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友人たちに捕まりました

教室に向かう途中。


「ローズ、おはよう。それよりさっき、ティーナ様やアデル様とお話していたわよね。いつの間に彼らと仲良くなったのよ」


「本当よ。あなたがティーナ様やグリースティン兄弟と一緒にいるから、みんな注目していたわよ。一体何があったの?」


私の後を追って来たのは、カルミアとファリサだ。どうやら彼女たちも、私がティーナ様やアデル様と話している姿を見ていた様だ。


「実はね、昨日たまたまティーナ様を令嬢たちから助けたの。それで、色々とお話しているうちに、ティーナ様と仲良くなって、お友達になったのよ。ティーナ様とグラス様、アデル様は幼馴染なんだって。それでティーナ様を待っていた2人とも、ちょっとした顔見知りになったって訳」


昨日の出来事を簡単に話した。


「なるほど。それにしても、ローラったらさすがね。まさかグラス様の婚約者のティーナ様と仲良くなるだなんて。これでアデル様との交流も持てるものね」


「あら、私は別にアデル様と仲良くなりたいから、ティーナ様と仲良くなったわけではないのよ。それにしても、噂って当てにならないわね。ティーナ様はとても優しくて純粋で、まるで子犬の様に可愛らしい人なのよ。私、すっかり彼女が好きになってしまったわ」


「確かにあなたとティーナ様が話している姿を見る限り、噂で聞いていた“令嬢には無視する”というのは、嘘の様ね」


「そうよ、ティーナ様は人見知りだから、令嬢とうまく話せなかっただけなのよ。それに、ティーナ様はお美しいでしょう?無駄に嫉妬する令嬢も多いのよ。本当に女の嫉妬って、見苦しいわよね」


昨日だって1人の令嬢を4人がかりで囲い込んで、文句を言っていたものね。本当にああいう令嬢は、私も大嫌いなのよ。私も5年前、寄ってたかって無実の罪を着せられたことがある。


その為、大勢で誰かを虐めている人を見ると、虫唾が走るのだ。


「そうそう、それで今日のお昼、ティーナ様と一緒に食べることになったの。それで…」


「分かっているわよ。私たちの事は気にしないで」


そう言うと、にっこり笑ったカルミアとファリサ。


「ありがとう。近いうちに2人にもティーナ様を紹介するわね」


彼女たちは本当にいい子たちなのだ。彼女たちにも、ティーナ様と仲良くなって欲しいと思ったのだが…


「ああ…それは大丈夫よ。ほら、ティーナ様って女神の様に美しいでしょう?近寄りがたいというか、近くに並べないというか…」


「そうよね、あんなにも美しい人の傍にいたら、なんだか自分がケダモノか何かの様な気分になるのよね…」


なるほど、そういう考え方もあるのか。確かにティーナ様の隣に並んだら、私なんか虫けらにしか見えないだろう。


「ローズは大丈夫よ。ほら、あなたそういう事気にしないでしょう」


私が何とも言えない顔をしていた事に気が付いたのか、必死にフォローしてくれる2人。


「ありがとう…そうね、もうこうなったらティーナ様の引き立て役…にもなっていないかもしれないけれど、あまり気にせずに行く事にするわ。それに何より私、ティーナ様の事が大好きだし」


周りからどう思われようと関係ない。私はやっぱり、今後もティーナ様の傍にいたいもの。


「さすがローズね。私、ローズのそういうところ、好きよ。ただあなた、結構無理をするところがあるでしょう?万が一何か辛い事や悲しい事があったら、自分の心を押し殺す必要は無いからね。それから、何か悩み事があったら、すぐに私たちに相談するよ。わかった?」


無理をするところがある?私、無理何てしたことがあったかしら?そう思いつつも、真剣な表情の2人に反論するのも申し訳ない。ここは素直に「分かったわ」と答えておいた。


「よし、それじゃあこの話しは終りね。そうだわ、今度街に有名なケーキのお店が出来るのですって。ねえ、食べに行かない?」


さすが情報通のファリサだ。ケーキの出店情報を握っていた様だ。そんなファリサの提案に、私たちも乗る。


「ケーキか、いいわね。それじゃあ、3人でシェアしましょうよ」


「賛成!せっかくなら全てのケーキを制覇しましょうよ」


「いいわね。でも、さすがにケーキを食べた後は運動をしないとね。食後はテニスをするというのはどう?」


「テニスか…ちょっとハードじゃない?」


「あら?ちょっとハードくらいじゃないと、おデブになるわよ。どうするの?こ~んな風におデブになったら」


そう言って全身を使って、大きな体を再現するカルミア。


「もう、いやだぁ」


カルミアの姿を見て、私とファリサが声をあげて笑う。やっぱりカルミアとファリサは最高ね。彼女たちを心配させないように、ティーナ様とアデル様の事は内緒にしておこう。


そう心に決めたのだった。

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