大会
三つのタイトル戦が決まり、どう開催するのかという草案が纏まった。
平民は参加費として銅貨10枚。
貴族は銀貨1枚。
初年度は各領地ごとに、参加する平民全員でトーナメント戦をして、男爵領なら一名。子爵領なら2名と、領地の大きさに応じた、決勝トーナメント出場者を決める。
将棋で言うアマ代表者だ。
持ち時間1時間のチェスクロック方式。
つまり考えれば考えるだけ時間が減る。
平民代表者を含む、貴族達のトーナメントグループを八つ作り、そこの勝者八名を四人一組に分けて、総当たり戦で決勝進出者二名を決める。
ここまでは持ち時間2時間のストップウォッチ方式。つまり一手1分未満なら、持ち時間は減らない。
そしてタイトル戦は番勝負。つまり複数回指して決めるとなった。
コレはあくまで、初年度のタイトル保持者を決めるためであって、翌年からは、主催者が独自のルールを決める事になった。
ただし、一度決めたらコロコロ変えてはならないとも決めた。
タイトル戦でのルールは、
【名人戦は5番勝負。持ち時間一人5時間】
【竜王戦は7番勝負。持ち時間一人7時間の2日制】
【棋聖戦は5番勝負だが、持ち時間一人2時間のチェスクロック戦】
となった。
この国の魔物大戦は、まだまだ進化していく……
タイトル戦は来年から開催すると、開催日初日に王より宣言があり、十日間にわたる大会期間は、大いに盛り上がった。
そうして今年の大会の優勝者が決まった。
魔物大戦優勝者[ルイス・ウィンストン・ディトロナクス男爵]
チェス優勝者[チェリオット・スターク・イスディニア王]
火水大戦優勝者[リディアロース・リベアランス伯爵令嬢]
以上が優勝者の名前である。
チェスで優勝した、イスディニア王の喜びようは、それはもう天にも登るような浮かれ具合であった。
ちなみに準優勝は、魔物大戦はウィンストン辺境伯、チェスはリベアランス伯爵、火水大戦はサラフィス・ディトロナクスであった。
ここにサラの名が上がった事に、大変驚いた人物がいる。
ルイスだ。
サラが参加する事を全く聞かされていなかったのだ。
「何故魔物大戦じゃなく、火水大戦に?」
と後から聞いたルイスに、
「だってルイスが出るなら、優勝はルイスで決まりでしょう? それなら優勝できるチャンスのある、火水大戦を選ぶわよね?」
と、当然でしょうと答えたサラ。
負ける戦には、最初から参戦しないという訳だ。
誰かとよく似ているのかもしれない。




