新婚さん
サラと始まる新婚生活は、ルイスにとって幸せを噛み締めるものになった。
なにせ前世から考えても、生まれて初めての結婚生活なのだから。
同じベッドで目覚め、使用人が用意した朝食のパンと、スクランブルエッグにサラダを食べた後、紅茶を一緒に仲良く楽しんだ後、午前中は書類と格闘するルイスの横で、別の種類の紅茶を飲みながら、詰め魔物大戦を解くサラ。
その姿に、何度もルイスは心癒され、ルイスの視線に気がついたサラが、ニッコリ微笑むのを見ると、思わず抱きしめたくなるのを、必死に抑えるルイス。
昼食は、ルイスの分はサラが作る事になっており、ルイスはキッチンに立つサラの横で、調理する姿を眺めて過ごす。
サラはルイスと結婚する前に、色々な事を身につけていて、料理はすでに大得意である。
習っていたのは、アレの事だけでは無いようだ。
今日のメニューは、ルイス直伝、魚粉オーク骨ラーメン。
川魚の開きから身をほぐし取り、さらに煎って水分を飛ばし、すり鉢で粉々にしたものに、オークの骨を砕いて茹でたスープと、醤油を加えて、手打ち細麺に角煮をトッピングしたものだ。
濃い! 濃すぎる! コッテリ過ぎる!
だが、二人はそれを美味しそうに食べる。
ルイスは、2本の竹の切れ端のようなもの、つまり箸で、まさにラーメンをすすり食べているが、サラはフォークとスプーンで、スープパスタを食べるような感じで食べている。
さすがに箸は使えないようだ。
昼食後は、二人で馬車に乗る。
護衛達を引き連れて、ディトロナクス男爵家で製造している色々な物の、進行具合の視察と確認に回り、夕方に帰宅。
夕食には、ルイスのレシピの元、ディトロナクス男爵家の料理人による、新たな食材の食べ方を試しつつ酒を嗜み、その後チェスか魔物大戦を一局指してから、二人で寝床に着く。
遊戯の勝者が、今宵の攻めを許されるという、なんともリア充な裸レスリングを繰り広げてから、腕枕で眠りにつく。
そんな日常が続いていた。
ルイスの人生において、こんなにも充実した日々が来るとは、ルイス自身も思ってもみなかったが、その幸せを噛み締めつつ謳歌していた。
そんなある日、ルイスはサラのためにデザートを作った。
リンゴの果汁から作ったシャーベットだ。
水生魔物から取れる魔石で、果汁を冷やして作ったのだが、コレをサラがめちゃくちゃ気にいり、以前のプリンの件もあり、他にも作ってとサラにおねだりされる。
これをキッカケに、ルイスはこの世界でのデザート王に駆け上がる事になる。