マジで?
その後、ルイスの下着を履いたサラとルイスは、とりあえず夕食の準備に取り掛かる。
まあ、お嬢様育ちのサラは何もせずに、ルイスがやっている事を見ているだけだが。
薄い干し肉を揉み解すように砕き、鍋に水と砕いた干し肉、何かの植物の根っこ、それとその辺に生えてそうな葉っぱを入れ、カマドに火打ち石で火を入れるルイス。
その様子を見ていたサラが、
「その葉っぱと根っこは何?」
と尋ねてくるので、
「オオバコっていう草で、少し甘みのある野草だよ。根っこはゴボウっていう野菜だよ。美味しいんだよ」
と答えたルイスに、
「そんなの食べたこと無いんだけど?」
サラは本当にそれは食べ物なのかと、訝しげに聞いてくる。
「街には、他にもいっぱい食べられる野菜があるから、わざわざ食べたりしないだろうね」
「ていうか、あんた名前は?」
「あ、名乗ってなかったね。ルイスって言うんだ。街では炭焼きのルイスっていえば、商店とかではけっこう有名なんだよ」
ここで自己紹介とは遅すぎると思うが、ようやく名乗ったルイス。
「へえ。私はサラよ」
「サラちゃんか。良い名前だね」
そう言いながら、ルイスは小麦粉と水と塩を合わせて、生地を練っている。
そうして出来上がった生地を、平たく伸ばしてカマドの中に貼りつけた。
「それは?」
サラの問いかけに、
「パンの代わりだよ。薄く伸ばしてあるからすぐ焼けるんだ」
その見た目は。フォカッチャのように見えるパンモドキ。
「へぇ〜」
鍋が吹きこぼれる前に、ルイスは鍋を火から外し、塩と柑橘類の皮を刻んだものを入れ、かき回してから味見をした。
「うん、こんなもんだろう! よし、食べよ!」
そう言って深めの木皿にスープを注ぎ、テーブルにパンモドキと一緒に置いて、ルイスが言うと、
「パンとスープだけ?」
不満気なサラに、
「そうだよ?」
そう答えるルイス。
「ステーキやパイ包みとかないの?」
贅沢が染み付いているサラには、物足りないようだ。
「今日は獲物が取れなかったんだよね。だいたい毎日ステーキとか、そんなのあるわけないよ。どこの貴族様って感じだよ」
とルイスが言うと、
「ウィンストンの貴族様よ」
と、控えめな胸を張ってサラが言う。
「マジで?」
眼を見開いてルイスが驚く。




