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再開した幼馴染が女の子じゃなかったんだが??

作者: カンヅメ
掲載日:2026/06/25

ネタを思いついたので書いてみました。

校門までの桜並木の中を歩いていく。

私はひとりで校門をくぐり、昇降口前の掲示板に足を止めた。

掲示板にはたくさんの新入生がいる。

友達同士なのだろうか?数人で喜び合ったり、慰めあったりしている。


(……もう仲のいい人がいるのかぁ)


その様子に少し寂しさを感じつつ、新入生の間を潜り抜け、クラス分けの掲示板を見上げる。

背が低いので上のほうを見るのに苦労したが、ようやく自分の名前を見つけた。


-----

1-3

青井 一輝(かずき)


------


中学で仲の良かった友達からはよく男の子っぽいと言われたが、私はちゃんと女の子だ。

(1年3組ね。ほかにどんな子がいるんだろう?)

クラスメイトの名前を確認しているとある名前に目が付いた。


------

1-3

渡辺 遥


------


(はるちゃんと同じクラスだ!)


引っ越し前によく遊んでいた幼馴染の名前である「渡辺 遥」を見つけて思わず頬が緩む。

はるちゃんは肩まで伸びた髪を揺らす可愛い女の子だった。

小学生の頃は毎日のように遊んだ幼馴染だったが、小学3年で引っ越してからは連絡を取っていなかった。

中学3年のときにこっちに戻ってくることが決まって、お母さん経由ではるちゃんがこの高校を受けることを知ったから受験し、見事合格した。


(あの泣き虫だったはるちゃんはどうなったのかなぁ……)


数年ぶりの再会に思わず胸が高鳴る。


「会うの楽しみだなぁ……」

私は表情を引き締めて校舎の中に足を踏み入れた。


1年3組の教室に入ると教室が一瞬静まり返った。

私は不思議に思ったが、黒板に張られている座席表を見つけた。


窓側の一番前の席だった。

私はカバンを机に置いて席に着いた。

椅子に座ると足が届かなかったが、もう諦めるしかないのだろうか……。

中身は貴重品や筆記用具くらいしかないが、今日配られる教科書を持って帰らないといけないと考えると憂鬱だ。


「はぁ~~」


思わずため息をついて、机の上に身体を乗せる。

胸が机に乗って少し楽になった。

教室が少しざわついたような気がした。


ちらりと横を見ると、隣の女子生徒が私を見つめていることに気が付いた。

女子生徒の隣にいた男子生徒は私から必死に目を逸らそうとしているが、チラチラとこちらを見ていることに気が付いた。

私は急いで姿勢を正して二人に微笑んだ。


(やってしまったぁ~~初日から気を抜きすぎた~~)


初日から、だらしない子と思われてしまったかもしれない・・・・・・。

私は一つ咳払いをして隣の女子生徒に話しかけた。


「初めまして、青井 一輝です。小さい頃にこの地域に住んでてまた戻ってきました。よろしくね?」


私は女子生徒に微笑みかけた。

女子生徒はハッとしたような表情になり、自己紹介をしてくれた。

男子生徒は少しボーッとしたような表情になっている。


「よろしくね。私は御堂莉子、でこっちのぼけ~としてるやつが佐々木碧よ」

「よ、よろしく……」

「よろしくね?二人は仲いいの?」


私がそう聞くと御堂さんは少し嫌そうな表情になった。


「コイツとは幼稚園からずっと一緒のただの腐れ縁よ」

「り、莉子ちゃん……確かに腐れ縁だけどぉ~~」


佐々木君は御堂さんに小さく抗議している。

どこか、子犬っぽく見えるような姿に思わず苦笑した。

御堂さんはあきれたようにため息をついた。


「はぁ……、こんな感じでナヨっとしてるやつだけど、よろしくしてやって?」

「うん。よろしく!」


仲良くなれそうな人を見つけてよかった。

御堂さんと話しているとひとりの男子生徒が近づいてきた。


(あの人、すごく大きいなぁ……)


少し尻込みしながらその男子生徒の大きな目を見て「はるちゃん」を感じた。

私は頭を左右に振った。


(いやいやいや、はるちゃんは女の子だから!気のせいでしょう。)


佐々木君と御堂さんは、私の様子に少し訝しんだようだが、その男子生徒と話し始めた。


「二人ともおはよ」

「おはよ。入学初日なのに緊張してないのね」

「おはよう。相変わらずデカいね」


佐々木君と比べるとその男子生徒は頭一つ分大きかった。

私が見上げ続けると首が痛くなりそうだ。

親しげに話している様子から、三人は友達なのだろう。


「三人はいつから友達なの?」

「中学が同じなの。この高校を受けるときに、勉強を教えてもらってた」

「僕は中学3年間、同じ部活だったんだ。で、高校受験の勉強を莉子ちゃんに一緒に教えてた」

「そうなんだね……」


男子生徒は私の存在に気付いたのか、じっと見つめて首をかしげている。

私は気にせず、自己紹介をした。


「初めまして、青井です。これからよろしくね?」

「えっ……?」


私が自己紹介をすると、困惑したような声をかけられた。

不思議に思って、見つめると男子生徒は慌て始めた。


「あ、青井さん?し、下の名前は??」

「えっ?かずきだけど、漢数字の一に輝くで一輝」

「ま、マジかぁ……」


目の前の男はショックを受けたように床に膝をついた。

背の高い男子がいきなり崩れ落ちたから教室の中が、ざわついた。


男子生徒の様子に少しムッとしながら、詰め寄った。


「ちょっと!人の名前聞いといてその反応は何!?失礼すぎるでしょ!!」

「「あ、青井さん落ち着いて」」


佐々木君と御堂さんが二人で私を宥めにかかったが、私の怒りは収まらない。

必ずやこの無礼者に天誅を!!と思い振り上げたこぶしを振り下ろそうとしたら……


「……かずちゃん」


と聞こえた。


「へっ……?」


私は困惑した。


「かずちゃん」は「はるちゃん」だけが言っていた私のあだ名だ。

男子生徒は恐る恐る顔を上げて私を見つめる。


「かずちゃん……なんだね?」

「な、なんでそのあだ名……だって、それは……」


そこまで考えて私は、ハッとした。

もしかしてこの子……


「はるちゃんの知り合い!?昔、幼馴染が私のことを「かずちゃん」って言ってたの!」


そういって、男子生徒の手を両手で包み込んだ。

なにかの悲鳴が聞こえた気がしたが、私の優先順位は「はるちゃん」のことだ。

私は男子生徒に近づいた。


「君、はるちゃん……って言っても分かんないか、渡辺遥と知り合いなの?クラス表見てはるちゃんと再会できるの楽しみにしてたけど、誰か知ってるの?」


教室中がシーンッとなっていることに気づかず、私はさらに詰め寄った。


「小学校のころよく遊んでた子なんだけど、こっちに戻ってくることが決まって、はるちゃんのお母さんからはるちゃんがここを受験するって聞いたからここを受けたんだぁ~。ずっと会ってないからどんな感じに成長しているか分かんないから君が知ってるなら誰か教えてほしいな!!」

「青井さん落ち着いて」


そう言って御堂さんが私の頭に手を置いた。

目の前の男子生徒は顔を真っ赤にしていた。

私は慌てて手を放し、距離を取った。


「あはは、ごめんね?ちょっと知り合いの知り合いっぽい人がいたから思わず……」


男子生徒は後ろを向いて佐々木君と何か話している。

佐々木君は肩を叩きながらなにか言っているが、よく聞こえなかった。


御堂さんは何やらニヤニヤしながら私に聞いてきた。


「青井さんはそのはるちゃんが気になってるんだね?」

「だって、小さいころ一番仲が良かった親友だもん。私が引っ越してからは連絡とか取ってなかったけど、毎年年賀状のやり取りはしてたんだ」


母親同士で仲が良かったからか、定期的にはるちゃんの情報を私も手に入れていた。


「写真のやり取りとかはしなかったの?」


御堂さんはさらに聞いてきた。


「うん。写真は特に送りあってなかったよ。まあ、母親同士は分らないけど少なくとも私はお母さんから写真を見せてもらってないよ。それに……」


私は少し言いよどんだ。


「それに?」

「……はるちゃんが私より成長してたらって考えると悔しいかったから」

「……」


御堂さんは何も言わずに私を見てくる。

そんな目で見ないでほしい。


私は小学3年生の時はまだ私の身長が高かった。

だが、小学6年生から中学3年まで身長がほぼ横ばいで、高校1年になった今では149cmと同年代と比べて低い身長となっている。


教室の空気もなんだかほんわかしたような気がした。


「あ~~もういいか?」


男子生徒が立ち上がり、私を見ていた。

首の後ろを手でさすっている。


「あ、ごめんなさい。ところで、君の名前って?」


男子生徒は目を左右に揺らしている。

やたらと緊張しているようだった。


「お、俺の名前は……渡辺……です」

「へっ……?」


渡辺ってはるちゃんと同じ名字……


「し、下の名前は?」


私は恐る恐る尋ねた。

渡辺君は私から完全に視線をそらした。


「…………」

「…………」


長い沈黙に私はシビレを切らした。


「……ねぇ、し・たの!な・ま・えは!?」

「……は、はるか……です」

「わたなべ、はるか……」

「……ッス」


私は膝から崩れ落ちた。

ずっと女の子と思っていた幼馴染は実は男の子でした……。

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