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ダメな姉(わたし)は妹を愛でる  作者: 御園海音
三年生の妹も可愛い
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ダメ姉は、ダイエットする(運動編)

ダメ姉更新しました。今回の主役(?)は新キャラのレンちゃんです。……レンちゃんのプロフィールもいつか書いて設定集に更新したいなぁ。

「「「―――ダイエット?」」」

「いえす。れっつ、だいえっつ。おーいえー」


 ダイエットを決意したその翌日。私はカナカナ・ヒメっち・レンちゃんの三人にダイエットを始めた事を打ち明けていた。


「……マコが、ダイエット?必要あるようには見えない。太ってないのに」

「ですよね……マコ先輩って、かなり理想の体型じゃありませんか?」

「その豊満過ぎる胸の割に、わたしより痩せてるのに?もしかしてわたしたちに喧嘩売ってるのかしら?」


 三人は顔を見合わせて難しい顔をしている。太ってない?理想の体型?必要あるのか?何を言うか君たちは……!


「必要あるの!太っちゃったの!このままじゃ私、今以上にヤバい体型になっちゃうの!」

「「「うーん……」」」


 皆何故だか納得していないようだけど、必死に太ったアピールする。恐らく私一人の力ではダイエットは成功しない。この三人になんとか協力して貰わないと……


「とにかくお願いっ!どうにかしてこの身体を引き締めたいの!コマにナイショでダイエットを成功させたいの!だから……どうかみんなの力を貸して頂戴っ!」

「ッ!…………(頼られてる、先輩に……!あたしの、憧れのマコ先輩に頼られてる……!)」

「ん?……コマに……内緒で?……え、何でよマコ。もしかしてコマちゃんにダイエットするって言ってないの?」

「え?あ、うん。言ってないよ。だってコマってば……なんか私がダイエットするのあんまりよく思ってないっぽいんだよね」

「ッ!…………(コマちゃんには内緒……!つまり、マコと二人っきりになれる確率が高くなる……!)」


 私の懇願に、後輩のレンちゃんと親友のカナカナはどうした事か目を(怪しく)輝かせる。そうして二人は私の手を取って―――


「勿論ですマコ先輩っ!この柊木レン、必ずや尊敬するマコ先輩のお役に立ちますッ!」

「コマちゃんに頼れないなら仕方ないわね!良いわマコ!貴女のかなえが一肌脱いであげようじゃないの!」

「ふ、二人とも……ありがとう!恩に着るよ!」


 そんな頼もしい事を言ってくれた。ありがたいったらありゃしない。

 一生懸命なレンちゃんとしっかり者のカナカナが力になってくれる……これはもう、ダイエットは成功したと言っても過言ではないのではないだろうか?


「では先輩!早速今日の放課後から始めましょう!こう見えて、あたし運動とか得意なんですよ!」

「ならわたしはダイエットに効くマッサージとかマコに教えてあげる。運動の後にストレッチも兼ねてわたしが手取足取り―――腰を取り。色々教えてあげるから」

「うん、よろしくね二人とも!いやぁ、持つべきものは頼れる親友と頼れる後輩だわー♪」


 こうして私は強力な二人の助っ人を得て、ダイエットに取り掛かる事となった。







「……んー。コマに黙ってダイエット。ダイエットかー…………うん。ちょっとこれは……密告しといた方が良い、かも?」



 ◇ ◇ ◇



「―――先輩、マコ先輩っ!やっぱりダイエットと言えば運動ですよ運動!運動ならば、このあたしにどうかお任せください!」

「うん、よろしくねレンちゃん」

「はいっ!こちらこそよろしくお願いします先輩!」


 レンちゃんとカナカナの協力を取り付けた放課後。私はレンちゃんに連れられて、校庭に足を運んでいた。


「ところで先輩?先輩って好きなスポーツとか、こういうのがやりたいとかの希望ってありますか?リクエストがあればどんなスポーツでもあたしお付き合いしますので!」

「ぅぐ……あ、えっと……その」

「マコ先輩?どうしました?」

「その、ね……ゴメン。私実言うと運動かなり苦手でさ。好きなスポーツとかは特に無いの……しいて言うなら、こう言うのが()()()()()()って希望ならあるけど」


 どうしてかこんな私を無条件に慕ってくれているレンちゃんをガッカリさせちゃうようで申し訳ないけれど。この私、立花マコは言わずと知れた運動音痴。走るにしても飛び跳ねるにしても球技にしても。胸の駄肉が邪魔をして、どのスポーツもダメダメなのである。

 そんな私のカミングアウトで失望させてしまったかなと、恐る恐るレンちゃんの顔を見る私。けれどもレンちゃんは失望するどころかきょとんとした可愛い顔を見せていた。


「???どうして謝るんですか?あたしが料理が苦手だったように、誰だって苦手な事の一つや二つあるじゃないですか」

「え、あ……うん。それは、そうだけど。……なんかレンちゃんに尊敬して貰っているのに、私のダメダメなところ見られてちょっと恥ずかしいなーって思ってね」

「寧ろ親近感が増しました!マコ先輩って何でも出来る先輩だって思っていましたから。あたし嬉しいです!」

「…………あはは」


 何でも出来るどころか。料理くらいしか出来ない先輩なんですけどね私……純粋なレンちゃんの眼差しが痛い、とっても痛いぞ。


「ちなみに先輩。そのやりたくない競技って何なんですか?」

「あー……その。球技全般、かな。当たると痛いの苦手でさ……」

「ふむふむ、なるほどです。だったら―――」


 正直に打ち明けると、レンちゃんは体育倉庫に入って何やら物色しだす。しばらくして倉庫から出てきた彼女が手にしていた物は、布製の円盤状の……


「……フリスビー?」

「いえ、ドッヂビーです先輩」


 あ、ああドッヂビー。ドッヂビーね思い出した。小学校の頃にやったなーコレ。……てっきり犬と遊ぶためのフリスビーかと。


「これなら当たっても痛くないですよ。しかも意外と全身を使うので、ダイエットにもなります。これでキャッチボールみたいに投げ合いっこしましょう先輩っ!」

「う、ううん……投げ合いっこね……」


 そう言ってレンちゃんは意気揚々と私にドッヂビーを手渡してくれる。運動音痴な上に痛いのが嫌とか言い出す注文の多い私の為に、レンちゃんが色々考えてくれたのは嬉しい。嬉しいんだけど……

 けど投げ合いっこか……


「えっとね、ごめんレンちゃん……」

「ぅ……だ、ダメですか?あたしの案、ダメでした?」

「んーん。ダメなのは私の方。レンちゃんはこういうの上手そうだけど……私、悲しくなるくらいノーコンだからさ。投げ合いっことかできそうにないんだよ」

「あ、なんだそんな事ですか。大丈夫ですッ!先輩は気にせずじゃんじゃん投げてください!あたしなら、どんな場所に来ても絶対にキャッチして見せますから!」


 胸をドンっと叩き、私から離れて『いつでもどこでも投げてください先輩っ!あたしが先輩を受け止めますっ!』と声を上げるレンちゃん。


「いや、あのねレンちゃん?多分君が考えている100倍はダメダメだよ私?それでも良いの?」

「良いんです!あたしに任せて!」

「わ、わかったよ。……どうなっても知らないからね」


 ……ここまで言われたら仕方ない。試しにやってみて、私がどれだけノーコンなのか知ってもらうしかないだろう。


「じゃ、じゃあ行くよーレンちゃん!」

「遠慮せず思い切りどうぞー!」

「せーの……それっ!」


 掛け声と共に思い切りドッヂビーを振り抜く私。そのドッヂビーはレンちゃんのいる狙いすました場所―――から、大きく外れあらぬ方角へと飛んでいってしまう。しかも運悪く風に乗ってしまったようで、グングンと遠くまで離れていくドッヂビー。

 あちゃー……やっぱ思った通りこうなったわ。


「す、すまぬレンちゃん!やっぱこれ止めよ―――」

「―――いよっ、と」

「…………は?」


 そう思った次の瞬間。レンちゃんは猛スピードで私が放ったドッヂビーを追いかける。全く別の方角へ投げたというのに。それに余裕で追いついた彼女は軽やかに宙を舞い、そして余裕で空中キャッチしたではないか。

 唖然とする私を前に、レンちゃんは駆けてきて。そして満面の笑みを浮かべてドッヂビーを先ほどのように私に差し出した。


「ほらね!大丈夫だったでしょう先輩?」

「れ、レンちゃん……キミ、コマ並みに凄まじい運動神経ね……すごいわ」

「えへへー。運動は得意なんですよあたし。というわけで先輩っ!見ての通り何処に投げても問題なくキャッチしてみせますので!どうかもっと遠慮せずに投げちゃってください!」

「わ、わかった。そんじゃ遠慮なく―――えいっ!」

「ふっ……!」


 ……それからは、もうレンちゃんの独壇場だった。私がどんな場所に投げても、どれだけ強く投げても。宣言した通り必ずキャッチして、そして私のところに戻ってドッヂビーを差し出してくれる。


「はい、先輩!どうぞです!」

「あ、ありがとう。んじゃ、次行くよ」

「どーぞどーぞ!まだまだいけますよ、あたし!」


 前々から思ってたけど。この子、やっぱりわんこっぽい。気分はまるでわんことフリスビーで戯れるご主人様。

 『ちゃんとキャッチしましたよ!褒めてくださいっ!』とキラキラした目でドッヂビーを私に返してくれる彼女のお尻には、ブンブン振られる尻尾が生えているように幻視してしまう。


「先輩!せんぱーい!」

「んー?なにかなレンちゃーん?」

「楽しい、ですねっ!」

「あはは。そうだねー」


 ……投げ合いっこするハズだったのに、ダイエットのハズだったのに。何だか趣旨が変わってきているような気がしなくもないけれど。それはまあ置いておくとして、楽しそうな彼女の姿を見ると私もついつい頬が緩む。何と言うか……ちょっとレンちゃんには失礼だけど。ペット飼うならこんな気持ちなんだろうな。

 そんな感じで私とレンちゃんのダイエットという名の二人っきりのドッヂビー大会は、レンちゃんが満足するまで続いたのであった。







 …………そう。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……



 ~10分後~



「先輩っ!まだまだいけますよねっ!?」

「う、うん……そ、それー」



 ~30分後~



「はい先輩ッ!次どうぞ!」

「は、はひ……え、えーい……」



 ~3時間後~



「マコ先輩っ!どうですか!ちゃんと取れましたよっ♪次行きましょう次ッ!」

「…………」

「……?あれ?先輩?どうしましたか先ぱ―――」

「…………(ドサッ!)」

「っ!?せ、せんぱい……マコ先輩っ!?ど、どうなさいましたか!?大丈夫ですかせんぱーい!!!??」


 …………もう一度言う。ま、まえまえから……レンちゃんってわんこっぽいと思ってたけど……マジでわんこだこの子……人懐っこくて、構ってオーラが出てて、そして何より……遊びに全力何だもの。

 そんなわんこ系後輩レンちゃんに、肩が上がらず息も上がりダウンするまで……彼女の全力の遊びに付き合わされた私であった……

読んでいただきありがとうございました。今までは純情可憐なレンちゃんの姿ばかり描写していましたが……そこはホレ。前々から言っていた通り、この作品に出てくる人間は全てダメ人間という法則があります故。彼女も立派なダメ人間。わんこ気質、というか駄犬気質なレンちゃん。今日も今日とてごすずんであるマコに精一杯甘えて振り回します。


さて、ちょっとここで書く事では無い事かもしれませんが。いつも読んでいただいている皆さん、感想をくださる皆さん。そして…長いお話なのに丁寧に読み込んで誤字報告をくれる皆さん。改めて本当にありがとうございます。


割とニッチな作品なのにいつも読んでいただけて嬉しい。楽しい感想を頂けるとマジで小躍りしちゃう。毎度チェックしているはずなのに減らぬ誤字脱字…それを直してくれるの泣くほど嬉しい。ホント、いつも助かります。ありがとです。

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