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彼の幸せを願っていたら、いつの間にか私も幸せになりました  作者: Karamimi


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国に帰ります

翌朝、アデル様の家の馬車に荷物を詰め込んだ。


「それじゃあおばあ様、お兄様、アリサお義姉様、お世話になりました。また再来月来ますから」


「ローズ、くれぐれもアデル様のご両親によろしく伝えておくれ。アデル様、どうかローズの事、よろしくお願いいたします」


深々と頭を下げるおばあ様。


「大丈夫ですよ、おばあ様。僕が責任をもって、ローズを幸せにしますから。それでは、また再来月」


「ローズちゃん、アデル様と幸せにね。アデル様、ローズちゃんの事、よろしくお願いします。ほら、ローランドも!」


「アデル殿、ローズの事、お願いします…」


アリサお義姉様に促され、しぶしぶアデル様にお願いしているお兄様。なんだかんだ言って、お兄様はアリサお義姉様に弱い様だ。


「アリサお義姉様こそ、どうかお兄様をよろしくお願いしますね」


「ええ、任せえておいて」


胸を叩い手得意そうな顔を知るアリサお義姉様。その姿を見て、なんだか笑いがこみ上げてきた。


「ローズ、そろそろ行こうか」


アデル様に促され、馬車に乗り込んだ。やっぱり別れは辛いもの。ゆっくりは走り出す馬車から身を乗り出し、3人に手を振る。そんな私を見て、3人も手を振り返してくれた。


「さあ、ローズ、そろそろ座ろうか。あまり身を乗り出していると危ないよ」


アデル様に腰を引っ張られ、そのまま座らされた。


「ローズ、またすぐに会えるから。そんな悲しそうな顔をしないで」


「ええ、分かっていますわ。そうそう、アデル様。私はアデル様のお家でお世話になるのですよね」


「ああ、そうだよ。君の家の使用人たちも、何人かは家で雇う事になったよ。希望を募ったら、結構来てくれると言ってくれてね。料理長や専属メイドたちも、君の帰りを待っているよ」


「まあ、それは本当ですか?それは嬉しいですわ。でも、そんなことをして、アデル様のご両親は大丈夫ですの?私、受け入れられるかしら?」


「問題ないよ。特に母上は、君とお茶をするのを楽しみにしているらしい。ただ…結構強引な母上だから、無理をして付き合う必要は無いからね。基本的に、勝手に離れには来ない様に、きつく言ってあるから大丈夫だと思うけれど…」


そう言って苦笑いをしている。


アデル様のご両親は、お優しい方だという事は私も知っている。きっと大丈夫だろう。


行きと同じように、休憩を挟みつつ進んでいく。ただ、行きと違う点は、大好きなアデル様が傍にいるという事だ。アデル様が傍にいるだけで、時間があっという間に過ぎていくのだ。結局3日とも、退屈することなくあっという間に母国に戻ってきた。


そして、アデル様の屋敷が見えてきた。なんだか緊張してきたわ。


屋敷に着くと、アデル様のご両親とグラス様、ティーナ様とディーオン様、ご両親、さらに我が家にいた使用人たちも待っていてくれた。


「別に出迎えはいらないと言っておいたのに…」


なぜかアデル様が不満そうな顔をしている。


「さあ、ローズ、さっさとあいつらをあしらって、離れに行こう。今日はもう疲れているだろう。それじゃあ、行こうか」


せっかく私の為に集まって下さっているのに、あしらうだなんて。そう思いつつ、馬車から降りると。


「ローズ様、おかえりなさい。寂しかったですわ!」


ティーナ様が飛びついて来た。相変わらず可愛らしいティーナ様。それに、いい香りもする。


「ティーナ様、お出迎えありがとうございます。私もティーナ様に会いたかったですわ」


ギューッとティーナ様を抱きしめようとしたのだが、後ろからアデル様に腕を引っ張られ、引き離されてしまった。


「ティーナ、ローズに抱き着くのは止めてくれ。そもそもローズは疲れているんだよ」


「あら、少しくらい…」


「アデルの言う通りだ。いくら友人が帰ってきたからって、抱き着くのは良くないよ」


後ろからティーナ様を抱きしめながら、グラス様が呟いた。相変わらずグラス様の嫉妬深さは健在のようだ。


「グラスだけでなく、アデルまで嫉妬深いとは。これはローズ嬢も大変だね」


ハハハハハと笑っているのは、ティーナ様のお兄様、ディーオン様だ。なぜかディーオン様から私を隠すようなそぶりを見せているアデル様。一体どうしたのかしら?


「ローズちゃん、ようこそ我が家へ。あなたが来るのを、心待ちにしていたのよ。さあ、疲れたでしょう。入って。今日はちょっとした宴を準備してあるの。あなたが我が家に来てくれたお祝いよ」


アデル様のお母様が、にっこり笑ってそう言ってくれた。


「今日からお世話になります。不束者ですが、どうぞよろしくお願いします」


アデル様のご両親に向かって、深々と頭を下げた。


「ローズ嬢、もう私たちは君の事を娘だと思っている。遠慮はいらないよ。ほら、中に入ろう」


アデル様のご両親は、本当に優しくていい人だ。この人たちと、いずれ家族に…

そう思ったら、温かい気持ちで包まれたのだった。

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