第六話
「取り扱う事が予定されているのは 今回はロンドンのロスチャイルド家のムートンでしたね ムッシュ」
「予定ではそうだが でも、パリの方のラファイエットのワインもいずれね」にやりと笑い 葉巻を口にする
「そろそろ、パーテイが始まる時間だ」「はい、旦那様」
「本家は絶えたが 世界の富の半分を持つとまで言われたロスチャイルド家 パリとロンドンの二つ
それぞれが持つワインの農園 世界でも最高のワイン 指折りの五つのワイン農園 そのうちの二つかムートンとラファイエット」
「記憶だが、確か認知されてない娘、いや、認知された恋人の娘 その姫君が嫁いだのがカーナボン卿
彼にも出資して、その富が巡り巡ってエジプトの考古学的な大発見 ツタンカーメン王の発見」
「経済的に窮乏したエジプト政府が売り出したスエズ運河の権利 あそこが貿易の要の一つ
英国政府が買い入れの為の資金を簡単に用立てたのがロスチャイルド家だったから 大きな貸しが一つ」
「代々長らく続く戦争に幾つかの植民地など
インドは手にしたが 英国政府もスエズ運河をポンと軽く買える程の余裕はないだろうから」
「本当に良く、スエズ運河の権利が手に入ったものですね」「ああ」
「世界的な銀行業務だけでなく 当時のロンドンの家 ネイサンは保険事業(現在もあるアライアンス)
他にもロスチャイヅド家は 鉄道、運輸事業、ダイヤに車の普及で注目の集まる石油に‥
首都になる一等地の不動産の賃貸などもな」
「貝を売っていた少年がやがて石油業(現在もある・シエル)にその事業に加わった」
「あの東洋の日本ジャパン 騒動の末に政権が変わって 初めての鉄道が出来る事なって
資金集めの公債は英国で売り出したようだが ロスチャイルド家が多く資金を出して購入したらしい」
「運輸の鉄道事業はなんといっても大きい これに船舶も」
「もしムッシュが逆玉の輿にのれたら?ふふ」
「ロスチャイルド家の姫君たちの話か?
熱心なユダヤ教徒で 財産の流失を防ぐ事と彼女達の身の安泰の為に
ほぼ姫君たちは一族内で親族婚だ 多くが従兄妹同士の婚姻ばかりだな」