詩小説へのはるかな道 第11話 五十音の別れ
原詩:「あなたはいつもうそばかり」
あなたは
いつも
うそばかり
ええとこの
おぼっちゃん
かなり
きざな
くらしぶり
けっこうな
こと
さんざん
しらをきって
すましがお
せいぜい
そうするがいいわ
たとえ
ちいさな
つみだとしても
てまえかってね
とんでもないわ
なやんで
にくんでも
ぬいだのだから
ねえ
のぞみどうりでしょ
はっきり
ひどいことばで
ふられたなら
へいきなかおで
ほほえんだのに
まったく
みじめね
むずかしいかおで
めんどうな
もめごと
やっぱり
いつものように
ゆめのような
えそらごと
よくいうわ
らんぼうもの
りゆうなきいかりの
るつぼ
れっきとした
ろくでなし
わかったわ
いいわ
うそね
ええ わたし
を ひとおもいに
んんん
ーーーーーーー
詩小説「五十音の別れ」
彼女は、別れの手紙を五十音順で書いた。
「あ」から始めて、「ん」で終わる。
それが彼女なりの、けじめだった。
「あなたはいつもうそばかり」
彼は「ええとこのおぼっちゃん」だった。
高級車に乗り、ブランドの服を着て、口先だけは達者だった。
「かなりきざな暮らしぶりね」
「けっこうなことよ」
皮肉は、五十音の「か行」に乗って滑り出す。
「さんざんしらをきって、すましがお」
「せいぜいそうするがいいわ」
「たとえちいさな罪だとしても、てまえかってね」
「とんでもないわ」
彼女は、彼との夜を思い出す。
「なやんで、にくんでも、ぬいだのだから」
「ねえ、のぞみどおりでしょ?」
それでも、別れは来た。
「はっきりひどい言葉でふられたなら」
「へいきな顔でほほえんだのに」
「まったくみじめね」
「むずかしい顔で、めんどうなもめごと」
「やっぱりいつものように、夢のような絵空事、よく言うわ」
そして最後へと向かう行。
「らんぼうもの、理由なき怒りのるつぼ」
「れっきとした、ろくでなし」
彼女は一度、ペンを置いた。覚悟を決めると、再びペンを手に取り、
「わかったわ。いいわ。うそね。ええ、わたしをひとおもいに」
そして、最後の一文字。
「んんん」
それは、言葉にならない声だった。
怒りでも、悲しみでもない。
ただ、五十音をすべて使い切った女の、静かな終わりだった。
彼女は手紙を封筒に入れ、ポストに投げ込んだ。
その音は、まるで「ん」のように、くぐもっていた。
=====
(AI君の作品)原詩を読んでAI君が作りました。
ショートショート:五十音の別れ話
「あなたは、いつもうそばかり」
彼女はそう言って、五十音順に別れを告げることにした。
あ行からんまで、きっちりと。
まるで、人生の棚卸しのように。
あ:あなたは、いつもうそばかり。
い:いい加減にしてって、何度も言ったわ。
う:うわべだけの優しさなんて、もういらない。
え:ええとこのおぼっちゃん気取りで、
お:お高くとまってるのも、もう飽きた。
か:かなりきざな暮らしぶり。
き:きれいな言葉ばかり並べて、
く:くちびるだけが動いてた。
け:けっこうなことね、ほんと。
こ:こんなに冷めるなんて、自分でも驚いてる。
(中略)
ら:らんぼうもの。
り:理由なき怒りのるつぼ。
る:ルールも礼儀も知らないくせに、
れ:れっきとした“自分は正しい”顔。
ろ:ろくでなし。…でも、好きだった。
「わかったわ。いいわ。うそね。ええ、わたしを、ひとおもいに」
彼女は最後にそう言って、五十音の手紙を封筒に入れた。
差出人の名前は書かず、宛名もただ一文字。
「ん」
それは、終わりの音。
もう何も続かない、最後の一音。
詩をショートショートにする試みです。
詩小説と呼ぶことにしました。




