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難易度設定 ノーマルモードへ

何もない真っ白な空間

ここはどこだろう?僕は寝間着に着替えて寝てたはずなのに、


外行きの七分丈のいつものズボンをはいている。靴下も。

親に買ってもらった少し大きめの上着も着てて、シャツにはジャボタイもちゃんとしてある。


アミナス「夢?」


「お前がハードモードでいいって言ったんだろ?」


え?


後ろの声に振り向くとそこには光る人形ヒトガタの何かがいた。まぶしすぎるせいで、顔の骨格、輪郭さえ曖昧だ。


アミナス「ハードモード?」


「今の状況さ。やめるのか?」


やめれるものなら、やめたい!


アミナス「可能であれば、是非!」


「しょうがねぇプレイヤーだな。自分から言い出しといてコレだもん。」


生まれてくる前のことを言っているのだろうか?このヒトガタは?僕の心は人生がハードすぎて折れそうだ。


「ほれ?コレでもういいはずだ。」


アミナス「ありがとう。キ ミ ノ  ナ マ エハ………………?」




パチリ


騎士団詰所の見慣れない天井。

枕は家から持ってきたやつだから多少ベッドが固くなっても寝つきはいい。

窓の遮光カーテンの隙間から朝の光が差し込んでいる。


シャッ!


アミナス「今日は首都に行くんだったな。」


ザッ!ザッ!ザッ!ザッ!…………


眼下では兵舎から出た騎士の一団が歌に合わせてジョギングしている。




ロイ「妻帯者なら信用度は上昇します。魔女ネブリナはうってつけの人材だ。」


ネブリナ「そりゃどうも。」


軍用馬車でラウト王国首都セントローゼにある金融街を目指す。

ロイ大佐と僕と隣にいるネブリナの三人は向かい合って座っていた。


ロイ「リヴィエール公はネブリナと一緒にいて頂けるだけでいい。多分、ジロジロ見られると思いますが、頑張りましょう。」


頑張って耐えろってことかな?ネブリナはエ○チだけど、さすがに人前では襲ってこないだろう。


ムニュウ


柔らかい体に腕を取られる。


最初の頃は肉だるまな体形だったが、今はダイエットのせいか、お腹は引っ込んで腰がくびれてきていた。

大柄な美魔女?といった感じだ。


ネブリナ「フッフッフ……」(鼻息荒い)


助けてダリア。




銀行頭取「ラウト王国統合作戦群所属、幕僚大佐ですか。なるほど。」


ロイ「保証人には公爵家のアミナス•リヴィエール様が就いてくださいます。」


銀行頭取「事業内容は……製鉄ですか。」


投資銀行からまとまったお金を借りるため、窓口の奥の応接室に案内され、銀行頭取から直接審査を受ける。


テーブルを挟んで座る頭取のメガネの向こう側の目は、僕らの頭のてっぺんから靴の先の汚れまで、くまなくチェックしてるようなギラギラしたものだった。


アミナス『ひぇー。借金返済でギリギリの生活だしなぁ。今の状況を脱するためにはまとまったお金が必要なんだ。頼む!何とかなってくれ。』


銀行頭取「リヴィエール公は若くしてご結婚されてると……」


ジロリ


ネブリナ「若くてたくましいアミナスは私の体を毎晩求めますの。」


銀行頭取「う!な、なるほど。」


ロイ「ハ、ハハハ……」


ち、ちがうよー!


ハードモード⇒ノーマルモード ガチリ!


銀行頭取は一瞬止まって、また何事もなかったように話しだした。


銀行頭取「わかりました。わが銀行がお力添えいたしましょう。」


アミナス『なんだ今の?』




首都にある製鉄所を見て回ったが、どれも今の僕らには規模が大きすぎて参考にはなっても、再現可能なものではなかった。


アミナス「ここも、工場が大きすぎるよ大佐!」


ロイ「ですな。」


工場を出た僕らに、暑いからと中にはついてこなかったネブリナが合流する。


ハードモード⇒ノーマルモード ガチリ!


ネブリナ「そしたらアタイの方で工房の図面はなんとかしてやるよ」


アミナス「どうするの?」


ネブリナ「魔女集会。あそこに転売ヤーのリサって奴が居る。ソイツに掛け合ってくるよ。」


なんか、便利なルートが解禁になったような気がする。




騎士団詰所に帰ると早速、ネブリナは記憶喪失の魔女のダリアを連れて魔女集会に行ってくるという。


アミナス「僕は行かなくていいの?」


ネブリナ「性的に搾り取られたいならどうぞ?」


え?!いやだ、行かない。


アミナス「ダリアはどうして連れてくの?」


ネブリナ「ダリアは魔女だ。見知ったやつが来てるかもしれないだろ?連れていけば何か思い出すかもしれないからさ!」


ダリア「アミナス様、心配しないでくださいね?」


ネブリナ「それじゃ行ってくるよ!」


ネブリナが詰所の一つの部屋の扉を開けるとそこはいつもと違う真っ暗な空間だった。そこに、二人の魔女が入って扉が閉まる。


オルガ「何、今の?」


不思議に思ったオルガ姉がもう一度、扉を開けるとそこはいつもの部屋だった。


オルガ「……え?」


アミナス「魔女ってすごい……。」




ネブリナ達が帰ってきたのは、次の日の朝方だった。

僕とオルガ姉は食堂の長テーブルで並んで座って給食を食べていた。


アミナス「おかえり。なんかツヤツヤしてるね?」


ネブリナ(ツヤツヤ)「そーだろ?惚れ直したか?」


う、うん!


ダリア(ツヤツヤ)「エステのお試しキャンペーンがあったのでつい……」


ダメだ、好きが止まらない。


そこへロイ大佐が慌てて食堂へ入ってきた。


ロイ「ここにおいででしたか、リヴィエール公!王宮から召集令状が届いてますぞ!」


え?なんかしたかな?


僕はロイ大佐から令状を受け取ると、中を開いて確認した。


アミナス「…………あー、しまった。勝手に国の財産の屋敷を売っちゃったから国王が怒ってるって書いてある。」


ダリア「う、打首ですか?」


アミナス「そこまではならないと思うけど……」


オルガ「怒られに行くの?ヤダー。」


責任を取って僕は王宮へ向かうこととなった。

トホホ……




王宮控室


アミナス「ネブリナはついてこなくてもよかったのに。」


ネブリナ「うちの旦那のやることにケチを付ける奴らの顔を拝みに来たのさね!」


うわー、なんか怒ってる。


アミナス「変なことしないでね。」


ネブリナ「バレなきゃいいのさ!」


あ、確実に、なんかしでかす気だー……




謁見の間


玉座の前に立つ僕らを他の公爵家の奴らがクスクス笑いながら見ていた。


パチン!パチン!


すると、壁が急になりだした。ラップ音と言うやつだろうか?公爵家の奴らが音のする方を向く。


それを見たネブリナが小さくつぶやく。


ネブリナ『キニシタな?』


「ぎゃあ!」


「ぐわ!」


いきなり、耳を押さえて苦しみだす公爵達。


アミナス『えぇ?!ネブリナ、何したのさ!』(ヒソヒソ)


「静粛に!」


退室する公爵家の者たち。それに合わせるかのように国王が入ってくる。


右大臣「リヴィエール公!貴公は何の許可もなく、わが国王の財産であるアントルイスの屋敷を売った!これはまことか?!」


アミナス「相違そういございません。」


国王「なぜだ。」


初めて国王が喋った。

僕はその時は不思議に思わなかった。

しかし、そんな事は前代未聞のことだった。


アミナス「モアナを、アントルイスの民をカウテースから守るためにございます!」


ガチリ!


国王「今の予算では足りぬのか?」


アミナス「私も含め、幕僚大佐である臣下ネーベルホルンも借金を作り、金策をしている状況です!」


国王「わかった。今月から予算を増やそう。」


右大臣「国王様!」


ザワザワ


国王「沈まれ、よく頑張ったなリヴィエール。」


アミナス「あ、有り難き御言葉!」


僕は死地に追放された悔しさや、今までの努力やつらい節約生活、オルガ姉やダリアに苦労をかけていた申し訳なさ、もろもろの思いがこみ上げてきて、歯を食いしばって泣いた。




帰りの馬車の中


ネブリナ「あたしゃ、あのヒゲヤローにも一発かましてやろうと思ってたんだよ。」


え?


アミナス「国王陛下?」


ネブリナ「その横で偉そうに喋ってた大臣さね!」


あー、右大臣か。ヒゲの人ばかりのとこだったし、ヒゲヤローって言われても誰かわからないよ。


アミナス「とりあえず、金銭面では何とかなりそうだ。」


ネブリナ「コレで安心して子作りに励めるね!」


えぇ……もう流石に相手にしてやらないと可哀想かな?

どこからか「ダメ!」て言われてる気がする……




騎士団詰所に帰ると穀倉地帯のセラに行くと言っていたダリアが嬉しそうに僕らを出迎えた。


ダリア「アミナス様!聞いてください!私やりましたよ!」


飛び跳ねるダリアを落ち着かせて話を聞く。


ダリア「地下水!セラの麦芽で作るお酒の水につかってもらえるように頼んできたんです。そしたら試用してみるって!うまく行けば全国規模でシェアを取れますよ!」


穀倉地帯セラのビールは全国で流通してる7割超えのシェアを誇る。そこに食い込めば採算は取れる。


アミナス「すごい!やったね!ダリア!」


喜ぶ僕たちの横をオルガ姉が何か小包を持ってネブリナに歩み寄った。


オルガ「なんか届いてたよ?」


ネブリナ「お?あの女にしては、早かったわさ。」


アミナス「なにそれ?」


ネブリナ「たたら製鉄工房の設計図さね。」


聞けば、その図面の工房は鍛冶屋の魔女が使っているものと同じらしい。


つまり、実績があるということだ。


ハードモードだった人生がノーマルモードになった途端、随分と楽に事が進むようになった。


「神様、ありがとう!」

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