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だってダイスロールは一度だけ High and Low  作者: 三日月 帆立


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3/3

final

 はっと目を覚ます。と、同時に右側頭部を壁に激しくぶつける。

「…てぇ」

 辺りを見回すと自宅の寝室で、パジャマは汗でぐっしょりと濡れている。この年になって漏らしたのも恥ずかしい。が、しかし夢だったのか…と安堵する。確かにあの時、撃たれた…とおもう。壁に激突したからだが、右の側頭部が痛い。


「やべ、会社」

 布団を洗濯機に入れ、スタートを押し風呂に入る。さすがに漏らした体で外に出るほどの感性は持ち合わせていない。さっと体を洗い、スーツに着替える。鏡を見るとスカートスーツ姿の女性がいた。

「お、んな?」

 確か自分の性別は男だった気がする。デスゲームに参加した時もそうだった気がする。その考えに答えが出る前に、携帯のアラームが鳴り響く。

「やばっ遅刻する!」

 

 急いでカバンを持ち、駅に走る。いつも満員電車に揺られて出勤、出勤? おかしい、ずっとリモートワークなのになぜ今日は会社に向かっているのか? そんな事よりぎゅうぎゅうになり結構詰めているがまだ人が乗ってくる。そして降車駅でどうにか降りることに成功、8割降車したが、穴を埋めるかのように人が乗っていた。


 会社につき、社員証でゲートを通過する。いつもの慣れた作業だ。もはや出してからタッチするまでに無駄な動作がない。22階直通エレベーターに乗り、会社のフロントに到着する。朝9時だが、既に受付の女性はスタンバイしていた。

「社員証の提示をお願いします」

「はい」

「57番ですねー本日は会議の予定がありますので1番会議室に14:30にお願いします」

 今日のスケジュールまで社員証をかざすとフロントで教えてくれる。逆に、社員証を忘れても予定が分からないだけで通過できるのだ。下のゲートを通れればの話だが…自分の机のある第1営業課の扉を開ける。


「係長、おはようございます!」

 先に来ていた後輩にあいさつされる。

「あ、おはよう」

 名前も何もかも彼の事は知っている。私が教育係として、5年間一緒に仕事をしている。もはや慣れたものだ。適当に挨拶を返し、給湯室に行く。部署内で一番コーヒーを入れるのが上手いということで、私が朝のコーヒーは担当している。前までは6分くらい遅刻してくる微遅刻常習犯の部長も時間通りにくるようになった。

『次遅刻したらコーヒー冷めるので淹れないですからね』

 の一言が相当、部長には刺さっているらしい。


「部長、おはようございます。コーヒーお持ちしました」

「いつも悪いねぇ」

 部長は嬉しそうに一口飲む、

「…おいしいけど淹れ方変えた?」

「え?」

 まったく自覚がない。自分で飲んでみるもいつもの味がしている、と思う。


 後輩に質問されたことを返事しながらも、コーヒーの入れる手順を考えていた。うん、何度思い返してもミルで挽く回数からお湯の注ぎ方まで間違えていない。

「美味しいからいいんじゃないですか?」

 と後輩に言われ納得するようにした。


 仕事も終わり、家に帰る。洗濯と乾燥を終えた布団はふかふかで柔軟剤の香りがしている。

…そういえばなぜ布団を洗ったんだっけ? まぁこの夏場だからこまめに洗っているんだったんだろうか。 不思議に思いながらも布団を寝室に持っていく。

 夕飯は冷凍してあるものをレンジで温めて食べた。昨日は何か悪いことがあった気がするので枕の下に神社でもらったお札をひいて寝ることにした。


「今日はいい夢が見れるといいな」

 そう思いながらゆっくりと目を閉じた。しばらくしてあまりのうるささに目を覚ます。

目の前のモニター、そこでバンっと撃ち抜かれる男性の姿があった。

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