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ダメな姉(わたし)は妹を愛でる  作者: 御園海音
十月の妹も可愛い(上)
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第82話 ダメ姉は、胸を揉まれる

先週は更新出来ずに申し訳ございませんでした。

通常は土曜日更新の予定ですが、遅れた分予定をちょっぴり早めて本日更新させて貰います。では今回もダメ姉をよろしくお願いします。

 ~SIDE:マコ~



 トラブルメイカーな私にしては珍しくこれといった大きなトラブルは何一つ起こらず、そして起こさず無事に放課後を迎えた。


「うっし。んじゃ、そろそろ行きますか」


 『明日の放課後に屋上まで』と書かれていた通り、昨日私の下駄箱の中に入っていた果たし状が悪戯とかじゃないならば果たし状の送り主はすでに私を待ちわびている事だろう。あまり待たせるのも相手に失礼だし、駆け足気味に指定されている屋上を目指す私。


「……にしても。この送り主って結局誰なんだろうね」


 屋上へと続く階段を登りながら、贈られた差出人の名が書かれていない果たし状を眺めて独り言ちる。私の推測が正しければ、送り主は大方コマの事が好きでいつもコマの傍でコマとベタベタしている私を妬んでいるか……もしくは私自身になにか恨みを持つ人間が送って来たのだろう。

 私だって心の準備がしたいところだし、出来れば果し合いの前にその差出人がどんな人なのかを知っておきたいところだけれど……困ったことに、該当しそうな人間はうちの学校の中だけでも至る所に居るだろうから全然特定できない。


「……とりあえず、話の通じる人だと良いんだけどねー」


 今時珍しく律儀にとても丁寧な字で手紙を書いてくるあたり、生真面目そうな人だから流石に無いとは思うけど……問答無用で襲い掛かかって来たり、あるいは昨日コマが呟いていたように問答無用で私を屋上から突き落としてくるような過激な相手じゃない事を祈ろう。


「っと……とか何とか言ってるうちにもう着いちゃったのか」


 そんな事を考えていると気付けばあっという間に屋上前まで辿り着いていた私。早速中に入ろうと扉の取っ手に手をかけてみた私だけれど……そこで自分のその手が震えている事に気付く。

 まあ果し合いなんて流石の私も初体験なわけだし、どうやら自分で思ってた以上に緊張しているみたいだ。まずは屋上へと続く扉の前で大きく深呼吸をして不安と緊張を追い払う事に。


「…………ふーっ……よしっ、大丈夫。いける」


 目を閉じて胸を押さえながら数回深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。いつも通りの鼓動に戻ったら、今一度扉の取っ手に手をかけてみる。……よしよし。震えは止まった。もう平気みたいだ。


「お邪魔しまーす。立花マコ、手紙で呼び出された通り逃げも隠れもせずにちゃんと来ましたよー」


 気合を入れ直したところで、鉄で出来た重い扉をグググっと押し開けて勢いよく中に入る私。屋上に足を踏み入れたその私の眼前には―――


「……いらっしゃい、マコ。待ってたわ」

「…………え?」


 見知った顔の一人の女生徒が、微笑みながら静かに佇んでいた。



 ~SIDE:コマ~



「―――それではヒメさま、行きましょう。よろしくお願いしますね」

「……はーい」


 姉さまが教室を出て屋上へ向かわれるのを確認したのち、気付かれないように細心の注意を払いつつヒメさまと共に姉さまの後を追う私。


「改めてすみませんヒメさま……私の我が儘に付き合って貰う事になって」

「んー?あー……良いよ、そう何度も謝らなくても。貸しって事にしてあるし」


 姉さまを尾行しながら、この騒動に巻き込むことになってしまった隣を歩くヒメさまに謝ります。……本当にごめんなさいヒメさま。こんな事ヒメさまにしか頼めませんので。埋め合わせはいずれ別の機会にさせて貰いますからね。


「……ところでさ。結局誰がマコに告るのかわからないままなのコマ?」

「…………はい。誠に残念ながらわかりません……」


 わかっているならば今頃は、姉さまに告白される前に私がこの手でその告白相手を始末―――説得して告白を取り止めて貰っているところでしょうし。


「……ですが、一体何者なのか私にはわかりませんが……もしかしたら……」

「なぁにコマ?何か思い当たる事でもあるの?」

「はい。これは根拠のないただの私の女の勘ですが、姉さまの告白相手は―――()()ではないかと睨んでいます」

「……ふむ。その心は?」

「あの手紙からは……私と同じ匂いがしたので」

「…………そっかぁ。匂いかー……」


 あの手紙をじっくり読んでみると……何故か自然とマコ姉さまの事を大好きな一人の女子が手紙を書いている―――そんなイメージが私の脳裏に浮かんできました。

 それに……封筒からも、便箋からも、相当気合を入れて恐ろしく時間をかけて校閲し清書したであろう達筆な字や手紙の文面からも。そのどれからも私と似た波長と申しましょうか……私と似た雰囲気を感じてなりません。


「まあ姉さまの魅力を前にすれば、性差など誤差のようなもの。女生徒が姉さまに告白しても何もおかしくないですよね……」

「……母さんを性的に狙ってる(マザコン)が言うのもなんだけどさ、一般的に考えるとおかしいと思うのは気のせいかなコマ」

「……?何か問題がありますかヒメさま?」


 そんな会話をヒメさまとしているうちに、姉さまが屋上へと続く扉を開け放ち中に入って行くのを後ろから確認する私たち。


「(ヒメさま)」

「(ん……わかってる)」


 ヒメさまと二人、小さく頷きながらその扉前まで静かに移動し……外から気付かれないようにほんの少しだけ扉を開けてこっそりと屋上の様子を伺う事に。


『……いらっしゃい、マコ。待ってたわ』

『…………え?』


 扉の間から屋上を覗いてみると、二人の人間がそこに居ました。一人は当然、私の愛するマコ姉さま。そしてもう一人は……



 ~SIDE:マコ~



 屋上に辿り着いた私を待っていた一人の女生徒。その女生徒は知った顔どころの話じゃなかった。なにせその女生徒と私は、学校のある日はほぼ毎日会っていて……ほぼ毎日のように話をしているのだから。

 それが一体誰かって?それは……


「か、カナカナ……?」

「ちゃんと来てくれてとても嬉しいわマコ」


 私のクラスメイトであり、かけがえのない親友の一人である叶井かなえ―――カナカナだ。


「あ、あの……カナカナ?来てくれて嬉しいって……そ、それってどういう意味……?」

「ん?どういう意味って……そりゃあ言葉通りの意味よ。折角勇気を出して一生懸命マコを想って手紙を書いたのに、肝心のマコが来てくれなかったらどうしようって朝からずっと不安だったもの」

「て、手紙……?じゃ、じゃあまさか……これを書いたのは……」

「ええそうよ。このわたしがマコの為に書いたものよ。……ふふふっ、流石に驚いたみたいね。わたしがそんな物をマコに送ってくるなんて、夢にも思わなかったのかしら?」


 私が手に持っていた手紙を指差しつつクスクス笑ってそんな事を言うカナカナ。一方の私は想像だにしていない人物の登場に、正直死ぬほど困惑していた。

 ……え、え?カナカナ?なぜに?何でカナカナがここにいる?手紙?これを送ったのがカナカナですと?それは、つまりカナカナは…………()()()()()()()()()()()()()()()……?


「(私の予想では……この手紙の送り主はコマの事が好きな相手か、もしくは私に個人的な恨みを持つ人間のハズ……)」


 前者の……カナカナがコマの事を好きという仮説は多分違う。今までカナカナからはそんな素振りは一切見れなかったし、以前好みのタイプについて聞いた時は『底抜けに優しくて、ちょっと抜けている天然のおバカな子が好き』とか言ってた気がするし。

 という事は。まさか後者の……カナカナは私に個人的な恨みを持っているという仮説が正しいのか……?で、でも私……カナカナに恨まれるような事何かしたっけ……?


 もしかしたらこの私の今までの行動の中にカナカナから恨みを持たれてしまう何かがあったのかもしれない。とりあえず一旦その場で目を閉じて、カナカナと共に過ごしてきたこれまでの日々を思い返してみる私。


 例えば初めてカナカナと出会ったあの日―――出会って早々、自分はシスコンだとカナカナにカミングアウトする。そのまま困惑していたカナカナの前でコマの素晴らしさを3時間近く語る。


 例えば去年のサマーキャンプ―――脱衣所にこっそりとカメラを仕掛けてコマのお着替えを盗撮……もとい見守ろうとしていた現場をカナカナに発見され、即取り押さえられる。そのまま部屋に連行されてガチでお説教される。


 例えば今年の身体測定―――誤って自分の記録用紙とカナカナの記録用紙を取り違え、ひた隠しにされていたカナカナのバストサイズを見てしまう。ついでにフォローのつもりで『揉んだら大きくなるかもしれないよ』と言って軽い気持ちでカナカナの胸を揉み、涙目で平手打ちを喰らう。


 例えば6月にあった体育のバスケの授業―――知らず知らずにカナカナたちの地雷を踏みキレられる。その後も指示を碌に聞かずボールを相手チームのコマに渡したりコマにディフェンスと称してセクハラをするといった私の悪行に堪忍袋の緒が切れたカナカナに、ボールを思い切り顔面に叩きつけられる。


 例えば先週の朝―――コマに迫って来た不届き者の息の根を止めようと大暴れした私をコマと共に止めてくれるカナカナ。その際に我を忘れた私はカナカナの腕を噛んだり引っ掻いたり、挙句の果てにカナカナ自慢の綺麗な黒髪をボサボサにしてしまう(一緒に私を抑えてくれたコマは無傷)。


 …………と、まあ私が覚えている範囲だと大体こんなものか。ふむふむ、なるほどよーくわかった。


「(…………思い当たる節が、あり過ぎる……)」


 思わず頭を抱えてうなだれる私。あれぇ!?今更だけど私のこれまでの行動って、全部カナカナに恨まれる要素しかなくないかコレ!?というか……今までどうして親友でいられたのか不思議なくらい、カナカナに対して迷惑かけまくっていないかコレ!?

 やべーわ……そりゃいくら親友だからってこんな事をされ続けたら怒って当然だし、果たし状を突き付けられても不思議じゃねーわ……


「……?マコ、なんだか顔色が悪いわよ。どうかしたの?」

「い、いやあのカナカナ?ちょーっと確認したいんだけどさ……こ、このカナカナの呼び出しって、つまりさ―――()()()()()なのかな?」

「…………っ!……え、ええそうよ。その通りよ。……鈍いマコでも、流石にその手紙を読めばこの呼び出しの意味はわかるわよね」

「……あぁ、やっぱりそうなのか……」


 カナカナに確認を取ってみるとそんな答えが返ってくる。その答えで全てを確信する私。そうか。カナカナはそんなにも私を―――恨んでいたのか……

 ならば、今まで迷惑をかけてきた当事者として。そして一人の親友として。カナカナに言うべきことは一つだけ。覚悟を決めてカナカナに向き合おうじゃないか。


「あ、あのねカナカナ……」

「う、うん?何かしらマコ?」

「その、さ……私って実を言うと…………こ、こういうのを貰うの初めてで……なんて言えば良いのか分かんないけど……一つだけ……どうか一つだけ言わせてください」

「……ええ。良いわよマコ。言いたい事があるなら、遠慮せずに言って頂戴。わたしは……マコのどんな言葉でも受け入れるから」

「ありがとうカナカナ。なら……遠慮なく」


 ここに来る前に呼吸を整えたはずなのに、また緊張して手も声も震えてきた。それでも精一杯勇気を出してカナカナに自分の素直な気持ちを伝える事に。


「カナカナ……お願い」

「……うん」







「―――出来れば、半殺し程度で許してください……」←土下座中

「…………は?」


 10月に入ってより一層冷たくなった屋上の床に頭を擦りつけ、精一杯の勇気を出して…………誠意の命乞い(土下座)をする私。

 コマの為に料理が出来なくなるのはとても困るし……せめて、脚の骨くらいで許して頂けると助かる……


「…………えっ……と?ん、んん?いやその……待って……待ちなさいマコ。なんで?なんでこの流れであんたは土下座なんかしているの?なんでわたしはマコに命乞いなんかされてるの?」


 とても困惑したカナカナの声が聞こえてくる。むぅ……やはり土下座じゃ足りないのか……


「そりゃそうだよね……私の土下座くらいじゃカナカナの恨みは晴らせないよね」←土下座中

「う、恨み……?私の、恨みですって……?ま、マコ?あんた一体何の話を……」

「……だ、大丈夫だよ。果し合いが始まったら私も大人しくサンドバッグになるから……思う存分カナカナの今までの鬱憤を晴らしていいから……で、でも出来れば利き腕だけでも残して貰えると助かるかなーって……」←土下座中

「は、果し合い!?す、ストーップ!ストップマコ!」


 私の決死の命乞いの途中でストップをかけてくるカナカナ。困ったな、弁明も問答も無用でぶちのめしてやるぞという事なのだろうか……?


「……い、意味が分からな過ぎて……ちょっとわたしの理解が追い付いていないんだけど……とりあえず聞かせて貰うわ。……その『恨み』とか『果し合い』とかって……一体何の話なのよ……?ちゃんと筋道立てて説明しなさいマコ」


 カナカナは何やら困惑した声で私にそのように問いかける。……んむ?いや説明もなにも……


「だって……私にこんな()()()()を送ってきたわけだし、実際私ってカナカナに恨まれる要素ありまくりじゃん?今朝もカナカナは『絶対に譲れない、負けられない一世一代の大勝負』をするって言って気合を入れてたし……だ、だから今ここでカナカナは私と果し合いをして、私に引導を渡そうとしているんじゃないかなーって……思ったんだけど……」←土下座中

「はたし、じょう?…………果たし状、ですってぇ……!?」


 困惑した声から一変、怒気を孕んだ声が絶賛土下座中の私の頭上から降り注がれる。おおっと?何か知らんが私、今とんでもない地雷を踏んだような気が……


「ふ、ふふふ……ふふふふふ…………まあ、わかってた。わかっていたわよ……ここに居る立花()()は、もうどうしようもないくらいの()()って事くらいはね…………ふ、ふふふ……あはははは……」

「あのカナカナさん?逆、逆だと思う。マコとアホが逆になってると思うの……」←土下座中


 人の名前を勝手に改名しないで欲しい。マコとアホって微妙に語呂が似ているから余計に腹立つし。


「……マコ、顔を上げなさい」

「えっ?で、でも……」←土下座中

「良いから。土下座なんてしなくて良いから。こんなところで土下座なんてしていたら、いくら宇宙一のバカでも風邪を引いちゃうわ。だからほら、とっとと顔を上げなさいマコ」


 土下座をしている私の肩をポンと叩いて、ついさっき聞こえた怒気と殺気交じりの声とは打って変わり優しそうな声でそう私に促してくれるカナカナ。良かった、地雷を踏んだと思ったのは私の気のせいか。


「そ、そう?なら遠慮なく」


 そう思って言われた通り顔を上げる私。見上げた先で最初に見えたのは、とっても素敵なカナカナの笑顔だった。


「…………(コロス)」

「…………Oh……」


 そう、それはもう何故か見ただけで背筋か凍るくらい素敵な笑顔♡口元は引きつっていて、額には青筋が寄っていて、おまけに口に出さなくても『キサマをコロス』という意思がひしひしと伝わってくる……安易に顔を上げた事を後悔する最凶の笑顔だ。


 あー…………ダメだコレ。めっちゃキレてる。


「…………前からバカだアホだと分かっていたつもりだったけど、まさかここまでとはね。……本当に……本当に、何をどう間違えたらそんな頭の悪い発想が出来るのよこの超弩級ダメ人間は……!?果たし状ですってぇ!?あ、あんた……わたしがそれを書くのにどれだけ……どれだけ勇気を振り絞ったと……一体何千回わたしが必死になって推敲して、清書をしたと思って……ッ!」

「い、いだだだだだ!?痛い痛い!?」


 顔を上げた瞬間私を押し倒して私の腰の上に馬乗りになり、以前と同じように…………否。以前怒らせてしまった以上に、引きちぎる勢いで私の胸を揉みしだきどれだけ怒っているのかを表現してくれるカナカナ。

 こわい、そして痛い。マジ痛い。


「か、カナカナもげる!胸、そんなに掴まれたらもげるって……!?」

「……もげて結構「いや、結構じゃないよ!?」、このわたしが直々にもいでやるわよ……わたしね、マコ。やっぱりこの胸にばかり栄養がいくあんたのその体質が悪いと思うの。だからこの無駄肉をもぎ取ってしまえば、足りてない頭にも栄養が送られて、少しは脳も活性化されるんじゃないかしら……!」


 こ、このカナカナの目……本気だ……!本気で引きちぎってやろうって目だ……!?マズいマズいマズい……!と、とにかく何でも良いから急いで謝罪をしなければ……


「ご、ごめん!ごめんなさいカナカナ!わ、私の何が悪かったのかちょっとよくわかんないけど、謝るし何でもするから許してカナカ―――「まだ自分の罪が何なのかわからんと申すかキサマ……!」なぁああああああ!?ホントもげる!裂ける!千切れちゃうぅうううううう!?」



 ~SIDE:コマ~



 扉一枚隔てた向こう側で、私の愛する姉さまが私以外の女に押し倒されています。マウントポジションを取り、嫌がる姉さまをよそに乱暴に姉さまの胸を揉む私以外の女……


「~~~~~ッ!~~~~~ッ!!!」

「どうどうコマ。冷静になって。それ以上踏み出したらあっちに気付かれちゃうよ……」


 そんな光景を見せつけられて、黙っていられるほど私は温厚でも無ければ我慢強いわけでもありません。

 拳を硬く握りしめ、声にならない叫び声をあげつつ屋上に飛び出そうとする私。そしてその私を宥めながら必死に羽交い絞めをして引き留めてくれるヒメさま。


「み、みみみ……見ましたかヒメさま!?あ、あの人……姉さまがか弱いのを良い事に……姉さまを……!私の姉さまの胸を……!あ、あんな風に乱暴にィ……なんて、なんて卑猥な……ッ!」

「……いや、卑猥って。私にはそんないかがわしい雰囲気には見えないんだけど……どう見てもあの人、ただ単に今世紀最大のおバカでダメな失言をしたマコにキレてるってだけじゃないかな」

「嘘です!あの人の顔をよく見てくださいヒメさま!?絶対あれは……怒っている振りをして、姉さまの胸を揉むのを楽しんでいるって顔なんです……ッ!」

「ふむふむ、なるほどね。……私とコマの見えている景色はどうも違うみたいだね……」


 ヒメさまとそんな問答をしている間にも、その卑猥な行為は私たちの目の前で更にエスカレートしていきます。


『だ、ダメだってカナカナ……そ、そんな事されたら私……』

『えぇい往生際が悪い!その腕をどかしなさい!』

『ほ、ホントダメだって……!?それ以上されたら私の……私の胸が大変な事になっちゃうよぉ……!』

『抵抗なんて無駄よ。今からマコの胸を……わたしの思う理想的な形(=貧乳)にしてやるわ。覚悟なさいマコ……!』


 恥ずかしそうに(?)両腕で胸を隠そうと抵抗なさる姉さま。ですが手紙の差出人は姉さまの手首を片手で押さえつけ、腕を開かせてもう一方の手で胸を揉み続けます。

 相当力を入れられているのか服越しに揉んでいるというのに、姉さまの大きくて柔らかな胸が相手の指の動きに合わせてぐにぐにと形を変えているのがここからでもハッキリと見えてしまって……


 そしてそれを見せつけられる度に……普段は抑えつけてられているはずの、私の中の黒い感情が噴き出てきて……


「…………許せない……絶対に許さない……わ、私だって…………私だってまだあんな大胆な事、姉さまにしたことなんて無いというのにぃ……!!!?」

「……そして一番キレるポイントはそこなんだ。……とにかく落ち着けー。一旦冷静になれコマー」


 ヒメさまに一緒に来てもらって正解でした。そうじゃなきゃ今頃……我を忘れて、姉さまの見ている前であの女を始末(コロ)していたところでしょうから。

10月編と……あとまだ書けていませんが11月編は普段以上に話数が多い事になりそうです。いつもが一章あたり10~12話程詰め込んでいますが、この10月編は下手をしたら15話近くになるかも……長々書いててすみません。


修羅場書いてて楽しいですし、何よりこの章でマコの自己評価の低さの原因が判明する予定なのでじっくり練って書かせて貰っています。更新もちょっとスローペースになりそうで申し訳ないですが……のんびりまったり気が向く時に楽しんで読んでいただけると嬉しいです。

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