表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
彼の幸せを願っていたら、いつの間にか私も幸せになりました  作者: Karamimi


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

72/87

お兄様の婚約者に会いました

翌朝、目が覚めるとおばあ様がイスに座り、窓の外を見ていた。そうか、私、グラシュ国に来ているのだったわ。


「おばあ様、おはよう」


「おはよう、ローズ。よく眠れたかい?」


「ええ、ぐっすり眠れましたわ」


「そうかい、よかったわ。さあ、こっちにいらっしゃい。久しぶりに私がローズの髪の毛をといてあげるわ」


私を椅子に座らせると、ゆっくりと髪をとかし始めたおばあ様。


「子供の頃、よくこうやっておばあ様に、髪をとかしてもらっていたのでしたね。なんだか懐かしいですわ」


「そうね、私はあなたの髪をとかすのが好きでね。それにしても、本当にすっかり大きくなったわね」


そう言って私を後ろからおばあ様が抱きしめてくれた。おばあ様のシワシワの手を見ると、なんだか涙がこみ上げてきた。


出来る事なら、おばあ様の傍にずっといたい。今度は私がおばあ様を支えてあげたい。でも…


複雑な感情が私を襲う。


「ごめんなさい、ローズ。私ね、ずっとあなたに会う夢を見ていたの。だから今回あなたに会えたのが嬉しくて…正直夢なんじゃないかって。目が覚めたらローズはいないんじゃないかって、不安になるのよ。本当に歳を取ると、変な事ばかり考えてしまって嫌になるわ」


「もうおばあ様ったら。私はここにいますわ」


本当はずっと傍にいるよ!て、言ってあげたい。でも、今の私には、そんな無責任な事は言えない。


「おばあ様、私、一旦部屋に戻って着替えてきますわ。その後、皆で朝食にしましょう」


「ええ、わかったわ。今日も3人で食べられるのね。本当に夢みたいだわ」


「もう、大げさなのだから。それじゃあ、気を付けて食堂まで向かってくださいね」


そう伝え、急いで自室に戻った。案の定、通信機がヴーヴーなっていた。アデル様からだ。


「アデル様、ごめんなさい。昨日はおばあ様と一緒に寝ていたから、通信に出られなかったのです」


“おはよう、ローズ。そうだったんだね。それにしても、おばあ様と寝るなんて、ローズは甘えん坊だね”


「昔よく一緒に寝ていたもので」


“そうなんだ…それで、いつこっちに帰ってこられそうなんだい?もう僕は、君に会いたくてたまらないよ”


「それが色々とありまして…しばらくは帰れそうにないのです。特におばあ様が、私がこの国に来たことを本当に喜んでいて…それで…」


“ローズは優しい子だからね。きっとおばあ様が心配なんだろう。分かったよ…思う存分、おばあ様孝行をしてあげておいで”


「ありがとうございます、アデル様」


心優しいアデル様は、私の気持ちを汲み取ってくれた様だ。アデル様がそう言ってくれるだけで、なんだか心が軽くなった。


その後少し世間話をして、通信を切った。


急いで着替えを済ませ、3人で食事を済ます。そして、鏡の前に立ち、最終チェックだ。そう、今日はお兄様の婚約者のアリサ様に、初めて会う日なのだ。第一印象は大切、しっかり身だしなみを整えないと。


ソワソワしながら待っていると、メイドが呼びに来た。


「お嬢様、そろそろアリサ様がいらっしゃる時間です」


「わかったわ、すぐに行くわね」


急いで玄関に向かうと、お兄様も待っていた。おばあ様は足が痛いとの事で、一足先に客間にいるらしい。


「お兄様、アリサ様がもうすぐいらっしゃると聞いて、やって参りましたわ。なんだか緊張しますね」


「そんなに緊張する必要はないよ。アリサはいい子だし、それに人懐っこいローズなら、すぐに打ち解けるよ」


お兄様はそう言っているが、本当に打ち解けられるかしら?一抹の不安が私を襲う。


しばらく待っていると、玄関のドアが開いた。


ストロベリーブロンドの髪を腰まで伸ばし、水色の瞳をした女性が入って来た。顔立ちも整っていて、かなりの美人さんだ。


「やあ、アリサ、よく来たね。こっちが妹のローズだ」


お兄様が私の事を紹介してくれた。私も挨拶をしないと!そう思った時だった。


「まあ、あなたがローズちゃんね。ローランドによく似ているわ。可愛いわね!」


ギューギュー私を抱きしめるアリサ様。


「アリサ、ローズが驚いている。離れてやれ」


「あら、ごめんなさい。私ね、ずっとローランドとおばあ様からあなたの話を聞いていたから、なんだか初対面という感じがしなくて。本当に、聞いていた通り可愛らしい子だわ。そうそう、自己紹介しないとね。私はアリサよ。アリサお義姉様と呼んでくれると嬉しいわ。私、弟がいるのだけれど、本当に生意気で。だから、あなたの様な可愛らしい義妹が出来て、本当に嬉しいのよ。あ、でもまだローランドと結婚していないから、未来の義妹ね」


一気に話をするアリサお義姉様。どうやら非常に人懐っこい性格の様だ。


「初めまして、アリサお義姉様。ローズです。私も口うるさい兄しかおりませんので、お義姉様の様な方が出来て嬉しいですわ。それで、兄のどこをどの様に気に入って頂けたのでしょうか?」


「おい、ローズ。誰が口うるさい兄だ!それから、早速変な事を聞くな」


隣でお兄様が怒っている。


「あら、こんなにも綺麗な方が、お兄様と結婚してくださるとおっしゃってくれたのでしょう?お兄様の様な勉強ばかりに熱中している男の、どこを気に入って頂けたのか気になるじゃない」


首をコテンと傾け、お兄様に話した。


「アハハハハ、ローズちゃん、あなた最高ね。いいわよ、教えてあげるわ。せっかくだから、ゆっくり話しましょう。おばあ様は客間かしら?」


「ええ、そうですわ」


「それじゃあ、行きましょう」


私の手を取り、歩き出したアリサお義姉様。


「おい、ちょっと待て」


後ろからお兄様も慌ててついてくる。アリサお義姉様が、いい人そうで良かったわ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ