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彼の幸せを願っていたら、いつの間にか私も幸せになりました  作者: Karamimi


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アデル様が迎えに来ました

翌日、すっかり体調が戻った。昨日アリサお義姉様に、色々と話を聞いてもらってすっきりしたし。今日こそは、おばあ様に国に帰る事を伝えよう。きっと寂しがるだろう。考えただけで、胸が張り裂けそうになる。


でも、きっとおばあ様もわかってくれるはずだわ。今日は青いワンピースを選んだ。そう、アデル様の色だ。アデル様の色を身に付けるだけで、なんだか傍で見守ってくれているような気がする。そういえば、昨日は気を使ってくれたのか、一度も通信がなかった。


朝食が終わったら、早速通信を入れよう。あっ、でもおばあ様に話しをしてからの方がいいかしら?そんな事を考えながら、食堂へと向かった。


「おはようございます、おばあ様、お兄様、お義姉様」


「おはよう、ローズ。よかった、すっかり元気になったんだね」


杖を突きながら、嬉しそうにこちらにやってくるおばあ様。そんなおばあ様を抱きしめた。すっかり小さくなってしまったおばあ様。やっぱり私…て、ダメよ。今日こそは、ちゃんと帰国する事を伝えるって決めたのだから。


ふとアリサお義姉様の方を見ると、コクリと頷いていた。きっと私を応援してくれているのだろう。


おばあ様を一旦イスに座らせ、私も席に付いた。久しぶりに食べる4人での食事だ。さあ、頂こうと思った時だった。


「お食事中失礼いたします。お嬢様、アデル・グリースティン様とおっしゃられるお方が、お嬢様にどうしても会いたいと訪ねて来ております」


「何ですって、アデル様が!」


一瞬何が起こったのか分からず、その場で固まってしまう。


「ローズちゃん、大丈夫?」


そんな私に、アリサお義姉様が声を掛けてくれた。


「ええ…大丈夫ですわ。私、玄関に行って参ります」


席を立ち、急いで玄関へと向かう。アデル様が私を訪ねて来てくださっただなんて。まさか、私が会いたいと言ったから?でも、通常この国までは馬車で3日かかるはずよ。だから、あり得ないわ。


そう思いつつ、玄関に向かうと。


「ローズ!」


「アデル様!」


お互い姿を見つけた時、2人同時に駆け寄り、そのまま抱きしめ合った。やっぱりアデル様だわ、夢じゃないのね。あぁ、アデル様の匂い…この匂い、落ち着くわ。


「あぁ、ローズ。もう体調の方は大丈夫かい?それにしてもしばらく見ない間に、なんだかやつれてしまったのではないのかい?きちんとご飯は食べているのかい?可哀そうに」


ギューギュー抱きしめながら、アデル様がそんな事を言っている。もしかして、熱が出てあまり食欲がなかったから、少し痩せてしまったのかしら?


「お陰様ですっかり元気になりましたわ。あの…アデル様、先日はお恥ずかしい姿をお見せして、申し訳ございませんでした。私、どうやらかなり弱っていたみたいで…」


「どうしてローズが謝るんだい?僕に助けを求めてきてくれた事、本当に嬉しかったよ。僕からローランド殿には話を付けるから、安心して欲しい。一緒に国に帰ろう」


さらに強く抱きしめてくれるアデル様。1ヶ月ぶりのアデル様だ、私もなんだか離れたくなくて、ついくっ付いてしまう。


「コホン、感動の再開はいいが…そろそろ僕たちの存在にも気が付いてくれるかい?」


ふと周りを見ると、目を大きく開けて固まっているおばあ様、不機嫌そうなお兄様、満面の笑みでこちらを見ているお義姉様が目に入った。


いけない、あまりにもアデル様に会えたのが嬉しすぎて、つい周りを見る余裕がなかったわ。ゆっくりとアデル様から離れた…のだが、アデル様にがっちり腰を抑えられているので、これ以上距離を取る事が出来ない。どうやらこれ以上は、離れてはいけないという事なのだろう。


「まあ、この方が噂のアデル様ですわね。素敵な方ね。わざわざローズちゃんを迎えに来てくださったのですか?さあ、玄関では何です。どうぞ客間へ」


アリサお義姉様が、上手く皆を誘導してくれた。


「アデル様、どうぞ中に入ってください」


アデル様と一緒に、客間へと向かう。そして、隣り合わせに座った。ここでも、ずっと私の腰に手を当てているアデル様。お兄様が眉間に皺を寄せているのが気になるが、1ヶ月も離れ離れになっていたのだ。これくらい見逃して欲しい。


そんな事を考えていると、スッとアデル様が立ちあがった。


「急に押しかけてしまい、申し訳ございません。こちら、どうぞ皆さんで召し上がって下さい。自己紹介が遅れてしまいました。私はアデル・グリースティンと申します。どうぞお見知りおきを」


にっこりと笑って、お菓子の手土産を渡したアデル様。


「まあ、わざわざご丁寧にありがとうございます。あなた様の事は、ローズちゃんから聞いておりますわ。わざわざお迎えに来てくださったのですね。ありがとうござます」


「おい、アリサ、お迎えとはどういう事だい?ローズはずっとここにいるんだよ。ずっと兄妹離れ離れだったんだ。やっと一つ屋根の下で、生活ができると思ったのに」


「それはローランドがそうしたいだけでしょう?ローズちゃんの気持ちを考えた事があるの?ローズちゃんは友人や恋人と、ずっと離れ離れで寂しい思いをしていたのよ」


「ローズに恋人だって!学生の分際で、恋人を作るだなんて」


「何を言っているの?私とあなただって、学院時代に付き合っていたじゃないの。自分の事を棚に上げて、よくそんな事が言えるわね」


お兄様とお義姉様が激しい喧嘩を始めた。さすがに止めないと!そう思った時だった。

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