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悪魔の憎悪と恋心

 



 狭い入口では血相を変えた雀野が鷹津にくってかかっている。きっと扉をたたいていたのは彼だろう。鷹津はそれを適当にいなしているようだが、二人が何を言いあっているのかまったく耳に入ってこなかった。

 ひどく疲れてしまった。

 あたしは力なくパイプ椅子の固い背もたれに体を預けたまま、動けない。

 鷹津が雀野をおしやって部屋からでると、この空間がより一層あたしにのしかかってくるようで、ぐんにゃりと世界が歪んでいく。


 なんだかもう、すべて投げやってしまいたい。


「アキラ」


 肩をがしっとつかまれた痛みで、目の焦点があう。

 目の前には恐ろしく真剣な顔をした池ノ内がいた。

「腑抜けている場合か。お前の姉が見ている」

 あたしはハッとまた入口を見ると、そこには確かに美月様の姿があった。

「お前がするべきことはなんだ」

 カチリと音がしたようだった。

「……ありがとう」

 ささやきだけの礼をいうと、池ノ内は「おう」と頷いた。 

 それがスイッチになって、まわりの音が戻ってくる。


「篤仁! お前はいったい何を考えているんだ!」

「何を怒ってるんだ、ミツ」

「お前が勝手なことをしているからに決まってるだろうっ」

「何が?」

「女生徒をこんなところに連れ込むなんて……っ!」

「ただ話をしただけだ。アキラの生徒会解任についてな」

「ならなぜこの場所を選んだ! 生徒会室でいいはずだろう!?」

「気をつかったんじゃないか。アキラと雨宮の仲違いが原因なんだろう」


 ひょうひょうとしている鷹津とヒートアップする雀野。どちらに分があるかなんてわかりきっている。

「あーもう、うるさーいっ!」

「あ、あ、アキラさんっ」

「なによー、どしたの雀野」

 何事もなかったかのように出てきたあたしに、雀野はつかんでいた鷹津の襟首を離した。

「大丈夫だった!?」

 何があったのか、雨宮や初瀬、それに美月様もいる。生徒会勢揃いだ。

 美月様がただでさえ白い顔から血の気をなくしながら、こちらを見ている。


「だいじょーぶってなにが」

「や、だって、その」

 言いよどむ素直な雀野に、あたしはむっと眉をひそめてみせた。

「だいじょーぶじゃないよ! 超怒られたんだから! なんでもっと早く来てくれないワケ!?」

「え?」

「姉さんと雀野のおねだりで許してやった役目なのに、あっさり辞めて俺の顔をつぶす気かって、そりゃーもうネッチネチいびってきたんだよ!? 生徒会長様のくせに!」

「なに?」

 鷹津が不満そうに問い返すが、あたしは口を閉じなかった。

「こんなせっまいトコに引っ張り込んだのだって、その小姑みたいないびりっぷりを姉さんたちに見せたくなかったからでしょー? あたしちゃんと謝ってるのに! ちょっと顔がいいからっていい気になんないでよっ、最悪! 高飛車、陰険、だいっきらい!! 帰るっ!」


 ぽかんとしている一同をおきざりに、あたしは大股で廊下を歩いて行った。

「アキラっ!」

 追いすがるような美月様の呼び声。だけど、いま、美月様のお顔を正面から見ることはできない。

「姉さん、ごめんなさいっ! あたしには荷が重すぎましたーっ!!」

 あたしは走り出す。

 途中、騒ぎに気付いて風紀室から城澤が出てきたような気がしたが、当然スルーして階段を駆け下りた。

 早く帰らなければ。

 敬吾さんに会って、できれば直に話したい。

 それからあたしの戸籍上の親である分家のほうの白河家にも連絡し、根回しする必要がある。できるかぎりのことはしておきたかった。

 すべて遅いとはわかっていても。




 今日の鷹津との接触に対しよほど気をもんでいたらしい辰巳が、離れの周りを掃きながら待っていてくれた。

 あたしの姿をみとめるなり、すぐさま温かいお茶を出してくれる。

「岩土さんは、本日七時には戻るそうです。今日の結果を聞きたいと言っていました」

「わかった」

 辰巳は『今日の結果』を尋ねなかった。ただいつものように世話を焼く。

「アキラ様、まずは制服をお着替えになっては」

「あ」

 しまった、気づかなかった。

 辰巳に言われなければ、あたしはこのまま微動だにせず敬吾さんの帰りを待っていただろう。

 冷静に、冷静に、と繰り返しているが、やはり頭は動転しているようだ。

「アキラ様」

 知らずに握りしめていた拳を、辰巳の手に包まれて、じわりと温度がうつる。

「うん。ありがとう、辰巳」

  



 虫の知らせでもあったのか、敬吾さんは七時を待たずに当主様と白河家に戻ってきた。あたしはすぐさま書斎に呼び出された。

 自分から椅子に座ったあたしに、敬吾さんは一瞬目を険しくしたように見えた。これはあたしの不作法を怒ったのではない。長く、面倒な話になったということを察したのだろう。


「大きな報告は二点です」

「どうぞ」

「一点目、鷹津があたしに求婚しました。美月様よりあたしのほうが好みだそうです。二点目、鷹津はあたしの名前を知っていました。……父親のことも」

 あたしはポケットからICレコーダーを取り出し、大きな机の上に置いた。

 何があってもいいように、と録音しておいたのだ。長い時間のことではない、詳しいことはそれを実際に聞いてもらったほうが早い。

 敬吾さんはレコーダーをたっぷり五秒間見つめると、そのあと大きな大きなため息をついた。

「そうですか。わかりました」

「えっ!」

 あっさり頷かれ、それですますのか、とあたしが驚きの声をあげると、敬吾さんはじろりとあたしを睨んだ。

「今日、鷹津当主の実仁さねひと様とお話する機会がありました」


 鷹津家の現当主は、鷹津篤仁の兄、実仁だ。年の離れた兄弟だが彼はまだ三十路、鷹津の後を継いだといっても、実質的には彼らの父親の鷹津博仁たかつ ひろひとが実権を握っている。

 前回呼ばれたパーティでも、あいさつをしたのは父親のほうだった。そのため、鷹津実仁とあたしはまだ会ったことがない。

「今までそれとなく避けられていたというのに、今度ぜひに、と食事に誘われました」

「……それは、喜ばしいですね」

 白々しく口にすると、くっと敬吾さんが唇の端をあげた。

「ええ。美月様と、あなたも一緒に、とのことです。むこうからは篤仁様がいらっしゃるから、と。篤仁様があなたに意志を告げたということは、鷹津本家も了承済みなのでしょう。あの家の人間は決断後の行動が早い。白河は後手後手にまわるしかないでしょうね」


 ひゅうっと冷たい風が吹き始める。

 ああ、くるぞ、ブリザード。

 身を縮めたが、敬吾さんはさらっと言った。

「気に病まないでください。あなたが悪いわけではないのですから」

「え?」

「篤仁様は最初からあなたを気に入っていました。好意の方向転換ができるなら言うことなし、と思っていましたが、やはり難しかったようですね」

 諦めました、と敬吾さんはまた息をつく。

「敬吾さん、どういうことです。知っていたんですか」

「あなたの報告を聞いていればわかることです。あなたがそれを隠そうとしていたことも」

「うっ!」

 ぶわっと舞い上がった雪と氷の風に、あたしは自分の愚かさを思い知った。やっぱりあたしの部屋、盗聴器とかついているんじゃなかろうか。


「この場でそのことについては咎めません。あなたも年頃の女の子です、人のならともかく自分の恋愛事情を口にするのははばかりがあるでしょう」

「はぁ」

 なんだかむずむずするな、敬吾さんの口からそういうこと言われると。

「篤仁様の行動力はお墨付きです、あなたのことを徹底して調べ上げたとしてもおかしくはない。そうなったとき、あなたの『父親』が誰なのか調べないほうがおかしいのです」

 つまりは覚悟していたことだった、ということか。

 あたしは少しばかり安堵しながら、恐る恐る言った。

「でも、それは白河にとって不利になるんじゃありませんか」

「いいえ。世間体の良しあしはおいておいて、これくらい珍しいことではありません。いいですか、前にも言いましたが、ささいなスキャンダルなどなんの脅しのタネにもならないのです。誰もが承知のことを品なく騒ぎ立てるのは互いの不利益になるだけですから。それが本当に脅しのタネになりうるのは一定の条件下のみです。つまり、絶対勝利の確信のもと、相手を叩き潰すための全面戦争を起こすときだけです」   

「はい」

「どんな家であっても、清廉潔白であることなどありえない。小さな汚点をつついて動揺を誘おうとするとは、鷹津も落ちましたかね。愚劣だ」

 敬吾さんのあまりの評価に、思わずぎょっと目をむいた。あの鷹津篤仁をそう見る人間がいるとは、さすが敬吾さん。


 だが、それもそうだ、とあたしは飛び跳ねまくっていた心が着地点を見つけたように感じた。

 あたしにとって、白河は崇め奉る存在だ。だが、あたしは白河を聖人君子とみているわけではない。あたしの白河信仰はちょっとやそっとのことで汚されるものではない。ましてや、あたしの存在のせいで汚されるなんてことは―――――。


「あなたは白河明さんです。それを隠す必要がありますか」

「いいえ」

「堂々としていなさい」

 暖色系の蛍光灯だというのに、いつも凍えてしまうこの書斎。なぜか、それが今日は頼もしい。

 敬吾さんの厳しい言葉もあたしを慰めてくれているように感じた。辰巳はひたすらに優しけれど、敬吾さんのこういう変わらない態度は、甘やかされてばかりのあたしの不安を消してくれた。

 このままでいいのだ。

 あたしは間違っていない。

 あたしの存在理由はここにある。


「ところで……。さっきあんなことを言っておいて、口にするのも申し訳ないのですが」

「はい?」

 歯切れの悪い敬吾さんに、あたしは首をかしげた。

「こうなった以上、波乱は避けられません。鷹津家はこちらに仕掛けてきました。美月様と水音様がどうなるか……」

「ああ、怖いですね……」

 調子のいいことで、自分のことが一段落すむと、そっちの問題のほうが恐ろしくなってきた。あれ、これあたし白河追い出されるんじゃないか? それくらいの恨みを買ってしまいそうだ。


「アキラさん」

「はい」

「鷹津篤仁様について、どう思います」

 どうとは? と聞き返してやりたくなったが、もう敬吾さんの前で偽る必要はない。敬吾さんは、鷹津の求婚をどう思っているのか、と聞いているのだ。

 それならもう答えは決まっている。

「鷹津篤仁はあたしという存在を擁している白河を侮辱しました。あたしの生き方を否定しました」

 敬吾さんはあたしをぴたりと見据えていた。すべて見抜くぞ、とでも言いたげだが、これがあたしの本心だ。


 ふつふつとこみ上げるのは、怒り。

「あたしのすべてを否定した鷹津篤仁に、愛情を抱くわけがありません」

「そうですか。わかりました。では、もし鷹津様のほうから縁談があなたに申し込まれたとしても……」

「あたしの個人的な希望になりますが、絶対にお受けしたくありません」

「白河もあなたに強要することはありません。あなたはもうしばらく辰巳くんに甘えてぬくぬくしていたほうがいい。恋も愛も知らず結婚への憧れもない女の子が、婚約なんてバカげています」

 あたしが鷹津へ好意を寄せていることでも想定していたのか、あたしの返答に敬吾さんは安心したように見えた。口調がどことなく滑らかだ。

「あとは大人の交渉の時間です」

 そういう敬吾さんはやけに頼もしく、やっぱりあたし、敬吾さんとこお嫁にいってもいいかな、と口に出したら即凍死しそうなことを考えていた。




 あたしの父親は誰なのか。

 実のところ、本当のことはハッキリしていない。DNA鑑定は避けた。それが互いに妥協できる解決策への条件だったからだ。


 美しく若く愚かな女は、自分の夫が由緒正しい一族の隅っこに属していると知り、欲を出したのだという。正月の一族挨拶の場に無理やり入り込んだ彼女は、すでに妻帯者であった白河本家長男を誘惑した。彼は愛妻家であったが、ちょうどその時、妻は妊娠が発覚し、一時公の場に出ることを控えていたのだ。

 それから数か月後、彼女はわずかに膨らんだ腹を見せつけて本家に乗り込んだ。

 妻の悋気を恐れた本家の長男は、彼の腹心の部下と相談してある決め事をした。

 身重の妻に余計な心労をかけたくない。数年待ってもらいたい。その間の生活費・養育費はすべて負担する。

 彼女の夫はすぐにでも離婚を希望していたが、次期当主たっての頼みを断ることはできなかった。三年間仮面夫婦を演じること、離婚の際子供はおいていくこと、父親は誰か言及しないことを約束させ、多額の金を引き渡した。

 かくして生まれた娘は、必要な段階を経て白河本家へと預けられることになる。母親の強い要望から白河本家長男の名前である泰明から一字をもらい、娘は『明』と名づけられた。

 父親なんてどうでもいい。

 あたしはふわふわとした足場のない存在だ。ならば、白河という大木にすがる以外に地に足をつける術がない。

 名前なんて記号にすぎない。

 だから『アキラ』と書き続けた。

 あたしはこうしないと生きていけないのだ。


 すべてに恵まれた人間が、一言であたしの短い人生を否定したことが腹立たしくてならなかった。許し難い侮蔑だ。

 それで飽きたらず、その男が、今度はあたしの生活を壊そうとしている。

 好意など抱くはずかない。美月様には悪いが、あの男は美月様を想ってはいない。ならばもう遠慮しない。

 鷹津篤仁はあたしの敵だ。




 次の日の朝、あたしは美月様よりはやく家を出た。しばらく直接会いたくなかった。




 鳳雛学園の屋上は施錠されており、一般生徒の立ち入りは禁じられている。だが管理は甘く、ダイヤル式の鍵の暗証番号はごく一部の生徒に代々伝えられているらしい。

 その一人があたしの隣でのんきに箸を握る男だ。

  

「特権を持つ人間には責務がともなう」


 いきなりどうした。

 あたしは、なぜか屋上で池ノ内とお弁当をつついていた。貯水棟の影は風が通って涼しい。

 昼休みのチャイムが鳴った途端にニカっと笑いながら一年B組に入ってきた池ノ内は、勝手にお弁当の包とあたしをここまで引っ張ってきたのだ。

 おかげで周囲の目が痛いことこの上なかった。もう二度と雀野以外の生徒会の人間と接触したくなかったのに。しかし、気になることもある。あたしは好奇心から逃げることをせず、池ノ内についていった。

 そしておかずを何品か奪われながら一息ついたとき、池ノ内は急におかしなことを言い出したのだ。


「……ノブレスオブリージュって言いたいの?」

「そうそう!」

 池ノ内はよく知ってるなー、と子供を褒めるようにあたしの頭をなでた。

「それが何? ここに来たことと関係あるの」

「まぁ聞けって! 昨日のことでさ、俺お前に言いたいことあったんだよな。あせったぜー、雀野副会長が生徒会室でアキラも会長もいないって騒いでてさ。んで、全員でしばらく探し回った挙句、雨宮副会長が資料室が怪しいって言い出してさ。あー、まあいいや、それでさ、俺は、この言葉正しいと思ってる」


 それにはあたしも同意だ。

 美月様が(本人は気づいていないが)不自由な生活環境におかれているのも、彼女に負わされた責務の一つだ。ふさわしい人間との交友、交際、結婚縁組。

 上流階級、特権階級とよばれる人間に負わされた役目だ。

 また鷹津との問題が頭に浮かんで顔をしかめていると、池ノ内は続けた。

「でな、特権を持つ人間が責務を果たすために、彼らを支える人間も必要だって思ってる」

 ぴく、と肩が震えてしまった。ああ、そうか、とあたしは心の中で納得して頷いた。池ノ内もわかっている。あたしの立場、役目を。

 だからこそ昨日、放心状態のあたしに喝を入れてくれたのだ。

「……へえ。ノブレス側の先輩は、下々のことまで考えてくれてるんだ」

 ちゃかすように言うと、池ノ内はへらへらした笑いを一瞬でおさめた。

「俺はそっちの人間じゃない。お前と同じだ」

 驚いて池ノ内を見ると、彼はまっすぐ空を睨んでいた。


「俺の兄貴は親父の後をついで政界に乗り出す。俺は、その兄を支えなくちゃならない」

 手慰みか無意識か、池ノ内は軽くなったペットボトルをもてあそんでいる。

「絶対に汚点になるようなことがあってはならない。かといって、兄より目立ってもいけない。俺はそういう生き方を求められている」

 幸い人並み外れたバカでも秀才でもないから辛くはないけどな。

 そう言う声は乾いていたが、響きは軽いものではなかった。


 池ノ内は校内の成績上位者だ。容姿も爽やか好青年、スポーツ万能で時折他の部活に助っ人として顔をだしているくらいだ。だが、全国模試で一桁になるとか、何か一定の部に所属して功績をのこすとか、卓越した才を見せつけたことはなかった。

 オールラウンダーといえば聞こえはいいが、特出するものもない男。だが、池ノ内はそれを自ら望んでいたように思えた。

「でも、そういう生き方をしているってことを兄貴に悟られちゃダメなんだよ。いっそ俺のこと堂々踏み台にしてくれたらいいんだけど、兄貴は根がいい人だからさ、負い目になっちゃうだろ。お前ならわかるよな」

 池ノ内は前をむいたまま、あたしの頭に手をおいた。


 うん、わかるよ。

 痛いほどわかる。

 あたしは、ここでようやく、なぜ池ノ内があたしに必要以上に干渉してきたのかを理解した。

「アキラ、お前が白河の前であれだけ心乱されたってことは、会長によっぽどいじめられたんだろう。あの人こそノブレスそのものだからな、俺らのことわかんないんだよ。恨んじゃダメだ」

「でも」

 やっぱり、憎い。

 口から出てきてしまった否定の言葉に、池ノ内はおだやかに言った。

「お前は間違ってないよ。俺はそう思う。お前はがんばってる。そういうアキラだから、俺はお前がかわいくて仕方ないよ」


 コツンと引き寄せられて池ノ内の肩にくっついた側頭部。

 頬が熱い。胸がバクバクする。

 柄にもなく、あたしは完全に照れていた。

 はっずかしい!!! と、同時に目まで熱くなってくる。

「おい、アキラ?」

「ち、ちょっと待って。今こっち見ないで。手、離して」

「えー? なに、お前もしかして照れてる? ほんとかわいいなー」

「やめてくんない?! そういうこと言うの! お、男の人にそういうの言われたことないからすっごくむずがゆいんだけど!!」

 あっはっは! と快活に笑った池ノ内は、さっきまでの真剣な顔つきが嘘のように崩れていた。

 


 

一か月近く間が空いてしまいました。

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