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彼の幸せを願っていたら、いつの間にか私も幸せになりました  作者: Karamimi


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お兄様と食事に行きます

「ティーナ様、ごめんなさい。そろそろ帰らないと」


お兄様が帰って来てから、2週間が過ぎた。相変わらず過保護なお兄様、門限は夕方5時と決められてしまったのだ。その為、ティーナ様やカルミアとファリサとのお茶会も、早めに切り上げないといけなくなってしまった。


そもそも、門限が5時なんて早すぎるのよ。でも…あと少しの辛抱だ。そう自分に言い聞かせている。


そして只今の時刻、4時30分、ティーナ様たちとのお茶会を今まさに切り上げようとしている。


「まあ、もうこんな時間なのですわね。早く家に帰らないと、ローズ様がお兄様に叱られてしまいますわ」


急いで片づけの準備をするティーナ様。なんだか本当に申し訳ない。


「ティーナ様、ごめんなさい。学院主催のパーティーが終わったら、兄はグラシュ国に帰りますので」


「私の事は気にしないで下さい。それにしても、ローズ様のお兄様も随分と心配性ですのね」


そう言って、ティーナ様がクスクスと笑っている。確かにお兄様は少し心配性のところがある。そのせいで、私を何度もグラシュ国に連れて行こうとするのだが…今のところ何とか断っている。


ただ…万が一門限を破る事があれば、問答無用でグラシュ国に連れて帰ると言われている為、何が何でも門限を守らないといけないのだ。


「ローズ、そろそろ馬車に乗り込まないと、間に合わなくなるよ。ほら、急ごう」


アデル様が私の手を引き、速足で校門まで歩き始めた。なぜかカバンも持ってくれている。


「ありがとうございます、アデル様。今日も何とか間に合いそうですわ。それでは、ごきげんよう」


馬車に飛び乗り、急いで家路に着く。


「ローズ、今日もギリギリだったね。毎日毎日、こんなにギリギリで帰ってくるなんて、一体君は何をしているのだい?」


相変わらず玄関で待っているお兄様。


「友人たちとお茶を飲んで楽しくお話をしているだけですわ。別にやましい事をしている訳ではありませんから、ご安心を」


「それならいいのだが…そうそう、今日は久しぶりに外で食事をしよう。よくおばあ様と3人で行ったレストラン、予約してあるんだ。すぐに出発するから、急いで着替えておいで」


えっ、私、今帰って来たばかりなのだけれど…

まあいいか。


「分かりましたわ、急いで着替えて参りますので、少々お待ちを」


自室に戻ると、急いでワンピースに着替えた。そして2人で馬車に乗り込む。


「ローズと馬車に乗るの、久しぶりだね。それにしても、君も随分と女性らしくなった。もしかして、付き合っている人とかいたりしないよね?」


「そのような人はおりませんわ。お兄様こそ、そろそろご結婚を考えた方がよろしいのでは?そういったご令嬢はいらっしゃらないのですか?」


「いるよ。俺が教授になったタイミングで、結婚式を挙げようと思っている。ローズも参加してくれるだろう?」


さらりとこんな重大な発表をするお兄様。


「えっ!!!いつそんな令嬢が出来たのですか?聞いておりませんよ。それで、お相手の令嬢はどんな方なのですか?」


「同い年で、ずっと俺を陰で支えていた人だよ。とても面倒見が良くて、足腰が弱ったおばあ様の面倒も見てくれるような子でね。ローズにもぜひ会いたいと言っていたぞ」


「まあ、そんなにも素敵な令嬢がお兄様と結婚してくださるなんて。それに私にも会いたいだなんて、嬉しいですわ。でも、どうしてその様な令嬢がいらっしゃるなら、もっと早く言ってくれなかったのですか?そんな素敵な令嬢がいらっしゃるなら、会いに行きましたのに!」


「ごめんごめん、俺の教授の話が正直不透明でね。彼女に中々プロポーズする事が出来なかったんだよ。やっぱりローズには、きちんと結婚が決まってから会わせた方がいいと思ってね。とにかく、ローズの学期末休みの時期に結婚式を挙げる予定だから、必ずグラシュ国に来るんだぞ。約束だからな」


「ええ、もちろんですわ。お兄様のお嫁様、どんな方なのかしら?今から会うのが楽しみですわ」


まさか勉強ばかりしているお兄様に、恋人がいたなんて。それも近々結婚!なんだかグラシュ国に行くのが楽しみになってきたわ。せっかくなら仲良くなりたい。そうだわ、結婚のお祝いの準備しないと。考えただけで、ワクワクしてきた。


「さあ、着いたよ。そんなニヤニヤと気持ち悪い顔をしていないで、降りよう」


「ちょっとお兄様、気持ち悪顔とはなんですか?失礼ですよ!」


せっかく幸せな気分に浸っていたのに。そもそも可愛い妹に向かって、気持ち悪いだなんて!本当に失礼しちゃうわ。頬を膨らませて、怒っていますアピールをする。


「ごめんごめん、そんなに怒らなくてもいいだろう。ほら、ローズおいで。俺の分のデザートは、君にあげるから」


にっこり笑ったお兄様が、私に手を差し伸べてきた。正直まだ不満だが、デザートをくれるのならまあいいか。


お兄様の手を取り、ゆっくりと馬車を降りる。そのままレストランに入ろうとした時だった。


「ローズ!!」


この声は…

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