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ダメな姉(わたし)は妹を愛でる  作者: 御園海音
十月の妹も可愛い(上)
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第75話 ダメ姉は、ブラッシングする

「さ、先ほどは大変ご迷惑をおかけしてしまいましたカナカナさん……!す、すんませんですハイ……」

「……出来る事なら、悪かったと思う前に暴走するの止めて欲しかったわ。ったく、色々手間かけさせてくれちゃって。……もう良いけどね。マコの暴走(ソレ)はいつもの事だし」


 私の暴走を身を挺して止めてくれた親友カナカナ―――に恩を仇で返す形で迷惑かけてしまった私。しばらく制裁と称して私の胸を揉みながらプリプリ怒っていた彼女に平謝りする事数分、ようやく許しを得て解放してもらう。た、助かった……


「……あーあ。折角綺麗にセットしたのに、これじゃ台無しじゃないの……もう」


 私が思いっきり引っ張ったり引っ掻いたりしたせいで、大分ぼさぼさになってしまった髪を弄りながらブツブツ不満を呟くカナカナ。確かカナカナって毎日相当時間をかけ気合を入れて髪をセットしているとかなんとか。

 ……私のせいでその大事な自慢の髪を乱されりゃ、そりゃ怒るのも無理ないよね。いやホント、重ね重ねマジすんませんでした……


「えっと……ええっと…………あっ!あ、あのさカナカナ……」

「……何よ?」

「そ、その……だったら私がカナカナの髪、直してあげよっか……?」

「…………え?」


 流石に居た堪れなくなり、なんとか彼女にお詫びが出来ないかと思い……咄嗟にそんな事を提案する私。


「……直してくれるの?マコが?」

「う、うん。……一応私、それなりに上手いと自負しているし。勿論これがお詫びになるとは思ってないけど……か、カナカナさえ良ければどうかな……?」

「…………マコが……わたしの、髪を……」


 これでも私、家でよくコマの髪をブラッシングとかしてあげてるお陰か髪を直すのは割と上手い……と思う。幸い(コマ用の)ブラシ等も手元にあるし、ここは乱した張本人が責任とって直してあげるのが筋というものだろう。

 そんな私のいきなりのおかしな提案に、少々戸惑いを見せるカナカナだったけど……


「あ、えっと……その。…………し、仕方ないわね。ま、マコがそこまで言うなら……お詫びとしてやって貰おうじゃないの」

「ははー!ありがたき幸せ!」

「ちゃ、ちゃんと綺麗に直してよね。下手くそだったらすぐに止めさせるわよ。……あ、あと……痛くしたら許さないんだから」


 しばらく思案に暮れた後、何故かちょっぴり恥ずかしそうにしながらもその提案に乗ってくれる。よっしゃ。了承を得たからにはキッチリとカナカナの髪も機嫌も綺麗さっぱり直してやるとしますかね。


「はーい。んじゃカナカナ、とりあえず座って座ってー」

「う、うん……」

「そんじゃ始めるよ。嫌だったらすぐに止めるから遠慮せずに言ってね」

「ん……よろしくマコ……」


 まずはバサついた髪の毛先を直す事から始める私。ヘアクリームを塗ったり毛先のもつれを手で慎重に解していく。バサついたままだったり、もつれたままの状態でブラシなんて入れたら余計に髪を痛めちゃうもんね。

 ある程度毛先のもつれが解けたら、いよいよ本格的にブラッシング開始。髪の流れに沿って、根本から毛先に向かってブラシをかける私。


「……言うだけの事は、あるみたいね。結構上手よ……マコ」

「おっ、そりゃ良かった。なら続けてもいいかな?」

「え、ええ……お願い」

「うむす。任された」


 カナカナ本人から許可が下りたので、遠慮なく続行。


 ブラッシングのコツは、決して急がない事と余計な力を入れない事。ブラシを動かすのを急ぎ過ぎたら髪が余計にもつれたり摩擦熱でキューティクルが痛む恐れもあるし、余計な力を込め過ぎたら頭皮を痛めかねない。

 そう、だから大事なのは……コマを愛でる時のように優しく丁寧に気持ちを込めて行う事。キューティクルの流れには逆らわず、急がず焦らずゆっくり落ち着いてカナカナの髪を梳いていく私。


「……は、ふ……っ」

「んー?どうかしたー?もしかしてくすぐったい?」

「あ、いや……想像以上に、マコが上手で……なんか、ちょっと心地良くて……眠くなって、きたかも……」

「あはは!そっかそっか。なら、授業が始まるまで寝てても良いよーカナカナ」

「バカね、流石に寝ないわよ。…………でも、うん……ホントに、気持ち良いわ……」


 始まる前は私の腕前が不安だったのか、かなりガチガチに緊張していた様子のカナカナだったけれど……ブラッシングをしていくうちに気持ちよさそうにトロンとした表情を見せて私に委ねてくれる。

 そーいや、時々コマも髪をこうやって梳いてあげると気持ちよさそうにするんだよね。……この私自身は髪のお手入れとか興味ないから、自分自身にはやらないし他人にやって貰った事とかも無いからわかんないけど……やっぱ気持ちの良いものなのかな?まぁともあれご満悦のようで何よりだわ。


「それにしてもさ。最近多いよねー」

「ん?多いって……何が?」


 と、そんな感じでカナカナの髪をゆったりまったり梳いていると、私とカナカナの傍に居た友人の一人がそう呟く。多い?一体何の事だろうか?


「何って……決まっているじゃないマコ。告白よ告白。今日のコマちゃんしかり、なんだかここ最近さ、誰かが誰かに告白したって噂話が多くなったと思わない?」

「……?そうかな。少なくとも私、そんな話は初耳だけど……」

「ん……?いや初耳って……もう、嘘つかないの。昨日の休み時間も、わたしたちと一緒にそういう話したじゃないの。マコは覚えてないの?」

「そ、そうだっけ?ゴメンよカナカナ、全然覚えてないわ……」

「…………この鳥頭め。マコってホント、コマちゃん以外の事は関心を持たないわよね」

「ハッハッハ!いやいや、そう褒めないで頂戴よカナカナ。照れちゃうじゃない」

「……言っとくけど、一切褒めてないわよ。あんたはもうちょっと他の事にも関心を持ちなさいな」


 私に髪を梳かされながら、呆れた声でカナカナが呟く。だ、だって……誰かと付き合うとか誰かに告られるとか、そういう話は私自身には全く縁のないものだろうしどうでも良いんだもん。


「でも言われてみれば確かに。ここの所そういう話、よく聞くようになったよなー」

「ああ。最近じゃ俺らのクラスの中にも何人かリア充(裏切り者)がいるって噂じゃねーか。ったく妬まし―――もとい、羨ましいったらありゃしないぜ」

「だよなー羨ましいよなー。オレも彼女欲しいわー。出来ればコマさんみたいな綺麗でお淑やかな超絶美少女と付き合いたいわー。付き合ってから()()()()()()わー」

「おーし、今めちゃくちゃ最低な事を口走りやがったそこの男子。ちょいと後で私と屋上へ行こう。コマの姉の私で良いならば、喜んで(拳で)突き合ってやろうじゃないか」


 残念だ。このクラスからも一人、さっきの先輩同様に殴り飛ばさねばならない輩が現れるとは。カナカナの髪を直し終わったら、即ブチのめしてやるから覚悟しときな。

 それにしても……恋愛事情にはあんまり詳しくなさそうな男子たちにまでそんな噂が広まっているとは。……カナカナの言う通り、私もちょっとくらいは噂話に耳を傾けるべきなのかも。少なくとも告白が流行ってるって話を事前に知っていれば、今日みたいなコマを付け狙う輩への対処もスムーズに出来ただろうし。


「ちなみに。特に今は三年生の間で告白するのが流行っているっぽいよ」

「え?そうなん?でもなんでさ?」

「うちの部活の先輩たちが言ってたんだけどね、三年生はあと数か月もすれば卒業でしょ?だからこの学校の最後の思い出作りの為に、今告白しておこうって人が増えているそうよ」

「へぇ……そうなんだ」

「確かに今の内に告らないと、中学三年間の学校生活に悔いが残っちゃうもんなぁ」

「三年生はもう少ししたら受験だし、この学校で告ったり彼氏彼女を作りたいなら今しかないって事なのね」


 その話を聞いて、さっきコマに迫った先輩の態度にちょっとだけ納得する私。あー……なるほど。だからあの先輩あんなに切羽詰まりながら告白してたのか。その焦る気持ちは分からんでもないけれど…………いやでもやっぱコマに無理やり迫ったのは絶対に許さん。


「あら。告白が流行っているのは何も三年生の間だけじゃないわよ。知らなかった?あたし達二年生の間でも密かに告白ブームなのよ」

「「「え?」」」


 なんて話でクラス中が盛り上がっていると、噂好きのクラスメイトの一人がそんな事を言い出す。


「二年生の間で……?でも何でさ。今は別に、特にこれと言ったイベントとかあるわけじゃないのに」

「だって考えてみなさいよマコ。仮に今ここに三年生に恋してる人が居たとして、今まで思い焦がれていたその憧れの先輩があと少ししたらこの学校からいなくなっちゃうのよ?だったらその先輩たちが学校を去る前に告りたいって思うのは当たり前の事でしょ?」

「あー……うん、それはまあ」


 なるほど……先輩たちが居なくなった後だとその先輩たちとの接点が少なくなっちゃうもんね。


「それにね。あたし達だってもうちょっとで三年生になるじゃない。三年生になったらね、進路について考えなきゃならないでしょ。おまけに高校受験の為にもきっと今以上に勉強しなきゃならないし、とにかく色々と忙しくなったちゃうから……誰かと恋したり付き合ったりする暇なんて無いのよね」

「うへぇ……なんて世知辛いのかしら。でも……まあ確かに来年はそうなるかもね」

「そう、そうなのよ。つまりね、三年生であろうと、二年生であろうと告白するなら今しかチャンスがないって事なのよ。告白する予定がある子、このチャンスを逃しちゃダメよ。勇気を出して頑張りなさい!」

「…………っ!?」

「ち、ちなみにこのあたしも…………明日の放課後、ずっと憧れてた先輩に玉砕覚悟で告ってきますッ!てなわけで、皆応援よろしくね!」

「「「おぉー!がんばれー!!!」」」


 熱の入った演説と共に、顔を真っ赤にしながら『告白してきます』と堂々と皆の前で宣言する一人の女生徒。ノリの良い級友たちはそんな彼女の宣誓を聞き、全員声を上げて応援する。私も陰ながら応援してるからねー。 


「…………(ボソッ)告白するなら、今しかチャンスがない……か。そっか……今しかないのか……」

「……む?カナカナ?どうかした?」

「え……?どうかしたって……な、何が?」


 と、そんな感じでより一層盛り上がるクラスの中でただ一人、この私に髪を梳かされているカナカナだけは何故か様子がおかしい。

 パッと見た感じ、なにやら思いつめた表情をしているように見えるし……ついさっきまでは私のブラッシングにあれ程気持ちよさそうだったのにどうしたんだい親友?


「いや、今小声で何か言わなかった?それに……なんだかカナカナちょっと悩んでいるように見えるよ。大丈夫?もしかしてブラッシングが痛かったかな?もう止めた方がいい?」

「あ、いや…………な、何でもない。大丈夫よ、ただの独り言。それに……ちょっとボーっとしてただけなの。マコはなにも気にしないで良いのよ」

「そう?なら良いんだけどさ……」


 慌ててにこやかに私にそう言ってくれるカナカナ。ボーっとしてた、か……本人もこう言ってる事だし気のせいかな……?


「そうそう。告白と言えば……ねぇマコ。最近のコマちゃんって凄いわよね」

「へ?」


 カナカナの様子をちょっぴり心配している私に、ふと思い出したように私にそう話しかける友人の一人。最近のコマが凄い……?


「いや、なーに言ってんのさ。最近どころか、今も昔も私のコマは凄いでしょうが」

「あ、いやそういう話じゃなくてね。……ここ最近のコマちゃんってさ、3日に一度は告白されているらしいじゃないの。それって凄い事よねーって話」

「な、何ィ!?3日に一度は告白だとォ!?」

「痛ッ!?バッ、バカ!?痛い!痛いわよマコ!?いきなり髪引っ張んないでよ!?」

「あっ!ご、ゴメンよカナカナ……つい……」


 友人の衝撃の言葉に思わず梳いていたカナカナの髪を強く引っ張ってしまう私。い、いかん……またもやっちまったぜ……すまぬカナカナ……


「そ、それで……?コマがそんな頻度で告白されてるって話……ま、マジなの……?」

「そう、マジよ。ウチが知ってる範囲だと……今日のサッカー部のキャプテンと……確か一昨日は隣のクラスの……二年生男子の中で一番勉強が出来る人にコマちゃん告られてたハズ」

「こないだは一年生の男の子にコマちゃんが告られてたのを見たわよ。モテモテだよね。いいなぁ、アタシもコマちゃんにあやかりたいなぁ」


 …………マジか。なんてこった。私の目の届かないところでそんな事が……!?友人たち曰く今絶賛告白ブームらしいし、今朝の一件もある。しばらくはコマのガードを徹底しなければ。


「まぁ、あれだけ綺麗で文武両道、お淑やかで素敵なコマさんならモテない方がおかしいしな」

「優しくて可愛くて、女のあたし達からしても憧れの存在だもんね」

「なにせ唯一の汚点らしい汚点が、そこの姉の存在だけという完璧超人だしなぁ」

「おう、誰が汚点だって?シバくぞコラ」


 一応自覚はしてるつもりだけど、面と向かって言うなし……


「でもねー。誰がどう告白しても……コマちゃんって全然OKしないのよねー」

「え?そ、そうなの?まあ姉の私としてはそれはとても喜ばしい事ではあるんだけど……」

「ええそうよ。今日の先輩みたいなスポーツの出来るワイルドなイケメンもダメ。勉強ができる知的クール男子もダメ。可愛い系の初々しい爽やか後輩もダメだったらしいわ。選り取り見取りだってのに勿体ない……モテないアタシからしたらホント不思議よ……」

「ねぇマコ?何でコマちゃんって誰に告白されてもOKしてくれないのかな?」

「何でって……いや、そんな事私に聞かれても……」


 ……でも、言われてみれば確かに何でだろう?私と同じくコマもあんまり恋愛に興味が無いのだろうか?いや、コマの理想に合う人とかコマに釣り合う人が傍に居ないだけとか?

 そ、それとも……実はコマ、すでに密かに想い人がいたりして。……帰ったら、コマにそれとなく聞いてみるか……


「やっぱアレじゃない?……マコとかいうお邪魔虫のせいで、コマちゃんも好きな人に告白したり告白をOKしようにも怖くて出来ないんだよ」

「「「ああ、なるほどそういう事ね」」」

「待たれよ君たち。一体誰がお邪魔虫だと?」


 まるで人の事を監視の厳しい過保護な姑みたいに呼ばないでよね……


「だってマコってさぁ。もし仮にコマちゃんに好きな人でも出来ちゃったら……絶対断固反対するでしょー?『妹は嫁にやらん!』って感じで」

「ぶっちゃけコマさんとお付き合いする事になった場合、最大の難関は()()()()()()()()()()だもんなぁ……」

「下手したら今日の先輩みたいにマコにボコボコにされたり、最悪マコに暗殺されそうよね。コマちゃんって優しいし……姉に犯罪を犯させるまいと、告白を躊躇っているとしか思えないもの」

「んな野蛮な事、私しないよ……」


 大体朝のあれはあのヤロウがコマに無理やり迫ったから、私もやむを得ず止めに入っただけだし。


「それにさ、誤解のないように今ここでハッキリと言っておくけど……私は()()()()()()()()()()()()()()()、相手がどんな人であろうとコマが選んだ人なら涙をのんで認めるよ。コマが選んだ人なら文句を言うつもりは無いし、恋の応援もするつもりだからね」

「「「え、えぇえええええええ!?」」」


 私のその言葉はどうやら相当予想外だったようで、クラス中で驚きの声が上がる。いや、これそんなに驚くことか……?


「マ、マジかよ。オレはてっきり絶許案件とばかり思ってて……それじゃあこれから宜しくなマコ義姉さん。仲良くしようぜ」

「お義姉さん、コマさんの事は僕が絶対に幸せにするので……妹さんを僕にください」

「いやぁー、実は前々からマコ義姉の事は頼りになるって思ってたんスよねー!」


 私の一言を聞いた男子共が、途端に私に対して胡麻を摺り始める。随分と調子が良いな貴様ら……


「一応言っておくけどさ、最低条件の内容って『コマ並みに勉強出来て・コマ並みにスポーツ出来て・そしてコマの事を死んでも幸せにできる』人だからね。男子諸君、コマの婿になりたいならそれくらいクリアできなきゃ許さんよ」

「「「ハァ!?」」」

「立花テメェ、そんな最低条件があるか普通!?無理ゲー過ぎるわ!」

「コマさんと同レベルで勉強も運動も出来るのが最低条件だと!?ふざけんな!難易度Sクラスじゃねーか!」

「謝れ!ちょっとでも『俺らにもコマさんとお付き合いできる可能性があるかも……』なんて期待したピュアな俺らに謝れ!」


 知らんがな。コマを嫁に欲しけりゃ文句言う前に男を磨けってんだ。


「あー、あとさ。居るかわかんないけど……コマの事を幸せにしてくれるなら、女の子でもOKよ。その場合、男子よりかは最低条件の難易度は易しくなるからねー」

「お、おお!?それホントなのマコ!?」

「良い事聞いちゃった。ならあたしコマちゃんの嫁候補になろうじゃないの」

「待ちなさい、ウチが先よ。ねー、マコお義姉ちゃんもウチの方がコマさんの嫁に相応しいと思わない?」

「……ちなみに。『この私、立花マコよりも家事が出来る』―――ってのが、女子の最低条件だから、そこんとこ宜しくね♡」

「「「マコよりも家事が出来るのが最低条件とか、ある意味男子以上に無理ゲーじゃないの!?」」」


 やかましい。干物女にコマはやらんぞ。


「…………そういうマコはどうなのよ」

「ん?どうって、何の話かなカナカナ?」


 なんてギャーギャーと私を中心にクラス中が騒いでいると、しばらく無言だったカナカナがそんな事を尋ねてくる。ハテ?どうとは?


「だから……マコは……その、さ。……だ、誰かに告白された事って……ないの?」

「……はい?」


 ……誰かに告白された事……?この私に、告白……?


「は、ハハ……ハハハッ!いやいや。何を言ってんのさカナカナ。双子の妹のコマに、ならわかるけど……こんなダメな私なんかに告白するような物好きがこの世に居るハズないでしょう?」

「…………っ!」


 そのカナカナの問いかけに、思わず笑い飛ばしながら答える。自慢じゃないけど、生まれてこの方告白なんざされた事の無い……年齢イコール恋人居ない歴な私ですがそれが何か?


「まぁ誰がどう考えても、立花に告白するくらいならコマちゃんに告って玉砕する方がマシだもんな。立花の魅力って言えば……胸が大きいところと料理が上手いところと妹ちゃんが可愛いところくらいだし……」

「でも安心しなよマコ。きっとそのうちあんたみたいな子にも振り向いてくれるような、コアでマニアックな異常性癖の持ち主が現れるって!」

「そうよ。世界は広いしわけだし、【変態シスコン低身長ぽっちゃり暴走おバカ】にだって探せばどこかに需要はあるハズよ。希望は捨てちゃダメよ」

「うんうん、励ましてくれてどうもありがとう。……でも流石に言い過ぎじゃあ無いかね君たち?」


 ホント、相も変わらず好き放題ズケズケ言ってくれるよね君たちって。…………おにょれ、全部否定できないのが悔しいわ……







「…………(ボソッ)『こんなダメな私なんかに告白するような物好きがこの世に居るハズないでしょう?』ですって……?な、何よそれ……何なのよ……マコ……」

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