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第62話 タクミの新スキル

 この世界に来た頃を思い出す。

 あの頃は手探りだったが、今は違う。

 スキルを開発する前に、この世界のルールを確認しよう。


・スキルは『スキルの素』から構成される。

・スキルは『職業』に関連したものしか身につけられない。

・スキルの性能や効果は、使用者のイメージに大きく影響される。


 特に3つ目の『隠しルール』は重要だ。

 自分が無理だと思うことは、スキルでも無理になる。

 逆に()()()と思えば、スキルにその効果が付く。


 次は俺の『スキルの素』の確認だ。


・『接触』触っている対象への効果を上げる。

・『変更』変更の効果。

・『文字』文字の効果。


 今思うと、この抽象的な説明がポイントなんだろうな。

 この説明をどう解釈するのか?

 広義とするか、狭義とするか。

 『隠しルール』を知っている俺からすれば神設定だけど、知らない人にとっては()になる。


 俺はこれからバカになる。

 理屈で考えるな。屁理屈で考えるんだ。

 宇宙人はいる! 居ないって証明できないからな。

 魔族やドワーフ、エルフもいるんだ。

 魔物だっている。

 ……そう考えると、ほんとになんでもアリだよな。


 よしっ! いける。

 テンポ良くいこう。ノリだ。深く考えるな。

 アーサーを見習うんだ。


 まず思いつくのは……

 基礎中の基礎、『ping』だよな。

 ネットワーク上につながっているパソコンやスマホから応答があるか調べるツールだ。


 魔王をパソコンと見立てる。

 アイツの動きは速すぎて目で追えない。

 だから、『ping』スキルを発動している間は、感覚で相手がどこにいるかわかるようになる。

 よし、このイメージでいこう!


 むっ……IPアドレスはどうする?

 『ping』使うときは、PCの住所とも言うべきIPアドレスを指定する必要がある。

 名前解決の手もあるが、それよりもネットワークスキャンだな。

 ネットワーク上にいるPCやパソコンのIPアドレスを調べるツールだ。

 まず、『スキャン』スキルを使い自分の周囲の情報を得る。

 『ping』スキルは、その情報を得た相手に使う。


 ここまでは俺の職業『ハッカー』に関連したアイデアだ。

 次は、『スキルの素』である『接触』『変更』『文字』につなげるぞ。

 全ての『スキルの素』を『スキル』に絡める必要があるのか知らんが、関連すればするほど性能の良いスキルになる気がする。


 まずネットワークのイメージは、スキルの素『接触』に絡めて、地面経由での接触にするか。

 スキルを使ったときに、空中にいる相手には効果が無いが、これはしょうがない。

 Wi−Fiという素晴らしいアイデアも思いついたが、『接触』から外れるから不採用だ。

 

 『スキャン』の結果は、俺と地続きでつながるターゲットの情報を取得する。

 情報は『文字』で表示させる。

 範囲はどうするか……広くすれば情報取得まで時間は長くなり、狭くすれば取得までの時間は短い。

 かなりしっくりくる。この範囲を『変更』できるスキルにしよう。


 『ping』は『スキャン』で情報を得たターゲットに、応答要求の通信を送る。

 その応答時間を『文字』にする。

 応答時間が短ければ自分の近く、長ければ相手は遠くに居るのがわかる。

 文字情報のままだと、戦闘中に役立たない。読んでる時間がないからな。

 だから、それを頭の中で色に『変更』する。

 近いと濃い赤、遠いと薄い赤という感じだ。

 真後ろに相手が入れば、頭の中で後方に濃い赤が表示されるイメージだ。

 

 イメージは固まった。

 ふぅ…… 深呼吸して目を閉じる。

 俺は地面と接地している足裏に意識を集中させた。

 ターゲットは人だ。

 地面というネットワーク上にいる人を探す。

 自分を中心として全方位へ、意識を走らせる。

 

 ——5分後、目の前に『スキャン』の結果が表示された。


【範囲】区画内

【対象数】1

【対象】ミア


 おおおおおっ! できた。久しぶりの感覚だ!

 けど、落ち着け。次のスキルは連続で使う必要がある。

 対象の欄にあった『ミア』を意識して、『ping』をイメージする。

 これも地面をネットワークに見立てる。

 そして、目をつぶり頭の中で『ミア』に応答要求を送り、返事を待つ。


 ——5分が経過。俺の頭の中で、前方に濃い赤いモヤモヤが現れた。

 目を開けると、目の前にミアが立っていた。


「やった! やったよ。ミア!」


「ちょ、ちょっと落ち着いて。どうしたんですか? タクミから念というか、ヒシヒシとしたものを感じたから来たんですけど」


「え? 今はどう?」


「あっ、消えてる。さっきの違和感みたいのが無くなってる」

 

 ……『ping』はどうやら相手にバレるようだ。

 ミアには後でまとめて話すと説明した。

 今はお互いに時間が重要だ。


 早速ステータスを確認するか。


------

名前:アライ タクミ

職業:ハッカー

レベル:45(New)

HP:450/450(New)

SP:448/450(New)

スキルの素:接触、文字、変更

スキル:

 分析、改ざん、なりすまし

 スキャン(New)、ping(New)

------


 よしっ! ちゃんとスキル欄に増えている。

 いろいろ検証したいが、今は我慢だ。


 俺は『スキャン』のスキルを考えていたときに、もう1つのスキルを思いついていた。

 『ルーター』だ。こいつの主な機能は、異なるネットワークへ接続するときに使う。

 家のネットワークからインターネットへ出るときに、()()()してくれるのが『ルーター』だ。

 くっくくくく。魔王の笑い方をマネするわけじゃないが、このスキルはかなり使えるのだ。

 しかも進化するイメージまである。

 

 ——それからしばらくして、俺はスキル『ルーター』を身につけた。

 スキルと『ざくろ石』を検証する時間も必要だ。

 とりあえず、スキルの開発はこれで止めておくか。

 ミアの様子も見ないとな。


「ミア、どんな感じ?」


 ん? どこにいった?

 声をかけても返事がない。

 ミアが見あたらない。そんなバカな。

 

 俺はミアがいた周辺を探す。

 そして、違和感に気づいた。

 ……あんなのさっきまでなかったぞ。

 あまりの光景に絶句する。

 

 俺の目の前に、地の底が見えないほどの巨大な裂け目が()()()()()


後書き失礼します!


ここまで読んでくれて、ありがとうございます。


少しでも気に入って貰えたり、続きが気になる方は、【ブックマーク】や下の【評価】を5つ星よろしくお願いします!

書く側になってわかったのですが、とても励みになります。

これからも、よろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[一言] 屁理屈の使い方が未々だなw 地続きが可能なら『大気』や『空間』でも良いでしょw この後出るかもしてないが『世界情報』若しくは『アカシックレコード』に『自分と言う情報端末』を介し『接触』も出来…
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