ドキドキ
場面は戻って、ルイスとサラの話は続く。
「とりあえずその、死体というのを確認したいわ」
と言ったサラ。
若い女性が見るものではないと思うが、
「案内するよ」
と、ルイスが言う。
見たいと言う方もどうかと思うが、案内する方もする方である。
小屋を出て少し歩き、ルイスは地面を指さして、
「コレだよ」
と、バイパーの毒で死んだ小柄な男の元に案内した。
「ほんとに死んでるの?」
不安気に死体を覗き込むサラ。
「うん、触ってみる?」
「いやよ!」
サラは、そう言って死体から後ずさって距離を開けたのだが、移動した方向が悪かった。
何かに躓いてポテッと転んだ。
「キャッ! 痛ててて。いったい何に……キィヤアアー!」
そこには斧に顔を割られたノッポの死体があった。
サラが躓いたことにより、顔面から斧が抜け落ちたためパックリ割れた顔面がよく見える。
サラの顔面が青白く染まる。
顔が青白くなっただけでなく、液体も漏らしてしまったのだが、下着がないため、履き替える必要はない。
ルイスが慌ててサラの下に駆けつけると、
「あ! 俺の斧! こんな所に落としてたのか」
と、死体そっちのけで、斧を拾う。
血がベッタリ付いているのに。
「あ……あんたの斧なの?」
「うん、俺の仕事道具さ」
「この死体は貴方がやったの?」
サラに問われたルイスは、斧が自分の手から飛んでいった事を思い出す。状況から見て、飛んだ斧が男の顔に当たったのだと、理解した。
「結果的にはそうなるかなぁ」
と呑気な声で答えたルイス。
「そうなんだ……とりあえず戻りましょう」
サラが小さな声で言うと、
「そうだね。もうすぐ日も暮れるし、早めに戻ろう。明日、衛兵の詰所に連絡しにいくよ」
そう提案したルイスに、
「そうねその時に、私を家に連れて行って!」
サラがそう言う。まるで私をスキーにで始まる映画のタイトルのように。
そうして二人は、小屋に向けて歩きだす。
何故かルイスの前を歩くサラの後ろ姿を、なんとなく見ていたルイスだったが、その時強い風が吹いた。
風でサラのスカートが捲り上がり、白く張りのあるお尻がルイスの瞳に飛び込んでくる。
ルイスの目はお尻に釘付けになる。
慌てスカートを手で押さえたサラは、振り返ってルイスに、
「このスケベ!」
と、怒鳴る。
ルイスは悪く無いのに、言いがかりも甚だしい。
ルイスは何もしていないのに、怒鳴られたわけだが、
「なんかごめん」
と謝ったルイスに、
「とりあえずあんたの下着貸しなさいよ!」
と、要求するサラ。
ルイスの下着を履くつもりのようだ。
「ええ?」
と驚くルイス。
小屋に戻り、自分の下着をサラに渡すと、
「こんなのかぁ。無いよりマシか。ちゃんと洗濯してるんでしょうね?」
と聞かれた。
「もちろん!」
と答えたルイス。
内心は自分の下着を、目の前にいる美しいサラが履くという、とんでもないシチュエーションに興奮してドキドキしていたのは、内緒にしてあげよう。
今日はここまで




