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ダメな姉(わたし)は妹を愛でる  作者: 御園海音
四月の妹は可愛い
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第7話 ダメ姉は、蹂躙される

「さあコマ!ご飯の前にお姉ちゃんといつものやつしようねー!叔母さんの口直しも兼ねて!口直しも兼ねて!」


あと少しでご飯が炊ける。その前にコマの味覚を戻すべく、そしてさっきのBBA―――叔母さんとの口づけをかき消すべくいつものようにコマと口づけをしようと提案する私。


「はいです姉さま。よろしくお願いしますね」

「おうマコ、テメェ何で口直しって二回も言いやがった。誰がこの家の大黒柱か忘れてないよな?今月の小遣い減らすぞこら」


 やかましい叔母さん。そっちこそ誰がこの家の料理長か忘れないでいただきたい。その気になったら叔母さんにひもじい思いをさせることなぞ容易いんだからね。


「それじゃちょーっと待ってねコマ。今リンゴジュースを持ってくるから♪」


 叔母さんの戯言をガン無視してキッチンに向かう私。……さてと。何故口づけするのにリンゴジュースが必要なのか疑問に思われるかもしれないから念のため説明しておこうか。


 これはお昼もやっていたことだが……コマの味覚を戻すための口づけをする際、私は毎回口づけと一緒にリンゴジュースの口移しを併用して行う。これはジンクスみたいなものなんだけど……あの時、そう6年前のコマとの初めての口づけの時に咀嚼したリンゴを口移しした名残みたいなもので、コマ曰くリンゴジュースを使って口づけすると味覚が戻りやすいそうだ。


 つまりリンゴジュースはいわば触媒みたいなもので、実際リンゴジュースを使った時と使わなかった時では味覚が戻る時間は使わなかった時よりも使った時の方が5分近く早くなるとのこと。そんなわけでそれ以来毎食事に口づけをするときには必ずと言っていいほどリンゴジュースを用いている。


「(まあ私としては使わない方が長い時間コマと口づけ出来るんだし、本音を言うとあんまり使いたくはないんだけどねー)」


 ……なんて、思わずそんな邪なことを考えてしまう私。いかんいかん……今日のお昼にも『コマの味覚障害を必ず治す』とか『妹に絶対手を出さない』と決意しておいてすぐこれだ。ホント我が事ながらダメな姉だよね。


「…………あれ?」


 そんな邪念を振り払い、気を取り直してジュースを収納している戸棚を開けてみた私。けれど……んん?中をじっくり覗いてみたけど、常備しているリンゴジュースが一本も無いではないか。あれ?どういうことだコレ?


「ねえコマ。それに叔母さん。二人ともリンゴジュースどこにあるか知らない?」

「……いいえ。知りませんね」

「うん?リンゴジュースだと?それならいつも通り戸棚ん中にあるんじゃねーの」

「いや、それが無いんだよ。おっかしいなぁ……」

「ふーん。ならもう飲み切ったんじゃないのか?」

「……」


 飲み切った……?そんなバカな……ついこの間、特売してたからかなりの量を買い貯ハズなんだけど……

 でもどう見ても戸棚は空っぽだし、叔母さんの言う通りもう全部使っちゃったんだろうか……?あれ?でも昨日の夜確認した時はちゃんとストックがあったような気がするし……


「あ!ひょっとして叔母さん……私の許可なく勝手に飲んだんじゃない?」

「は?いや、そんなことしねーよ。だいたいそんなお子ちゃまの飲み物飲むくらいならビール飲むわ」

「あ、あー……まあそれもそっか」

「…………」


 それはそれでどうかと思うけど、確かに酒乱の叔母さんがジュースなんて飲むはずもないか。それじゃあ後考えられるのは……コマが飲んじゃった、とか?

 ……いいやそれも無いね。結構量があったし、第一コマなら飲む前に私に一言言って飲むだろう。何より知らないってコマ自身が言っているしコマが犯人なわけがない。。


「…………(ボソッ)ん?いや待てよ……?ああ思いだしたぞ。そういや昨日の夜にコマの奴がこそこそと大量のジュースを流し台に流して処分していたような―――」

「…………叔母さま」

「はっ!?」

「ん?コマ?」


 と、何かブツブツ呟いていた叔母さんの横で、突然突き刺すような鋭いコマの声がリビングに響き渡った。おや?どしたんだろう?


「急に大声出しちゃってどうしたのコマ?何かあった?もしかしてまた叔母さんが変な事をした?」

「いいえ、何でもありませんよ姉さま。―――ですよね、叔母さま?」

「……あ、ああうんそうだな。ワリィ、気のせいだったわ……」


 ニッコリと笑うコマと何故かおどおどしてる叔母さん。よくわからんけどコマの笑顔が可愛いからいっか。

 ジュースも多分私の買い忘れなんだろうし無いものを探しても仕方ない。切り替えるとしますかね。にしても食事関連を預かる身としては買い忘れなんて情けないもんだ。やっぱ色々とダメだね私って。明日の帰りにでも買いに行かなきゃなぁ……


「じゃあコマ。ジュースが無いなら仕方がないし……味覚戻しの口づけさ、悪いけど久しぶりにジュース無しでやろっかね」

「はいです姉さま♪よろしくお願いしますっ!」


 先ほど以上に素敵な笑みを浮かべ目をキラキラさせて私に駆け寄り、子犬がしっぽを振って飼い主の元へ向かってくるかのような愛らしさで私に飛びつくコマ。うーん……私の妹ったら超キュート。もしや天使なのではなかろうか?

 そんなコマを抱きとめて、私もいつも通り口づけの態勢を整える。


 ……それにしても触媒のリンゴジュース無しの口づけっていつ以来だろうか。いやぁ、ホント随分と久しぶりの……ような……気がする―――うん?久しぶり……?


「(……待てよ?ジュース無しで、口づけ……?)」


…………と、ないかいう事はつまり……っ!?な、なま(?)キッスしていいってことではないか……!ひ、久しぶりの、超久しぶりのコマとの生キッス……!?こっ、こここ……これはなんて好都合!買い忘れて良かったリンゴジュース!うぉおおおおお!燃えるっ!萌えるぅ!!


「ね、姉さまどうなさったのですか……?また鼻血が大量に……」

「……何考えてるのかは大体予想は付くけどさ。マコ、とりあえず鼻血とよだれ止めな。気持ち悪いし床が汚れるだろうが」

「(ダラダラダラ)へっ?」


 コマと叔母さんにそう指摘されて足元を見ると、気が付けば鼻血とよだれが水たまりを作っていたようだ。

 おっといかん。コマへの愛情がちょっと迸ってしまった。即止血&よだれを拭き取って、口づけをするためコマと向き合う私。


「あー、コホン。……ね、ねぇコマ?リンゴジュース無しでやるの久しぶりだし……ジュース無しじゃちょっと時間かかるかもしれないけどそれでも平気かな?何なら今から近くの自販機で買ってきてもいいんだけど……」

「大丈夫です。姉さまさえ良ければどれだけ時間がかかっても私は構いません。ですのでわざわざ買う必要なんてありませんよ姉さま。…………(ボソッ)寧ろ時間がかかったほうが、私としては……」


 念のため確認してコマにOKをもらう。いよっしゃ……っ!!もしこれで仮に『そんなの嫌です、さっさとジュース買ってきてください』なんてコマに言われたら生キスが出来ないところだったけど……コマからも許しを貰った。これで合法的にコマと天然のキッスが出来る……!


「わ、わかった。そ、それじゃあコマ……お、おいで」


 ヤバい……生って意識するといつも以上に緊張するね。一度私は思いっきり深呼吸して緊張を少しでも解きほぐしながら震える声でコマを迎える。


「はい……それでは失礼しますね姉さま……」

「うん、来てコマ…」

「(じー)……」


 コマは目を閉じてからゆっくりと私に顔を近づけてくる。あ……コマのキス待ち顔何かえろい……写メりたい……流石にそんなことしたら引かれちゃうから心の中のカメラで激写するだけにしておくけど。

 網膜と脳内にコマの今の顔を焼きつけて……で、ではたっぷりと堪能させて頂きましょうかねコマとの生の口づけ……っ!


「マコねえさま……」

「コマ……」

「(じー)……」


 お互いの名を呼び、そして何者かの視線を(・・・・・・・)一身に受けつつコマと私の唇の距離が段々と縮まる。まずは桜色のぷっくらとした瑞々しい唇を私の唇で大事に優しく触れ…………うん?何者かの視線……?


「(じー)…………」

「って……!?ちょ、ちょっとゴメン。タイムだよコマ」

「えっ……?あぁ……そんなぁ……」


 あと数センチで二人の唇が触れ合うと言うところで一旦タイムを入れる私。残念そうにしているコマには悪いけどちょっと中断しよう。……さっきから誰かさんの視線が気になってどうしようもないんだよ……ゴメンねコマ。


「……あのさ、叔母さん。ちょいと言いたいことがあるんだけど」

「ん?何だマコ」

「……アンタさ、何でじろじろ私たちを見てるのさ……」


 私とコマの口づけを凝視している叔母さんに抗議する。流石に誰かに見られながら口づけするとか……いくら相手が家族とはいえめちゃくちゃ気が散るんだけど……この人は何を見てんだよ。


「んなこと言われてもなぁ。大体こんな場所でおっぱじめやがった奴が言う台詞かねぇ?」

「いや……そこは叔母さんもコマの事情を知っているわけだしさぁ…大人として私たちに気を遣って見ない振りしたりとか……さり気なく部屋から出るとかしてくれないかなぁ?ちょっとは空気読んでよ」

「はー?嫌だよ。なーんで家主のアタシがわざわざそんな面倒なことをしなきゃならないんだよ」

「こ、この面倒くさがりめ……な、なら良いよ。私たちが移動するから。コマ、別の部屋に行こう」

「いや、別にお前らも移動する必要もねーだろ。良いじゃんかー、どうせいつもの事だし誰に見られても気にならんだろ。気にせずアタシに姉妹同士のキス見せなって。良い暇つぶしになるだろうし」

「気にするよ!?」


 ソファに寝転がりながらも興味津々な表情で私たちの口づけを観戦しようとしている叔母さん。なんだよ暇つぶしって。ええぃこれ見世物じゃ無いってのに……


「あのさ叔母さん。コマも見られながらするのはきっと困ると思うし、出ていけとは言わないからさ。せめて見ないで貰えると嬉しいんだけど……」

「おっ、上手い。コマだけに(コマ)るってか?」

「やかましい。寒いしちっとも上手くないわ」


 突然の親父ギャグ。酔ってるのかこの人は……


「アホな叔母さんは置いておくとして。ね、コマも見られるのは気になっちゃうよね??嫌だよね?」

「いえ、全く気になりませんに嫌でもありません」

「あれぇー?」


 意外にもコマは見られることに関しては平気そうで、口づけの再開を今か今かと待ち望んでいるご様子。……う、うーん。ひょっとして私が意識し過ぎなのか……?

 まあ確かにコマからしたらこれも単なる味覚戻すためのただの儀式みたいなものだし、変に妹との口づけを意識して気にし過ぎている私の方が異常なだけかもしれないけど。


「気になりませんので……姉さま早くしましょうよ。私待ちきれませんよ……」

「ホレ見た事か。コマもこう言ってんだし気にすんなってばマコ」

「わ、わかったよ……ゴメンねコマ、中断しちゃって」


 仕方ない、叔母さんのことは気にせずに続けるとしようか。とりあえず叔母さんはいないもの、タダの空気と自分に言い聞かせ、もう一度コマと向き合う私。


「じゃあ改めて……おいでコマ」

「ええ、マコ姉さま……」


 ゆっくりと近づく私とコマ。触媒無しの生の口づけ、そして見られているという緊張で息が上がりそれが熱い吐息となり私の口から漏れ出す。

 コマからも同じように熱い吐息が伝わってきて、その吐息は混ざり合いお互いの唇も今か今かと交わり合いたがっているのがわかってしまう。



 カリカリ



「じゃあ……いくよコマ」

「お願いしますマコ姉さま……」


 今日はとても静かな夜だ。私たちの口づけを邪魔する音は外からは聞こえてこない。そのお陰で口づけに集中できるというものだ。私たちのいるリビングもとても静か。



 カリカリカリ



 今聞こえてくるのは時計の針の音、向こうで炊飯器がご飯をシュンシュンと炊いている音。それと私たち姉妹の高まった吐息と、お互いの名を呼ぶ声と―――



 カリカリカリカリ



 ―――そして、叔母さんが私たちを凝視しながら何やらメモを取っている音だけ……………ってオイ待てい!?


「す、ストップコマ!ストッープッ!!」

「あぅ……ま、また……?」


 触れるか触れないか、そのギリギリのところでストップをかける私。またもお預けされてコマが悲しそうな顔をする。

 いやホントゴメンよコマ……ちょっと待ってね。お姉ちゃん今ものすっごく集中できないんだよゴメン。ええぃ、それもこれも……っ!


「おいおい、良いところでなに中断してんだよマコ?もしや焦らしプレイか何かか?」

「…………ねえ叔母さんってば。アンタさっきから何してんのさ?うっとおしくて敵わないんだけど」


 観戦するだけならまだしも、何故か私たちを見ながらメモ帳片手に必死にメモっている叔母さんに再び抗議する。妙に突き刺さる視線とメモを取る音が私の集中力をより一層欠かせて口づけの邪魔してるんだけどどういうことなのかねこれは?この人さっきから何やってんだよ……


「あー……いやそのアレだ。ネタになるなって思ってつい。さっきも言ったけどアタシの事は気にせず遠慮せず続けてくれて良いぞ」


 何のネタだ何の。…………ん?いや待て、まさかアレ(・・)か……?


「まさかとは思うけどさ叔母さん。私たちの口づけを―――今書いている本のネタにしているわけじゃないよね……?」

「……はは、何言ってんだマコ……そんなプライバシーに関わり兼ねない事、するわけないだろ……」

「おうそこのBBA、目を反らすな。ちゃんとこっち見ろ」


 物書きを職としている叔母さんなんだけど……今更ながら一体何の本を書いてるんだろうか……?無いと信じたいけれど、仮にコマを辱めるようなもの書いているのであれば場合によっては編集さん(・・・・)に止めて貰うほかあるまい。


 ともあれ今はそれよりも、とにかくこの人のメモを何としてでも止めねば……そう思って叔母さんの手元のメモを没収しようとした私だけれど―――



 ぐいっ



「うぉっ!?」

「…………姉さまのいけず」


 頭をぐいっとコマに引き寄せられ、三度目の向き合いを果たす私とコマ。突然そんな行動に出たコマの表情は……ちょっぴりジト目で拗ねているよう。あ、やば……も、もしかしてコマを怒らせちゃった……?


「あの……コマ?なんか……怒ってる……かな?」

「…………叔母さまとばかり喋って、叔母さまとばかり遊んで、叔母さまとばかり…………焦らさないでください姉さま」


 どうやらさっきから良いところでキャンセルされたせいで温厚なコマも御冠のようだ。しまった……コマもお腹空いているだろうし只でさえ今日はリンゴジュース無しで味覚を戻すのに時間がかかるハズ。このままじゃいつまで経ってもご飯が先延ばしになってしまう。コマが怒っているのも無理は無いよね。


「ご、ゴメン!わ、わかってる!もう叔母さんなんて無視するから―――んむぅ!?」

「ん……っ」


 すぐ謝罪して今度こそ、と思っていた私だけど。焦らされまくってもう待てないと言いたげに、問答無用にクイッと顎を持ち上げられて一切の躊躇なくコマに口づけされる私。あ……積極的なコマもかっこよくて良い……惚れる……いやもう惚れてた……


「ふ…ぅ……ねえひゃま……ねえひゃま……っ!」

「む、むぅぅ…!?ん…んん……っ!」

「おー、やっぱリアルでやってるの見るのは迫力あっていいな。参考にさせてもらうからなー」


 何か叔母さんが言ってるみたいだけど、全く耳に残らない。それほどまでに、コマとの口づけは凄かった。

 いつもと違いジュースを使っていない久しぶりの生の口づけ…リンゴジュースの味はしない無味無臭の単純な口づけのはずなんだけど……


「(あま…い……それ、に…コマの香りが…ここち、いい……)」


 ジュースを使っていないのに、何故か却っていつもよりもコマとの口づけが甘く感じられる。コマの良い香りに直接包み込まれて、ああ……やっぱ生の口づけ、しゅごい……


「あっ…んんっ………ふふっ♪姉さまの身体、あったかいです」


 おまけに散々待たせちゃったせいかコマも本気らしい。先ほどのように私にまたストップをかけられ逃げられることがないようにと、右手で私の後頭部を抱いて左手は私の腰に回してくる。

 それはつまり……私たち双子はかなり密着しているという事で……口づけする度お胸とお胸がムニュムニュくっつき暴れている。……何この素敵なサービス。興奮するじゃないの……


「あぅ……ふぉま、まっへ……あ、はぁ……ん、んみゅぅう!?」

「ん……ちゅ、ぷはぁ……」


 私の舌を、歯を、頬の内側を舐めて絡めて吸い取って……そして自身の舌で私の舌を包み込むコマ。い、いかん。コマの味覚戻すためにやっているのに……集中しなきゃ、ならないのに……その妹との禁断の口づけのあまりの気持ち良さに溺れてしまう。


「ふっ…んぅ……あ、ふぅん…」

「むぐぅ……ふむん…んっ!」

「(パシャ)臨場感あるなー、良い絵撮れて何よりだわ」


 あ、ああ……生の口づけって大好きだけど……これやっぱり諸刃の剣だわ。ちょっと気を抜けば、何のために口づけしてるのかわからなくなりそうになっちゃう……

 つーか叔母さん……あんた今パシャって音がしたけどなにをしてくれてんだキサマ……


「「んん…ふぅ……あふ…………ぷはっ…」」


 かれこれ五分以上唇を重ねていたけど、流石に鼻呼吸だけじゃ息が持たなくなりほぼ同時に唇を離す私とコマ。さっきの叔母さんとの口づけの時以上に濃くて太い透明な糸の橋がとろりと私たち姉妹に架かる。


「はぁ…はぁ……」

「……ふぅ」


 息も絶え絶えの私をよそにその出来た唾液の橋をペロリと愛おしげに舐め取り、こくんと嚥下するコマ。それからまた私の顎を引いて潤んだ熱っぽい瞳で私を見つめ、妖艶な笑みを浮かべて一言。


「……姉さま」

「ひゃ、ひゃい…?」

「ごめんなさいね。まだ味覚も完全じゃないので……もっと、お願いしますね♡」

「ひゃい……よ、よろこんで…」


 コマの味覚を戻すことすら忘れかけ、その口づけに酔う私。……それからご飯が炊けるまでの約10分。叔母さんのスマホのシャッター音が聞こえる中、私の口の中はコマになすがまま蹂躙されたのであった。

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