出会い
ようやく小屋に戻ったルイスは、ドアを開けて度肝を抜かれる。
ドアのところからも見える位置にある自分のベッドに、少女が縄で縛り付けられて、身を捩っていたからだ。
しかも下半身おっ広げなのだから、驚きといったら想像を絶するだろう。
「うわっ! 誰? 俺の家で何してんの!」
両手で眼を覆いながら、ルイスが尋ねる。
もちろん、眼を覆った手の指が、少し開いていて少女を見ているのだが、それは思春期の少年を責めるのは酷というものだろう。
たとえ前世の記憶があったとしても、プロとの経験しかなかったルイスにとって、その光景は眩しすぎたのだ。
ウーウーと少女ことサラが、呻き声をあげている。
ルイスは手の隙間から見て、サラが縄で固定され、猿轡をされている事に気がつく。
「えっと、とりあえず口に巻かれている縄を外すから、大人しくしてくれる?」
ルイスはそう言いながら、顔を背けているフリをしながら、サラをチラチラ見る。
サラがウンウンと頷いているのを確認すると、ルイスはベッドに近づき、サラの口に巻かれている縄を解きにかかる。
固くてなかなか解けない縄を、腰にいつも常備している、獣を解体するためのナイフで切り落とすと、
「ぷはあぁ。貴方、ぼーっとしてないで体の縄も切って! 手足の縄もよ! でもスカートの中は見ちゃダメよ! 早く切って!」
と、サラが捲し立てる。
「はいはい、ちょっと待ってね」
そう言って、ルイスは縄を切るため移動する。
最初に足の縄をと思って移動したのだ。
ルイスとしては、早く足を閉じたいだろうと思っての事だが、
「なんで足からいくのよ、このスケベ! まずは手でしょう!」
サラが大声で怒鳴る。
「あ、はい!」
そう返事をしてルイスが、サラの手に巻かれている縄を切る。
手が自由になったサラは、慌ててスカートで下半身を隠した。
ルイスは身体に巻かれている縄も切り、最後に足の縄を切ると、
「で、貴女は誰です? 俺の家で何をしているのです?」
そう尋ねた。当然の質問であろう。
「あんた、奴らの仲間じゃないわよね?」
サラがルイスを睨みながら聞くと、
「奴ら? 外で死んでる人の事かな?」
先ほど見た死体を思い浮かべ、首を捻りながらルイスが答える。
「し、死んだの?」
「うん、死んでるよ」
サラの問いかけは数人という感じだったが、死体は一人しか確認していないルイスだったのだが、とりあえずそう答えたのだった。
その頃、キラービーに追われていたチンピラとモヒカンは、あちこちをキラービーに刺されながらも、必死で走って逃げていた。
「だから俺から離れろよ!」
チンピラが、すぐ後ろを走るモヒカンに叫ぶと、
「そんなこと言って、一人で逃げるつもりだろっ! 俺たちは一連托生だって言ってたのは嘘かよ!」
とチンピラに怒鳴り返すモヒカン。
「誰だって自分が大事なんだよ!」
チンピラがそう言った時、チンピラの右足が何かに持ち上げられ、体が上空を舞った。
そしてチンピラの体が逆さ吊りになって、太い木の枝から伸びたロープに揺られる。
それはルイスが設置していた、獣を捕らえるための罠であった。
逆さ吊りのまま、キラービーに刺され放題のチンピラ。
もはや行く先はあの世である。
モヒカンは、チンピラを助ける事もせず逃げる。
一連托生とか言っていたわりに、薄情な男だ。
そんな薄情な男が生き延びれるほど、この世は甘く無い。
キラービーに追われ、走り続けていたモヒカンの体力は既に限界。
躓いて顔面から地面に突っ伏したが、位置が悪かった。
モヒカンの顔面が地面と激しい接吻をした時、そこにも先ほど、チンピラが上空へと誘われたものと同じ罠があった。
罠の縄は、モヒカンの首を締めて上空へと体を跳ね上げた。
締められ跳ね上げられた衝撃で、モヒカンの首の骨が折れる音が小さく鳴る。
吊り下げられ揺れるモヒカン。
当然、行く先はあの世となった。