るかと思ったが、そうではないらしい。

異世界を行き来することは本来禁じられており、めったなことでは術の使用は認められていないという。ならレオは誰に送ってもらったのかと聞いたが、これも秘密だと言われてしまった。

じゃあどうするのかと聞くと、レオはとんでもないことを言い出した。


「ここでヒナコと住む」


「へー・・・ってはいい!?」


何と言ったこの男!


「ヒナコが答えを出すまで、俺はヒナコと共にいる」


「いやいやいや、待って!とりあえず一晩は泊めたけど、これ以上は無理よ?」


「大丈夫。迷惑はかけない」


「そういう問題じゃない!」


仮にも年頃の男女が同じ屋根の下で、恋人でもないのに暮らせるわけがない。


「それに、ヒナコ。もう一つの答えも貰っていない」


「え?なんだっけ」


「俺はヒナコが好きだ。でも、ヒナコの気持ちを聞いていない」


「!」


そこを突いてきたか!

上手く流せたと思ったのに!!


「ヒナコは俺が嫌いか?迷惑か?」


直球で聞いてきたなこの男は!

さりげなく立ち上がり、座る私の側にレオが近づいてきた。

情けないことに私は座ったまま逃げるようにずりずりと後ずさる。

というか身長差ありすぎて威圧感半端ないんですけどおぉおおおおお!!


「いや、嫌いと言うわけでは・・・・」


「じゃあ好きか?」


「えーっと・・・」


背中に壁が当たる。

しまったと思った時には、逃げられないように長い腕の中に封じ込められた。

だらだらと、妙な冷や汗が出る。


焦りながら考える。


嫌い、ではない。

では好きか?と聞かれるとどうだろう・・・。

友情的な?と言われると、一年も一緒にいたのだし、一番身近にいたので多少は友人に近い感情も芽生えた。と、思う。

けれど、異性としてと聞かれるとどうだろう。


初恋もまだな私にはハードルは高いです。


好きじゃないと答えたら、後が怖い気がするのは絶対気のせいではない!




見目麗しい相手に迫られるというシチュエーションに憧れている方々。

言っておく。

ある意味これは色んな意味で身の危険だ。

できれば自分はこういう場面にはお目にかかりたくない。


さらりと長い指で黒髪を掬われ、至近距離で見つめられる。


なんか色々やばい。


自分の顔が赤くなっている気がする。


「ヒナコ・・・」


「わ、わかんない!!からごめんっ頼むから離れて!」


これ以上近づかれると、変な奇声を上げそうだ。

私を見つめていたレオは、一瞬呆けた顔をしたが、次にはくすりと笑った。


「じゃあ、俺は待つよ。ヒナコの答えが出るまで」


漸く離れると思ったら、レオが一瞬身を乗り出してきて、額に柔らかいものを感じた。


「・・・・・・・!?ちょっなななな何をっっ」


額にキスされた!!

真っ赤になって額を抑える私を、レオは楽しそうに笑った。


「ヒナコが俺を好きだと気づいてくれるまで時間はたっぷりあるしな。待つのも楽しみだ」


誰が!

誰を!

何だと!?


羞恥なのか驚愕なのかわからいまま私は固まった。

というかレオ!

なんかあんた性格変わってない?

今までは落ち着いた雰囲気だったのに、今はどことなく年相応の、どこにでもいるような青年みたいだ。

勇者という肩書から解放された今、本来の性格はこっちだったのかもしれない。


「やっ、やっぱり一人で帰れ!!」


「断る」


笑いながらレオは言った。



ああ・・・私の平穏な日常よ。

さようなら・・・・・・・・・・。




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