例えば革命の赤だとか
それは、取り繕った理性を燻る情熱の赤か。
それは、彗星の如き理想を彩る虚構の赤か。
それは、他者に愉悦をもたらす恥辱の赤か。
それは、自由に焦がれ奔走する革命の赤か。
***
我ながら、凄まじい努力と執念であったと思う。
「まさか、本当にディアフォロンになれるとは……」
九条立九条学園。
馬鹿みたいな名前だが、由緒だけは無駄にある名門校だ。
『学生の、学生による、学生のための学園作り』
これが九条学園が掲げる学園ポリシーである。学内イベント、クラス編成、校則の制定に至るまで、すべては生徒の自治に委ねられている。
聞くだけなら、理想郷もいいところだろう。
だが理想には、必ず代償がある。
自由を維持するための学費は常軌を逸しており、一般家庭では入学金を見ただけで気絶しかねない。
九条学園は、自由であると同時に、露骨なまでに選別的な学園だった。
ではなぜ――
コネもカネも家柄もない、ただの一般人である俺、青葉紅葉が、この学園に立っているのか。
答えは一つ。
ディアフォロン制度。
端的に言えば、特待生制度である。
入学試験において特に優秀な成績を修めた者のみが与えられる、学費全額免除の資格。
それは恩恵であり、同時に担保でもあった。
成績、素行、学園への忠誠。
一般市民である俺の持ち得る全てを差し出すことで、ようやく手に入る自由への片道切符。
俺がこの学園を志望した理由を誰かに説明するならこうだ。
――自由を嘯くこの学園に、興味があった。
学生自治を掲げながら、学費という壁で露骨に人を選別する矛盾。
その歪みを、少し近くで見てみたかった。
もっとも、それはあくまで建前だ。
本当の理由は、わざわざ格好つけて語るほど知的ではなく、恥的だった。
この学園には「学園奉仕メイド部」なる部活が存在している。これ以上言わせるな恥ずかしい。
中学三年間。
存在したかもしれない青春を横目に、勉強だけにすべてを捧げた。
結果としてディアフォロンとなり九条学園に入学できることになったのだ、後悔はしていない……はずだ。
***
入学早々、俺は生徒会の下部組織に配属された。
名は「学園自治補佐」。
実態は雑用係だ。
校則の抜け穴を埋め、部活動の報告書を精査し、問題が起きそうな芽を事前に潰す。
自由な学園を守るための、不自由な仕事。
そんな俺に、ある日、一つの命令が下った。
学園奉仕メイド部の実態調査
正直に言えば、内心は少しだけ浮ついていた。
理由はもちろん、俺が筋金入りのメイド好きだからだ。言わせるな恥ずかしい。
血か、教育か、父の蔵書か。
起源は定かではないが、その熱だけは確かだった。
だからこそ、この調査は秩序のための仕事




