バイパー
皆さんブクマと評価ありがとうございます。
今回は少し短いですが、今日も何話上げるつもりですので、よろしくお願いします
ルイスの斧が顔面に当たった衝撃で、仰向けに倒れたノッポ。
そのノッポの顔は、中央から左右にパックリと割れている。
走るのを止めてノッポの状態を確認した、小柄な男が、
「ヒョロ⁉︎ チキショウ! ガキめ、よくもヒョロを!」
そう言ってルイスに向き直すと、腰に刺していたナイフを取り出す。
転倒していたルイスは、顔面から地面に激突していたため、顔を両手で押さえながら、その場で悶絶していた。
小柄な男が、倒れて揉んどり打っているルイスのところにたどり着き、
「死ねよガキがっ!」
そう叫んで、地面で転がるルイスに向けて、ナイフを振り下ろそうと一歩踏み込んだ。
その時、小柄な男の足がグニっと何かを踏んだ。
それは、ほどほどに柔らかく直径3センチ、長さ60センチほどの手足の無い生き物。
茶色と黒の体色に、三角形の頭部。
それは、この山でよく見かける毒蛇だった。
普通、蛇は積極的に人を襲ったりする生き物ではないが、攻撃された場合は別である。
踏まれた毒蛇は、反射的に小柄な男の剥き出しの足首に毒牙を突き立てた。
激しい痛みを感じ、足首を確認した小柄な男は、自分の足首に噛み付いている毒蛇に向けて、ルイスに突き刺す予定だったナイフを突き刺した。
毒蛇はナイフに体を刺されながらも、頭を左右に振るようにして、さらに毒液を男に注入してから息絶えた。
男はしゃがんで殺したバイパーを掴むと、足首に噛み付いた状態の毒蛇の牙を外して取ると、それを忌々しげに投げ捨て、
「や、ヤバイ……バイパーだ、早く毒消しを飲まないと……」
毒が回りだしたのか震える手で、背中に背負っていた荷物を地面に置き、リュックを開けて、その中から1つの小瓶を取り出した男は、蓋を開けて飲もうとした。
これが毒消しなのだろう。
よく毒消しを持っていたものだと思う。
だがそこに、揉んどり打っていたルイスの足が迫る。
ルイスの足に蹴り飛ばされた小瓶が、地面に落ちて割れると、中身の緑色の怪しげな液体が、地面に吸い込まれるように消えていく。
「あー!! 俺の毒消しがああ! ああっ……チキショウ……」
小柄の男がその場で、うずくまるように倒れた。