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28 幸せになるのは、あなたのそばで。



 ✳︎ ✳︎ ✳︎



 白亜の神殿に鐘の音が鳴り響く。

 白いドレスと、長いベール。完全に顔は隠されている。

 おかげで、加護の力は参列者の誰にも及んでいないようだ。


 ――――普段からずっとベールをかぶっていたら、問題解決かもしれないわ。


 私は、目の前のうつむきがちに私を待つ人に、ベール越しに笑いかけた。


 でも、はっきりと目を合わせられないのは問題ね?


「きれいだ……。このまま、閉じ込めてしまいたい」


「気が早いです……。それに、いろいろなところに一緒に行きたいです」


 私と見つめ合っている間の、蕩けた表情のせいか、最近冷酷騎士と言われることが少なくなってきたらしいゼフィー様。


 そんなことが何より嬉しい……。


「好きです。ゼフィー様」


「間違いなく、その何倍も好きだ。あの日からずっと……」


 そっと、ベールが取り払われる。

 その、氷みたいな瞳に見つめられても、私のことが嫌いなんて思うことは二度とないだろう。


 だって、その瞳は今、私のことを大好きだって言っているように見えるもの。


 ――――そんなことを思うのは、傲慢だろうか。


「ああ、そういえば誓いの言葉を言う前に、決闘の時のお願いをしてもいいですか」


「――――結婚しない、ということ以外で頼む」


 なぜ、ここまできてそんな不安そうな顔をするのですか。

 こんなに好きにさせておいて、今更そんなこと言うはずもないのに。


「ほかの人を好きになったりしないで、それから……」


「それは、きっと永遠にあり得ない。でも、二つ目があるのか? リアはいつの間にそんなに強欲になったんだ?」


「幸せに……なってください」


 それを聞いたゼフィー様は、一瞬その目を見開いて、そして少しだけ眉を寄せたまま私に微笑みかける。


「……リアを幸せにすると誓う」


「……え? ゼフィー様に幸せになって欲しいんですよ?」


「リアが幸せそうに笑っているのを見るのが好きなんだ。……遠くから見ているだけでも幸せだったのに、近くで見ることが出来るなんて、こんな幸せなことはない。願いを叶えるから……どうか俺の妻になってください」


 ああもう。そのまま誓いの言葉になってしまっていますよ?


「――――喜んで」


 こうして、完全無敗の冷酷騎士をたった一人、決闘で打ち負かした私は、婚約破棄の代わりに幸せな結婚を手に入れたのだった。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。


本編終わりましたが、登場人物たちの裏設定は、出しきれていません。後日談やsideストーリーも書こうかなと思ってます。ぜひ感想欄で、どのキャラクターの話が良いかリクエスト下さい♪


次回作も是非読みたいと思っていただけましたら、『☆☆☆☆☆』からの評価いただけると嬉しいです。

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かわいいものが、書きたくなって、新作投稿しました。鬼騎士団長と乙女系カフェのちょっと訳あり平凡店員のファンタジーラブコメです。
☆新作☆ 鬼騎士団長様がキュートな乙女系カフェに毎朝コーヒーを飲みに来ます。……平凡な私を溺愛しているからって、本気ですか?
― 新着の感想 ―
[良い点] ざまぁだらけで食傷気味だった所でこの作品。 面白く、新鮮さも感じて一気読みしてしまいました。 [気になる点] リアの両親の結婚までの話や、友人や父の領地のその後など幸せな話が読みたいです…
[良い点] ステキなプロポーズでした(//∇//) 指輪の石は、ロッククリスタルとかホワイトサファイアもいいですね [気になる点] シーク様が、ゼフィー様の守護騎士になった経緯が気になります [一言…
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