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青年消失。その意図は・・・

必要な物を採取したからなのか追っ手はもう居なかった。

あっさりと軍事施設から抜け出すと謙吾は迷うことなく真衣の住処に戻っていた。

「・・・ただいま」

「よくもぬけぬけと帰ってこれたわね!このアホんだらぁあああ!」

いつもの如く攻撃が繰り出されるかと思いきや、涙目で抱き付いてきた。

「無事で、良かった・・・」

初めて抱き締められる女性の温もりに謙吾は戸惑いながら真衣を引き剥がした。

「まぁ、実際あんまり無事じゃねぇーんだけど」

イノをチラ見する謙吾に真衣はその姿に驚愕した。

「きゃぁあ!は、裸!?」

悲鳴に近い叫びに謙吾はイノが素っ裸であった事をようやく思い出した。

「あぁ、そう言えばこいつ全裸だったな・・・」

「ど、どうでもいいからさっさと服着せなさいよっ!」

苛立ち気味に命じる真衣に謙吾は渋々食料庫にひっそりと置いてあった着衣を取り出した。

以前着ていた黒のタンクトップをイノに渡した。

するとイノの身体にはそれは大きすぎ、まるでワンピースになってしまった。

「・・・・・・デカ過ぎるな」

「うん。あと足下がスースーする」

「もう、何だっていいわよ!」

ようやく冷静にイノを直視出来るようになった真衣は再び悲鳴を上げた。

「いやぁああ!み、ミミがぁ!!」

真衣の嘆く声にイノは複雑そうにミミを垂れ下げた。

「あっ、う、うん。ちょっと切られた・・・」

「ちょっとって、どこがよっ!!」

激怒する真衣を謙吾は宥めると改めて頭を下げた。

「それより、ありがとな。おかげで無事帰れた」

普段とはまるで違う謙吾の態度に真衣は戸惑った。するとイノも謙吾に習い、お礼を述べた。

「俺からも言いたい。ありがとう」

二人からの誠意に真衣は満更でもなさそうな表情を浮かべた。

「べ、別に。イノちゃんの為だったんだから当然よ!」

その言葉にイノは真衣に対する警戒心は完全に消え去った。

「さてと、片付いたし。飯にすっか?」

「・・・結局あんたってそうなんのね?まぁいいけど」

どうしようもない謙吾に溜息つきながらも今回は活躍に免じてご馳走を振る舞うのだった。

その夜。イノは月を見上げ今日の出来事を振り返っていた。

「・・・どうした、ガキ。眠れねぇーのか?」

「あ、ケンゴ。うん・・・」

どこか心配そうなイノの表情に謙吾は隣に腰掛けた。

「安心しろよ。もう追っ手は来ねぇからよ」

「・・・ううん、そうじゃないんだ。ケンゴのお兄さん。大丈夫かな?」

「はっ?あいつの事心配してんのか?」

「う、うん。だってあのままあそこに居たらケンゴのお兄さんきっと酷い目に合うんじゃ・・・?」

「・・・・・・だから?」

「ケンゴはいいの?お兄さんなのにほっとくの?」

「・・・あいつが勝手にした事だろ。俺には関係ねぇーよ」

「どうして!だってお兄さんはケンゴの為にあの仕事してるんでしょ!?」

「・・・チッ。うぜぇな。ガキのくせに面倒な事言ってんじゃねぇーよ!!」

苛立ち気味に舌打ちをすると謙吾はそのまま暗闇に去って行ってしまった。

「・・・ケンゴ」

そのままイノは諦めるように寝床に戻ると眠りについた。

朝、イノは目を覚ますといつも寝ているはずの謙吾の姿がない事に気付いた。

「真衣さん。今日ケンゴは?」

「さぁ?私が起きた時にはもう居なかったわよ?」

「・・・珍しいね」

「珍しいって言うか、初めてよ。私より早く起きてるなんて」

苦笑しながら答える真衣にイノは胸がざわめいた。

「ちょっと捜してみる」

嫌な予感が頭を過ぎりつつもイノは周辺を走り周った。

「・・・居ない。まさか昨日の事気にして?」

思わずあっち側に目を向けるが一人で乗り込む勇気はなかった。

「・・・きっと帰って来るよね」

何時もの食料調達だと自分に言い気かせ謙吾の帰りを待った。

だが夕暮れを迎えてなお、謙吾は一行に帰って来る気配はなかった。

「あいつ何時までほっつき歩いてんのかしら?」

「・・・・・・俺のセイかも」

「えっ?」

「俺が昨日お兄さんの事心配じゃないのかって言ったから・・・」

「えっ?何、どうゆう事?」

事情がさっぱり呑み込めない真衣はイノに詳しく聞いた。

「・・・成る程」

ようやく事態を理解した真衣は神妙な面持ちで頷いた。

「もしかしてもう戻って来ないつもりなのかしら・・・」

「ぇえ!?どうしよう。俺のセイでケンゴが・・・・・・」

思い詰めるイノに真衣は優しくいい聞かせた。

「安心しなさい。あいつは多分ケリをつけに行っただけよ!」

「じゃあそのケリってのが済めば戻ってくる?」

「・・・それは分からないわ」

アバウトな慰めにイノはがっかりしたようにミミを垂れ下げた。

「大丈夫よ。あいつは殺したって死なないから」

自信に満ちあふれた表情で真衣は言ったがイノは不安でいっぱいだった。

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