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異世界伝承記  作者: メロンソーダ
王国編
29/52

激闘 第三の瘴気核④

大蛇が飛ばしてくる溶解液を真由とカグヤは躱す。移動してきた平原は障害物がなく、足元も森と比べてクレーターや木の根も無いので大変戦いやすい。カグヤは札をつけたクナイを大蛇めがけて素早く投げる。命中すると同時にクナイが爆発する。火力はそこまで高くはないが大蛇は突然の爆発に怪訝な表情と唸り声を発した。その隙を逃さず真由が攻撃魔法の光弾を打ち込む。だが分厚い皮膚に守られているのか対してダメージは与えられていないようだ。


「くっそやっぱ俺だと火力出ないな…!」


カグヤは舌打ちをしながら溶解液を躱す。多彩な忍術を扱えるが火力はどうしても劣ってしまう。こういう時単身で火力を出せるアイラやクラノスが大変羨ましいのだ。


「カグヤ‼‼」


真由の声に我に返る。大蛇の尻尾が目前に迫ってきていた。慌ててその場を飛び跳ねて躱そうとするが反応が遅かったためわずかに当たってしまった。地面に叩きつけられる。尻尾で潰されなかったのは運が良かった。カグヤは痛みを堪えながら素早く立ち上がり体勢を整える。


「こっちは気にしないで自分の身を守って!」


優しい真由のことだ、治癒魔法を使ってくれるかもしれないが今無防備な姿をさらすわけにはいかない。カグヤは叫んで真由に注意を促した。大蛇の体躯で見えないが真由の返答が聞こえる。理解してくれただろう。カグヤは痛めてしまった足に治癒用の護符を貼り付け短刀を構えた。なんとかして時間を稼ぎ大人たちと合流するまで真由を守り抜く。軽く息を吐き低い姿勢をとる。まっすぐ大蛇の体躯をにらみつけ、先ほど爆発させた皮膚の部分に集中する。集中攻撃をすれば弱点になるかもしれない。カグヤは身体強化を体に巡らせ一直線に大蛇に飛びかかった。


「ッ‼‼」


真由の方を向いていた大蛇は完全に油断していた。カグヤの読みが当たり後方から突然受けた奇襲に大蛇は体勢を崩した。カグヤも地面を転がりながら着地し真由を庇うように構える。


「カグヤすごい‼‼」


「へへ、もうちょい踏ん張ろうぜ!」


馬が駆ける音が聞こえる。誰かがもう間もなく合流してくれる。真由は頷きながら攻撃魔法を大蛇に打ち込み続けた。浄化の分の魔力も残しておかなければならない。体力もそろそろ限界だ。


「二人共離れなさい‼‼‼」


その時、凛々しい声が聞こえた。カグヤが素早く真由を抱え後ろに飛び下がる。大蛇が真由を追いかけようと体を動かしたところへ光の杭が何本もその体を貫いた。高火力の熟練した魔法、その使い手は―


「アルベルトさん‼‼‼‼」


最強の戦士、アルベルト・ルークスだ。アルベルトの背後にはロイ隊長とカイウスの姿も見える。ロイは数名の騎士団員と共に大蛇を迂回するように馬を走らせ真由とカグヤを守るように陣形を整えた。


「ご無事ですかお二人共‼‼」


「助かりました皆さん!ありがとうございます‼‼」


ロイは子供たちの姿を確認すると安堵したように息を吐いた。すぐ控えてた神官が二人に治癒魔法をかけ、真由には魔力を回復する薬を渡してくれた。真由はお礼を言って受け取りすぐ一気に飲み干した。とてつもなく苦いが、初めて料理を作ったときの失敗作に比べればいくらでも我慢できる。横でカグヤと神官がすごいと驚いている。真由はそれに気づかず杖を構えなおした。


「あの大蛇にやはり瘴気の核があります!内部にあるので露出させないと浄化魔法が届きません!」


「承知いたしました、核発掘は我々が行います!総員攻撃開始‼‼‼」


ロイの号令にアルベルトとカイウスを狙っている大蛇に騎士団員が連携して攻撃を始める。先ほどのアルベルトの魔法が一番効いたのか大蛇は動きが鈍くなっていた。さすが最強の戦士である。


「2時の方向軍旗を確認!クラノス殿達です!」


気付いた騎士団員が声を上げる。クラノスとアイラだ‼‼と真由とカグヤは喜んだ。と、同時に大蛇の頭めがけて馬から飛ぶ人影が見える。まさかと視力が良いカグヤが一瞬で表情を変えた。遅れて真由も気づく。


「…誰に手を出してんだこの野郎が‼‼‼‼‼‼‼‼」


アイラだった。怒りに満ちたアイラ渾身の一撃が大蛇の脳天に命中した。大蛇は一番甲高い悲鳴を上げる。


「あ、姐さんだって軽い鎧着てるのになんで俺並みに跳躍できるの…‼‼?」


「アイラすごい‼‼‼かっこいいよアイラ‼‼‼」


真由にちょっかいを出したときにあの攻撃を喰らわなくてよかったとカグヤは心の底から安堵した。横ではしゃぐ聖女を横目にカグヤは身震いした。今後一切アイラを怒らせることはしないと誓いながら。


「二人共!離れてすまなかった、もう大丈夫だからね」


クラノスが盾を構えながら駆け寄ってくる。とても焦っていたのだろう、やや青ざめた顔色をしている。


「来てくれてありがとう!カグヤがずっと守ってくれたから無事だったよ!」


「そうか…さすがだカグヤ、真由を守ってくれてありがとう」


「えへへ、伊達男に褒められると照れるね!」


褒められたカグヤは照れながら頬を掻いた。さぁとクラノスに声をかけられ二人は武器を構えなおす。大蛇はアルベルトとアイラを始めとした精鋭たちに総攻撃を喰らい自由に身動きが取れないようだ。溶解液を飛ばすもアルベルトの防御魔法で完全に弾かれている。その眼には苛立ちが見える。


「離れろ‼‼」


何かに気付いたロイが指示を出す。その声にアイラとアルベルトが素早く後方へ飛ぶ。大蛇は勢いよくその体躯を回転させ、土埃を発生させるとともに振動でこちら側の体勢を崩してきた。転んでいる団員も土埃の隙間から見える。


「正面防御!」


カグヤの言葉にクラノスは即座に二人を庇うように真正面に盾を構える。土埃の中から溶解液が飛び出してきたのだ。疲弊している真由の魔法では相殺が間に合わないと判断したのだろう。さすがの視力と判断力だ。盾が一部溶けてしまったが全員無事だ。


「真由、なるべく下がって魔力の回復と浄化の用意を!カグヤと数名で護衛を頼んだ」


「はっ‼‼‼」


横目で体勢を整えた騎士団に指示を出すクラノス。騎士団員は返答すると素早く真由とカグヤを囲い後ろへと下がらせた。


「旦那、符をつけてる場所がある。そこをさっき集中攻撃したから弱点になるかも!」


「わかった、感謝する!」


クラノスは頷くとアイラの元へ駆け寄っていった。今の情報を共有するためだ。真由とカグヤは今狙われていないが気を抜かないよう魔力と体力の回復に努めた。

---------------------------------------------------------------------------

「了解、目印を攻撃する‼‼」


クラノスから情報を聞いたアイラが素早く斧を構えアルベルトに目配せする。いい加減大蛇には土埃から出てもらわなければならない。アルベルトは即座に風魔法を詠唱すると発動させた。風が大蛇を包み込み攻撃を与えながら土埃だけを森の方向へ飛ばしていく。


「目印を集中攻撃!」


叫びながらアイラは単身大蛇に飛び出していった。身を隠していた大蛇は再び地面に潜ろうとしていたのだろう、わずかに頭を地面に埋めていた。その頭の右後方にカグヤの符が見える。アイラは力強く地面を蹴り符の目印を目掛けて斧を振るった。子供たちが頑張った通り、そこは大蛇の弱点になっていた。アルベルトの魔法以外でやっと攻撃が通る。


「よし‼‼」


身をひるがえし着地したアイラは再び構えた。クラノスが伝令したのかロイ達もボウガンで援護してくれる。


「お見事ですぞアイラ殿!」


カイウスがアイラの倍はありそうな斧を傷口めがけて振りかぶる。獣人族はやはりタフだ。大蛇はようやく弱点になっていた部分に気付いたのか不機嫌な奇声を平原に轟かせた。


「それにしても核どこだよ‼‼?」


「全体が禍々しすぎて気配が負えませんね、真由殿を執拗に狙って疲弊させ核の気配を悟らせない賢さもある、本当に厄介だ」


飛んできた溶解液を躱しながらアルベルトが舌打ちをする。魔法攻撃は効くが今浄化できるのは聖女と自身、二人の神官の合計4人だ。いくら魔力が桁違いなアルベルトでも最初にお見舞いしたような攻撃魔法を何度も使っていては浄化ができない。エルフ族の戦士を応援に呼んでもらおうか、そう考えながら愛槍を大蛇の弱点に正確に刺突する。大蛇は苦しそうな声を上げるが中々倒れない。


「上面に亀裂ができている‼‼」


クラノスの報告に一同顔を上げた。やっと核が出てきたのか⁉と誰もが思った。だが大蛇は不敵な笑みを浮かべると溶解液を周囲に巻き散らかし体躯をくねらせ再び土埃を発生させた。腐臭に吐き気を堪えながらアイラが顔を上げると、信じられない光景があった。―そう、大蛇が脱皮していたのだ。背中の亀裂は脱皮のための亀裂だったのかと理解すると同時にアイラは駆け出した。脱皮した大蛇は真由の方向を向いている。まずい、溶解液の腐臭と土埃のせいであちら側は完全に発見が遅れている。


「真由、カグヤ‼‼避けろーー‼‼‼‼‼」


アイラが駆けだしたころには大蛇はもう動いている。アイラは溶解液の上だろうがお構いなしに走り出した。靴底が溶ける感触がするが関係ない。全力で悲鳴に近い大声で危険を知らせた。アルベルトも気づいてアイラに防護術を駆けながら共に駆け出している。クラノスもだ。大人たちが全員必死に子供たちを護るために走り出した。だが大蛇はすでに真由を射程圏内に捉えているのだろうか、凍り付くような笑みを浮かべ舌なめずりをしている。溶解液で溶かすつもりか、アルベルトが防御魔法を唱える。間に合うか、間に合え―‼‼‼‼


その場の全員が強く願った瞬間、一本の炎の矢が正確に大蛇の目を貫いた。完全に油断していた大蛇が苦しみの奇声を上げる。アイラは矢が飛んできた方向を見る。そこには、ソーンと共に馬に跨り、すでに二本目の矢を構えている誠司がいたー

---------------------------------------------------------------------------

「お見事です誠司殿‼‼‼」


姿勢を低くして器用に馬を操るソーンが安堵の声を上げる。誠司ははい!と返すと構えていた二本目の矢を放つ。今度も身体強化と炎を纏わせた弓矢はまっすぐ飛んでいき大蛇の体に命中した。大蛇がもがいていたため目から外してしまったが隙は作れた。アイラとクラノス、カイウスが飛びかかっているのが見える。


「真由とカグヤの元にお願いします!」


「承知いたしました!」


ソーンは馬を真由とカグヤの元へ走らせる。真由とカグヤもこちらを見つけ駆け寄ってきている。


「誠司すげえええええ‼‼‼かっこいいぜ‼‼‼‼」


「ありがとう誠司くん‼‼‼すごくすごくかっこよかった‼‼‼‼‼」


二人は先ほど命の危機だったというのに誠司の神業に興奮しているようだ。誠司は二人が無事だったことに安堵しながら微笑んだ。


「間に合ってよかったよ、ソーンさんありがとうございます」


「いえ、付け焼き刃ですが命中させたのは大変すばらしい戦果ですよ誠司殿」


ソーンも馬から降り、誠司に預かっていた剣を渡す。そう、誠司はここまでくる間に弓の使い方を聞いて覚えたのだ。魔法の重ね掛けも初めてだったが成功してよかった。誠司たちと共に後方から駆け付けた援軍が大蛇に攻撃を仕掛ける。エルフ族の戦士も数名いるので攻撃魔法を中心に戦闘を進めることができる。これでアルベルトも浄化に集中できる。一気に戦況はこちらが有利になった。


「よし行こう二人共!」


頷いた真由とカグヤと共に駆け出す。攻撃魔法の使い手が充実しているので弓矢の出番はもうないだろう。あとは火力で押しきり浄化するだけだ。真由は冷静に核の気配を探った。


「……よし、核は胴体の中央にあるよ!」


怒涛の攻撃で核を隠していた何らかの術が切れたのだろう、急所を今度こそ発見することができた。真由の言葉に近くにいたエルフ族が伝令術で全員に共有してくれた。便利すぎる魔法の使い方だ。


「アイラ殿、クラノス殿!強化をかけますので思いっきり胴体を真っ二つにしてください!」


「あぁどんとこい‼‼‼‼」


「決着をつけよう‼‼‼」


アイラとクラノスが思いっきり大蛇に飛びかかる。周りは彼らの援護に徹する。攻撃範囲内に入った誠司とカグヤも魔法と忍術で二人を援護する。真由は神官と共に浄化魔法を用意した。アルベルトも浄化の用意に入っている。


「これで最後だあああああ‼‼‼‼‼‼‼‼」


アイラとクラノスが大蛇の胴体の中心を全力で武器を叩きつける。攻撃魔法に気を取られていた大蛇は突然の痛みに耳をつんざくような悲鳴を上げた。分厚い皮膚にどんどん刃が落ちていきついに中から核が飛び出してきた。


「真由‼‼‼‼‼」


誠司が少し離れた位置にいる真由と神官を振り返る。真由は頷くと杖をかざし浄化魔法を展開した。神官とアルベルトも続けて展開する。核はマンモルの核より一回り大きいように感じる。だがここで絶対に決着をつけるという強い意志を持った真由の敵ではない。どんどん外殻が削られていく。誰もが成功する、と思わず油断していた。


「…‼‼?なんだ‼‼?」


神官が異変に気が付いた。核の中心が何かうごめいている。嫌な予感がした誠司は真由の元へと走り出した。予感は当たった。核から黒い光弾が真由目掛けて放たれたのだ。だが駆け寄るには遅く真由も魔法に集中していてすぐ動くことはできない。


「避けて‼‼‼」


誠司は声と共に剣を思いっきり投げた。誠司の向かい側から同様にカグヤがクナイを投げている。少しでも弾道を変えようと二人は行動していた。気付いた真由も魔法を中断し体をひるがえした。


「ぐっ…‼‼‼」


「聖女様‼‼」


黒い光弾は剣とクナイに当たりわずかに弾道が変わった。真由もとっさに杖を使って体を庇ったが、弾道は杖を折り真由の左肩をわずかに貫いた。地面に転がる真由に神官が駆け寄る。


「大丈夫です今は浄化を‼‼‼」


流れる血を抑え真由は片膝をつく。駆け寄ったカグヤは即座に肩に治癒の護符を張り護るように構えた。幸い動脈に当たっていない。だが王都で誠司に買ってもらった髪飾りに当たったのか髪の毛の束と共に地面に落ちてしまっていた。


「お気に入りだったのに‼‼」


真由は少し怒りをあらわにしたが痛みで顔をゆがめた。そして杖も折れている。だがここで予備の杖を出している時間と手間が惜しい。とっさに髪飾りについていた宝飾部分と王妃から貰ったブローチを握りしめた。宝飾品には杖にも使われている素材と一緒のようだ、これを媒介して魔法を安定させることができると判断したのだ。何よりどちらも大切な人からの贈り物だ。王妃と誠司の思いも手助けになると確信して真由は息を整えるともう一度浄化魔法を展開した。核も負けじと再度攻撃しようとうごき始める。


「二度もやらせるか!」


クラノスが溶解液で使い物にならなくなった盾を思いっきり投げ核の攻撃を妨害する。さらにアイラがクラノスの肩を踏み台にし核を直接攻撃する。浄化の魔法がかかっている。アルベルトだろうか。核は立て続けの攻撃に抵抗していた。


「誠司!」


着地したアイラが弓を再度構えていた誠司に合図を送る。誠司は強化と魔法を重ねた渾身の一矢を放った。見事中心に命中した。核の攻撃の手が止まる。チャンスだ。


「いっけええええええええええええ‼‼‼‼‼‼‼‼」


真由は残りの魔力をありったけ込めた。神官とアルベルトも全力を注ぎ込む。核は何度も痙攣のような動きを見せたが徐々に動きが無くなり静止していった。そしてついに、ひと際眩しい光を放ち、完全に砕け散って光の粒となった。浄化成功だ。


「…お、終わった…」


ロイがぽつりとつぶやく。大蛇の体も光の粒となって空へ消えていった。光が収まるとカイウスがロイへと声をかけた。


「浄化は成功しました、隊長伝令を」


「えぇ…えぇ…皆の者‼‼‼浄化成功だ、本当に、本当によくやってくれた‼‼‼‼‼‼」


ずっと瘴気の被害に悩んできたロイが涙を堪え声を震わせて軍旗を掲げた。団員達も息をのむと一斉に勝鬨を上げた。本陣へ作戦成功を知らせる信号弾も次々と打ちあがる。まるで花火のようだと真由は痛む肩を抑えながら少し笑った。途端に気が抜けて倒れそうになるのを誠司が抱きしめて支える。


「真由…‼‼ごめんまた俺護れなかった…‼‼‼」


「いや…あれは気付けないよ…というか、ごめんね、髪飾り壊しちゃった」


そっと手のひらを開くと粉々になった髪飾りがあった。ブローチの方も周りが欠けているが形は保っていた。さすが王妃が身に着けていたものだ。耐久性も違う。


「そんなのまたいくらでも買うよ…‼‼‼だからまた髪伸ばしてね…‼‼」


誠司はひたすら真由を抱きしめる。彼女の胸下ぐらいまであった黒髪は肩上すれすれまで短くなってしまっていたのだ。誠司は完全に油断していた自分を酷く憎んでいた。そこへ大人達も駆け寄ってくる。


「誠司、そこまできつく抱きしめると真由も苦しいぞ」


カグヤの声に我に返った誠司が慌てて力を緩める。真由は大丈夫だよと力なく笑いかけた。


「治癒をかけます。……うむ、動脈、神経、耳も無事ですね、傷口がふさがった後数日熱が出るでしょう、ゆっくり休んで回復に努めてください。」


アルベルトが治癒をかけながら状態を確認する。アイラとクラノスもよかったと肩で息をしながら安堵している。


「アルベルトさんありがとうございます…みんな心配かけてごめんね…」


「いや今回はイレギュラーが多いのによくやり遂げたよ。全員力の限りを尽くしたんだ。今は生還を讃えあおう。」


クラノスはそっとしゃがみ目線を合わせて真由と誠司に微笑みかけた。今回は本当にイレギュラーばかりだった。大蛇の気配を誰も完全に気付けなかったし、核が攻撃してくるのも今回が初めてだった。色々解析しなければならない。そして子供たちだけで行動させてしてしまったことにクラノスは奥歯を噛みしめて後悔していた。せめてソーン達について行動させるべきだったと。子供たちに気付かれないように拳を強く握る。彼女らが危うく命を落としかけたのだ。誰が責任を取るのか。


「……ほら、とりあえず本陣に戻ろうぜ。アタシらも治療受けないとな」


付き合いの長いアイラはクラノスの震える拳に気が付くと背中を叩いてそのまま摩った。今は生還と作戦成功の喜びを分かち合わねば。アイラの言葉に全員同意するとゆっくりと立ち上がり迎えの馬車に乗り込んだ。全力を尽くして全員疲弊している。馬車の中でお互いの健闘を讃えあい一行はゆっくりと本陣へと戻っていったのだった。

長くなりましたがついに戦闘終了です!

各々めっちゃ頑張りました‼‼‼お疲れ様‼‼‼


ちなみに誠司→真由への敬称が変わっているのは本人たちは気づいていません。ヒューーーーー‼‼‼

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