亜人
朝食
コトッ
賊リーダーの亜人「……なんのつもりだ?」
アミナス「毒は入ってない。」
全頭マスクを外した賊リーダーを食卓に座らせ、その目の前に食事を運ばせる。
その皿のものをスプーンで一つ食べてみせる。
亜人「……で?」
アミナス「君の名前は?」
コルボ「コルボ。」
ネブリナ「へー、素直じゃないか?」
オルガ「亜人、しかも女性で暗殺部隊のリーダーやってんだから大したやつだよ。」(ムッシャムッシャ)
女性陣は賊の尋問に構わず朝食を取っている。昨日、命を狙ってたのが目の前にいるのに豪胆なことだ。
アルメア「アミナス様?その人をどうするのです?」
アミナス「アベナに駐留するカウテースの軍を探ってもらおうと思って?」
ダリア「レアメタルの時のように、ウィルさんに頼めばいいのでは?」
アミナス「いや、今回は駐屯地内部への潜入だから素人のウィルじゃ心配だもん。」
ディーネ「多分、魔導兵器が配備されてるだろうね?」
ネブリナ「あんた、それ話していいの?カウテースにいたじゃないか?」
ディーネ「最後らへんはデータ取られて解雇されたんだ。いいのさ!」
ふ、ふーん。
アミナス「用件を飲んでくれたら縄を解く、食事もしていい。どうだろうか?」
コルボ「二重スパイをやれってか?」
アミナス「まあ、そうなるね。」
アルメア「我々はコーラス平原を取りに行きます。」
ブブブブ……
アルメアの傍らにはオオスズメバチたちが飛んでいる。
コルボ「断ったら?」
シュッ!
オルガ「次はない。」
投擲されたナイフで切れた亜人の頬から鮮血が流れ出る。
アルメアの両の手がすばやく動いて何かの形を作る。
ダリア「アルメア様、なんですそれ?」
アルメア「東洋式の魔法です。手の形一つ一つが術式になってます。お師匠様に習いました。」
ゴクリ
コルボは冷や汗をかいている。
アルメア「詠唱魔法とは違ってこれは防げませんよ?」
アミナス「どうだろう?命も助かるよ?」
コルボ「わ、わかった。やろう。」
ネブリナ「アンタの手首の入れ墨、紋章魔法だね?なんのやつだい?」
コルボ「誰が言うか!」
サァァ
コルボの顔の周りだけ霧が出る。
コルボ「う!」
ネブリナ「早くいいな?」
コルボ「いっインビジブル(不可視)だ!」
霧が晴れ、コルボが咳をする。
ネブリナ「ネブリナ様をなめんじゃないよ。」
ダリア「何の霧ですか?」
ネブリナ「毒の霧。うっすいやつだ、下痢になる程度だよ。」
コルボ「く、化け物揃いじゃないかここは。よくお前、生きてるな?」
まぁね?毎日が大変です。
コーラス平原、穀倉地帯アベナの駐屯地の偵察には1週間の期限を設けた。今日はその期限の日。
アルメア「ちゃんと帰ってきましたね。」
ネブリナ「えらいね?子猫ちゃん。」
コルボ「当たり前だ!監視にハチなんてつけやがって!おかげで、不可視状態でも見つかるんじゃないかとヒヤヒヤしたぞ!」
うふふふふ、とアルメアは笑う。
屍鬼神のテストも兼ねてたのだろう。うまくいって満足気だ。
ダリア「まだ信用してたわけでは、ありませんでしたし。」
アミナス「コルボが、ちゃんと帰ってきたことだし、お昼にしよっか?」
「さんせーい。」女性陣は皆揃って食卓のある部屋へ向かった。
アミナス「君の分もあるから行こう。」
コルボ「一つ聞きたい。アベナをどう攻める?」
アミナス「アルメアは兵糧攻めにしようって。」
コルボ「やめてくれ!あそこには私の同胞がたくさん労働力として入植してるんだ!」
亜人種の扱いはあまりいいものではないと聞くが……
アミナス「奴隷?」
コルボ「そうだ!カウテースでは、それが当たり前なんだよ!」
アミナス「うーん、そうなんだ?じゃあ、兵糧攻めは無しかな?」
コルボ「本当か!?」
アミナス「みんなに意見を聞いてみよう。」
アルメア「兵糧攻めは却下ですか。」
アミナス「うん。ごめんね?」
アルメア「いえ。構いませんが、アミナス様がそう判断された理由を伺っても?」
アミナス「過酷な奴隷生活をしてる亜人種が更に、酷い目にあうんでしょ?流石に酷かなと。」
オルガ「戦は非情なんだよ、アミナス。」(モグモグ)
アミナス「でも、占領政策とか考えたら、現地の人間から買う恨みは少ないに越したことないでしょ?」
オルガ「あー、たしかに?幕僚みたいなこと言うなアミナスは?」
アミナス『コッチまで、猪武者はやってられないよ……』
ギュー
アミナス「いっへぇー!!?」
つねられた頬をさする。首ごと取れるかと思った……
ネブリナ「毒の霧で即死させるのは?」
アミナス「ダメだよ!」
コルボ「やめてください!」
ダリア「じゃあ、私の辺津鏡はどうでしょう?」
あ、この女性たちがいたら兵とかいらないんじゃなかろうか?
アルメア「私のハチさんでも指向性は持たせられますよ?カウテース兵だけとか余裕です。」
つか、毒の霧ってのがあるんだったら。
アミナス「何かで、カウテース兵をアベナから引き離して毒の霧で一掃するのもありだね?」
ネブリナ「でも、強力なのになると効果範囲は限られるんだわさ。」
ダリア「そうすると、私とアルメア様のハチさんも併用です。」
アミナス「うーん、そっかぁ。」
ツヤツヤ状態で効果範囲が広がるとかあるかな?今度、実験してみよう。ネブリナで。
後日、ゴブリンの出る森で通常のネブリナの毒の霧とツヤツヤ状態のネブリナの毒の霧で実験してみた。
ピクピク
ゴブリン「うごごご……」
霧の中心部の奴らは即死した。霧の端にいたゴブリンはピクピクして気絶している。
ネブリナ(ツヤツヤ)「まだ生きてるね。コイツ。」
アミナス『通常より、ツヤツヤ状態の方が効果範囲が広い。』
作戦の前日は皆にエステに行ってもらうとしよう。そうじゃないと、僕の身が持たない。
実験から帰ってきて、コルボの部屋へ行き、アベナ駐屯地のことをさらに詳しく聞く。
アミナス「アベナに魔導兵器ってあった?」
コルボ「あったよ?いつもは起動させずに倉庫においてあるんだ。」
アミナス「何機?」
コルボ「デカいのが二機。」
アミナス「起動前に破壊したいところだ。」
コルボ「……お前さぁ、私の所に一人できていいの?襲われるとか思わないわけ?」
アミナス「あ、考えてなかった。僕、猫好きだし。」
コルボ「プッ!ばっかじゃないのw」
大丈夫だし、僕は強いもん。
ガシッ
と思ったのも束の間、関節を素早く決められて組み伏せられる。
アミナス「むぐぐぐ……」
コルボ「お人好しすぎるな。」
パッ
コルボ「今度から気をつけるこった。お前は自分で思ってる以上に弱い。10代だろ?確か。」
アミナス「ゲホ、ゲホ、そうする……。あ、それと駐屯地の隊長はどんなやつ?」
コルボ「こんなことになってまだ続けるの?まぁ、そうだなぁ、好戦的なやつ。でないと、何回もモアナに攻め込んでくるワケがないよ。」
アミナス「オルガ姉の一騎打ちに乗ってくるかな?」
コルボ「ソイツも代々、軍人の家のやつだ。武功とかメンツとか気にすると思うぞ?」
フラオ関が抑えられたと知ったら籠城してても増援は絶望的と見て、短期決戦に出てきてくれるだろうか?
まぁ、その時は当たった後は流れでってやつだな。
ピコピコ
猫型亜人の長い尻尾の先が楽しそうに左右に揺れている。実家の猫も遊んでるときはこうだったような?
アミナス「とりあえず、夕飯になるからおいでよね?」
コルボ「気が向いたら行くよ。」
本当、猫だよなぁ。僕は部屋を後にした。
アミナス「ディーネ、見せたいものって?」
ディーネ「私の工房にようこそ!」
ディーネに見せたいものがあるからと部屋まで来たが、中は空間が魔術で広くなっていった。ネブリナの森の館を思い出す。
アミナス「魔導兵器ってやつ?」
ディーネ「そうそう。ここのレアメタルて作ったんだ。神造外骨格並みの強度になってる。」
部屋の真ん中に二機の黒光りした。ロボットが佇んでいた。その体には無数のくだが差し込まれている。
アミナス『神代の超技術か。魔女だけ生きてる時代が違うんだなぁ。つか、神造外骨格ってなんだ?』
ディーネ「近接格闘専用のヤツと遠距離狙撃タイプを分けて作ったんだ。いいだろ?ブースターで高所の設置もへっちゃらさぁ!」(ニコニコ)
好きな研究、実験ができてると魔女は生き生きと輝いている。ブースター?もう、聞くのが面倒だから思考停止で聞いとこう。
アミナス「コイツラをコーラス平原に投入してもいい?」
ディーネ「いいよ!たっぷりデータを取れそうだ!」
そういえば、
アミナス「コイツラって名前とかある?」
ディーネ「一応?近接型はメリクリウス、遠距離型はヴァエイト。」
アミナス「長いから、メリーさんとヴァさんでいいや。」
ディーネ「何その、お化けみたいな名前w」




