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ダメな姉(わたし)は妹を愛でる  作者: 御園海音
高校生の妹も可愛い
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ダメ姉は、勉強会に参加する(その1)

ダメ姉更新です。高校編のハズなのにこの子たち高校生らしい事してないのでは?と気づいた結果今回のお話に。


学校生活と言えば勉強も外せませんもんね!…………あれ?高校時代に勉強とか……してたっけ私?

 新しい環境に身を置く事になったり。新しい事を始めたり。新しい交友関係が出来たりと。高校生になったら色んな新しい事が増えてきた。

 ……けれども、高校生になったと言っても基本的な事は中学時代と変わらないらしい。そう……例えば。


「―――勉強しなきゃいけないのは、どこ行っても変わらないんだよねー」


 返ってきた実力テストの結果を見てそう呟くのは、ご存じダメ姉こと私……立花マコ。先週受けた実力テストは、分かっちゃいたけどものの見事にワーストワン♡

 ハッハッハ!もう笑うしかないね。


「マコ、あんたね……高校受験の時は脇目も振らずあんだけ勉強を一生懸命頑張ってたじゃないの。なんで数か月も経たないうちに、こうもあっさりと残念な結果に終われるのよ……」

「カナカナさんや。そりゃ受験の時はコマと一緒の学校に行けるか否かの大勝負だったから特別だっただけで。そういうの関係ないならそりゃこうなる。これが私の真の実力ってわけさ!」

「全然威張って言うセリフじゃないわね」


 お忘れかもしれないけど。私は基本ダメ人間。勉強も運動も。人並みにやっても残念な結果しか出ないし、そもそも人並みの努力すらしない。やる気とかないですしー?まあコマが関わらないならこんなもんだよね。


「姉さま。お気になさらず。嫌な事ややりたくない事なんて無理にする必要はありませんよ。勉強が出来なくったって、姉さまの魅力は決して衰えることなどありえませんから」

「……そうやってコマがマコを甘やかすから、マコはいつまで経ってもダメ人間のままなのでは?」

「うふふ♪良いじゃないですかヒメさま。勉強できない姉さま、愛らしくて素敵ですし」


 そう言ってくれるコマは、当然といえば当然だけど……実力テストは進学クラスの連中を差し置いて堂々の学年一位を勝ち取った。勉強できるコマ、賢くて素敵。


「実力テストでこんな結果って……来月の中間テストはどうすんのよマコ。こんなんじゃ確実に赤点でしょうに」

「……補習、追試確定」

「んー?別に良くない?前にどっかで言った気がするけど……私、補習慣れしてるし。それに追試の方が本試験よりも簡単だろうから追試さえどうにか頑張れば後は何とかなるでしょ」

「あんたねぇ……またそんな昔みたいなダメダメな考えを。てかさ。わざわざ補習も追試も受けるくらいなら、中間を頑張った方が労力少なくて済むと思うんだけど?」


 冷ややかな顔でカナカナはそう言うけれど……でも勉強頑張るのは正直性に合わないんだよね。……そりゃ、コマに見合うだけの立派なお姉ちゃんにはなりたいけど。それでも人には向いていること、向いていないことあると思うし。


「……マコはああいうダメな事言ってるけど。コマはそれで良いの?」

「良いも悪いも……姉さまがそれで良ければ、私から何か言う事など何も無いですよ。姉さまが勉強したいなら協力しますし、したくないのであれば強制などしません。姉さまは姉さまのやりたいようにやって頂きたいと常々思っていますから」


 にこやかな笑みを浮かべ、コマは優しくそんな事を言ってくれる。うぅ……よくできた妹でお姉ちゃん嬉しいよ。


「……いや、そう言う事言ってるんじゃなくて。本当に、マコが補習受ける事になっても良いのって聞いてるんだけど」

「???何ですかヒメさま?何か問題でも?」

「……補習を受けるって事はさ。つまり補習を担当してくれる先生が必要になるって事でしょう?」

「え、ええ……」

「……好き好んで、わざわざ赤点取った生徒の為に補習を受け持ってくれる先生ってそう多くは居ないと思う」

「そう、でしょうね」


 まあ、全員赤点回避してくれた方が先生たちにとってはありがたい話だよね。補習しなきゃいけないって事は……放課後とか休みにわざわざ時間を取って赤点者たちの勉強を見て、その上追試の問題を作らないといけないって事だし。


「……そうなると。コマ的にはヤバイんじゃないの?」

「ヤバイ?何がでしょうかヒメさま?」

「『誰もやらないなら……マコさんの補習は、私がやります!』って、あの家庭科の先生が立候補すると思う。あのマコを狙ってる二重人格の先生が」

「…………ッ!?」


 そんなヒメっちの発言に。さっきまでの笑みは消え、顔を青くするコマ。……?どうしたんだろう?何か問題でもあったのかな?


「……女同士。二人っきりの補習室。放課後。何もないはずなんてなく―――」

「…………マコ姉さま」

「んー?どしたのコマ?」

「勉強しましょう!赤点、補習なんて以ての外です!」

「アレ?」


 まるで漫画に出てくる教育ママチックなお顔でそう言うコマ。お、おかしいな?コマちゃんや?さっきまでと言ってることが違ってないかい……?



 ◇ ◇ ◇



 そんなこんなで結局勉強する事になった私。が!知っての通り私はバカ。一人で中間テストを乗り切ることは正直かなり厳しいだろう。

 だがしかしご安心を。私の周りの人たちは私と違って成績優秀な才女ばかり。


「ゴメンね、皆。私の為に時間を取らせることになっちゃって……」

「姉さまはお気になさらずに。妹として、そして姉さまの生涯の伴侶として。全力で姉さまをサポートします!」

「マコに可愛く『勉強教えて』って言われちゃ断れないわね。良いわ、このわたしが誠心誠意真心こめて教えてあげる♪」

「……教え合うと勉強になるし、私も勉強捗るから問題ない」

「先輩と一緒に勉強するの楽しみです!一緒に頑張りましょマコ先輩!」

「わ、分からないところがあったら……先生になんでも聞いてくださいねマコさん」


 『勉強を教えてほしい』と一言口に出した瞬間。みんな快く力になってくれると引き受けて、我が家で勉強会を開いてくれることになった。


「って、勉強会始める前にちょっと待ちなさい。この場に相応しくない人間が二人ほどいるんだけど……これは一体どういう事かしら?」

「「?」」

「なんでそこで『誰の事だろう?』って首を傾げてるのよ……あんたらよあんたら。そこの中学生と教師よ。何しに来たのかしら。お呼びじゃないんだけど?」

「概ねかなえさまに同意ですが……私はかなえさまも呼んではいないのですけどね。私と姉さまと……あと、邪魔なんてしないヒメさまの3人で勉強会は十分なんですがね」


 勉強会には私とコマ。それにカナカナ、ヒメっち。……そしてどこで話を聞きつけたのか。中学時代の後輩のレンちゃんと私の尊敬する家庭科の清野和味先生が集まった。


「良いじゃないですか叶井先輩!あたしも、何かマコ先輩の力になりたいんですよ!」

「学年どころか学校も違う後輩がどう力になるつもりよ。とっとと帰りなさい」

「わ、私も……マコさんの為に……マコさんに色々教えたくて…………ま、マコさんの為なら……ど、どんなことでもします、よ?マコさんが望むのであれば……こっそり職員室から、先生たちが作った試験問題を……借りてきても……」

「先生。一人の生徒に固執するのは大変宜しくないと思います。あと、それは普通に犯罪ですのでおやめください。私の姉さまの面倒は私一人で十分ですからどうぞお帰りくださいな」

「ま、まあまあコマ、カナカナ。レンちゃんもせんせーも折角来てくれたんだし……私は二人に来てもらって嬉しいし……ここは私に免じて、ね?」

「先輩……!」

「マコさん……!」


 ……正直に言えばこの勉強会、コマやカナカナたちだけでも十分すぎる。レンちゃんは……カナカナが言う通りそもそも中学生で私の後輩で……分野違いだし。せんせーに至ってはコマの言う通り私一人に構ったりするのは……試験前って事も踏まえるとあまり良い事ではないだろう。

 でも彼女たちも私の事を心配して駆けつけてくれたわけで。そんな二人を邪険にするのも悪いよね。一緒にいてくれるなら勉強するやる気も上がるかもしれないし。


「む……姉さまがそう仰るのであれば」

「やれやれ、仕方ないわね」


 せんせーたちの勉強会への参加に難色を示していたコマたちも、私の説得に応じて渋々認めてくれる。うんうん。やっぱ仲間外れは良くないもんね!何事も、みんなでワイワイガヤガヤ楽しくやるのが一番さ!

 ……あ、いや。勉強会をワイワイガヤガヤやっちゃうのはちょっとダメだろうけど。


「……話もまとまったところで。どうする?誰がマコにどの科目を教えることにする?マコは誰に何を教えてほしいとかってある?」

「私は教えられる立場だし。誰がどの担当でも文句も不満もないよ。まあ、向き不向きな科目もあるだろうし。苦手な科目を担当するような事にはならないように……各々の得意分野を教えて貰えればうれしいかな」


 というわけで。とりあえず皆の得意教科について聞いてみることに。


「姉さま!私はなんでも教えられる自信はあります!」

「うんうん。コマは本当になんでも教えられる実力も実績もあるもんね」


 コマはもう言わずもがな。中学時代も専属家庭教師として私に勉強教えてくれたもんね。


「……コマほどじゃないけど、苦手な科目は特にない。聞きたいことあるなら何でも聞くといい」

「流石、コマに次ぐ学力の持ち主。期待してるよヒメっち」


 お母さんに褒めてもらいたくて文武両道となったヒメっちも、教師役として期待できそうだ。


「あたしは……えっと、ええっと……あっ!体育が得意です!」

「わ、私は……家庭科なら、自信を持って教えられるかと……」

「あ、あー……レンちゃん、せんせー……お気持ちはありがたいのですがすみません……今回は中間テストなので体育も家庭科も試験はなくてですね……」

「……あたしたち」

「……戦力外、ですか……」

「お、応援してくれると嬉しいです!」


 レンちゃんとせんせーは……うん。傍に居て私が勉強に集中できるように監視して貰ったり応援をしてもらう事にしようそうしよう。

 さて、あと残るはカナカナなんだけど……カナカナもコマやヒメっちと同様に。成績優秀で特に苦手科目は無かったと記憶している。


「カナカナはどう?何かこれは教えたくない、とか。これを是非とも教えたいとかって科目はあるかな?」

「わたしはそうね。コマちゃんとおヒメ同様に、どの科目でも教えられるだけど。強いてマコに教えたい科目は何かと聞かれたら……断然アレね」

「お、なになに?」

「保・健・体・育♡手取り足取り腰も取り。マンツーマン指導でイロイロとマコに教えてア・ゲ・ル♡」

「ぶっ飛ばしますよかなえさま♡」


 あの……カナカナさんや?中間テストだから保体の試験は無いってついさっき言ったばかりでしょうに……

読んでいただきありがとうございます。カナカナが保体を教えてあげるとかほざいていましたが……実戦経験豊富なので寧ろマコの方が保体の成績は優秀なのはナイショ。


なにせコマと共にほぼ毎日保体の勉強(?)してますし。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 実践経験(笑)
[良い点] ✕テストの勉強会 ○マコの私生活勉強会 ですね。分かります! しかし、レンちゃんは兎も角、先生…。あなた、相当ポンコツなのねw
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