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逃走、限界の末に見た希望

たった一撃受けただけで無惨にイノを連れ去らわれた謙吾。

その報告を真衣は黙って聞いていた。

「・・・そう」

謙吾のやりきれない(いきどお)りに真衣は責める事が出来なかった。

「それであんた、どうすんの?助けに行くの?」

「・・・俺だって命は惜しい。行きたくても行けるかよ」

「・・・・・・そうよね」

あっち側の人間はこっち側の人間を人だとは思っていなかった。

それはこっち側も同じだがあっち側の武力は桁違いだ。対抗など出来るはずがなかった。

諦めるしかない一方でイノだけは諦めていなかった。

「いい加減下ろしてよ!!」

ずっと猫のように首元を掴まれるイノは暴れていた。

「ふう。煩いですね。これだから動物は嫌いなんですよ」

今にでも殺しかねない一義の眼差しにイノは抵抗を止めた。

「いい子ですね。さぁ、着きましたよ。ここが新しい居場所です」

そう言われ放り込まれた場所は何かの研究施設だった。

「ようこそ。早速ですが身体検索をさせて頂きます」

「えっ?えぇっ?」

取り乱すイノの衣服を研究医は問答無用で剥ぎ取った。

すると今まで隠されていた尾てい骨から伸びたシッポが露わになった。

「これは凄い」

じかに生えたシッポはちゃんと意思を持って動いていた。

興味津々な研究医の目つきにイノは恐怖を感じた。

「こ、来ないで」

震え上がった仔猫のように身を強張らせるイノ。

だがこの研究施設には扉一つしかなかった。

その扉も頑丈に施錠されていて開きそうにもなかった。

近付く研究医にイノは咄嗟に飛び退いた。

「クソ!大人しくしろっ!!」

猫の如くちょこまかと逃げるイノに研究医は完全に弄ばれていた。

「やれやれ。やはり少し痛い目に合った方がいいみたいですね」

気乗りしない一義は重々しい溜息をつき、立ち上がった。

研究施設の施錠を解除するとイノは一目散に突進した。

「どけぇええ!」

動物的瞬発力に一義は反応出来ず、イノを取り逃がしてしまった。

「・・・何と言う事でしょう。この僕から逃げるとはいい度胸です」

沸々と湧き上がる一義の怒りに研究医は顔を真っ青にした。

「やはり生きて捕らえるのは間違いだったようですね」

始末する気満々の一義に研究医は恐る恐る止めに入った。

「お、落ち着いて下さい。総管の命に背きます!!」

「黙れ、死にたいのか?」

キラリと光る眼鏡と眼光に研究医はそれ以上何も言えなかった。

殺気に充ちた一義は最早誰にも止める事は出来なかった。

「脱走者だ、引っ捕らえろ!」

「総管命令では多少傷つけても構わないが生きて捕らえろとの事だ」

研究施設から抜け出しても敵の本陣に居る事に変わりなかった。

考えが甘かったイノは次々と増員する軍隊に追われていた。

「うぅ。くそぉっ・・・」

逃げる体力が既に底つきかけているイノは涙ながら走り続けていた。

今足を止めたらもう逃げる事は出来ないと分かっていたからだ。

「はぁ、はぁ。誰か、助けて・・・」

もう限界に近いイノは苦しそうに息を切らせた。

「ケンゴ・・・・・・」

倒れ込む瞬間思わず謙吾の名が口から飛び出した。

今思えば最初に出会い、手を差し述べ助けてくれたのが謙吾だった。

いい人ではなかったがイノにとっては恩人だった。

だから勝手に口からその名が出たのだった。

腕を掴まれ、終わったと悟ったイノ。

しかし腕を掴んだ人物は聞き慣れた悪態をついた。

「諦めてんじゃねぇ!まだてめぇ走れんだろ!!」

「・・・ケンゴ?何で!?」

「言ったろ?親父の好きなようにはさせねぇって」

切羽詰まって答える謙吾にイノは嬉しそうに呟いた。

「ありがとう」

「礼なら真衣にも言えよ。てめぇの為に背に腹は変えられねって協力してくれたんだ」

「エッ?」

改めて状況を確認すると多くの軍隊が猫達の襲撃で立ち往生している事が分かった。

「・・・真衣さん」

「まぁ、そのお陰で俺もこうして生きて侵入出来たって訳」

「随分と余裕じゃないですか」

走りながら会話する謙吾達を(はば)むように一義は立ちはだかった。

「・・・来たか」

「今度はもう逃がさん。手加減もしない」

「いいぜ。今回はちゃんと武装して来たからな」

腕を振り、警棒を取り出す謙吾に一義は眼鏡を上げた。

「本気の僕に得意武器のミリタリーナイフでなく警棒ですか?甘くみてません?」

「あいにく俺はもう人殺しはごめん何でね。甘くみてるつもりはねーよ?」

「・・・そうか。ならいいだろう。存分に相手してやる」

鞘に手を掛けた瞬間謙吾はイノを背負い上げ、飛び退いた。すると床一直線に亀裂が走った。

「ガキ。しっかり捕まってろよ!」

謙吾に言われるままイノは無我夢中でしがみつくと謙吾は空中で壁を蹴った。

その反動で一義との間合いを一気に詰めると謙吾は警棒を振った。

キーンと甲高い金属音が響き渡り、警棒を刀で受け止めた一義は余裕の表情で言った。

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