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彼の幸せを願っていたら、いつの間にか私も幸せになりました  作者: Karamimi


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アデル様と街に出掛けます

その日の夜。

「それじゃあローズ、また明日ね」


「はい…また明日」


今日はずっとアデル様と一緒にいたため、なんだか別れが辛い。て、私は何を考えているのかしら?それじゃあまるで、私がアデル様と一緒に寝たいみたいじゃない。恥ずかしい。


急いで自分の部屋に戻り、ベッドに潜り込んだ。明日はアデル様と一緒に、街に出られる。それが嬉しくてたまらない。


早く明日にならないかな…

そう願いながら、眠りについた。



翌日。

5人で仲良く朝食を食べた後、早速アデル様と一緒に街に出る。


「アデル様、見て下さい。この国は、色々な国の人が住んでいる為、色々な文化に触れられるのですよ」


アリサお義姉様に教えてもらった情報を、アデル様に披露する。


「そうらしいね、この国は閉鎖的な我が国と違い、本当に自由な国と聞いている。もちろん、いい意味でね。知っているかい?ローズ、この国は優秀な人材をスカウトして、経済を急成長させた国でもあるんだ。どこの国の出身とか気にすることなく、人々が伸び伸びと生活している。義兄上がこの国に憧れるのも、納得だよ」


「アデル様ったら、随分とグラシュ国に詳しいのですわね」


せっかく私が説明しようと思ったのに…


「ローズがグラシュ国に向かってから、色々と調べたんだ。そうする事で、少しでもローズを感じたいと思ってね。僕、相当寂しかったんだよ。わかっているのかい?もう二度と、僕その傍から離れる事は許さないからね」


にっこり笑っているが、瞳からは怒りを感じる。


「ごめんなさい、私ももう二度とアデル様から離れるのは御免ですわ。こんなに寂しく辛いだなんて、思いませんでしたもの」


アデル様にギュッとしがみつく。もう私にとって、アデル様はいなくてはいけない、大切な存在なのだ。


「ローズがそう言ってくれると嬉しいよ。さあ、今日は目いっぱい楽しもう」


そう言うと、アデル様が私の手を引き、馬車から降りた。


「いいかい、ローズ。ここは人も多い、はぐれては大変だ。いいね、僕から離れてはいけないよ。まあ、僕もこの国にいるから、居場所を特定できる機械は作動すると思うけれど」


え…居場所を特定できる機械?


「あの、アデル様。居場所を特定できる機械とは…」


「あっ、このお店、真珠が売っているよ。それに、サンゴもある。せっかくだから見ていこう」


結局うやむやにされてしまい、それ以上は聞く事が出来なかった。


「アデル様、こっちにも可愛らしいアクセサリーがありますわ。あっ、あのお店も」


つい楽しくなって、次から次へとお店を移動させた。それにしても、今日はすごい人ね。て、アデル様!


「アデル様、どこですか?」


周りを見渡したが、アデル様の姿はない。もしかして、迷子?そう思った時だった。


「ローズ!だから勝手にウロウロとしてはダメだと言っただろう」


ふいに腕を掴まれたと思ったら、アデル様の声が。どうやらアデル様が、私を見つけてくれた様だ。


「君は本当に少し目を離すと、どこかに行ってしまうのだから。でも、この機械が作動してよかったよ。ただ…半径10キロ圏内までしか作動しないからな。十分気を付かないと…」


何やら機械を握りながら、ブツブツ言っている。一体何の事だろう。


「さあ、そろそろ食事にしようか。前にローズが話してくれた、リンゴの専門店に行きたいのだけれど」


「それじゃあ、あのお店に行きましょう。見た目も本当に可愛いのですよ。ティーナ様も連れてきてあげたら、きっと…ンン」


「ティーナの話はここでは止めようか。ほら、行くよ」


なぜか口を手で塞がれてしまった。なぜティーナ様の話をしてはダメなのかしら?そう思いつつ、2人でお店に向かった。


「本当に可愛らしいお店だね。それに、全てリンゴを使っているのか。うん、悪くないね」


どうやらアデル様のお口にも合ったようだ。食後も2人で色々なお店を見て回った。


まさかアデル様と一緒に、こんな風にグラシュ国を見て回れるなんて…


「アデル様、改めてグラシュ国に迎えに来てくださり、ありがとうございました。私、今とても幸せですわ」


「僕の方こそ、あの時助けを求めてくれてありがとう。あの時のローズの言葉があったから、今僕はローズといられるんだ。さあ、そろそろ帰ろうか。今日は僕たちのお別れ会をやってくれると言っていたし」


「そうですわね、あまり遅くなると、またお兄様がギャーギャーうるさいし。帰りましょう」


2人で手を繋いで馬車に乗り込んだ。初めてアリサお義姉様と街に来た時は、楽しい反面、なんだか寂しくてどうしようもない気持ちになった。でも今は、大好きなアデル様が傍にいる。それだけで、こんなにも気持ちが変わるものなのね。


「ローズ、見てごらん。綺麗な夕日だね。奥の方に見えるのは、海かな?」


「本当に綺麗な夕日」


馬車の中から、美しい夕日を2人で見つめ続けたのであった。

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