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占領



 何故後回しになったのかというと、それはルイス19歳の終わり頃、季節は秋。


 隣国アズマッシュが、突如イスディニア王国を攻めてきた。


 戦の気配を察知していなかったイスディニア王国は、かなりの国境沿いの村を占領されてしまった。


 イスディニア王国は、大陸の東では一二を争う大国であるが、その争っている大国がアズマッシュ国である。


 どうやらアズマッシュ国は、麦が近年稀に見る不作で、このままでは冬を越せないと攻めてきたらしいのだ。


 イスディニア王国は不作ではなかったので、金を払えばある程度輸出して貰えるはずなのに、金を払わずに攻めて来たのは、アズマッシュ国がイスディニア王国を、邪教の国だと差別しているからである。


 普段見下している相手に頭を下げて頼むのは、国として許容出来なかったのだろう。


 金など払わず奪えば良いと考えた訳だ。


 選民思想も甚だしい。


 さて、イスディニア王国貴族は、戦が起こると必ず参戦しなくてはならない。

 法衣男爵として参戦義務のあるルイスこと、ディトロナクス男爵は、部下10人と共に参戦することになる。


 領地の無い、法衣貴族の男爵に許される兵力の保持数は、屋敷の護衛などを含めて20人まで。

 戦には半数を率いて参戦することになる。


 全数を率いてしまうと、屋敷の警護が出来ないし、領地持ちだと、貴族達の領地の治安が悪化するため、半数を率いるのが慣わしだ。


 それに引き換え、ウィンストン辺境伯が率いた兵士の数は500人。

 法衣貴族と領地持ち貴族では、保持を許される戦力の数が違うためだ。


 法衣貴族の場合、男爵が20人。

 他の法衣貴族の場合は、子爵が30人、伯爵が40人、侯爵で50人、公爵が60人である。


 これが領地持ちだと通常は、男爵で200人、子爵で300人というふうに桁が一つ増える。


 ウィンストン辺境伯家は辺境であるため、領地も広く魔物も多いし、他国から攻められる事もあるため、特別に1000人の兵士の保持を認められている。


 領地持ちの公爵家よりも多いのだ。


 ウィンストン辺境伯領の治安の良さは、兵士が多いというのも、ひとつの要因であるのだ。


 国境に面した貴族は、通常より多い兵力を持つ事を許されているし、今回占領されてしまった地域も、通常より多い兵士がいたはずなのだが、準備していなかった事と、攻めてきた兵士の数が多かったためだ。

 戦力の差は如何ともしがたいものだった。


 さて、ルイスことディトロナクス男爵家に話を戻すが、ディトロナクス男爵家の兵士は、全て騎兵であった。

 まあ、馬車の御者も兼ねる兵士を3人を含むが。


 馬車には食糧や予備の武器に、毛布などと色々積み込んである。


 法衣男爵としては、異例に金のあったルイス。


 兵士全てに馬を用意し、革鎧ながらも鎧まで作らせたのだ。


 兵士長の名は、ベガ。


 元冒険者であり、シルバーランクにまでなった、腕のある若い男だったが、恋人のリーナの妊娠により、冒険者を引退して結婚。


 働き口を求めて、ルイスの元にやって来た。


 ルイスがサラと会った時は、まだ駆け出し冒険者だったのに、ルイスが男爵になった時にシルバーランクという、上から二番目のランクまで短期間で駆け上がったベガの腕は、かなりのモノだったのだろう。


 リーナはルイスの屋敷で、メイドとして受け入れられているが、今は子育て中である。



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― 新着の感想 ―
[良い点] うん。 分かってたけど、師裏剣さんって選民思想とか嫌いだよね?(笑) そして、敵として情けをかけなくて済むから描きやすい(笑)
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