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彼の幸せを願っていたら、いつの間にか私も幸せになりました  作者: Karamimi


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買い物は楽しいけれど…

アリサお義姉様が連れてきてくれたのは、リンゴの形をした可愛らしいお店だ。こんな可愛らしい建物がある何て!


つい入り口のところで固まってしまう。


「ここは建物が可愛いだけでなく、味もとても美味しいのよ。さあ、入りましょう」


アリサお義姉様について、私もお店に入った。お店の中も非常に可愛く、机が木、イスがリンゴをモチーフに作られている。


お義姉様が2人分注文してくれた。一体どんな料理が出てくるのかしら?楽しみね。


しばらく待っていると、お料理が運ばれてきた。


サラダとパスタ、デザートのパイまである。どれも美味しそうだ。サラダには可愛くカットしたリンゴが入っている。早速一口。


「このサラダ、ドレッシングとリンゴがよく合いますわ。こっちのパスタはどうかしら?」


次はパスタを一口。あら?


「このパスタソース、リンゴがベースなのですね。さっぱりしていて、とても美味しいですわ。私の国では、パスタに果物を使う事はないので、非常に新鮮です。この味、きっとティーナ様が好きそうな味だわ…あぁ、ティーナ様にも食べさせてあげたい…」


ついポロリと呟いてしまった。


「ティーナ様とは、ローズちゃんのお友達?」


「はい、セントラル学院に入学してから出来た、大切なお友達です。とても素敵な令嬢で…」


「そう、大切なお友達なのね。それなら今度、グラシュ国に遊びに来てもらったら?きっと喜んでくれるわよ」


「…はい…そうですわね…一度聞いてみますわ」


本当は国に帰りたい。でも…楽しそうに話しをしているアリサお義姉様に、そんな事は言えない。それにしても、ティーナ様、お元気かしら?私がいなくて、寂しがっていないかしら?手紙では元気だと書かれていたが…今度アデル様に聞いてみよう。


アデル様…今頃ちょうどお昼ご飯を食べている頃よね。また令嬢に囲まれていないかしら?私が怪我で学院に通えない間、令嬢たちが近づいていたと、カルミアとファリサがチラリと言っていたわ。


「ローズちゃん、大丈夫?もしかして、ローズちゃんのお口には合わない?」


私が急に話さなくなったからか、アリサお義姉様が不安そうに顔を覗き込んできた。いけない、私ったら!


「いいえ、とっても美味しいですわ。こっちのパイは、リンゴが丸ごと1つ入っているのですね。とても美味しそう」


出来るだけ笑顔を作る。アリサお義姉様に心配を掛けないように。


全てを平らげ、お店を出たところで通信機が鳴った。アデル様だ。


「アリサお義姉様、ちょっと失礼します」


お義姉様に断りを入れ、急いで通信機を取り出した。


“ローズ、どうしたんだい?珍しく出るのが遅かったね”


「ごめんなさい、アデル様。今お兄様の婚約者のアリサお義姉様と一緒に街に出ていて」


“観光をしていたのかい?令嬢2人で街に出るなんて危ないよ。ちゃんと護衛は連れているのだよね?”


護衛?そんなもの、連れていないけれど…


「ええ…問題ありませんわ」


“ローズは嘘が下手だね。声が裏返っているよ。ローズ、あまり護衛なしに街に出てはいけないよ。君は今異国にいるのだからね。あまり僕を心配させないでくれ”


「ごめんなさい、今後は気を付けますわ。そうそう、ティーナ様は元気ですか?」


“ティーナ?あぁ…そういえばローズが旅立ってから、あまり元気がないが、心配はいらないよ。兄上がサポートしているからね。それより、ローズ、そろそろ帰って…”


「ローズちゃん?」


私の戻りが遅いからか、アリサお義姉様が様子を見に来た。マズイわ!


「ごめんなさい、アデル様。また後程」


急いで通信を切り、通信機をカバンにしまった。


「ローズちゃん、誰かと話をしていたの?」


「いいえ、何でもありませんわ。さあ、次のお店に行きましょう」


万が一アリサお義姉様にアデル様と通信をしている事がバレたら、色々と聞かれるだろう。そして、お兄様に報告されるかもしれない。お兄様には、学生の間は異性との交際を禁止されている。


もしもアデル様と付き合っていることが、お兄様にバレたら大変だものね。


「そう…それならいいのだけれど…それじゃあ、次は雑貨屋さんに行きましょうか?」


「はい、是非お願いします」


次に向かったのは、こちらもまた可愛らしい建物の雑貨屋さんだ。可愛らしいアクセサリーが売られている。あら?このアクセサリー、貝殻で出来ているのね。珍しいわ。


そう、私が生まれ育った国には海がないのだ。だから、貝殻も珍しい。せっかくなら、カルミアやファリサ、ティーナ様にお土産に買っていこう。


「これはファリサに合いそうね。こっちはティーナ様。これはカルミアね」


3人の顔を想像しながら、色々と吟味していく。きっと貝殻何て珍しいから、皆喜ぶだろうな。


「あら、このタイピン、素敵ね」


こちらは美しい丸い宝石の様なものが付いた、タイピンだ。


「これは真珠と呼ばれる宝石よ。とても貴重なの。どう?綺麗でしょう?」


確かにとても綺麗だわ。それにこのタイピン、アデル様によく似合いそう。


「ローズちゃん、もしかして好きな人がいるの?」


急にそんな事を言いだしたアリサお義姉様。


「い…いえ、いませんわ。ただ見ていただけですわ。あら?こっちにも可愛らしいネックレスが。これ、自分用に買っていこうかしら?そうだわ、友人達にあげたら喜びそうですわ。真珠なんて見た事もないでしょうし」


完全に動揺した私は、次々と真珠のアクセサリーを選んで購入した。どさくさにまぎれ、真珠のタイピンも買った。アデル様、喜んでくれるかしら?


アデル様が喜ぶ顔を想像したら、つい笑みがこぼれた。


「ローズちゃんが嬉しそうでよかったわ。さあ、そろそろ帰りましょうか?あまり遅くなると、ローランドが心配するから。あの人、ちょっと口うるさいのよね」


「ちょっとじゃなくて、相当うるさいですわよ。お兄様が帰国した時なんて、門限は5時でしたもの。それも仁王立ちして待っていたのですよ。さすがに酷いと思いませんか?」


「5時は酷いわね…それも仁王立ちって」


そう言ってアリサお義姉様が笑った。もう、本当に笑い事ではないのだけれど…


「せっかくだから、近くに美味しいお菓子屋さんがあるから、お土産に買って帰りましょう。門限の5時までには、まだ時間があるし」


「もう、アリサお義姉様まで私をからかって」


アリサお義姉様は本当にいい人だ。でも…やっぱり私は、皆の元に帰りたい…

どうしても考えてしまう事は、国に残っているアデル様や友人達の事だ。このまま黙っていてはダメよね…


折を見てきちんと話さないと…

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