第7話
夜会 パーテイの一夜 バルコニーからは夜のガス灯が見える
酔い覚ましなどを兼ねて広いバルコニーで広間の喧騒と屋敷からは離れたパリの街並みを眺めつつ‥。
「今回の日露戦争では日本側への資金提供か」
「ロシアの反ユダヤ人主義の迫害は目を覆うばかりの酷いものですからね その反動もあるのでしょう」
「ええ、それに前にも日本での鉄道事業の公積の購入
英国で販売された公積の大量購入‥つまり日本の初の鉄道にも資金を出したわけだ」
今度は屋敷を眺めて二人はまた話し出す
「さすがロスチャイルド家の屋敷ですね」
「ああ、その一つの別邸だけどね 城などはプロイセンの王も溜め息を漏らしながら褒めたようだ
なんでも、自分の王宮より豪華と言ったとか」
「アイルランドのジャガイモ飢饉で苦しむ人達の為のチャリテイか」「はい、他にも貧しい子供たちの為の教育資金とか」
「今回のパーテイで『シオンの丘の運動、シオニズム運動』の為の活動も密に行われているようだ」
「そうですね 長年、差別迫害の歴史、その被害は彼等にとっては大きい」
「ロスチャイルド家の姫君たちは高い教育を受けてはいるもの、会社などには務める事はないから
慈善活動では 活動している」「ですね~御父君たちも熱心です」
近くでは他の者達が会話をしている
「あのドルフェス事件 あれはひどいものですわ ユダヤ人のドレフェス大尉がスパイ容疑で
有罪となって‥」「ええ、本当に」
ロシアの反ユダヤ人への迫害、ポグロム」
「彼が話しているのは 少し前に起きたドルフィス事件か 冤罪でひどい目にあったユダヤ人のドレフェス大尉」
「ユダヤ人というだけでの差別は続いている 事件の犯人にされて それに対して怒った
ルーツであるユダヤ人の王国のあったイスラエルへの帰還、移住への運動」
「ロスチャイルド家の方で選挙に出られている方もおられましたねムッシュ」
「ああ、本来はユダヤ人なので資格はないが 何度も当選しては議会入りはまだ果たしてないようだ
それに議会での聖書に手を当てての宣誓
新約聖書はキリスト教徒のもの ユダヤ教徒でもあるから旧約聖書でないとダメだそうだ」