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グラス様はやっぱり苦手です

お昼休み、急いでテラスへと向かう。


「ローズ様、こっちです」


嬉しそうに手を振っているティーナ様。もちろん、アデル様とグラス様もいる。超絶美しい3人を前に、カルミアとファリサの言葉が脳裏をよぎった。


もう、2人があんな事を言うから、なんだか行きづらいじゃない!そう思いつつも、気を取り直し、急いで3人の元へと向かった。はたから見たら、美しい3人に1人場違いな奴が紛れ込んだと思われているだろう。


でも私は、周りからなんと思われようが、気にしないんだから。


「遅くなってごめんなさい」


急いでティーナ様の隣に座った。


「大丈夫ですわ。私が楽しみすぎて、早く来てしまっただけですから。さあ、さっそく食べましょう」


嬉しそうにお弁当を広げるティーナ様。さすが元公爵家でもあるティーナ様のお宅のお弁当。かなり豪華だわ。あっ、あのステーキ美味しそう…珍しいソースが掛かっているのね。


一体あのソースはなにかしら?


「あの…ローズ様、このステーキ、食べますか?」


私がティーナ様のお弁当を見ていたことに気が付いたのか、ティーナ様がステーキをくれると言ってくれたのだ。それは嬉しいわ。


「よろしいのですか?それでしたら、私のお弁当の中からお好きな物をどうぞ」


人のお弁当を貰う時は、自分のお弁当を差し出すのがマイルールだ。もらいっぱなしでは、悪いものね。


「それでしたら、このカルパッチョを頂けますか?」


「もちろんです、他にも色々と食べて下さい」


私も早速ティーナ様のお弁当のステーキを食べた。


「これ、果物をベースにしたソースなのですね。初めて食べましたが、とても美味しいですわ」


果物ベースなので、さっぱりしていてすごく美味しい。


「私があまりこってりしたものが好きではないので…ローズ様のところのカルパッチョも、とても美味しいです。レモンベースのソースが掛かっているのですね」


「はい、私がレモン味が好きなので、料理長もよくレモンを使ったお料理を作ってくれるのです。これもさっぱりしていて美味しいですよ」


どんどんティーナ様に私のお弁当をすすめていく。ティーナ様も私にお弁当を色々と進めてくれた。結局2人でそれぞれのお弁当をシェアしながら、美味しく頂いたのだった。


「私、こうやってお友達とお弁当を分け合いっこするのが、夢だったんです。ローズ様、昨日から色々と私の夢を叶えて下さり、ありがとうございます。本当に私、嬉しくて嬉しくて…」


「あら、このような事が夢だったなんて。それでしたらこれからも、どんどんティーナ様の夢を叶えていきましょう。他にはどんなことがしたいのですか?」


私たちが当たり前にしている事が夢だなんて、ティーナ様ったら本当に可愛らしいお方ね。


「そうですね…後は、一緒にお茶をしたりお菓子を分け合いっこしたり、…お泊りなんかも素敵ですわ。私、いつも令嬢たちが話しているのを聞いていて、羨ましく思っていたのです」


ティーナ様が少し恥ずかしそうに、そう答えてくれた。


「あら、それならいつでも出来ますわよ。早速今日の放課後にでも、ティータイムをしましょう。学院内でしてもいいですし、街に出ておしゃれなカフェでお茶をするのもいいですわね」


「まあ、本当ですか?嬉しいです、ありがとうございます」


嬉しそうに微笑むティーナ様を横目に、ふとアデル様の方を見る。やはり彼も嬉しそうな顔をしていた。


「ティーナ、よかったね。でも、ティーナとローズ嬢を2人きりには出来ないから、僕たちも一緒に行くね。それから、泊まりはちょっと厳しいかな…」


和やかな空気の中、話しに入って来たのはグラス様だ。さっきまで空気の様な存在だったのに、ここに来て存在感を露わにした。


「あの、グラス様。別に私とティーナ様、2人でも問題ありませんわ。護衛もおりますし…」


そう反論したのだが…


「ローズ嬢は知らないかもしれないけれど、ティーナを狙っている男どもは多いんだ!何度も誘拐されそうになった事だってあるんだよ。とにかく、2人で街に出たりすることだけは反対だ。別に僕は君とティーナの話に割って入ろうとは思っていないから、安心して話してくれたらいいから。さっきだって、僕たちの存在を忘れて、楽しそうに話しをしていたではないか」


確かに2人の存在を忘れて話をしていたけれど…でも、女同士でしか出来ない話もあるのよ…


そういえば、昨日の会話の内容も知っていたわよね、この男。まさかティーナ様に盗聴器でも付けさせているのかしら…いや、いくら何でもそこまではしないか…


さすがにそこまでしていたら、ドン引きよね…


「あの…グラス、それなら我が家に遊びに来てもらうのはどうかしら?家なら安全でしょう?私もローズ様と2人で話をしてみたいですわ…」


グラス様の様子をうかがう様に訴えるティーナ様。その瞳からは、恐怖すら感じる。まさかこの男、ティーナ様に酷い事をしているのでは?


「しかし…」


「確かにティーナ様のお宅でしたら、問題ありませんよね。まさか私がティーナ様を襲うと、グラス様はお考えなのですか?そんな…酷い、私はただのか弱き令嬢ですのに…」


シクシクの泣くふりをする。この束縛男!どうだ、私の渾身の演技は!


「ローズ嬢、別に君を疑っている訳ではないんだ。すまない、ティーナの家なら問題ないよ。ただ、ティーナの家に遊びに行くときは、僕にも報告して欲しい」


「もちろんですわ」


こうして無事ティーナ様と、2人で過ごす権利を手に入れた。ただ…グラス様は嫉妬深くて束縛が激しい様だ。それに、ティーナ様のグラス様を見つめるときの瞳も気になる…

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