表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

45/81

アップルパイ


 リンゴシャーベットを食べた後、物足りなさげなサラを見て、

「よしっ! サラのために色々作ってあげる!」

 と、ルイスが笑顔でそう言ったら、


「嬉しいっ!」

 と、サラがルイスに抱きつき、イチャコラ始めたので、作るのは翌日になったが。


 まず最初にルイスが手掛けたのは、ウィンストン辺境伯領の特産品である、リンゴを使った焼き菓子。

 まあ、アップルパイだ。


 コレを、サラはもちろん、屋敷で働く者や護衛達に振る舞ったルイス。


 あまりにも大好評だったので、それならばとサラの実家のウィンストン辺境伯の屋敷にも、お裾分けとばかりに持っていって振る舞ったルイス。


 何せディトロナクス男爵の屋敷と、ウィンストン辺境伯の屋敷との距離は、歩いて5分なのだから。


 ここでも好評だったので、ルイスは人を雇って、スイーツ店を開業する事にした。


 店を始めるにあたって、メニューがアップルパイだけでは成り立たないと思い、プリンやリンゴシャーベットはもちろん、パンケーキ、そしてクレープやショートケーキまで作らせたのだ。


 この店は、値段は少しお高いが、裕福な平民や商人達に大変ウケた。

 お茶の方も紅茶だけではと思い、ハーブティーやマテ茶、ルイボスティーなど、種類を増やしたのも良かった。もちろん紅茶も、ダージリンのようなものから、アールグレイのようなものと、色々種類を増やしてある。


 コーヒー豆が見つからないから、大豆でやってみたものの、ぜんぜん別物になってしまった。

 まあ、これはこれでそれなりに美味かったのだが。


 そもそも、喫茶店という概念がこの世界には無かったのか、食事の出来るレストランや酒場はあっても、お茶とスイーツだけを楽しむ店が無かった。


 ルイスの経営する、デザートサラフィスという名の店は、ウィンストン辺境伯領で、大人気店になる。

 毎日大行列で、1時間2時間待ちは当たり前になった。

 お遊び程度でやり出した店は、とてもお遊びの範疇ではなくなってしまった。

 従業員を増やしはしたが、ルイスはこの店だけに構ってはいられない。

 なので、デザートサラフィスは従士の一人を責任者として任命して、その従士に専属で業務を任せる事にした。

 ルイスは、ウィンストン辺境伯領で商売をするという気持ちで任せたのだが、この男、商才があった。

 いや、あり過ぎた。


 次々と従業員を雇い、店長候補まで募集し、教育してから各地へと出向かせ、大きな街に支店を出店させていき、ウィンストン辺境伯領発のアップルパイと、デザートサラフィスの名は、イスディニア王国全土に瞬く間に広がったのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] アップルティー良いですなぁ。 あれの香りを楽しむのが好き。 後は、お祭りでりんご飴? それにしても、恐ろしい商才(笑) 正直、羨ましい。
[良い点] 王都に帰った貴族や皇太子の話が広がると直営店の出店を 王様に命令されそうですね [一言] えーせっかくリンゴの産地ならアップルティーも 紅茶を入れるお湯を沸かすときにリンゴの皮と芯を入れ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ