10.三日目、三時限
それぞれに叩かれたところの感覚を確認しましたか?
………はい、わかりました。もう少し待ちましょう。
ぱすぱすのあなた。
大丈夫ですよ、不思議な表現だと言っただけで、問題があるとは言ってません。
そのぱすぱすは丁寧に追い掛けていってください。できれば、ノートを取るといいと思います。
みなさんも、感覚の「表現」についてはノートを取りましょう。
「感覚」は変化していきます。
一般的なものから個別的なものへ。
いずれその道を戻ってくることになりますから道標に使えます…………はい?
なぜ一度進んだ道を戻るのか?
いい質問ですね、『無限大』くん。
有名な例え話では、それを『空中に立てた梯子を上る』と言います。
空中に梯子を立てて、どんどん上っていく。
これがみなさんの学んでいることです。
………………まあ、そうですね、蛇使いのロープ魔法と似てますね。
やがて、梯子は切れて、その上に空が広がるだけになります。
しかしそれでも、みなさんは上に上っていこうとしてほしいと思いますが、どうしたらいいでしょう?
………梯子を継ぎ足す?
なるほど。しかし、その梯子の終わりにはどうしますか?
それを問題の先送り、と言います。
…………向きを変えて、下に向かって梯子を上っていく?
なるほど。
しかし、それは他から見れば詭弁に過ぎないようですが?
……………羽根をはやして飛んでいく?
ふむ、鳥人類への進化ですか。
悪くないですが、一世代では難しそうですね。
……………空中に飛び出して気合いで何かを掴む。
おお、精神論ですね。
授業の始めに何をしたか忘れたようですから、はい、駆け足。
校庭3周したら戻って下さい。
…………頑張って下さいね、授業は進みますよ。
はい? ………正解はなんですか、と?
『ブラックホール』の名前が泣きますよ。
…………ある生徒がこう応えました。
無限の梯子を用意します、と。
…………なんですか、そのうげえ、というのは。
みなさんの中には『有限の梯子』が「前提」としてあります。
それはまた生物の持つ命の限界から来る「前提」でもあります。
しかし、みなさんはそこを越えていくことを学んでいるのです。
………………静まり返ってしまいましたね。
では、手に負えるところに戻りましょう。
叩かれたところは「痛い」ですね。
ずきずきにせよ、ぱすぱすにせよ、ぐさぐさにせよ、一般的なことばで言うと「痛い」という区分けに入れているはずです。
………そうですね。
中には「快い」という区分けに入ってる人も居ますが、またそれは今度にしましょう。
……ああ、おかえりなさい、早かったですね。
え? 名前を思い付いた? 『疾走』とする?
わかりました、『疾走』くん、着席して下さい。
……続けましょう。
この「痛み」にははっきりとした意味があります。
つまり、今あなたがたが得た感覚を体のどこかに、もしくは心のどこかに感じたならば、それはあなたがたが「叩かれた」ことを意味します。
…………そうです、意識してもしなくても。
攻撃を受けて傷ついたと体が認識している。
そういう意味だということです。
時間が長引きますが、続けましょう。




